この企画は、Web業界で名を馳せる伊藤直也氏と注目企業のCTOが、

寿司を摘まみつつホンネで語り合う、かつて無かったインタビュー企画である。

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苦労の先に掴んだものとは?メルカリ技術トップが

20代の日々を赤裸々に語る【前編】[ #naoya_sushi ]

Twitterでハッシュタグ「#naoya_sushi」が生まれてしまうほど、無類の寿司好きとして知られる伊藤直也氏(@naoya_ito)。そんな伊藤氏をホスト役とし、トップエンジニアをゲストに招いて、寿司をつまみつつホンネで語ってもらおうという、この企画。

第五回のゲストは、弱冠29歳にして2015年5月から『株式会社メルカリ』の執行役員として技術領域のトップに就任した、柄沢聡太郎氏(@sotarok)。新卒で『グリー株式会社』に入社し、その約1年後には『株式会社クロコス』での起業を果たし、社会人2年目にしてCTOを務め、その後『ヤフー株式会社』に買収され、現在に至る――と華麗かつ怒涛のキャリアを歩む柄沢氏の軌跡から、これからCTOを目指す若手エンジニアの指標を導き出せるか、乞うご期待!

▲お寿司大好きというsotarokさんに満足いただけるよう、本日も新鮮なネタをたっぷりご用意。

実はsotarokがnaoyaの先輩?同僚であった事実が発覚!

— 伊藤直也(以下「naoya」):とりあえず乾杯しましょうかね。

— 柄沢聡太郎(以下「sotarok」):お招きいただき、ありがとうございます!お疲れ様です!

— naoya:最近、CTO議論が盛り上がっているけれど、「CTOになりたい!」「CTOにならなくては!」と思っても、いきなり取り組むには、組織改善や、技術的な戦略の描き方だったり、「やっぱり自分とは遠い世界だな」…って思われてしまうことも多々ある気がして、そこで今回は聡太郎君にご登場いただいたわけなんだけど、あなたは新卒ペーペー時代から…

— sotarok:ペーペーってw

— naoya:いや、まぁ、ともかく新卒1年目からエンジニアとして経験を積む中でCTOになったわけじゃないですか。だから、多分、これまでどんな経験をしてきたか、転機になったようなエピソードとか、そういうことを語ってもらったら、聡太郎君と同年代の若い方々にもCTOというキャリアがあり得るってことを思ってもらうきっかけになれば良いかなと思ったりしてます。

— sotarok:なるほど。

— naoya:とりあえず僕たちの関係性をおさらいしておくと、僕ら、もともと『グリー』時代の同僚で、入社のタイミングでいうと、僕の方が3ヶ月くらい後なんだよね。

— sotarok:そうでしたね。僕は新卒で『グリー』に入社してましたからね。

— naoya:年齢的には僕の方がずっと上なんだけど、『グリー』歴では聡太郎君の方が少し先輩ってことになるね。ところで、『グリー』に入る前から色々やってたんだよね?

— sotarok:学生時代から好き勝手やってましたね。ブログ書いたり、勉強会やカンファレンスで発表したり、サービス作ったりいろいろやってましたね。きっかけは、アルバイトとか学校の授業とかでプログラミングをやり始めたことが発端でしたけどね。

— naoya:技術本とかも出してなかったっけ?

— sotarok:そうですね。「パーフェクトPHP」っていう本を出版させてもらいましたけど、実際出版されたのは、『グリー』入社後の秋頃でした。結構時間かかったんですよ。2年くらい?ダラダラしてましたねw それで、おい、いつできんだよ!ってプッシュされて本腰入れてから5ヶ月くらいで書き上げた感じ。あんま褒められたことじゃないけど、修士論文よりも「パーフェクトPHP」のほうが圧倒的にページ数が多いという…

— naoya:はは。でも PHP本に2年もかけてちゃダメじゃない? 鮮度落ちちゃうじゃんw

— sotarok:確かにw でも、そもそも「パーフェクトPHP」のコンセプトは、特定のフレームワークとか、流行りモノを、あまり取り扱わずに、長く読み継がれて現場で使える本として出版しようというものがあったんですよ。もちろん、バージョンの違いとかはありますけど、新たに追加されたり強化されたりした機能を気にしなければ、本質的な部分を学ぶのであれば今でも十分使い物になる内容だと思いますよ。

— naoya:なるほどね。それぐらいPHPに詳しかったことが、『グリー』入社のきっかけにもなってたりする?

