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マイナビ転職×@IT自分戦略研究所「キャリアアップ 転職体験談」新春Special 2016:きのこる先生×辞め美女 もう「クラリスエンジニア」なんて言わせない。しあわせな転職をしたいエンジニア必読の書/ここは都内のとあるIT企業。可愛過ぎる後輩 小布施椎子(おぶせ しいこ)と働く27歳のエンジニア梧籐剛(ごとう ごう)は、忙し過ぎる業務に嫌気がさし、思い切って上司に辞意を伝えた。しかし状況は変わらず、あいかわらず山ほどの業務(アンドロイド開発、ただし人型の)を全力でこなしていた。

ボク、お金持ちになります!

(トゥルルル、トゥルルル。ガチャ)はい、梧籐です。はい、私ですが……えっ! 本当ですか?! はいっ、はいはいはいっ!! はいぃぃぃぃぃ!(カチャン)

小布施さん! 小布施さん!

せんぱい、どうしたんですか? その電話、何かいい知らせだったんですか?

小布施さん、確か新しいコートが欲しいって言ってたよね。それ、ボクが買ってあげるよ。あと、ブーツとマフラーと手袋と……。ぼく、お金持ちになるんだ!

今、ヘッドハンターから電話が来てね。転職しないかって言うんだ。職種は「データサイエンティスト」で、年収はなんと今の2倍だって!

せんぱい! 落ち着いてください。年収2倍って、何か怪しくないですか? どんな会社でどんな仕事をするのか、聞いたんですか?

いや、その辺はよく分からないけど、データサイエンティストだよ。格好いいじゃないか! ボク、転・職・し・ま・す!

(だいぶ危険な状態ね。これは、あの人に相談するしかないわ)せんぱい! 私についてきてください。会わせたい人がいるんです。

(徒歩→電車→乗り換え→電車→徒歩)

やっと着いたわ。せんぱい、あの人に今の話を聞いてもらいましょう。

あ、あの人は!

きのこる先生
元プログラマー、現Web系企業の人事担当者。エンジニアがこの先生きのこるために必要なものは何か、を日々(たぶん)真面目に考えている。諸事情により、Web上では菌類の姿をしている。

人生いろいろ、データサイエンティストもいろいろ

きのこる先生 梧籐くん。はじめまして。私は、プログラマーにしてWeb系企業の採用担当の「きのこる先生」です。キミのウワサはいつも椎子ちゃんから聞いているよ。

なになに。データサイエンティストにならないかとヘッドハンティングされたって? それはスゴいことだねえ。ところで梧籐くんは、データサイエンティストってどんな仕事が知ってるかい?

きのこるポイント

データサイエンティストという言葉は、ビッグデータブームもあっていま注目されているけれど、その仕事内容は会社によってさまざまだ。共通しているのは、単なる解析能力だけじゃなくて、アルゴリズムを考えたり、実装したり、数値解析基盤を作ったり、「総合的な問題解決能力」が求められるってことだ。

例に挙げた西岡さんは「未踏スーパークリエータ」の人。マシンラーニングを実践的にビジネスに取り入れられるきちんとした基礎があって、さらに、偶発的なチャンスや出会いをしっかりつかめる柔軟性があったから、データサイエンティストとして羽ばたくことができたんだ。

残念ながら今の梧籐くんには、西岡さんのような「問題解決能力」「技術的な基礎」「柔軟性」はまだ足りないと思う。お得意のトラブルシューティングで問題解決能力を磨きつつ、技術力を付けていく。データサイエンティストへの転職はそれからでもいいんじゃないかな?

キミはビジネスを後押しする力になれるか?

梧籐 でも、ボク転職したいんです! 今の会社は給料が安くてツラいんです。転職で年収を上げる方法を教えてください!

きのこる先生 年収ねえ。直接ではないけれど、年収アップにつながる方法ならあるよ。

梧籐&椎子 教えてください!

