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メカラボ

ものづくりエンジニア座談会

技術屋はつらいよ―ものづくりエンジニアの悲喜こもごもぶっちゃけ座談会

日本の産業を支える「ものづくりエンジニア」。技術の発展が目覚ましい変化の時代に、彼らは何に悩み、何に喜び働くのでしょうか。ある参加者の方は「転職を一日たりとも考えなかったことはなかった」と言いつつも、一方で「ずっとこの業界で働きたい」と言いました。そのつらさと楽しさはどこから? 「ものづくりエンジニア」の悲喜こもごもを本音で語っていただきました。

A田さん

年齢:44歳/勤務先:電気メーカー
私立大学物理学専攻卒。新卒で入社し、勤続17年。ソフトやハード、インフラなど、電気がかかわるものにトータルで携わる。

M村さん

年齢:42歳/勤務先:電子部品メーカー
公立大学精密機械工学部卒。新卒で入社し勤続17年。コネクタなどの電気部品を主に製造している。

F木さん

年齢:29歳/勤務先:ものづくり系ベンチャー
私立大学機械工学部卒。M村さんの会社に新卒で入社し、4年勤務の後ベンチャーに転職。最先端の素材と技術で、新しいものを作り出している。

ものづくりエンジニアの転職は「マイナススタート」を覚悟する

――皆さんが、ものづくりエンジニアになろうと思ったのはどうしてでしょうか?

【M村さん】世の中にはいろんな仕事があるけど、僕は「これを作っています」っていう確固たるものがある技術者って安定すると思ったんだよね。元々、高校と大学は金型の工場で働きながら通っていて、製造に携わっていたの。だから、就職は設計がやりたいなと思って。

【A田さん】僕は宇宙が好きで、天文学や宇宙工学が学べる大学を探して入ったんです。だから、就職は少しでもそういう道に近い職にと思って大手企業に入社したんですけど……。大きい会社だから、業績が悪化するとグループ内でシャッフルするんですよ。見事にそのあおりを食らってグループ会社に出向して、そのまま正式に移ることになりました。技術系ではあるけど、最初の夢とは程遠い場所って感じですね。

【M村さん】あるある。そもそも、ものづくりエンジニアが働く場所を変えるのは、やむを得ずという理由が多いよね。今の会社に17年間居るけど、前向きに転職したのってF木さんくらいだもん。

【F木さん】何と言ったら……(苦笑)。僕の場合は、新しいガジェットが好きで、それに万遍なくかかわりたいと思って就職先を決めました。そういう会社に居れば、誰よりも新しい情報が入ってくるので。M村さんの同僚として4年間過ごした後、「世の中にない新しいものをゼロから作りたい!」という思いが強くなってものづくり系のベンチャーに転職しました。

――F木さんは転職経験者ですが、ものづくりエンジニアで転職する人は多いのでしょうか?

【A田さん】人数で言えば結構いると思うけど、やりたいことがあって転職するのは珍しい。すごくいいよね。

【M村さん】そうだよね。今、技術系って仕事内容がすごく複雑で、しかも技術が進化するスピードも速い。だから、ものづくりは狭く深い世界になっていて、転職の選択肢があまりないんです。例えば、車を作っていたとしても、エンジン周り、シート周り、ボディの設計でかなり細分化されている。ボディの設計をやっていた人は、車を作る工程の中でボディの設計しかできないんですよ。だから転職を考えるとなると、どうしても競合他社になる。そうすると、同じようなものを作っているから、給料はあまり変わらない。プラス、人間関係もゼロからやり直しだから、そもそも転職のメリットが感じられないという……。

【A田さん】しかも、会社ごとに独自のルールや技術があるから、慣れるまでに最低2~3年はかかるんですよね。グループ会社に移ったケースでもそのくらいかかりました。

【F木さん】あと、ものづくり業界のエンジニアの転職のリスクといえば、転職したのにいきなり拠点が閉鎖するパターンもありますよね……。

【M村さん】転職しても数年は戦力にならないから、リストラのほかに、地方や海外転勤のターゲットにもなりやすい。

【A田さん】前向きにやりたいことがあって転職しても、ゼロではなくマイナススタートになりがちなことを覚悟しないといけない。

「職人仕事」からデータ主義へ。ものづくり業界の変化

――転職へのハードルがかなり高く感じられるのですが、A田さんとM村さんは転職したいと考えたことはありますか?

