
最近、「AI検索」という言葉を耳にする機会が増えてきました。ChatGPTやGeminiといった対話型AIツールにWeb検索機能が追加され、従来の検索エンジンとは異なる体験ができるようになったためです。
一方で、AI検索に特化したツールとして注目されているのが「Perplexity」です。しかし、「ChatGPTでも検索できるなら、わざわざ別のツールを使う必要があるの?」「そもそもPerplexityって何?」と疑問に思う方も多いでしょう。
しかし、『Perplexity 最強のAI検索術』の著者である池田朋弘氏は、「AI検索機能が似てきても、ツールごとの特性と最適な活用シーンは大きく異なる」と語ります。本記事では、池田氏へのインタビューを通じて、AI検索ツールの基本から、エンジニアが実践で活用できるPerplexityの具体的な使い方までをお伝えします。
(2025年6月15日現在の情報を掲載)

出版社:芸術新聞社 著者:池田朋弘
■ 池田朋弘氏
株式会社Workstyle Evolution代表取締役。1984年生まれ。早稲田大学卒業。連続起業家として計8社を創業、4回のM&A(Exit)を経験。ChatGPTなどのビジネス業務への導入支援、プロダクト開発、研修・ワークショップなどを60社以上に実施。著書『ChatGPT最強の仕事術』は4万部を突破。YouTubeチャンネル「いけともch」では、AIエージェント時代の必須ノウハウを解説し、チャンネル登録数は17万人超。
機能の違いがなくなってきた!? AI検索ツールの現在地
まず、池田さんのAI活用状況から教えてください。Perplexityを中心に、どのような使い方をされていますか?
ビジネスに限らず、日常的に幅広く活用しています。具体的には、Perplexityでの情報収集やリサーチから始まり、それを基にした思考、そこからのアウトプット作成という一連の流れを、他のAIツールも駆使しながら行っています。さらに、業務自動化ツールをAIのプログラムで作成したり、SNSの投稿文書の素案を作成したりと、さまざまな場面で活用しています。
PerplexityとChatGPT、Geminiとの違いについて、以前は明確に分かれていたように思うのですが、現在の状況はいかがでしょうか?
各ツールの機能に、大きな違いがなくなってきたのが現状です。Perplexityは2022年12月のリリース当初、ネットから検索する機能と、それをまとめて整理・生成する機能を両方備えた「AI検索」の代表格として、圧倒的に差別化されていました。しかし、最近ではChatGPTやGeminiにもWeb検索機能が搭載されたことで、機能面での大きな差異はなくなりつつあります。
それでも、Perplexityならではの特徴は残っているのでしょうか?
Perplexityの特徴は、非常に軽快でスピーディーなAI検索を実現している点にあります。ChatGPTでもAI検索はできるのですが、Perplexityはよりスピーディーで軽快に調べたり考えたりすることが得意。「スピード感のある相棒」という位置づけです。
重要なのは、Perplexityは検索することを前提として設計されている点です。何も指定しなくても、インターネット全体を幅広く検索して自動的に情報源が明示されます。一方、ChatGPTやGeminiは、「思考のパートナー」的な存在で、文章作成、収集済み情報の処理がメインになっており、検索はオプション機能のような位置づけになっています。
ディープリサーチが実現する高精度な情報収集
最近のAI検索の進化について、特に注目している変化はありますか?
単純な検索からディープリサーチへの移行が挙げられます。従来のように瞬時に検索して完了するのではなく、ある程度時間をかけてしっかりと情報収集を行い、正確な回答が出るまで何度も調査・再調査を繰り返します。場合によっては検索を数分かけて何度も繰り返して回答を作成するケースもあります。
Perplexityには4つの検索モードがありますが、それぞれの違いについて教えてください。
まず「クイック検索(Quick search)」は、最も基本的な検索で、素早く情報を取得したい時に使います。通常のGoogle検索のように、すぐに結果を表示してくれます。
次に「プロ検索(Pro search)」は、AIがより深く考えながら検索する機能です。特定の論点に対して必要な範囲での推論を実行し、本当に検索が必要かどうかを判断してから行動します。効率的な問題解決に向いていますね。

そして「ディープリサーチ(Deep Research)」は、時間をかけて徹底的に調査することを重視しています。複数回の検索を自動的に実行し、網羅的な情報収集を行います。できるだけたくさん調べようとするイメージです。
使い分ける際の具体的な例があれば教えてください。
「今日の天気は?」のような簡単な質問ならクイック検索で十分です。一方で、「特定の技術トラブルの解決方法」を知りたい場合はプロ検索が適しています。さらに、「新しい技術トレンドの全体像を把握したい」という場合はディープ検索を使います。
最近、さらに新しい検索機能が追加されたそうですね。
それが4つ目の「Perplexity Labs」です。これは有料版(Proユーザー)限定の機能で、従来の検索とは大きく異なる特徴があります。
単純に情報を調べるだけでなく、レポートやスプレッドシート、ダッシュボード、さらには簡単なアプリケーションまで作成できる機能です。まるで自分のチームを丸ごと持っているような感覚で、分析レポートやプレゼンテーション資料、動的なダッシュボードなど、ビジネスシーンで実際に使える成果物を生成してくれます。