きのこる先生 年収アップにつながる方法、それは「ビジネス感覚を持つこと」だ!

きのこるポイント

年収を上げるためには、所属している会社や携わっているプロジェクトを成長させなければならないよね。エンジニアが直接営業をすることはあまりないかもしれないけれど、自分のやっていることがビジネスにどのような効果をもたらすのか、極端に言えば、コードの1行1行を経営判断だと思って書くぐらいの意識が必要なんだ。

例に挙げた沼澤さんは、コードをうまく書けることはもちろんだが、それ以上に、ユーザーが日々何に困っていて、それをどうITで解きほぐすのか考えること――つまり「ビジネス視点で物事を見る」ことに優れていた。

「ビジネスに寄り添ったシステムを作る」「ビジネスを後押しする」ことができる人はこの業界にあまりいない。エンジニアがビジネスの責任の全てを追う必要はないが、「エンジニアだから関係ない」なんて言い訳は通用しないよ。梧籐くんが今、携わっているアンドロイド開発は、誰の何に役立つんだろう? それを一度でも考えたことがあるかい?

きのこる先生「キミも誰かの役に立ちたいだろう?」 アンドロイド「ウピー!」

キミの喜びはどこにある?

梧籐 「ビジネス感覚を持て」って言われても、ボクの会社は7次請けなんです。上流から指示されたことをやるしかないじゃないですか。転職のたびに6次請け、5次請けとはい上がっても、せいぜい4次請け止まりです。ボクは一生、ビジネス感覚を持たずに言われたままの仕事をするしかな……ハッ! いいことを思いついた!

自社サービスを作れるところなら、もっと楽しいはずだ! あこがれのWeb系、自社サービス、B2C……そこに行けばどんな夢もかなう、ボクのガンダーラ!

きのこるポイント

ガンダーラってなんだーら?……というのはさておき、1年前にとある女性との飲み会で触れた図を紹介しよう。

IT業界マトリクス

これは、あくまで4つに分かれるという意味であって、「ヒエラルキー」が存在するわけじゃない。受託開発にいる人は自社サービス、B2Cのところに行きたがるけれど、自社サービスの方が楽しい、上だ、天国だ、なーんていうのは根拠のない話だよね。

例に挙げた野上さんは、ズバリ「受託開発はドヤ顔できる」と表現した。お客さまの問題を自分の腕で解決して喜ばれる。それによって自己承認し、利他的な欲求を満たす、そういうところにメンタリティがあるエンジニアもたくさんいるはずだ。梧籐くんもガンダーラを探す前にもう一度、自分のモチベーションはどこにあるのか、自分のお客さまは誰なのか、考えてもいいんじゃないかな?

野上さんのお話でグッときたのは、「毎日が楽しくない人はゼロからプログラミングして、サービスを公開するところまでやってみる」ことを勧めている点だ。これ、梧籐くんはやっているかな?

何を提供するかを考えて、インフラを設計して、コードを書いて提供する。デザインももちろん必要。いろんな経験ができる上に、いまならほとんどタダみたいなコストで実現できるよ。

キミにとって、安定とはなんだね――エンジニア'15・冬

きのこる先生 サービスを公開していたことが決め手となって、転職に成功した人もいる。

きのこるポイント

例に挙げた芝端さんは「はてな」に絶対に受かるように、動くものを用意して採用選考でアピールした。確かにブラウザー拡張はそんなに難しいものではないけれど、「使えるものを作って公開している」ということが評価されたんだ。

芝端さんのお話からは「安定とは何か」ということも再認識させられるね。彼は大手SIerから、Web系のまだ若い企業に「安定を求めて」転職した。

昨今のニュースを見ても分かるように、10年前なら確実に安泰だった大企業も、もはや「安定している」とは言えなくなった。「安定」を考えたとき、自分の技術に「ポータビリティがあるか?」は気を付けるべきポイントだ。

例えばプログラミング技術やアーキテクチャの知識、データベースの知識はポータビリティがあるものだ。それに対し、ある会社ならではの業界知識や企業の知識にはポータビリティはない。プログラミング技術も、ただコードが書ければいいのではない。ソフトウエアを開発する全ての領域、問題解決の領域でポータビリティのある技術を付ける。それこそが本当の「安定」なんだよ。

芝端さんは「エンジニアとして力を付けること、それこそが最も安定していることなんです」と言っている。梧籐くん、キミにこれだけの覚悟があるのか! ああーん?

