ITエンジニアコラム:きたみりゅうじのエンジニア転職百景

巻ノ四十六漠然と抱く不満。 最後のひと押しは、人と人とのつながりだった

良くはないけどそう悪くもない。漠然と抱える不満というのは、やたら不完全燃焼になりがちで、得てして処理に困るモノです。D田さんもそんな1人。我慢できないことはないんだけども……と。
そんな彼に、ある日降って湧いたサプライズ。気がつけばピンチがチャンスに変わっていたという、そんな今回の体験談です。

寝耳に水の飲み会談義

変化を望まない社風。そして年功序列がすべてと思いこみ、なにかにつけて上から目線な反りの合わない上司。すごく不満というわけではないけれど、なんだか「合わないな」と感じる毎日で、なんとなく転職も考えている。そんな風に日常を過ごすD田さん。
「でも、出向先のマネージャーさんに気に入っていただけて、その職場では楽しく仕事をしています」
なんでもそのマネージャー……仮にAさんは、かなり尊敬できる人物なのだとか。
ところがこの出向先との契約が、自社の都合で急に「契約解除」となってしまいます。つまり本社に戻れと。うーん。
さて、こうして契約解除が決まり、契約切れまでの残り期間もあと2週間ほどとなった時のこと。
「○×ソフト株式会社の人と飲み会があるんだけど、ちょっと顔を出してみないか?」
そんな風にAさんから飲み会のお誘いがありました。もちろんD田さんに断る理由なんかありません。二つ返事で、同席することになりました。
その席上で……。
「なぁ、こいつ使ってみないか?」とAさん。
「ほんと? ちょうど人を入れようと思ってたんだよ」と○×ソフトの方。
なにも聞いてなかったD田さんは、ただその場で目を白黒させるばかり……。
こうしてこの飲み会が、今後の彼の人生を大きく舵取りするきっかけとなったのです。

信頼と期待と確信と

D田さんも、○×ソフトの方も、Aさんに対する信頼は絶大でした。その人が紹介してくれるわけだから、こりゃ「期待できるのでは?」と双方が思うのも当たり前。
その場で業務内容を聞いてみたり、逆に経験や所持スキルについて答えてみたり。そうした中でなによりも好感を持ったのは、「自分のポジションは自分で確立する」という仕事観に関する部分が一致したことかもしれません。
気がつけばD田さんは、○×ソフトという会社の魅力に惹かれ始めていました。
「この会社だと、Aさんとも今後いっしょに仕事していくことができるだろうし……」
本社に戻ってしまうと、この尊敬できる男Aさんとの縁が途切れてしまう。そんな危惧(きぐ)もあったD田さんは、この飲み会の後も○×ソフトの方と連絡を取り合って、2週間もしないうちに転職を決めることになります。もっとも主立った内容は飲み会の時点で確認しあえていたので、待遇面についての詳細を固めただけでしたけども。
ちなみに本社に戻ったD田さんは、これが最後と、社長や重役連中と仕事の方向性について話をしたそうです。
「私はこう思っていて、今後はこうすべきと思うのだけど、会社側はどうか」
んで、まったく一致しなかったので、ためらうことなく退職届を出しましたよと。
この転職に対して「非常に満足」と言い切るD田さん。新しい会社では、お金周りなど経営に関することがオープンにされているというのもあって、いい経験を積ませてもらっているのだといいます。

オチの一コマ
本日の一句

本文中には出ていませんが、D田さんが転職した先は社員数1桁の会社で、転職前の会社に比べればずいぶんと規模の小さいとこだったようです。
普通であれば、ためらって当然の状況だと思います。でもためらわなかった。
そんなD田さんだからこそ、尊敬できる人との出会いを信頼関係に昇華させることができて、「満足です」と言える転職につながったのではないかなぁ……なんてことを思う体験談でした。
「そういう出会いがあれば自分だって」……ではないんですよね。そういう出会いを作り出すのも、多分その人の実力なんだろうと思うのでありました。きたみアイコン

著者プロフィール

自画像きたみりゅうじ
もとは企業用システムの設計・開発、おまけに営業をなりわいとするなんでもありなプログラマ。あまりになんでもありでほとほと疲れ果てたので、他社に転職。その会社も半年であっさりつぶれ、移籍先でウィンドウズのパッケージソフト開発に従事するという流浪生活を送る。本業のかたわらウェブ上で連載していた4コマまんがをきっかけとして書籍のイラストや執筆を手がけることとなり、現在はフリーのライター&イラストレーターとして活動中。
遅筆ながらも自身のサイト上にて、4コマまんがは現在も連載中。
http://www.kitajirushi.jp/

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