「メイちゃんの執事」の主題歌で注目されたバンド、ロッカトレンチのボーカル山森大輔さん。
東京大学卒、司法試験合格というミュージシャンらしからぬ経歴を持つ彼が、
そのハードな道のりを乗り越えられた根本には、
男気に裏打ちされた決断があった。
テレビドラマ「メイちゃんの執事」の主題歌で注目を集めたロッカトレンチのボーカル、山森大輔さん。彼は東京大学法学部を卒業後、司法試験に合格したという異色の経歴を持つミュージシャンだ。生まれは沖縄だが小中学校時代の5年間、多感な時期をニューヨーク(NY)で暮らす。音楽と出会い、将来の夢を漠然と持ったのもこの頃だ。
「NYでテレビのMTVから流れるブルースやロック、特にエアロスミスのプロモーションビデオがカッコよくて、自分も絶対音楽をやりたいと思いました。でも将来の夢は違った。中学生の時、米国の親友が『お前は世の中にどんなインパクトを残す生き方をしたい?』と、僕が考えたこともないことを聞いてきて。最初言葉に詰まったけれど、じっくり考え、どうせなら人の役に立つ仕事をしたら、それがカッコいい、と。それなら医者か弁護士だと思ったが、血を見るのは苦手なので弁護士が残った(笑い)」
帰国後、高校ではバンド活動に打ち込みベースを担当する。大学進学を考えた時「どうせなら日本中の豪傑が集まる場所に」と、それまでろくに勉強をしたこともないのに東大受験を決めたというから驚く。しかし根っからの負けず嫌いと集中力で勉学に励み、東大法学部に合格。なのに大学時代は全く勉強をせずバンド活動にのめり込んだ。レゲエやスカなどの音楽活動をアンダーグラウンドで行い、なんとインディーズでアルバム15万枚を売り上げる伝説のバンドに成長。メンバーには後にロッカトレンチを共に起こす畠山拓也さんもいた。
「最初に誘われた時は、そのバンドはすでにボーカルやベースもいる大所帯で、僕は後ろで踊るしかない(笑い)。自分の居場所を作ろうとツインボーカルでないと成り立たない曲を猛烈に書きました。当時のスタンスは、自分がカッコいいと思うことを本気でやって最高に楽しめて、お客さんも喜んでくれればそれで良かった」
一時はプロも視野に入れたが、そこは東大。就職に向かってメンバーがバラバラになり、バンドは活動休止。そこで山森さんは初めて将来の身の振り方を真剣に考えた。
「音楽はやり尽くした感があったので、自分が最初に抱いた夢は何だっけ?と。青臭くともやはり人のためになる仕事をしようと、司法試験への挑戦を決意。でも大学時代は勉強をしていなくて法学部なのに六法の種類さえ分からない。ただ、当時はうぬぼれていたので1年ほど勉強すれば受かるとなめていました」。それが、度胸試しに受けた1回目の試験でその難しさに青ざめる。
「その頃、バンドをやっていた友人がメジャーデビューを果たし、テレビで彼らを目にした。すごくうれしいけど、悔しくて。自分が音楽をやっていない歯がゆさからテレビを見られなくなった。負けず嫌いなので一度決めたら後戻りできず、音楽に戻ることを考え始めたら心が折れてしまいそうで完全に音楽を遮断。コンポすら捨てた」
後戻りできないよう服装や髪形も完璧(かんぺき)なガリ勉スタイルにし、音楽とは関係のない人生に山森さんは本気で足を踏み出した。
やまもり・だいすけ 1978年沖縄県生まれ。バンド「ロッカトレンチ」のボーカリスト。小中学校時代の5年間をニューヨークで過ごした帰国子女。東京大学在学中に組んだバンド「SKA SKA CLUB」はインディーズでアルバム15万枚を売り上げる。活動休止後、元バンド仲間とロッカトレンチを結成。バンド名はボブ・マーリーの「トレンチタウンロック」に由来。今年3月にテレビドラマ「メイちゃんの執事」の主題歌「My SunShine」をリリース。
| 12 |




