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転職者プロフィール
株式会社ソニックガーデン
気さくなプログラマー
野上誠司さん
(2013年10月入社/32歳)
【仕事内容】
岡山の大学卒業後、地元のSI企業勤務。大小さまざまな規模、業種のシステム開発に約5年間、携わる。その後、商業施設向けサービスなどのパッケージソフトウエアを企画、開発販売する企業に転職。約2年の勤務の後、半年間の移行期間を経てソニックガーデンに入社

岡山の自宅オフィスで、ビジネスの立ち上げに必要なソフトウエアの企画開発から運用まで、全てを請け負う「納品のない受託開発」に従事。自社事業のソフトウエア開発にも携わる
岡山で全国の仕事を請け負う「気さくなプログラマー」

岡山に暮らしながら、東京の顧客とSkypeを使ってミーティングをし、受託開発を行うプログラマーがいる。名刺の肩書は「気さくなプログラマー」。

「Rubyのまつもとさんをはじめ、できる人はみんな気さくじゃないですか。だから私も自分のキャッチフレーズとして使っています」と笑いながら話すのは、ソニックガーデンのエンジニア、野上誠司さんだ。

SI企業で5年間受託開発に携わり、その後自社サービスを作る企業に転職、そして現在は「納品のない受託開発」を掲げるユニークな企業、ソニックガーデンのエンジニアとして働く。受託開発から自社サービスへ移りたいと考えるエンジニアは多いが、再度受託開発に戻ったのはなぜなのだろうか。

受託開発に絶望した過去

「実は受託開発には一度、絶望したんです」と、野上さんは昔を振り返る。大学を卒業して最初に就職したSI企業では、さまざまな業種のシステム開発――販売管理やローン審査、回線販売のシステムなど――に携わった。規模も大小さまざまだったが、「要件定義を行い、その通り開発し、納品する」という従来型受託開発のスタイルは共通していた。そのころから野上さんは「このやり方は違うと思っていた」と話す。

「要件定義をしても、お客さまの決裁権を持っている人は現場を知らないことが多い。価格を抑えるために有り物のパッケージをカスタマイズすることもある。結果、お客さまが本当に必要としているのとはほど遠い物を納品することになり、お客さまも自分たちも幸せにならないことが多かったのです」と当時を振り返る。

そこで、野上さんは転職を考えるようになる。受託開発に限界を感じた人の目が向くのは、自社でサービスを作り提供する企業だ。野上さんもこのルートを選び、ショッピングモールの管理パッケージなどオリジナル製品を開発、販売する企業に転職した。転職したタイミングで始まったグループウエア制作プロジェクトにゼロから立ち会えるという幸運に恵まれて、しばらくは楽しく仕事を続けていた。しかし、ここでも次第に疑問を感じるようになる。

「自社サービスは当たればいいけれど、いつも当たるとは限りません。たとえサービスが当たっても、部署ごとのあつれきややっかみもあったりして、純粋にプログラムで誰かの役に立つことばかりではないと分かりました」。そのころ信頼する上司が退職すると知り、自身も転職を考え始めた。

「上司に付いていくという選択肢もあったし、最初はそのつもりでした。しかし上司の転職先の都合ですぐには動けないことになり、ブログやTwitterでよく見掛けていたソニックガーデンの門をたたいてみたのが、入社のきっかけになりました」

入社選考は半年

ソニックガーデンは「要件定義→開発→納品→保守」という従来型受託開発のスタイルを一新し、「エンジニアがクライアントの話を聞きながらサービスをアジャイルで開発し、月額使用料を頂きながらサービスを成長させていく」という新たな形の受託開発を目指している。お客さまに提供するのはクラウド上で動くサービスだけ。ハードやソフトやドキュメントなど、形に残るものは一切納品しない。それが同社の掲げる「納品のない受託開発」だ。

代表取締役社長/CEOの倉貫義人氏はブログ、Twitter、Facebookで情報発信し、セミナーなどで登壇することも多い。岡山で行われた講演を聞いたことが、野上さんの運命を変えた。

入社の選考は半年かかった。まずは技術を見極め、次にアルバイト的な期間を設け、徐々に仕事が振られていく。

「選考期間は長かったけれど、正直あまり不安はありませんでした。これまでに受託開発、自社サービス両方の経験を積んできたので、お客さまと話して要望を聞くことに慣れていましたし、技術スキルにも自信がありました。この半年間は、お互いを見極めるいい期間だったと思います」と、野上さんは話す。この期間にじっくりお互いの考え方をすりあわせできているので、入社後にソニックガーデンのやり方に違和感を覚えることはないとのことだ。

新しいスタイルの「受託開発」で苦労する点はあるのだろうか。「週次でお客さまと打ち合わせを行うので、毎週何らかの成果を出す必要があることです。しかも、それはプログラミングに詳しくない方にも『目に見える』成果でなければなりません」と野上さんは話す。エンジニアの「真剣」さが求められる部分だ。

