この企画は、Web業界で名を馳せる伊藤直也氏と注目企業のCTOが、

寿司を摘まみつつホンネで語り合う、かつて無かったインタビュー企画である。

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[ #naoya_sushi ] 七転八倒の先に見出したCTO道――

グリーCTOに、色々ホンネで聞いてみた【後編】

<前編のあらすじと後編のお話>
寒風吹きすさぶ師走の夜、伊藤直也氏(以下「naoya」)が寿司屋に招いたのは、かつての上司でもある『グリー』CTOの藤本真樹氏(以下「藤本」)。インターネット業界におけるCTOの第一人者であり、私淑するエンジニアも多いことで知られる藤本氏だが、焼酎片手に語り出したのは、かつてマネジメント業務で四苦八苦したという反省の歴史。CTOとしての藤本氏の“凄さ”を知る伊藤氏にとっては意外な話のオンパレードで、会話のボルテージは時とともに高まっていくのであった――。

⇒【前編】の記事はこちら

さて、今回の後編では、藤本氏のCTOとしての取り組みをさらに深掘りすることで、いかにして「CTOとはかくあるべし」と開眼するにいたったのかを明らかにしていきます。実は生魚が苦手という藤本氏ですが、今のところは料理も愉しんでいただいている様子で一安心。ぼちぼち酔いもまわってきて、二人の会話はさらにヒートアップしていきます。


▲藤本さんのために特別に用意してもらった飛騨牛。七輪の炭火で旨みを閉じ込めていきます。

技術を一番に捉えつつ、様々な経営課題に関与することがCTOの役割

— naoya:それにしても藤本さん、最初はそれこそ、今みたいに「CTOの仕事はこれだ」って言い切れるもの、なかったんじゃありません? どういうタイミングで、それを語れるくらいにまで構築することができたんですか?

— 藤本:なんでしょうね。最近はエンジニアの組織構成を変えたから、自分の組織図上のチームメンバーが減ったんですよ。そうすると見える景色が違ってきて、もうちょっと冷静に見えるし。直接の部下は2~3人くらい。

— naoya:そうやって部下が減った結果、見えてる景色が変わった?

— 藤本:まぁ、多少は余裕が出来て、自分も会社も客観的に見れるようになったのかなと。

— naoya:藤本さんの記事を読んでると、技術戦略、採用、チームビルディング、文化づくり、経営陣への開発部隊の理解促進、大体その5項目くらいのことを明確に挙げてるじゃないですか。でも僕は、CTOの仕事はそういうことだっていう定義が、現役の時に全然できてなくて。採用なんかもやってるけど、それは本来CTOがやるべきことかどうかはわからんけど、なんとなくやっちゃってた。藤本さんは言い切るじゃないですか。それがCTOの仕事だって。それって、何を通じて言い切るだけの確信を得たのかっていうのが、僕は知りたかったんだけど。

— 藤本:あれ最初に書いたの、2013年のブログなんですよ。結局、CTOって千差万別なんで、あんまり個別に考えたってしょうがなくって。抽象的になりますけど、自分はエンジニア・オリエンテッドというか、技術を1番に考える人ですっていうことを忘れずに、どうやって経営ってものにコミットするかっていう。これに尽きるなって思ってます。そこから考えて、会社にとって必要なことをやりましょうというスタンスなんで、必要とあらば採用だってやるわけですよ。

— naoya:なるほど。でも、それをCTOの仕事と定義したからには、自分がやらないといけなかった理由があったわけですよね? たとえば、採用とかは会社の他の人に任せるって方向もあったと思うんですが。でも、採用はCTOが最後まで面倒を見るって言い切ってて、何でそう思ったの?って。

— 藤本:自分たちのことも含めて、1000人くらいの規模の会社だと、強烈なカルチャーを持った会社って、日本だとまだ少ないよね。会社に入ってから考え方が劇的に変わる人は稀なんで、そういう会社を創ろうと思うと、採用の段階である程度フィルタリングするしかないわけじゃん。となると、この会社はこうあるべきって思ってる奴が責任持つしかないよなって。採用に関してはその辺の個人的反省が一番大きいですね。

— naoya:必ずしも、自分がそうあるべきとふるまってきたわけじゃなくって、過去にちょっと妥協したこともあって、その反省に立っていると?