梧籐 あう、あ、あ、あ、ボク……ちょっと、トイレ……。

椎子 せんぱい、どこ行くんですか? 都合が悪い話になったからって逃げないでください!

椎子「せ・ん・ぱ・い!」 梧籐「うぁぁあああ」

もう一度問う。オマエは公国最後のお姫さまなのか?

梧籐 技術力が必要とか、ポータビリティとか、頭では分かるんです。でも、でもボク、本当に忙しいんです。仕事をこなすのにいっぱいいっぱいで、勉強するヒマなんてないんです。もちろん、転職したりして、そこで必要な技術があったら、入社後きっと覚え……

きのこる先生 ここにもクラリスエンジニアがいたかーーーー!(激怒)

きのこるポイント

必要な技術を、「今はまだできないけれど、きっと覚えます」と「ルパン三世 カリオストロの城」のヒロインのように話すエンジニアのことを、私は「クラリスエンジニア」と呼んでいる。クラリスのような公国最後のお姫さまだったら「きっと覚えます」も許されるけれど、エンジニアが転職するときの「きっと覚えます」は失笑物でしかないんだ。

例に挙げた宇野さんは、なりたいエンジニアになるために、終業後に積極的に自分に投資して、自分でチャンスをつかみに行った。このスタイルは本当に素晴らしい。

宇野さんの話でもう一つ特徴的なのは、MBA、英語といったスキルを付けてきたことだ。プログラマーとMBAは無関係に思えるかもしれないけれど、今後はビジネスの何かと「×IT」が絡むのが主流になってくるだろう。もちろん、技術力に「×英語」という視点も重要。英語やITはゴールじゃなく、あくまで手段だと考えるべきだ。

こういう話になると「就業時間内に勉強する時間をくれ!」っていう話が出てくる。もちろん、就業時間内にエンジニアとしての勉強をするのはいいことだと思う。でも、それだけじゃ足りないよね。

一流になるには、どんな分野でも1万時間が必要だと言われている。そこまでやれとは言わないけれど、新しいスキルを身に付けるには、就業時間内だけではまったく足りない。人がびっくりするような技術をもう持ってるという、ルパンのような人なら別だけどね。

そして、宇野さんの話に出てくる「焦り」や「不安」。焦りというプレッシャーはうまく使えば強みになる。梧籐くんもきっと、このままでいいのだろうか……という思いがベースにあるはずだ。それを原動力に変えるんだ!

有言実行で頑張ろう!

梧籐「きのこる先生、ボク、ボク……」 きのこる先生「(コイツ、暑苦しいな)」

きのこる先生、ぼく目が覚めました。「年収アップ」や「ガンダーラ」を目指す前に、やるべきことが一杯あったんですね。まずは、サービスを作って公開するところからチャレンジします。「きっと、やります」ではなく「必ず、やります」。有言実行です

よし、頑張るんだ! 手を動かして行動して、スキルを身に付け、実績を作る。そして「得意技は?」って聞かれたとき即答できるエンジニアになるんだ!

あのー、お取り込み中申し訳ありませんが。

ん?

さっき買ってくれるって言った、コートとブーツとマフラーと手袋、あの話どうなりました? こちらも有言実行でお願いしますね!

ウピーッ!

もう「クラリスエンジニア」なんて言わせない。有言実行で頑張ろう!

※制作:@IT自分戦略研究所 編集部
※@IT Special の記事(2016年1月)に再編集を加えて掲載しています。
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