— sotarok:なってますね。

— naoya:あとEthna (*この対談にも登場したことがある『グリー』の藤本真樹さんが手掛けた、OSSのWebフレームワーク) の開発にも学生時代から携わってたんだよね?

— sotarok:携わってました。修士の1年の就活はじめるくらいの時期に自分もそろそろ考えないとなーって時に、Ethnaのメンテナンスをしていた『グリー』の伝説的なエンジニアがいて。その方とは僕、コミュニケーションとりやすかったんで、『グリー』の話聞かせてよってお茶したのが、『グリー』を受けたきっかけですかね。一応、『グーグル』もエントリーしたんですけど…

— naoya:落ちたの?

— sotarok:はいw

— naoya:あと、他にも学生エンジニア集団でいろいろやってたよね?

— sotarok:そうですね。学生時代にいろんな勉強会とかに足を運ぶようになった頃、周りはほとんど社会人だったんですよ。同い年くらいで同じことに興味がある仲間が欲しいなって思うようになって、それでブログとかで年齢や志向が近い人たちに声をかけて、一緒になんかやろうよっ!って。それでできたのが『nequal(エヌイコール)』っていう集まりなんです。若いエンジニア集団で、いろいろ遊んでたんですが、結局、それが『クロコス』の前身になっていくんですけどね。

— naoya:そういう背景を持ってたからかね、新卒の社員だったんだけど、エンジニア的には、まあまあ知られている存在ではあったよね。僕も入社して最初に会ったときに「この人が聡太郎君か」と思ったもん。

— sotarok:そうだったんですか!

— naoya:ちょっと目立った新卒一年目だったよね。

— sotarok:


▲本日は、ホタテの串焼きからスタート。その後には、3日間熟成されたイサキが用意されています。

生意気だった『グリー』時代。

naoyaが作ったプロダクトに文句を言っていた過去も?

— naoya:『グリー』には2年弱くらいいたんだっけ?それで『クロコス』っていう会社のCTOになったんだよね。そこだけ聞くと特別な人感がすごい出ちゃうけど、まあ当時は世の中のことあんまり知らなかったようだし、あと生意気だったw

— sotarok:僕、naoyaさんとそんなに喋ってないですよね?w

— naoya:いや、あのね…ちょっと喋るだけで、なかなか生意気だなって思ったからw 良い意味だけどね。僕のチームがつくったプロダクトとかに、いきなりドカドカ乗り込んできて、「これ全然イケてなくないですかぁ~?」とか直球で言うんだもん。なんだなんだ、みたいな。で、「おまえ、文句ばっか言うなぁw」って冗談で言ったら、「文句じゃねぇよ!フィードバックだよっ!」ってキレてて、あー、なんか若いなぁ、みたいな印象を持ちました。

— sotarok:いやぁ~なんか、すいませんw

— naoya:正論を言えば物事がよくなるって思ってるんだなぁって。

— sotarok:そういう時期でしたね。当時、ホント生意気だったと思いますw

— naoya:今となっては釈迦に説法ですけど、まぁ、会社ってところは、たくさん人がいるわけだし、システムも結構古くから作られているものもあったりするから、ふつうは色々なしがらみがあるわけなんですよ。でも、聡太郎君は新卒だからしがらみとか過去の経緯とか、一切関係なく「このロジックじゃダメでしょ!」って正論を振りかざしてたよねw

— sotarok:そうでしたね。要するに、多分、気を遣わないんですよねw 気を遣うっていうことがどういうことかわかんないから。だって正しいじゃん!俺の方が!ってのがあったから。だから物事の進め方がすごく粗くて…

— naoya:それそれ。その辺が新卒社員っぽいなぁってとこでした。

— sotarok:今はもう自覚してますんで…よくあれで大丈夫だったなぁってw

— naoya:でも、1年半くらい『グリー』にいる間に、結構重要な新規立ち上げのゲームのプロジェクト任されていたよね?