— 藤本:僕が常に思ってるのは、自分で考えて自分で動く人が集まってる方が、絶対楽だろうってこと。自分たちでプロダクトを作ってユーザーへ届けようっていう場合に、その現場の人たちが言われたことしかやんないっていうのでは、あんまり面白くないし、働きやすくもならない。もっと楽にできないかとか、もっとこうした方がいいとか、作業環境自体をこうしたいねとか、あれこれ考えてるような人の集まりの方がいいというか。

— naoya:確かに僕が『グリー』にいた当時は、自分のチームに関係ないソースコードとかも好きなように触れて、壊してもいいみたいな雰囲気はありましたね。当然、相手の事業を壊したら困るけど、その相手の事業にとってよいことであれば、いくらでも相手の領域にまたがってソースコードを変更しても構わないっていう体質だった。「ここからここまではキミの担当だから、それはやってね」とか「ここはやらなくていいよ」みたいな境界線がすごいあいまいで。でも、それってエンジニアにとってすごくいいことで、自分の担当領域外のことは誰かにお伺いをたてないとやっちゃダメってなると、全能感がすごい失われちゃうから。『GREE』なんて、あれだけ巨大なシステムなんだけど、人が作ったコードに勝手に手を入れてもいいなんていう考え方が組織全体に浸透してたのは、エンジニアにとってすごい良かったなと。それに伴って、いろんなカオスも生まれてしまうんだけれど。

— 藤本:wwwwww

— naoya:人のモノを壊してもいいってことで、アーキテクチャーも部分部分はよくできてるんだけど、ちょっと横を見るとグチャグチャだったり。でも、全体としては正しく動いている。この、カオスだけど全体としては正しいという感じが、僕にとってはすごい新鮮で、人がたくさん関わってくると、そういうやり方の方がスッキリするっていうのは感じましたね。秩序立ってソースコードも構造化して大きい人数で維持しようとすると、組織にヒエラルキー作って、ここからここまでは壊しちゃいけませんっていうルールをたくさん決めて、締め付けるってことをやらないと、多分、無理なんですよ。そこから振り切って、いくらでも壊していいから好きなようにやれっていう雰囲気があったのは、すごく面白かった。

— 藤本:まあ、そこから先の裏話としては、一定レベルの人たちが、ある程度類似した価値観を持って集まってこそ成立する話なんで、そこからさらに人が増えて価値観にバラツキが出ると、いろいろ面倒になるし、そういうカルチャーが失われちゃったというのがここ数年の話。そうなると、ここいじると何が起こるかわかんないって臆病になったり、ここいじるんだったらお伺い立てなきゃとなったり。それはプロダクトもそうだし、社内のちょっとしたツールもそうだし。そこで、そういうとこにチャレンジしていいんだよっていうところから、もう1回やり直そうよというのが、この半年くらいの間にすごく意識して動いていたところですね。とはいえ、1000人規模でそれをやるっていうのは、なかなか大変なんだけどね。この実現は、まだまだ先の長い話だろうな。

— naoya:じゃあ、今、どういう風にカルチャーを再構築しようとしてるんですか?

— 藤本:Webにしてもネイティブにしてもプロダクトの成熟度が上がってきていて、たとえばゲームにしたって、個人で作るレベルはとうに超えてますよね。だから、求められるもののハードルが相当高くなってる。中途半端なモノ作っても勝負できないんだけど、それでも『グリー』はモノを作り続けないと終わってしまう会社なんで、ちゃんとモノを作るっていうことを一番に考えましょうと。直接モノづくりに関わってないバックオフィスの人たちにも、しっかりわかってほしいなって思ってますね。

— naoya:そこかぁ。さっき5つ挙げた中に経営うんぬんっていうのがありましたけど、要するに他部署に対して開発組織ってこういうものだよと理解させるってことを、藤本さんは結構一生懸命やってるんですよね。僕の中では、インターネットの会社だったらテクノロジーがすごく重要だから、開発している人のことは、周りの人も当然わかるべきって。ずっとそう思ってたんだけど、それは傲慢なんですよね。

— 藤本:この半年とか、人事本部のメンバーにプログラミングの勉強をしてもらったりとかしてましたもんw

— naoya:マジっすか? でも、それをやることによって、「開発ってこういうものだから、この辺のことはエンジニアたちも譲れなくって、こっから先は別に大丈夫だよ」って理解するきっかけになるのかな。たとえば採用の時も、こういう採用の仕方をするとエンジニアは反発するから、プロセスはこういう風にしなきゃダメだとか。

