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年末年始編|#エンジニアあるある システム開発現場・実録IT用語辞典

【年末年始編】「年内リリース」とは、できもしない約束のことである

こんにちは。システム開発現場に関するニュータイプの用語辞典を作っているMWです。 このコーナーに出てくる用語は、筆者が実際にシステム開発現場で体験した不条理な話や、小耳に挟んだ不思議な現象、聞いているだけで生温かい気持ちになるようなシステムの話などを、用語集/辞典という形態でまとめてみたものです。

「○スキー」とか「○ーワーズ」の用語集みたいに技術用語に対して正確な説明を書くなんてことは志していないので、くれぐれもご注意ください。

さて、第一回となる今回は、そろそろ年の瀬を迎えるということで、この時期に馴染み深い用語を取り上げたいと思います。

#エンジニアあるある 実録IT用語辞典【年末年始編】INDEX

「年内リリース」とは

会社の偉い人とかがうっかり口にしてしまったできもしない約束ごと。 年内に製品を発売するとか、年内にサービスを提供するという意味である。だが、その発表が守られる確率は思ったほど高くない

例えば某会社が某OSの新しいバージョンを「年内にリリースできる予定です」とか発表した時も、ほとんどの人はホントに年内に間に合うなんてこれっぽっちも思わなかった(少なくとも筆者の周りでは)。

上記の例のように「間に合わなかったから、リリースは来年に延期でっ!」と爽やかに言える環境であれば良いのだが、リリースが遅れることで、云千万円の損失、違約金とか、損害賠償とか発生する環境だと、途端にエンジニアたちの前に「年末休暇の危機」が立ち塞がることになる。

特に休暇に入る直前、26日ごろにリリースしてしまうのは自殺行為である。 「今のところ正常に運用できてるけど、もし不具合があったら電話するから休暇中も電波届く場所に居てね」という嫌な言葉を聞かされたり(実体験)、障害報告の電話が初詣の帰り道でかかってくる(実体験)、といった事象を体験する可能性があるからである。 エンジニアの平穏な休暇を守る為、12月はリリース禁止月間に設定されることが望まれる。

「クリスマス・イブ」とは

世界七大「障害が起こってほしくない日」の1つ。

悟りを開いた者(結婚して何年も経ってるとか、そういうことはもう諦めてる人)にとってはどうでも良い日だが、まだ若いエンジニアにとっては非常に優先度が高い特別な日である。 それはもう、Linuxでいえばrenice -20 -p XXXX、Windowsならタスクマネージャーでプロセスの優先度をリアルタイムにするくらい、高い優先度を持つことのある日であるらしい。

だが、もちろん世の中はそんなに甘くない。
プロセスの優先度を多少上げたところで割込みをすべて防ぎきれるわけではないのと同じように、事前に上司に「24日は定時で帰ります」という事前申請をしておき、精いっぱい背伸びした高級料理店のフルコースを予約したのに、当日、障害が発生してあえなく残業するハメになんて話が発生するのは、まさに必然。この業界には星の数ほど転がっている話である。

そんな騒動とは無縁の悟りを開いたエンジニアは、うっかり周囲の若いエンジニアが定時で帰ろうと画策しているのを見かけたら、「無理に決まってるよ」とか「がっかりするだけだから諦めとけ」といった優しい言葉を投げかけてあげるか、その若人に割り振られている作業の量をそっと増やしてあげることによって、若人たちが悟りを開くのを手伝ってあげるのが、クリスマスというイベントにおける礼儀だと言われている。

「忘年会」とは

冬の風物詩の1つ。

1年の終わりにその年にあった苦労、例えば自分の書いたプログラムが原因で2chで叩かれた(実話かもしれない)などを忘れて、来年に向けて仕切り直す為にチームで集まって飲むみたいな感じの会。

派遣とか請負のような業務形態を取っていると、自社の忘年会、派遣先会社との忘年会、客先との忘年会、開発チームとの忘年会、プライベートの忘年会といったような今日も明日も忘年会っ! な日程が用意されてしまうこともある。