— sotarok:そうですね。『グリー』で使われていた基幹ライブラリみたいなのを新しく作るプロジェクトも同時に進めてて。

— naoya:会社の特徴でもあるんだけど、いきなりそんな大事業に新卒アサインするんだ、みたいな。ぼーんっと放り込まれて、現場で四苦八苦しながらもなんとかとりまとめて、それでプロジェクトから戻ってきたと思ったら、「僕、辞めます」だったよねw だから『グリー』時代は正直、接点なかったよね。

— sotarok:僕からしたら、naoyaさんって雲の上の人感半端なかったですから。当時から超有名だし話しかけづらい恐れ多い雰囲気でした。「パーフェクトPHP」も献本しに行ったけど、全然興味なさそうでしたよねw

— naoya:そうだったっけ?w


▲コチはポン酢で。生のトリガイ・青柳は酢味噌でいただきます。

学生時代に立ち上げた集団が投資家と出会い、瞬く間に…

— sotarok:あの頃、実は結構、確信犯的なところもあって、一年目の今だから、少々生意気なこと言っても許されるんじゃね?みたいなのがありましたw

— naoya:会社のカルチャーも年功序列の真逆で、若いうちからどんどん意見出してねっていう雰囲気だったからね。それにしても、あの時、重要なプロジェクトを終えて、どうして辞めるってことになったの?

— sotarok:今は『ヤフー』の執行役員ですけど、当時は『楽天』の顧問やりながら個人投資をやっていた、小澤隆生さんとの出会いが大きかったですね。彼の掌の上で踊らされちゃったのかなと。もちろん、いい意味でですけどw 当時、『nanapi』という会社の古川社長と仲がよかったんですけど、『nequal』で活動してたときにたまたまつくった『リルム』っていうWebサービスが、いいね!って評価してもらえたんですよ。で、小澤さんっていう人を紹介するよって言われ、何も知らずに会いに行って、僕らこんなことやってんですよって自己紹介したしたりして、2、3回会ってるうちに、起業することになっちゃったって感じなんですよね。

— naoya:乗せられちゃった感あるねぇーw

— sotarok:しかも小澤さんのうまいところは、最初はぜんぜん起業なんてことは言わないんですよ。何か自分たちで新しいことをやりたいって思ったら、「会社なんか作る必要ないじゃん」ていう、彼の本心だとは思うんですけど、そういう話から入ってきて、「会社人でありながら、なにかをつくりはじめて、伸びてきたから辞めるみたいな、そういうことをやればリスク最少で好きなことできるっしょ!」みたいな。っんで、じゃあ、僕らもそういう風にやろうかってなってきたときに、小澤さんから「世の中の仕組みを教えてやる」って言われて、株の仕組みとかお金の稼ぎ方とか…その中に起業の話もあって。

— naoya:株式会社の仕組みとか、全然知らなかったんでしょ?

— sotarok:なんにも知りませんでしたw 起業して売却するとかIPOするとか、そのプロセスはどういうものなのかとかは全く知らなかったですね。会社を作る気もなかったんで。

— naoya:そうだったんだね。たまたま辞めるって話を会社の中で聞いたんだけど。で、どうすんの?って聞いたら友達何人かと起業するって……あぁCTOになるんだなって勝手に思ってたけどね。

— sotarok:『nequal』ってみんなフラットだったんですけど、その中でなんとはなしに代表っぽい感じではあったので。

— naoya:その話を聞いて、なんかぜんぜん分からないのに起業って、大丈夫?って、思ったんだけど…よくよく考えたら、僕自身もそうだったなってw 先輩風吹かせて、CTOとかそんな簡単じゃないぞって説教でもしようかなって思ったんですけど、そういえば俺も新卒で入った会社すぐ辞めてCTOになってたから、何もいえなかったという。まあ、そんなもんだよねw


▲サザエの殻の中には「にゅうめん」が。出汁を愉しんでいただきます。

意識の問題ではなく仕組みを変えるべし!と気付いた『グリー』時代

— naoya:『クロコス』は最初は何人でやったの?

— sotarok:エンジニアと岡元社長と小澤さんの7人です。でも『nequal』のメンバーだから、1年くらいはマネジメントとかってなんにもいらなかったんですよ。それぞれ担当するプロダクトをひたすら作ってただけなんで。そう思うと、自分一人の力じゃどうにもできないって壁に最初にぶち当たったのは、『グリー』の最後の頃かなぁ…

— naoya:あっ、壁に当たったのって、むしろ起業してからじゃなくて、そっちだったんだ?