— 藤本:採用とか顕著で、エンジニアがどういう考え方をするかっていうのをわかってない人が適当にやると、悲惨なことになるよね。一生懸命がんばってくれても、ちょっとメッセージずれたりするし、あれ、何なんだろうな。

— naoya:そこで、じゃあどうやったらいいのかってのを、ちゃんと一緒に考えるってことが本来必要なんですよね。多くの会社はそうじゃなくて、人事が適当にやっちゃう。それで終わらせないようにするってのが大事だと。


▲ネギ味噌と生姜でいただくサバの炙りに、本物(つまりマグロ)のネギマ串。そして例の飛騨牛が登場しました。

物事を動かす方法として、トップダウンがいいとは限らない

— 藤本:それで最近、ようやく採用がまたうまくいくようになってきたところですけどね。プロダクトもちょっとずつ「グリーらしくない」といわれるようなものも出てくるようになりましたし。

— naoya:今、一番ヒットしてるのって、『消滅都市』でしたっけ。

— 藤本:まあ、それですかね。ピュアネイティブゲームだと。

— naoya:しかし、『グリー』って、エンジニア界隈だと結構知られてるじゃないですか。ブログとかもいっぱいあるし、藤本さん自身もいろんな取材や記事執筆でメディアに露出してるし。

— 藤本:まあ、創業10周年っていうこともあって、いろいろなことをやってます。ご縁があって、某有名ドキュメンタリー番組を撮ってるビデオクルーに、社内で1週間くらいずっとカメラ回してもらったりとか。

— naoya:藤本さん、テレビに出るの?

— 藤本:違う違う。そのクルーの人たちに撮ってもらっただけ。まぁ、いっぱい撮っておいてもらって、3年くらい経ってから、「あの頃はあんな感じだったね」ってなれば面白いかなって。これまでは自社のことを外に伝えるということに結構無頓着だったんですよね。プロダクトはものすごく考えてるワリに、いいものを作りさえすれば勝手に売れるよねって。そんなわけねーだろって話なんですがw

— naoya:メディアに少し悪く書かれちゃうと、もうどうしていいかわからないみたいなところがありましたからね。それでメディアとの関係構築がうまいことにならなかった。中にいる人にとっては、それほど変なところもないんですけど。

— 藤本:そればっかりはね。ちょっとずつ失地回復していくしかないかな。

— naoya:その絡みで言うと、ちょっと面白いのは、エンジニアリングに関してはあまり外の人にも誤解がなくて、素直にみんなエンジニアにとっていい会社だよねっていうのは、日本のインターネット業界のエンジニアの大半がそう認識してると思うんですけど。

— 藤本:中がすげぇハッピーとも言わないし、いろいろと大変ですけど、今のところ、あんまりディスられてはいないみたいですねw で、さっきの話に戻るんだけど、「カルチャーを創ろう」っていうのは、ちょっとニュアンスが違うんです。カルチャーを創ろうなんてプロジェクトは、基本的にナンセンス。いろんなことに取り組む中で、一人の人間がある程度コントロールすることで、これはやってよくてこれはダメなんだっていう空気感を、ちょっとずつ醸成していくということかなと。一番簡単なのは、「俺が決めたからこうやるんだ」って宗教チックにいくことだとは思いますが、それは個人的に最も嫌うところなんで。

— naoya:トップダウンで押し付けるのではなくってことですね。要するに、これはいい、これは悪いっていうのを、マネージャーが一つひとつジャッジしてたら体が持たない。だから、現場の人たちが判断できるように、組織の中に基準を作らなくちゃいけなくって、それが結果としてカルチャーを生み出していくことにつながっていくんじゃないかなと。一人ひとりが考える土壌を作る感じ。判断基準を作るというか。

— 藤本:みんなにとってもその方が働きやすいしね。

— naoya:それをなんか、文化づくりプロジェクトだとか大上段に構えてやったって、絶対実現できっこないんで、日ごろの何かしらのプロセスの中で、あの人はこう決めたんだってことが間接的にでも社内に伝わっていくような風にしたりとか…

— 藤本:僕は最近、みんなにこの会社のこの辺変えたい、直したいっていうことを書いてってアンケートを取ったんだけど、そしたら200個くらい集まった。で、それを全社員が見れるスプレッドシートでジャッジしていきますというところからはじめました。その方法ですら、他にいろいろやり方があるわけじゃないですか。一斉に同報メール送って、これやりますってアナウンスするのも一つのやり方だし。まったくクローズドで言わないでやるっていうのもありだし。僕は、偉かろうが偉くなかろうが、常にオープンにしてやるべきっていう考え方だっただけ。ただ決めるのは責任者がやればいいと思うから自分がやった。意見を聞くのも、やらない理由を言うのも、オープンであるべきだと思ったので。