また、とても忘年会なんてやってられないような進捗状況に追い込まれている場合は「酒と仕事、どっちを取るか?」という命題に対する解答を求められることがある。
これは酒嫌いな人に取ってはなんてことない選択肢かもしれないが、酒好きの人間にとっては、付き合い始めたばかりの恋人(趣味は料理とLinuxコミュニティへの参加)に「私と仕事どっちが好きなのよ」と言われたかのような衝撃と葛藤を生むこともあるようだ。

付き合いの良い人や、立場上出席が必須とされている人の中には、修羅場の真っ只中にいるにもかかわらず終了30分くらい前に颯爽と現れ、あいさつをして1杯だけくいっと飲み、すぐに職場に戻ってまた仕事というような、冬の空を駆け抜ける一陣の風のような素敵な振る舞いを見せてくれることもある。

「大掃除」とは

年末の最終営業日やその前日あたりに開発現場でも行われることがある伝統行事。

定期的に清掃会社の人が入ってくれている現場であれば、それほどタイヘンな思いをすることはないもの。

「朝は必ず10分間清掃しましょう」といった義務付けが社員に対してされている会社では、普段掃除しないような蛍光灯やキャビネットの棚を磨くだけで、あっさり終わったりするもの。

逆に大掃除が簡単には終わらない現場として、数十人の男だけで構成されている開発室のような、ロマンスのカケラもない仕事空間が挙げられる。

上記のような仕事環境では、掃除をするなんて昨年の大掃除以来とか、数カ月前に食べたパンのくずが床に落ちてるとか、机の下のケーブルが物凄い量のホコリ玉で埋もれていたといった状況が発生するなど、まるで男の独り暮らしがそのまま再現されたような状況になっていることもしばしばあるようだ。

パソコンはホコリに弱いものなので、上記のような現場に出くわした場合は、自発的に少しずつ掃除をするとか、ロマンスのある職場環境作りを上司に嘆願して、周囲の人間が少しは見た目に気を使うことを意識するように働きかける等の方法があるらしい。

「今年最後の営業日」とは

大掃除をして溜まりに溜まった汚れと格闘したり、納会などで会社の偉い人たちの締めの言葉とかを聞いて1日が終わったりする、今年が終わるんだなぁという気持ちにさせてくれる日。

もしくは今日中に仕事を終わらせないと、遅れた分だけ年末休暇が減っていくという状況を前にジタバタしている人々を、すでに休暇をキープして余裕な人や、休暇なんてものは最初から存在していない人々が温かい目で見守ったり、休暇なんてものはさっさと諦めて普段どおりに淡々とした作業をすることになったりする日。

この日を晴れ晴れとした気持ちで過ごせるかは、当日までの頑張りと調整力にかかっている。あまり頑張り過ぎて仕事を前倒しにしてしまうと、進捗が遅れ気味なほかの人の仕事が自分のスケジュールに入れられていたり、新しい作業が発生した時に優先的に割り振られたりしてしまう。

そのため、プロジェクト全体が危機的状況にある現場では、最終営業日までに終わるか終わらないか、ギリギリのラインの仕事量をキープしつつ、残り3日あたりから徐々にペースを上げ、最終日に一瞬の差し足で全作業を完了させて休暇をキープするような、競馬の騎手のような腕前が求められるかもしれないもの。

余裕のある進行をしている場合、最終営業日は翌日のことを考えずに行動できるうえに、平時よりも早めに退社できるので、16時から飲みに行って翌日の朝に帰るという強者な過ごし方をする人もいたり、人それぞれ特色のある過ごし方をしている姿が見られる。なかなかに興味深い1日である。

「新年会」とは

1年の最初に開かれる「今年もタイヘンなこととか、辛いこととか、徹夜することとか、バグの原因作って周りから散々責められるとか、それで人生投げ出したくなったりとか、中央線のホームの先頭で思い悩んだ顔で立ち尽くすとか、いろいろあるかもしれないけど、ていうか、まぁ、そんな事態の1つや2つくらいは確実にあるだろうけど、皆さん、頑張って乗り切っていきましょう」という意味合いを持つ飲み会のこと。