— sotarok:そうですね。それと『クロコス』が買収される直前くらいの頃と買収後に『ヤフー』に入ってからと。

— naoya:じゃあ、『クロコス』立ち上げて買収されるまでは、あんまり挫折とかなかったんだ?

— sotarok:あまりなかったですね。学生時代から仲が良くって、ずっと一緒にやってたメンバーでしたから。ただ起業して技術トップということで責任感は強くありましたけどね。土日どこいっても常にPCとネットワークを持って出て、アラート鳴ったら対応して、最後は自分が見なきゃいけないっていう責任感はありました。

— naoya:じゃあ『グリー』ではどんなことが大変だったの?

— sotarok:短い期間でしたけど結構鍛えられたと思いますよ。当時僕はインフラチームから派遣されて、新規のゲームの立ち上げでフレームワーク作ったりするソフトウェアインフラを担当していたんですね。同時にSubversionからGitの移行作業も回して、あと、PHPの4から5への移行作業も先輩と一緒に携わっていましたからね。

— naoya:当時、『GREE』がPHPのバージョン4っていう古い環境で作られていて、その頃既にサーバが何千台規模であったから、それを全部最新のバージョン5に切り替えないと、最新の機能が使えないっていう事態を迎えてたもんね。1年がかりぐらいでやるんだけど、特にゲーム作っているチームは売上達成が最大のミッションだから、PHPのバージョンアップを優先することは難しいんだよね。やってくださいって言っても、なかなか手が回らなくて。それをなんとかみんなにやってもらう舵取りは必要だから、すごい大変だったんだろうなーって想像つく。

— sotarok:そうですね。技術的にというか、エンジニアとしてみれば、当然やんなきゃいけないことなんですよ。でも、それぞれの事情があって、手を付けられる時期がそれぞれ違ってきてしまい……それをみんなにやってもらうというか、相手にこっちのやっていきたい方向を明示して、納得してもらい、その分のリソースを割いてもらうっていうプロセスを経験するのは初めてのことだったので…

— naoya:確かになー。新卒でそれやるって、結構ハードだよね。

— sotarok:周りはみんな先輩ですし、プロデューサーもエンジニアですから、機能やイベントの開発が優先度高くて、なかなかスケジュールたてられなくて。そのイベントで大きな利益が生まれる可能性もありますから、そう言われるとどうしようもない感もあって。

— naoya:そうだよね。

— sotarok:あと、SubversionからGitの移行に関しても、1回僕の中で挫折を経験したことで、新しい考え方に辿り着いたこともあって。

— naoya:そうなの?

— sotarok:『GREE』って当時、1日1回の定期リリースがあって、昼ごろにリリースオープンしてたじゃないですか。1日分の変更箇所が全部リリース準備状態になるんです。その変更箇所を担当者がテストを終えてOKを出さないと、全体のリリースが終わらないという状況で、その仕組みが、エンジニアの人数もチームも急激に増えたので、かなり運用が難しくなってたんです。昼の12時に開いたリリースが終わるのが、夜までかかったりとか。

— naoya:エンジニアがものすごい勢いで変更加えてたしね。 サーバも無茶苦茶いっぱいあるから、勝手にみんながリリースしちゃうと、それはそれで収拾つかないんで、とりあえず1日1回みんなでまとめてやろうっていう仕組みがあったんだよね。そこまではよかったんだけど、急激に人が増えたために、リリースの確認作業も膨大になり、なんか1日で終わらないみたいなことになってしまい…

— sotarok:しかもリリース確認しなきゃいけない人が20時まで会議でスケジュール埋まってたりして。

— naoya:それ、俺だw

— sotarok:

— naoya:ごめんごめん。そういえば会議室にエンジニアがよくきてた。naoyaさん、確認まだですかってw

— sotarok:そのあたりのコントロールを僕がいたインフラチームのメンバーが担当してましたから、承認出してないチームのとこまで足を運んで、これOK出してください!テストしてください!って、確認してくれないチームの責任者の横に座って、「まだすか?まだすか?」って呪文を唱えてましたねw そのプレッシャーをかけに行くって言う仕事を、最初はそういうものだと思ってやっていたんです。現状の仕組みの中で、みんなが早めにOKを出せるように意識を変えていくにはどうしたらいいんだ?って。でも、あるとき、これは意識の問題ではなく、この仕組みを変えないと根本的に変わらんということに気付いたんですよね。この体験が、今につながる思考の変え方の最初の瞬間だったと思います。そこから、この仕組みじゃダメなんだということを前提条件に、じゃあ何がダメなのかを掘り下げていって、同じリポジトリでみんなが一斉にやっていくというのがダメなんだろうなと思って、サービスごとにGitのリポジトリを持って、サービスごとにリリースできるというフローを整えようと考え始め、そこからは自分の参加してた新規プロダクトで新しい開発フローも試してみて、固まってきたものをエンジニア向けにGit勉強会とかも開いて、みんなに周知徹底を図って、移行フローのドキュメントをつくっていきましたね。

— naoya:そんなことやってたんだねえ。

— sotarok:そうなんですよ。あと、同時に新規プロダクトづくりの方にもアサインされていたことで、移行をやってくれと言う側だけでなく、言われる側も体験できたことが、自分の中ではすごく財産になっていますね。物事を変えていくときには、両方の立場に立って意思決定して一緒に進めていくとうまく進むんだなってことを実体験できたのは、大きかったと思います。

— naoya:おお、成長しているではないですか。


▲アジのガリ巻、タコの桜煮、水ナスをいただきます。

仲良し5人組のベンチャーが、買収される――その真意はいかに?

— naoya:俺はてっきり、『クロコス』としてスタートして、成功も挫折も体験して、そこではじめて開花していったのかなって思ってました。案外、『グリー』時代の経験が大きな影響を及ぼしてたんだね。

— sotarok:そうですね。人がものすごく増えるタイミングの中、既存の仕組みが上手くいかなくなっていくプロセスや、やってくれって言う側と言われる側の立場、両方を経験したのは、今の自分をつくる原体験になってますね。

— naoya:そうか、『クロコス』は仲の良いメンバーとやってくって感じだったんだろうから、CTOとして気負わずにやってけたんだね。小さい規模で立ち上げ時期っていう要因もあっただろうね。

— sotarok:初めて出会った5人のエンジニアが起業したっていうわけじゃないですからね。『nequal』で、3~4年付き合いがあって、お互いのことをよく知ってる仲間だったので。一緒にビジネスするっていうのは初めてでしたけれど。

— naoya:買収されるまでは同じメンバーでずっとやってたんだよね。新しい人が入ってきて、情報の格差ができたりとか、カルチャー違う人がやってきたとか、そういう局面を『クロコス』では体験してこなかったんだもんね。

— sotarok:そうです。それも大きいでしょうね。僕も『グリー』時代にエンジニアが急激に増えたときの環境の変化を体感できたのは、今思うと貴重だったと思います。ひとつ例えて言うなら、その組織の中の「普通」が変わる瞬間っていうのが訪れたりするんだってこととか。良い悪いのラインが人によって違ってきてしまうので。

— naoya:そうなんだよね。じゃあ次の正念場は、『クロコス』の買収劇の前後?

— sotarok:買収されてからって感じですね。人が増えていき、開発チーム以外の部署ができたりとか、親会社とのやりとりが発生したりとか、いろんなことが起こり始めて…

— naoya:仲良し5人組のベンチャーが、突然、日本でも最大級のWeb系IT大企業に取り込まれ、さあ果たして!って感じなのかな。でもその前に、ちょっと個人的に訊いておきたいことがあって。

— sotarok:なんですか?

— naoya:会社が買収されるときの気持ちって、どうゆう感じなの?

— sotarok:いやぁ、さすがに買収を考えているって最初聞いた時は早すぎじゃない?ってなりましたけどねw まだ自分たちでやっていきたい、というか。

— naoya:でも当然、その時『クロコス』が持っていた仲良しな雰囲気だとか、好き勝手に開発できるっていうカルチャーには、相当制約がかかるだろうなって想像できるじゃない?