— naoya:そういうことを積み重ねていくと、だんだん、あの人だったらこう言うだろうなっていうのが、会社の中に常識ができあがっていくので、そうすると、言われなくてもそういう風にみんなが動いてくれるようになるんですよ。そこまで導く、みたいな。

— 藤本:ここからまたやり直すのは、5年、10年かかる話なのかもしれないけど、とにかく始めないと前に進まないんでね。

— naoya:人を一気に増やすと問題になるのは、こういう共通認識の土台みたいなものが伝搬するよりも早く人が増えていくことにあるんですよね。今までの会社だったら、そんなこと誰も絶対にしようとは思わないことを平気でやっちゃう人も出てきちゃう。

— 藤本:彼らは彼らで培ってきたバックグラウンドがあったりするからね。顕著な例で面白かったなと思ったのは、ある時、社内の資料がやたら丁寧になってきたの。豪華powerpoint!みたいな。それこそ、今までそんな文化全然なかったのに。許可を求めるようになったこともそうだし。


▲マグロは美味しくいただける、という藤本さんに合わせて、握りはマグロづくしで。

羅針盤を見誤る恐怖と戦いながら、正しい航路に導くむずかしさ

— 藤本:あと、いまだにネイティブブラウザ問題っていうのは、根深く残っていて…

— naoya:まだやってるんですかw

— 藤本:いや、会社では全然ないんですけど、世の中のテクノロジー的にはあったりするじゃないですか。

— naoya:非常に悩ましい問題ですけどね。結論でないですし。

— 藤本:忘れちゃいけないのは、ユーザーにとってはどっちでもいいねって話なんだけどね。

— naoya:でも、ハイパーリンクとURIとHTTP、とにかく、ある特定のページに対してリンクを貼ることで、そこへ直接ジャンプできるっていうことが、WebがWebであることの最大の理由なのに、ネイティブアプリってそれができないじゃないですか。みんな積極的にそれをしていないから、ネイティブアプリがインターネットの主流になっていくと、今までのWebが構築してきた世界が壊れるんですよ。実際、壊れかけてて、それを善しとしていいのかどうか、僕らみたいな旧世代の人間は少し迷ってしまいますよね。今の10代、20代の若い層が見てるインターネットのカタチと、僕らみたいな30代過ぎの中年が見てるインターネットは結構違うんでしょうね。

— 藤本:wwwwww

— naoya:僕らの世代が考えるインターネットは、ブログとか書くと、よくわかんないところから石が飛んでくるのが当たり前で、Webにコンテンツを載せると、ハイパーリンクであらゆるところにリンクを張られて、世界の裏側からも人がやってきて、賞賛も受ければ批判されることもある。それがWebですという認識ですけど、若い世代の人たちにとっては、ネイティブアプリのLINEとか、Twitterアプリとかが、彼らにとってのインターネットだから、そこで交流している人たちしかインターネットではないという感覚。世界の拡がり感の認識が全然違うんです。それが当たり前になってった時に、僕らの常識が通じなくなるから、それで善しとするのか、それじゃ困るからネイティブアプリも今までのようにできるようにするのかっていうのが、どっちなんだろうって。このままの流れのままだと、今までのWebじゃなくなりますよ、きっと。そうなったときに新しいカルチャーが生まれて、インターネットはこれでいいんだよってなったら、それが正解なんだろうなとも思いますけどね。

— 藤本:この辺の話はいろいろ派閥があるからね。

— naoya:CTOとしても、会社としてテクノロジーをどっちの方向に持っていくかっていう、ものすごく大きな決断に迫られてるじゃないですか。ずっとWebやってきた人たちは、ハイパーリンクとかURIとかそれが正しいと思い込んできたから、それが少し隅に追いやられているネイティブアプリはまだまだ傍流だと思ってたんですよ。でも、こっちがメインらしいよって。流れが変わった。

