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“とりあえず”で就職したダメ社員が、自分と向き合って見つけたヨーヨーパフォーマーという天職

私が会社を辞めようと思った瞬間

2015.8.3

18歳でヨーヨーの世界チャンピオンになり、2009年にはシルク・ドゥ・ソレイユのオーディションでヨーヨーパフォーマーとして初めての合格を果たす。2013年に日本人として初めて世界最高峰の講演会「TED」でスピーチ、2014年からはシルク・ドゥ・ソレイユの最新ツアーショー「KURIOS」に出演――。


誰もがうらやむ輝かしい経歴を持つヨーヨーパフォーマーのBLACKさん。しかし、「大学時代は、1年生の夏に世界チャンピオンになった時点がピーク。友達もほとんどいないし、勉強もスポーツもできず、自分はダメだという思いをずっと抱いていました」と口を開きます。


就職活動を始める時期に差し掛かっても、「俺、世界チャンピオンなのに普通に就活するのかよ」という気持ちがぬぐえなかったというBLACKさん。しかし、ヨーヨーで食べていけるとも思えず、“とりあえず”就活をスタートさせます。最初に内定が出たシステム会社に、SEとして就職しましたが、2年目から急激に仕事が忙しくなり、毎日2~3時間の睡眠時間が続くことに……。


「土日は休みをいただけましたが、平日の疲れもあり、ただ体を休めるばかり。ヨーヨーの練習はおろか、休息以外何もする気になれませんでした。また、“とりあえず”で選んでしまった就職先だったため業務に熱意も持てず、仕事のできないダメ社員として日々を過ごしていました。とにかく今の状況から逃げ出したいという気持ちから2年で仕事を辞めました」


退職してヨーヨーで生活していくか、別の企業に転職するか。BLACKさんは当初、転職の道を選んだと言います。しかし、その時利用した転職支援サービスで、自分にどんな仕事が向いているのか見つめ直す過程で自分年表を書いた時、幼いころにヒーローに憧れた自分を思い出したそうです。そして、自分にとっての「ヒーローになる」とは、「シルク・ドゥ・ソレイユのように社会から評価される舞台で、その舞台に見合うヨーヨーの演技を披露。それによりヨーヨーそのもののイメージを向上させ、後輩チャンピオンらがその努力を評価される環境をつくることだ」と、気づいたのだとか。


「転職サービスの方には申し訳ないのですが(苦笑)、あの時自分についてじっくり考える時間があったからこそ、自分が人生を通じて何をしたいのかようやく分かったのでしょうね。その後、1年間は契約社員として働きながら、商業施設のショーに出演しパフォーマンスの基礎を学びました。ほかにも、『ストレスフリーの仕事術―仕事と人生をコントロールする52の法則』(二見書房)の翻訳者、田口元さんの勉強会に参加したのがきっかけで、さまざまな人達とつながりができました。それまで人付き合いが苦手でしたが、友達が少しずつ増えて、コミュニケーションの取り方を学んでいきました。そもそも、パフォーマンスは演者と観客とのコミュニケーション。人との接し方を学んだことで、ショーの質も大きく向上しました」


会社を辞めてヨーヨーパフォーマーとして独立することへの不安はなかったのか尋ねると、BLACKさんは何もできなかった会社員時代を振り返り、「生きる意味のなかったあの状態よりも悪くなることはない。恐れるものは何もないと思いました」と言います。


「一番大事なのは、心の底に住む本当の自分と向き合い、自分が人生で何をしたいのか考え抜くことだと思います。たとえそれが困難な道に思えても、まずは第一歩を踏み出してみてはどうでしょうか。もしそれで違うと思ったら、戻ったり、別の道に進んだりしてもいい。この道は違うのだと知ることも立派な前進です。自分の人生の主役は、自分自身。ぜひその主役がハッピーエンドへたどり着けるストーリーを描いてあげてほしいです」


「本当の自分」を考え抜いたからこそ、たどり着いたヨーヨーパフォーマーという天職。自分と正直に向き合い、自分を信じて行動することが、将来への道を切り開く大きなパワーになるのではないでしょうか。


(南澤悠佳/ノオト)


取材協力/BLACK

ヨーヨープロパフォーマー。2001年、米国フロリダ州で行われた世界大会で優勝。2007年、プロパフォーマーとして独立。2009年にはシルク・ドゥ・ソレイユのオーディションを受け、ヨーヨーパフォーマーとして初の合格者となる。2013年には日本人として初めて、世界最高峰の講演会「TED」でスピーチ。2014年より、シルク・ドゥ・ソレイユの最新ツアーショー「KURIOS」に出演中。

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