— sotarok:想像はしてましたけど、『ヤフー』も経営陣の総入れ替えするタイミングで、お会いした川邊さんという人がかなり面白い方だったりして、こういう人たちがトップを張っていくんだったら、面白い会社になっていくのかなぁっていう期待感もあったんですよ。

— naoya:そういうタイミングや状況、人との出会いがなければ、もしかして難しかった?

— sotarok:そうかもしれないですね。


▲平貝の磯辺焼きを、アツアツのうちにいただきます。

黒子に扮して『ヤフー』に突入!

エンジニアと営業の見る方向が違う問題に悩まされる?

— naoya:ところでさ、買収されると、この日から『ヤフー』オフィスへ出勤してください、とかそんな風になっちゃうの?

— sotarok:そうです。それまで小澤さんの自宅の地下室に篭って開発していたので、突然ミッドタウンですよ!初日は黒子や忍者の衣装着て、黒ずくめになって、ゾロゾロとオフィスに入っていきましたw

— naoya:w それは、なに?自分たちのこと知ってもらおうと思って?

— sotarok:『クロコス』だけにねw

— naoya:いや、わかるけどねw それでも、みんなから特異な目で見られて痛い感じ?

— sotarok:みなさん温かくて、拍手で迎えてくれましたw

— naoya:そりゃ良かったね。俺には、そうゆう度胸はないw

— sotarok:それまで地下室で仕事してたって言ったじゃないですか、だから、仕事の終わりの方になると夕陽が見えることに感動し、みんな「このオフィスは夕陽が拝めるぞ!」ってなってましたねw

— naoya:地下室でずっと開発行ってたら、気が滅入るような……それで、最終的には『ヤフー』でどういうポジションだったの?

— sotarok:最初はずっと子会社のままやってたんですよ。最終的には社員も30人くらいまでいったかな。で、買収されて2年目のタイミングで吸収合併しますってなって、『クロコス』の開発部門はそのまま新しい部となって、そこの部長になった感じです。ソーシャルマーケティング開発部長ですね。

— naoya:『クロコス』に人が増えていくのも『ヤフー』に吸収合併されたタイミング?

— sotarok:吸収合併より以前からですが、買収されてから徐々に増えてった感じですね。『クロコス』が子会社として独自に採用もしてたし、ジョブチェンジ制度を使って『ヤフー』から『クロコス』に出向したいっていうエンジニアもいて増えていった感じかな。

— naoya:それで、ここで2回目の壁にぶち当たったと。

— sotarok:うーん、この頃は。やっぱり、違うんですよね。それまで5人でやってた時と、環境も、仕事の進め方も…

— naoya:それはそうでしょう。それは買収前にも想像はしてたでしょ?

— sotarok:せっかくこんな立派な企業に買収してもらって、潤沢なリソースがある環境を手に入れたんだから、一緒に何かを成し遂げて成果を出したい!って意気込んでて。でも、結構四苦八苦して、なかなかうまくいかないことも多くて、何をやっても売れなかったりとか、そういう悶々とした期間が1年くらいあって。

— naoya:買収されたから『ヤフー』にとっての価値を出さなきゃいけないっていうフェーズに入ったってことだね。

— sotarok:そうなんですよね。でも強いられていたわけじゃなく、自然とそう思うんですよね。自分たちが入ったおかげで、『ヤフー』の新しい商品ができたとか、売上を上げる新しいきっかけとなったとか、そういう風になりたいなって。でも、全然うまくいかなかった。あの頃は自分が開発者っていうよりは、経営者の一人として『ヤフー』と一緒にどうやっていけばいいんだろうとか、どうやったらうまいプロジェクトをカタチにできるのかとか、そういうことで気を揉んでましたね。あと、『クロコス』の中に営業部門を立ち上げたりとか。でもそうすることで、営業チームと開発チームのアレとか…

— naoya:アレかぁーw 典型的なエンジニアと営業の考えが違う問題ですね。ようやくCTOらしい仕事をしなければいけなくなってきたんだね。

— sotarok:プロダクトとしては、できればこれはやりたくない、ってことと、売るためには、みたいなところと…

— naoya:「この機能つけたら契約くれるって言われたんですけど」とかね。それで、いくら?って聞いたら結構な規模の契約だったりして。えっ?どうする?つくる?やめとく?つくる?でもこれプロダクト的にやっていいんだっけ?でもこの金額だよ?

