「社風が合わない」が転職理由に……？　自分に合う社風の企業の見つけ方

「社風が合わないので、転職してもいいですか？」にプロが答えます

仕事内容や労働時間、収入は悪くないのにどうしても社風が自分と合わない……。そんな時、社風を転職理由にしても良いのでしょうか？　キャリアカウンセラーの中谷充宏さんに聞いてみました。

「社風が合わない」は転職理由になる？　中谷さんの答え

すぐにでも転職して良い場合もある。ただし、見極めは必要

仕事内容や待遇にひかれ入社を決めても、「社風が合わないと感じたら、状況を見極めたうえで転職しても良い」と私は思います。しかし、きちんと見極めたうえで、というのが前提です。そうでないと、次の転職先でも同じ悩みを抱えてまた転職を考えてしまう事態に陥ってしまうからです。

今の会社の社風が自分と合っていないと思ったら、見極めるべきポイント2つ

（1）退職したいことをなんとなく「社風のせい」にしていないか？

「社風」とは、人間関係、評価、仕事の進め方などさまざまな要素に現れます。「社風が合わない」という悩みを分解すると、「職場の人間関係になじめない」「仕事の進め方が性に合わない」などになりますが、多かれ少なかれどこの職場にも働くうちに悩みは生まれてしまうもの。その時に、自分が何を一番の目的として転職したのか、つまり転職活動の軸は何だったかを思い出してみてください。それが果たせているのなら、転職は一定の成功を収めていると言えます。「目的が達成できているから満足だ」と感じながら働けることになり、細かい「社風が合う、合わない」は二の次と見なすこともできるのです。

しかし「転職の一番の目的」が働いているうちに曖昧になってくると、自分にとって都合が合わないことばかりが目につき、結果的に「社風のせい」として不安が募っていきます。こうした状態に陥っていないか、改めて転職してきたころの初心を思い出し、現状と照らし合わせてみましょう。

（2）時間が解決しないか？

「社風が合わない」という場合によくあるのが「人間関係の不満」です。実際、「今の上司とソリが合わない」「部署の同僚達と馴染めない」ということもよく耳にします。しかしこれは、あくまでも個と個の問題であって「社風」とは限りません。
人間関係の問題は、相手が異動する、もしくは自分が異動することで、環境が一変して快適に働けるようになることも少なくありません。異動が頻繁に行われる会社であれば、そうなる可能性は必然的に高まります。
5年先、10年先、20年先という長いスパンで俯瞰して考えることで、時間が解決する可能性を考慮し、「転職する、しない」を判断することも、時には大切となります。

でも、こんな兆候があれば転職すべき

• 将来性が見えない場合
• 心身に影響が出ている場合

先に挙げたように時間が解決する見込みがほぼなく、将来、快活に働いている自分や、成長を遂げている自分の姿がイメージできない場合は、転職を考えても良いと言えるでしょう。

また、精神的に追い詰められて心身に影響が出ている場合もしかりです。例えば、10人中9人が「社風と合っている」と感じていたとしても、人の感じ方や、耐えられる許容量は人それぞれ。ストレスが限界まで達しているのに「ほかの9人が居心地が良いと言っているから、自分も頑張らねば」と自身に無理強いしてしまうと、心身の疲労に拍車がかかります。心身のダメージは一度受けてしまうと回復にも時間がかかるため、深刻になればなるほど新たなステップに踏み出すことが難しくなるのも事実。自分が快活に働ける環境への転身を考えましょう。

まとめ

社風とはある人にとっては働くうえでまったく関心のない要素かもしれません。しかし、ある人にとっては働きやすさを左右する重大な要素の場合もあります。働きにくいまま働き続け、将来への希望が見えず、心身にも影響が出てしまうようであれば「社風が合わない」ということも立派な転職理由となります。
転職の時にあなたが目的としていたことと、現状をしっかり見極めて、転職をより良いものにしてください。

取材先キャリアアドバイザー

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