【M村さん】転職はね、一日たりともね……、「考えなかった」なんて日はない(笑)。あまりにハードワークなんで……。

【A田さん】分かるわ~! 今、ものづくりの業界は昔に比べて仕事量が半端なく増えていて、体力的に厳しいんですよね……。というのも、ものを作るのって、人が使うから安全じゃなきゃいけない。最近は安全に対する基準がどんどん厳しくなってきていて、昔みたいな「この辺はこんな感じでいいんじゃない?」っていう職人的な設計が通用しないんですよね。これは確実に大丈夫っていう証明が必要。でも、そういう資料やデータを作成する仕事も全部技術者の仕事になるんですよね。

【M村さん】僕は元々金型設計に7年いて、その後、製品設計、品質保証と異動をして、2年前に8年ぶりに金型設計に復帰したの。正直、8年前と比べて仕事量は3倍なんだけど、時代の変化が速いから納期は半分。体力的にもキツイから体を壊してしまう人もいるし、あとは管理職になって現場を離れた人もいるから、現場に戻ってみたら当時のエンジニアは誰もいなかった。

【A田さん】更に、僕らの仕事環境の問題点って、設計について何も知らないくせに管理するだけの上司が多いってこともあるよね(苦笑)。

【M村さん】スポーツの世界で、水泳のコーチでカナヅチなんてありえないのに(苦笑)。

転職にはリスクがつきもの。20代なら失敗してもいいやと思った

――F木さんは、転職にちゅうちょすることはなかったんでしょうか?

【F木さん】僕はベンチャーに絞って転職活動をしていたんですけど、ITのベンチャーはいっぱいあるのに、ものづくり系のベンチャーは企業の数自体が少ないので、選択肢がかなり限られているんです。それでも、「20代なら失敗してもいいや。そもそもベンチャーは、会社が存続するかも分からないし」と覚悟して飛び込みました。うまくいったらもうけもの、くらいの気持ちでしたね。

――ものづくり系ベンチャーに転職してみて、前の会社とどんな違いを感じていますか?

【F木さん】大企業の場合、一つのものを作るための承認を得るまでに多くのフローがあるんです。ベンチャーの場合は、新しいものをどんどん作っていくぞっていう勢いが勝負。アイデアを形にするのにとにかくがむしゃらで、毎日が学園祭のような盛り上がりがありますね。

やっぱり「設計の仕事してる」って言えたら、カッコいい

――ハードな環境の中でも、ものづくり業界に居続ける理由はどんなところにあるのでしょうか?

【M村さん】実は今日、ここに来る前に見た電車のつり革広告に異業種の求人が載っていて、給料が今の自分の仕事とほとんど同じだったの! 正直、今の自分の仕事量を考えたら、その広告の仕事のほうが多少は体が楽かなって思ったんだけどさ……。そこで頭によぎったのが、「どんなお仕事をされているんですか?」って聞かれた時に、「設計です」って答えたほうがカッコ良くない!? ってこと(笑)。

【F木さん】確かに、僕は今企画の仕事もしてますけど、職種を聞かれたら「製品設計」って言っちゃう(笑)。

【M村さん】食っていければいいとも思うけど、「技術屋」としてのプライドというか……。

【A田さん】言葉の響きは大きいよね。一目置かれる感じがあるし。でも、そう思うのは何だかんだ言いながら、自分が今までしてきた仕事に対する喜びや誇りがあるからこそなんですよね。まじめな話、どんなに大変でもお客さんに喜んでもらえたり、自分が思い描いた設計がそのとおりに動いた時の達成感があったりするから、続けられる。

【F木さん】ものづくりエンジニアにとって、自分の空想でしかなかったものが形として完成した時の喜びは大きいですよね。僕も、自分が作った部品が多くの人の手に渡るとある商品に使われた時は、感動して鳥肌が立ちました。

【M村さん】それと、うまく動かなかったものが試行錯誤の末にうまくいった時の高揚感は、ホント何にも代えがたいよね。その瞬間、技術屋なら分かると思うけど、絶対に脳から快楽物質が出てると思う(笑)。

【A田さん】余談だけど、カッコいいといえば職業柄、家電の配線とかPCの設定が難なくこなせるのは、プチモテ要素だよね。

【M村さん】でもエンジニアって好きなものに没頭する人が多いから、どうしても異性は後回しになりがち(笑)。

ものづくりエンジニアのキャリアアップは“広げること?” “尖ること?”