— sotarok:そういうやつですw それで結局案件進めて、担当するエンジニアのリソースが不足してピンチ!とか。

— naoya:そういうとき、CTO的にどう対処してたの?

— sotarok:まず問題があって、案件が立ち上がる時、誰が誰に相談をして、誰がどう決定をしたのか、何の情報も残ってなかったんですよ。

— naoya:わー、そうなんだ。

— sotarok:いつの間にかやることになってたっていう状況。最初はわりとありました。

— naoya:ホント、あるあるの状況に突入していったんだね。

— sotarok:そうなんです。で、その辺の情報整理をどうしようかってなって、案件相談シートと案件進め方のフローを作ったりして、エンジニアと営業の情報共有の機会を設けようと。で、その案件専用の機能ではなくて、他の案件でも使える機能を作るとか、プロダクトの成長に役立つものを作ろうと、営業さんとエンジニア両方の目線で一緒に考えたり。この辺からですね、CTOっぽい仕事をやり始めたのは。

— naoya:案件シートを作ったとか、交通整理していくとかを聞くと、果たしてそれがCTOかって言われると、他の会社だとディレクターとかプロダクトマネージャとかがやっている場合もあるけれどね。一番重要なのは、会社の中に対してエンジニアやプロダクトを作るサイドの価値観とかを、しっかり伝えて共感してもらい、協創していこうという文化を根付かせようとしたことが、大きいんだろうね。

— sotarok:ですねー。あと、当時は営業と開発しかいない構造だったので、その間を埋める役割を誰がやるか問題はあったんですね。それで、自分がやるよと。会社に足りない部分は俺が埋めていくよ、と。

— naoya:最近よく思うんだけど、営業とエンジニアのギャップを失くす存在って大事だと思うんだけど、それを埋めるCTOなりプロダクトマネージャ(PM)なりが、意外と世の中にはいないという事実に触れる機会が多くてさ。もっとコード書きたいのにって思いながら要件を聞いて仕様書つくってたりするエンジニアの苦悩が増えていく感じで、そういうのをどうやって解決したらいいですかって相談をよく受けるんだけどね。それで PM採用すればいいんですよって答えると、PMってなんですか?”プロジェクト”マネージャーですか?って言われることも多くって。

— sotarok:そうなんですね。

— naoya:エンジニアに主体性を持たせたいというので、あえてPMを置かない会社もあるけどね。でもやっぱり、ものをつくることだけでは解決できない領域もあって、『クロコス』の場合、エンジニアたちがはじめた会社だから、そういうことを考えてくれる人が周囲にいなかったっていうのは一つの壁だったかもね。

— sotarok:そうですねー。色々と悩まされてましたね、良い経験でしたけど。


▲アイナメの金箔&トリュフのせ。「今日一番のヒット!」とnaoyaさんも絶賛。
思わずお二人とも携帯を取り出して、写メを撮っておりました。

次回予告

naoya氏の予想とは裏腹に、実は新卒で入社した『グリー』時代の経験が、今の自分を形成していると熱く語ってくれたsotarok氏。後編では、そんなsotarok氏がなぜメルカリにジョインしたのか、そしてマネジメントとしてnaoya氏もsotarok氏も重要だと語る「1on1」の極意について、たっぷりと議論!今の『メルカリ』を、さらにどう進化させていくのか――求められている役割を赤裸々に語っていただきました。一週間後の公開をお楽しみに!

⇒⇒⇒【後編】の記事が公開されました!

柄沢さんが技術領域のトップを務めるメルカリでは、エンジニアの採用を行っています。日本最大級のフリマアプリを手がけてみたいという方は、ぜひ求人情報もチェックしてみてください。

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取材協力

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〒106-0047 東京都港区南麻布4-12-4 プラチナコート広尾 1F
TEL:03-3280-3454

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インタビュアー紹介

伊藤直也

ニフティ、はてな取締役CTO、グリー統括部長を経て2013年9月よりKaizen Platform, Inc. 技術顧問。ブログやソーシャルブックマークなど10年間、ソーシャルメディアの開発と運営に携わる。著書に『入門Chef Solo』(達人出版会)『サーバ/インフラを支える技術』『大規模サービス技術入門』『Chef実践入門』 (技術評論社) など多数。

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