— 藤本:ゲームの世界だと、この話はもっと顕著で、ネイティブへの移行にはそんなに迷いはないんですけどね。

— naoya:ゲームは、提供できる体験がね。その選択肢を突き付けられて、ネイティブを選びましたからね。

— 藤本:その観点からするとダメな話なんですけど、僕自身はWebが好きなんですよw

— naoya:商業的にどっちが受け入れられるかという問題とは別に、僕らのWeb世代っていうのは、そういう世界で築き上げてきたっていう…

— 藤本:それが世界を変えると思い込んできたからね。

— naoya:それが、今まさに否定されようとしているから、どこまでそれを受け入れていいんだっけってのがありますね。

— 藤本:ていうときに、会社の技術をどこにどう張っていくか、みたいな。もはや理屈で考えて答を出す領域を超えているんで、野生のカンですかね。

— naoya:これは誰も解答不可能かな。

— 藤本:いい・悪いではかれるのとは次元が違う話ですよ。一方で、その世代間のギャップをなくそうとしている動きも世の中にはあるしね。ブラウザでネイティブっぽいのとか。あと、これだけゲームとインターネットが混ざっていることはかつてなかったけど、今のスマホでは完全に融合していますからね。でも、真逆の話としては、一つのプラットフォームがカタチも変えずに生き延びてきたこともないわけで、そうするといろんなストーリーも考えられて、どういう選択をしていくのがこの会社で最適なのかということを真剣に考えないといけない。

— naoya:それがCTOの考えなきゃいけない、やっかいな問題のひとつなんですよね。でも得てして、選択を間違えるんですよ。

— 藤本:wwwwww

— naoya:間違って、5年後くらいにああー、間違ったってなるんですよ。あの時の意思決定を間違えたってことに気付いた時の、あの申し訳なさが半端ないっすよね。

自らの反省を糧に突き進み、次の世代の水先案内人としても機能したい

— naoya:世の中のCTOは、技術選択を、時に何度も間違い、現場に迷惑をかけ、申し訳ないなって気持ちで生きてるんです。採用してみたもののうまくないOSSとか無数にありますからね。

— 藤本:ホント、申し訳ない!w

— naoya:あの当時、めっちゃいいわって言われてたものを採用して、半年後にみんながもう飽きてるなんてことは、よくある話ですからね。正直、読めないですよ。

— 藤本:JSのフレームワークとか、結構難しいよね。

— naoya:やっぱり、新しい技術が出てきて廃れるまでのサイクルが、早くなってますしね。

— 藤本:瞬間的な完成度も結構上がってたりするんで。

— naoya:サイクルがめちゃめちゃ早くなってるんでね。そのスピード感の中で、いいわ!って言った瞬間からダメだったってw

— 藤本:もし仮に、スタートアップやりましたってなったときに、結構悩むのは、それこそ開発言語は何にしようかだったりするんですよね。

— naoya:僕は、今ならやや無難ですけどRubyを選択するんじゃないですか。けど、この状態がいつまで続くのかもよくわかんないですね。

— 藤本:僕、あえてRubyじゃないとこ攻めるかなー。

— naoya:でも、Rubyを選ばなかったら、じゃあ何選ぶかって、現実的な選択肢としてScalaとかなんですけど、でもScalaも別に理想的な言語ではないし。だから、よくわかんないんですよね。

— 藤本:そうですね。言語ですら悩みますよね。

— naoya:それは、移り変わりが早すぎて難しくなってんのか、僕らが歳とって頭が回んなくなってんのかって。

— 藤本:wwwwww

— naoya:そこ、ちょっと判断ついてないのはありますね。僕、正直、AngularJSの昨今の様相とか読めなかったし。内部コードもそこまで深くみる余裕もなかったから。

— 藤本:あー。

— naoya:使っている間は結構いいかなと思っていたら、あるときから批判意見も出てくるようになって、あ、俺やばいなって思いましたよ。

— 藤本:wwwwww

— naoya:一方で、コミュニティも活発化してるから議論が追いやすくなったってのもありますけどね。

— 藤本:そういう意味では問題の程度としてはかわいいもんかもしれませんね。今ね、『グリー』のLL系はPHPがやっぱりメインなんだけど、真面目にスタティックな言語は標準的なものがもう1個あってもいいのかなぁって。

— naoya:Scalaは?