池田さん:特に興味深いのは、「App(アプリ)」タブで直接インタラクティブなミニアプリケーションを開発し、即座に公開できる点です。外部の専門的な開発環境を使わなくても、基本的なダッシュボードやスライドショー、ウェブサイトを手軽に構築できます。また、作業中に生成されたすべてのファイルは「Assets(アセット)」タブで整理されるため、必要な情報に迅速にアクセスできます。
それは非常に興味深い機能ですね。
つまり、4つのモードの使い分けとしては「クイック検索は速度重視」、「プロ検索は効率的な問題解決」、「ディープリサーチは網羅的な情報収集」、「Perplexity Labsは実用的な成果物の作成」になりますね。
| 【Perplexity 4つの機能】 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 比較項目 | クイック検索 | プロ検索 | ディープリサーチ | Perplexity Labs |
| 特徴 | 速度重視 最も基本的な検索 |
効率的な問題解決 AIが深く考えて検索 |
網羅的な情報収集 複数回検索を自動実行 |
実用的な成果物作成有料限定 レポートやアプリまで生成 |
| 処理時間 | 最速 即座に結果表示 |
普通 推論を含むため少し時間がかかる |
長時間 徹底的に調査するため時間をかける |
最長 成果物作成のため相応の時間 |
| 適用場面 | 簡単な質問 基本的な情報確認 |
技術的な問題解決 特定課題の調査 |
包括的な調査 トレンド把握 |
ビジネス資料作成 アプリ開発 |
| 具体例 | 「今日の天気は?」 「◯◯の営業時間は?」 |
「特定の技術トラブルの解決方法」 「効率的な開発手法」 |
「新しい技術トレンドの全体像」 「市場動向の詳細分析」 |
「競合分析レポート作成」 「データダッシュボード構築」 |
| 料金 | 無料 | 無料 | 無料(1日5回まで) | 有料版(Pro)のみ |
開発現場で威力を発揮するPerplexityの実例
ITエンジニアがPerplexityを活用する際の、特に有効なシーンについて教えてください。
開発関連の最新情報を収集するときに、最も活用できると思います。フレームワーク、ツール、サービスなどの最新情報をはじめ、Reddit(海外の大型掲示板サイト)やSNSでの評判調査、さらには参考となるソースコードのサンプル取得まで可能。自分の用途に合わせたリサーチ方法のカスタマイズもできます。
特に駆け出しエンジニアの方に多い「なぜエラーが発生しているのかわからない」といった問題に対して、ディープリサーチ機能を使えば、細かい”ハマリポイント”を発見してくれるケースが非常に多くあります。
具体的なエピソードがあれば教えてください。
私が経験した直近の例でいうと、Web上の開発環境「Replit(ブラウザ上でコーディングできるサービス)」からローカル開発環境「Cursor(AI搭載のコードエディタ)」でSSHでプロジェクトを開く際に問題が発生していました。手順通りに進めているはずなのに、なぜか接続がうまくいかなかったのです。
そこでPerplexityに「Replitでプロジェクトを開こうとしているが、うまく動作しない」と相談したところ、「OSの選択時にWindowsを選択していませんか?これは相手側サーバーの設定であり、あなたのマシンの設定ではありません(本来はLinuxを選ぶべき)」という回答が得られ、問題が解決しました。いわば、Perplexityが私の勘違いを指摘してくれたということですね。

上記が実際にCursorでReplitをSSHで開いた時の画面です。ここで私はWindowsを選んでいたのですが、実際はLinuxを選ぶ必要があったということです。
本当にピンポイントの課題も解決してくれるんですね。Perplexityはこのような情報をどこから取得しているのでしょうか?
ネット上には同様の問題で困った開発者が情報を共有してくれているケースが多く、Perplexityはそうした詳細な情報を効率的に探し出してくれます。コードの一文字の違いや設定の微細な差異といった、非常にニッチなハマリポイントでも解決に導いてくれることが多いです。
「スペース機能」で自分専用の検索条件を保存
Perplexityならではの便利な機能について教えてください。
「スペース機能」が特に有用です。これはChatGPTのGPTs(カスタムボット作成機能)のように、自分専用の検索条件を保存しておける機能で、検索対象となるサイトやドメインを事前に指定できます。