とはいえ、毎週毎週見た目が劇的に変化する開発ばかり行えるわけではない。バックエンドの地味な開発を行うこともあるが、そんなときにも「何かやってくれているのだな」と理解してもらうためには、それまでにお客さまと築いた「信頼」がものをいう。

「ドキュメント納品がない」というスタイルは、「技術力」に裏打ちされている。社内の情報共有にはコードの可読性が重要だからだ。

「毎週オンラインで社内ミーティングを開催し、逐次コードレビューを行っています。メンバー間でコードの書き方の水準を一定に保たなくてはならないので、『見られる前提でのコード』を書くことが必要です」と野上さんは述べる。「面倒くさいと思って適当に書くと、必ずコードレビューで指摘されてしまうんです」。

受託は「ドヤ顔」できる仕事

地元岡山で働くことは、野上さんの絶対条件だった。「リモートで働けなければ、東京の企業であるソニックガーデンに転職しようと思いませんでした。東京に来るのは年に2回程度、会社のビジョン合宿の時ぐらいです」。

リモートで働くには、自分で自分をマネジメントしなければならない。「プレッシャーはあります」と野上さんは言う。残業はかっこ悪いと考えているので、9時から18時、休憩を除いて8時間できっちりと成果を出す。「お客さまに期待されているのが分かるので、その期待をちょっと超えるところまでやらないといけないんです」と語るまなざしは真剣だ。

野上さんのやりがいは何だろうか。受託、自社、そして再度受託に戻り、野上さんは「今が一番楽しい」と言う。

仕事の醍醐味(だいごみ)は「毎週『ドヤ顔』ができること」だと言う。「お客さまが必要としていることを実現したら、『これ、いいでしょ?』ってドヤ顔できます。もちろんそのためには、お客さまのことを考えて、どうしたら喜んでくれるか、どうしたらビジネスが回るかを真剣に考えないといけません。その結果の『ドヤ顔』、それが楽しいんです」。

受託開発に絶望してから約4年。野上さんはやっと満足できる働き方を手に入れた。やりたいことがある人がいて、その手助けができる仕事だ。「受託開発が楽しいと感じたのは久しぶり」と野上さんはまた笑う。

「仕事の合間に社内向けサービスも作っています。私がリモートで仕事をしているので、みんなに使ってもらえるコミュニケーションツールを作るとか。こういう自由なことができるのも楽しいです」

「毎日が楽しい」とニコニコ話す野上さんに、そうではないエンジニアは何をしたらよいのか尋ねたところ、「エンジニアならば、ゼロからプログラミングして、サービスを公開するところまで挑戦してほしい。誰からもフィードバックはないかもしれない。でもそれは、やりたいことを見つめる良いきっかけになるはずです。だから、どんな形であれ『公開』できるまで頑張れ!」との答えが返ってきた。オリジナルのサービスを作ること、それを形にして人に見せること、その繰り返しがエンジニアとしての腕を上げるのだ。

野上さん自身も、業務以外でスマートフォン向けアプリを作ったり、Unity開発を通じて新たなスキルを付けている。「一発当てたいと思うので、バットは振り続けねば、です」。毎日の素振りがあってこそのホームラン、何かを形にする手段としてのプログラミングスキル向上は欠かさない。

野上さんが次に転職するときは、受託、自社サービスどちらを選ぶのだろうか。

「プログラマーをしている間は恐らく、ソニックガーデンと縁が切れることはないでしょう」と野上さんは即答する。「会社がビジョンを失わない限り、他に行く理由はない」と。

さらに野上さんは続ける。「こんな働き方は想像していませんでした。お客さまが『こういう機能があったらいいのに』と考えていることを共有して、それを作って感謝される。自分のプログラミングで、誰かが喜ぶ。相手がいる。それが受託の良さだと思うのです」。

日々の研さんに裏打ちされた圧倒的な技術力と、納品のない受託開発にかける熱い思い、そして何よりも魅力的な笑顔と「気さくさ」を兼ね備えた野上さんが、これからソニックガーデンでどのように活躍していくのか、とても楽しみだ。

代表取締役社長 CEO Founder 倉貫さんに聞く、野上さんの評価ポイント

「納品のない受託開発」は、いつでもお客さまの相談にのりながらプログラミングで問題を解決するという仕事であって、担当者を「顧問プログラマ」と呼んでいます。

顧問プログラマには、ソフトウエアを作れるプログラミングの腕と、お客さまの問題を理解し提案をするコンサルティングの腕が求められます。野上さんが備えている圧倒的なスピードと気さくさは、顧問プログラマとして最も大事な素養です。

一緒に採用期間を過ごしてみて、私たちのカルチャーにフィットしたので、自然とソニックガーデンにジョインしていました。共にビジョンに向かう仲間として、そして今を楽しむ仲間として、頼もしく思っています。

※企画・制作:@IT自分戦略研究所編集部
※@IT Specialの記事(2015年5月)に再編集を加えて掲載しています。
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