— 藤本:Scalaねぇ。

— naoya:でも、そうすると、GoでWebアプリ書かないでしょ?それでJava選ぶとかもありますよね。

— 藤本:理性でいくと、Javaになっちゃうんだよね。

— naoya:それが、ちょっと理詰めっぽすぎるかなとも思うんですよね。理詰めでいったらJavaですよって、それはわかりますよ。Java8、いいみたいですしね。

— 藤本:積み上がっているスタックが全然違うんで。

— naoya:そうかあ、ここでJavaか、みたいな。

— 藤本:やっぱさぁ規模大きくなると、そうなっちゃう節はあるよねw

— naoya:けど、普通っぽいというのもそれはそれで、なんだか不安になる。もうすこし尖っていたい気もする。

— 藤本:個人的にはね、Goが結構気に入ってて。

— naoya:Goは正直書いてて思ったけど、いい言語だけど、中年向け言語なんですよ。

— 藤本:中年言語!w

— naoya:間違いなく。覚えることが少なくて速くて、コードスタイルにもブレがない。並行処理も複雑性を抑えて書ける。しかもあまり意識しなくてもポータブル。システムに近いところが得意。これはね、ベテランが好きな言語なんですよ。自由度が割と少なくて。

— 藤本:まあまあまあまあ。

— naoya:シンプルな概念だけでとどめているから。複雑な世界に疲れたエンジニアのための癒し系言語です。

— 藤本:しかし、CTOとは?みたいな話に戻りますけど、一事が万事こうなんでしょうね。CTOとして、これやってよかったとか、俺スゲェとか、特に思い浮かばないんで。

— naoya:ありますってw ひとつは採用でしょ。もうひとつは、そうして集めた人たちが自由というか、さっきのすごいカオスなんだけど、その分やれることが多い環境を作ったってことで。

— 藤本:まあ、そうはいっても全部が全部カオスでいいわけじゃなくて、一定のところは分けていかなくちゃいけないんだけど。情報の共有もしかり。

— naoya:僕がすごい面白くて勉強になったのは、CTOとかマネージャーをやってると、いかに物事を秩序立てて明確にしていくかってことに頭がいきがちなんだけど、あいまいにした方が上手くいくことも世の中にはあるんだなって。

— 藤本:誉めてねぇー!w

— naoya:めっちゃ誉めてますよ!w 最近知り合いのエンジニアと話してたのは、いわゆるチケットってあるじゃないですか。あれって明確にすればするほど、エンジニアって機械的に動けばいい存在になっていく。こういう要件で、こういう期日までに、こういう優先度で、こういう仕様で、こういう風に作ってくださいって。そこまで行ったら手を動かすだけじゃないですか。だからあれがあいまいであればあるほど、自由度も高まると。エンジニアの世界でチケットを切って、確認してやっていくのがよいとされている側面もありますけど、必ずしも正しくはなくて、その意味ではさっき言ったカオスの話と共通していて。

— 藤本:まあ、そのさじ加減はねぇ。

— naoya:そのさじ加減をどこに置くかっていうのが、非常に難しい問題だから、世の中の人たちは考えたくなくて、チケット切りゃいいじゃんとか、あるいは全然やらなきゃいいじゃんとか、マネジメントするかしないか、どっちかに振れるんだけど、中間くらいにやっぱりいい塩梅のバランスがあって、それがカオスとそうでないものの成立するポイントで。『グリー』に関しては若干カオスに振れてたけど。そういうマネジメントスタイルを、意識的にか意識せずにか、やってるのか藤本さんですねっていう。

— 藤本:でも結局、数年前の自分には反省点がすごいあるし、あれこれ見えてなかったよねっていうのも思ったりするじゃないですか。ていうことを数年後の自分が、順当に成長してればまた思うわけで。

— naoya:こういう話をして、20代後半から30代前半くらいの人たちに伝わるんすかね?

— 藤本:わかんない!w

— naoya:僕らって、そういう先輩がいない中でやってきたけど、彼らは先輩がいることで加速するのかな。

— 藤本:加速してほしいとは思いますけどね。

— naoya:という、何となく教訓めいた話になったところで、今回はお開きにしましょうか。藤本さん、今日はありがとうございました。


藤本さんがCTOを務めるグリーでは、【Nativeゲーム】プロダクト開発エンジニアの採用を行っています。新たなヒットタイトルの開発に挑んでみたいという方はぜひ求人情報もチェックしてみてください。

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取材協力

鮨心(すししん)
〒106-0047 東京都港区南麻布4-12-4 プラチナコート広尾 1F
TEL:03-3280-3454

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インタビュアー紹介

伊藤直也

ニフティ、はてな取締役CTO、グリー統括部長を経て2013年9月よりKaizen Platform, Inc. 技術顧問。ブログやソーシャルブックマークなど10年間、ソーシャルメディアの開発と運営に携わる。著書に『入門Chef Solo』(達人出版会)『サーバ/インフラを支える技術』『大規模サービス技術入門』『Chef実践入門』 (技術評論社) など多数。

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