――今後も、ものづくりエンジニアとして働き続けていくために、どんなステップアップを思い描いていますか?

【A田さん】正直、エンジニアにとってのステップアップがどういうものなのか、その定義が分からないっていう気持ちがあるかな……。

【M村さん】僕は「ここが分からないんですが」って、後輩や同僚から言われた時に、すぐに意見できる立場になるのがステップアップかなって思ってるけどね。自分の場合、部署異動でものづくりの全体像を大体経験しているから、一連の流れが分かるようになったのは大きいなと。

【A田さん】僕も広く浅く見たいからそういう道を歩んできたけど、技術者として本当のエキスパートって「それしかできない」人なのかなって思うこともあるんですよね。でも、それも一長一短ですよね。突き詰めている分、ほかのことは何もできないからつぶしが利かないし……。

【F木さん】技術者である以上、一つのことを突き詰めるのは理想形ですよね。

【M村さん】富士山みたいに、すそ野は結構広く浅く持って、そのうえで何か一つ突き出るとか?

【A田さん】あーなるほど。エキスパートになるには、自分の技術を積み上げていく必要があるけど、土台が広がらないと高い山はできない。そう考えると、それなりにほかのことも知らないといけないのかも。

――ちなみに、未経験でものづくりエンジニアを目指す場合、どんなスキルが必要だと思いますか?

【F木さん】うーん……。ものづくりエンジニアの場合、どこでも通用する「ポータブルスキル」のような共通項がないですよね。

【A田さん】技術のスキルというよりも、コミュニケーション能力が重要になってくるのかも。

【M村さん】エンジニアは一個のことを突き詰めるタイプが多いから、分からないことがあると、一人で悩んじゃう人が多い。その点で言えば、文系でも営業経験者だったりすれば、人間関係を築くのがうまいから、「ちょっとこれ教えてよ、後でおごるからさ」なんて、人にどんどん教えてもらうことで、新しい知識を身に付けていくのが早いと思うんだよね。

【F木さん】自分の会社には元々エンジニアがバックグラウンドじゃない人もいるんですけど、そういう人はプロジェクトマネジメント能力とかが求められていますね。やっぱり、別の職種を経験している人は、コミュニケーション能力が大きな強みになっていると思います。

【M村さん】僕が思うに、一番活躍しているパターンって理系の営業なんですよ。設計ができなくても理系の知識があるから、お客さんの求めている内容に対して、今ある技術で何ができるのかが分かって、説明できる。本当の意味でのセールスエンジニアになれるよね。

【A田さん】製品の納期が短くなる一方、安全に関する検証が膨大になってエンジニアの仕事量が増えているって話がさっきも出たけど、そういう流れのなかで、お客さんにきちんと説明できるスキルのある営業がいたら、エンジニアは製作に集中できるから、すごく仕事が進めやすくなるよね。もちろん何かを作るには技術も必要だけど、人と人をつなげられる人の存在は大きいし、そういった人材は貴重な資源だと思う。

技術屋は、名前じゃなくてモノを残すのが仕事

――未経験でも、コミュニケーション能力を武器にできるということですね。皆さんはこれからものづくり業界でどう働いていきたいですか?

【F木さん】大変なことも多いですけど、「ものづくり」に携われることで得られる感動はひとしおです。今はベンチャーにいるので、アイデアを遠慮なくぶつけて、新しいものを作り出したいですね。

【A田さん】技術屋は、自分の名前ではなくモノを残すのが仕事だしね。ただ、作ったものに何か不具合があったら、悪者になってしまう可能性もある。その責任感は常に持っていないといけない。コツコツと誠実に仕事に取り組まないと、とはいつも思いますね。

【M村さん】日本のものづくり業界って今、厳しい状況なんですよ。国内だけでなく、海外との競争も激しい。だけど、自分が考えた設計がうまく機能したり、お客さんに喜んでもらえたり、ものづくりには楽しいこともたくさんある。僕は自分が技術者として働いてきて、この先もずっとこの業界に身を置くつもりなので、新しく業界に入ってくる人が働きやすいようにしていきたいって思います。それで日本の「ものづくり」が盛り上がって、さらには日本経済が活性化すればうれしいですね。日本の資源は何よりも人材ですから。

◎文・構成/南澤悠佳(ノオト)

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