例えば、特定のメディアサイト内のみを検索対象として設定すれば、そのサイト内の情報だけを対象にした検索が可能になります(「ソース」で検索リンクを設定可能)。

また、単純な検索結果のリストではなく、収集した情報をわかりやすくまとめて提示してくれるので、信頼性の高い情報源に基づいた賢いチャットボットのような使い方ができます。
なるほど、情報の信頼性を担保しながら検索できるということですね。プロンプト作成時のコツはありますか?
ChatGPTとの重要な違いとして、文脈の扱い方があります。ChatGPTやGeminiは会話の継続を前提としているため、前の会話内容が自動的に文脈として考慮されます。そのため、毎回「上記の内容を踏まえて」などと入力しなくても、当然のように前述の内容を踏まえて回答を出力してくれます。
しかし、Perplexityは毎回Web検索を実行してまとめることがベースとなっているため、前の文脈を無視して新しい検索のみに集中してしまうケースがあります。継続的に文脈を維持したい場合は、「上記の内容を参考に」といったプロンプトを追加することで、前述までの会話の流れを保ちやすくなります。
AIツールの活用で重要なのは、機能よりも「活用シーン」の理解
AI検索ツールの機能がますます似てきている中で、池田さんがAI検索の価値を広げる際に最も強調されているポイントは何でしょうか?
最も重要なのは「活用シーンの理解」です。AI技術は急速に進化するため、個別の機能追加よりも大切なことがあります。多くの人が「どのAIツールが最も優秀か」という比較に注目しがちですが、AIツールで本当に重要なのは機能ではなくて、活用シーンだと思うんです。つまり、日常生活や業務においてどのようにAIを活用すべきか理解することが最も重要です。
例えば、企業情報の効率的な調査、インタビュー時の質問項目作成、競合分析、さらには日常生活でのプレゼント選びや購入検討、政治情報の調査など、具体的な活用シーンを理解することが、新機能の価値につながります。
活用シーンや課題自体は、機能が変化しても変わらないということでしょうか?
まさにその通りです。例えば、ディープリサーチという機能が登場しても、企業調査やインタビュー準備、競合分析といった根本的なニーズは変わりません。むしろ、新機能によってこれらの課題をより効率的に解決できるようになります。
活用シーンを理解していれば、新機能が追加されるたびに、「この機能は自分のどの課題に使えるか」という視点で価値を見出せます。逆に、機能ばかりに注目していると、ツールに振り回されてしまい、本来解決したかった課題を見失ってしまう危険性があります。「何ができるか」ではなく「何を解決したいか」を明確にしておくことが大切だということですね。
音声操作からアプリ連携まで!Perplexityの進化が止まらない
最近のPerplexityで注目している新機能はありますか?
ウェブ上の情報を参照しながら、ユーザーが求める操作を代わりに実行してくれる「エージェント機能」に注目しています。音声での会話が可能になり、さまざまなアプリケーションとの連携機能が追加されています。カレンダーへの予定追加、配車アプリの呼び出し、予約サイトの操作など、今のところ完全ではありませんが、アプリ間の連携機能が徐々に拡充されています。
【Perplexity エージェント機能の使用イメージ】

特にスマートフォンのショートカット機能と連携できるため、ワンタッチでPerplexityを起動できるようになり、使い勝手が大幅に向上しています。
エージェント機能やスマートフォンとの連携機能を見ていると、Perplexityが単なる検索ツールを超えた存在を目指しているように感じられますが、今後どのような方向性で進化していくのでしょうか?
Perplexityは単なる検索ツールから、もっと基盤的なプラットフォームへの転換を目指しています。ChatGPTやClaudeがサービス機能の充実に注力している一方で、Perplexityはスマートフォンやデバイスレベルでの統合を重視しており、戦略的な方向性が明確に分かれてきています。
実際にSamsungやドイツテレコムなどの海外の通信事業者と提携してOS開発に参画し、AppleのSiriのような音声アシスタントの代替を目指したりと、より根本的なITインフラとしての地位確立を目指しています。
進化を続けるPerplexityを、ITエンジニアの方はどのように活用していけばよいでしょうか。
皆さんにぜひ実践していただきたいのは、複数のAIツールを使い分けることです。ChatGPTやGeminiをメインで使っている方でも、Perplexityを併用することで、より効率的に情報収集や調査業務を進められます。
Perplexityは無料ユーザーでも、ディープリサーチのような高機能を1日3回まで利用可能です。ChatGPTと併用すれば、それぞれの制限を補完し合いながら、より多くの調査や業務支援を受けることができます。
また、AIツールは使ってみて初めてその価値がわかるものです。Perplexityをまだ試されていない方は、ぜひ一度登録して、実際にご自身の業務や日常の課題解決に活用してみてください。きっと新しい発見があると思います。