
「DXの取り組みは散発的な取り組みに留まっており、KPIに沿って評価する仕組みを整える企業文化や評価の仕組みづくり、IT投資の評価に難しさを感じている」──情報処理推進機構(IPA)が5月15日に発表した「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート」でそんな傾向が明らかになった。
DX推進指標とは、IPAが開発した企業のDX推進状況を自己診断するためのツールだ。自己診断指標として35項目が設定されており、各企業は自社の成熟度を0から5の6段階で評価することができる。成熟度レベルは「未着手」であるレベル0から、「デジタル企業として、グローバル競争を勝ち抜くことのできるレベル」であるレベル5までを定義している。(※2026年2月に改訂済み)
IPAは2019年から、各企業が提出した「DX推進指標」の自己診断結果を分析し、その結果をレポートとして毎年公開している。今回のレポートは、2025年1月1日から12月31日を対象にIPAに提出された自己診断1164件を分析したもので、約6割が中小企業、4割が大企業だ。
今回の傾向としては、まず、全指標の平均値がレベル1以上3未満に集中していた。具体的には、「レベル1以上2未満」と「レベル2以上3未満」に位置する企業が約7割を占める一方、全項目平均値がレベル4以上にある企業は全体の3%にとどまった。このことから、全社戦略に基づく持続的実施の段階まで達している企業は少なく、DXの取り組みは散発的な取り組みに留まっているとした。
また、回答について、現在値と目標値の差が大きいものを見ると「マインドセット・企業文化」や「IT投資の評価」に関するものが目立った。分析においては「全指標」のほか「経営視点指標」と「IT視点指標」に分けて平均値を算出しているが、このうち経営視点指標については、現在値と目標値の差が大きいものが「評価」や「投資意思決定、予算配分」だった。
特に中小企業では、「DXに適したKPIを設定し、KPIに即した投資の意思決定や予算配分の仕組みを構築すること」に難しさを抱えていたり、「KPIに沿って評価する仕組みを整える企業文化や評価の仕組みづくり」に難しさを抱えていたりするケースが目立つ結果となった。さらに、IT視点指標については「IT投資の評価」に難しさを抱えていた。
一方で、DXが進展している企業群では、経営視点指標が高い傾向が共通して見られた。DXの推進は、経営視点での取り組みと密接な関係にあることを裏付けるものとなっている。
そのうえで、IPAは、「DXのための経営の仕組み」と「その基盤としてのITシステムの構築」両輪での取り組みが必要と指摘している。
【参考】:プレス発表 DX推進指標の自己診断結果1,164件を分析したレポートを公開 | プレスリリース | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
ライター