忘年会が飽きるほどたくさん発生するのに比べると、なぜか新年会はそれほど連続では発生しないことが多い(筆者周囲では)。

その理由は恐らく、年末を飲みに飲んで過ごした後だけに、「もう飲み会はいいや」とか、「年末年始に金使っちゃったから財布的に厳しい」とか「新年早々、酒ばっか飲んでたら体力がもたない」といった人々の意識が働いた為ではないかと思われる。

「目標設定」とは

新年とか、年度の初めとか、ある程度決められたスパンに1回のタイミングで行われる、今後自分が何を目指してどんなことをしていくかを決める儀式。

または会社から「この紙に今年の目標書いといて」と言われた時に大して考えもせずに適当な目標を書いたばっかりに、それが達成できないという理由で給料査定で据え置きを食らうといった用途で使われることもある。

年度初めに行われる場合は仕事関係の目標が設定されやすいのに対して、新年の目標設定は「今年は自宅でフリーソフト作る」とか「1カ月有給取って海外旅行に行く」とか「絶対、今年中に会社辞めてやる」等の個人的な関心事を題材として設定されることが多い。

知り合いのエンジニアにヒアリングをしてみると、普段は何もやっていなさそうな人でも「今年は前半でXのソースを全部読んで、後半でWindowsのシェアを食えるようなGUIを作る」とか、「今年はwxWidgetsでカッコイイDB操作用ツールを作る」とか、「印税生活できるような面白い用語辞典を書く」などなど、それなりに大きな、同時にそれはかなわないだろう…… と心の中で思ってしまうような目標を掲げていることが多いようだ。

【コラム】12月31日21時から出勤できる人募集 ~ある「うるう年」の話~

うるう年と言えばもうすっかり記憶の彼方の話ですが、一度、大きな問題を引き起こしたことがありました。あの年のうるう年は、間違いなくエンジニアの敵でした。

そう、2000年問題です。

あの年は、知り合い数名が無駄に大晦日から正月をオフィスで過ごしていました。当時私はエンジニアと言うよりはオペレータに近い仕事をやっていたのですが、なぜか「12月31日21時から出勤できる人募集」というメールが回ってきたのを覚えています。

その後、2月29日を迎える前に私は退職していたので、うるう年の被害はまったくありませんでしたが、大晦日をオフィスで過ごした人たちの半数は、2月28日の夜からご出勤なされていたそうです。合掌。

「うるう年」とは

「4年に1度」かつ「否100年に1度」または「400年に1度」発生する、2月29日がある年のこと。

標準日付関数が用意されてないような言語にほとんどお目に掛かる機会が無くなった現在では、エンジニアがうるう年のルールを知っておく必要も薄れてきたが、「そんな便利なものなかったよ」という時代には、多くのプログラマが「if ((year % 4 == 0 && year % 100 != 0) || year % 400 == 0)」と書いていたりしたもの。

西暦2000年2月29日、400年に1度だけ訪れるという異常系ケース並に発生率が低い日に、「否100年に1度」の条件は律儀に書いたのに、「400年に1度」の条件だけ書き忘れたというムダに中途半端なプログラムを書いていた人が、世の中には結構いるということが発覚したお陰で、うるう年のルールはエンジニアたちの間ではだいぶ知名度を上げることに成功したようである。ATMとか、アメダスとか、あともんじゅとかの尊い犠牲のお陰で。

こうして学んだうるう年の知識が役立てることができる日はそれから92年後であることが、一抹の寂しさを漂わせる事件であった。「否100年に1度」の条件も知らずに、「if(year % 4 == 0)」と書いていれば2100年までは無事に稼動したという事実もまた、寂しさを助長させる。

また、「if(year % 4) == 0」とだけ書かれてるうるう年判定プログラムが今も普通に稼動しているのではないかという疑惑が浮かんできて、思わずGoogle Code Searchで検索したくなってしまう事件でもある。

あっ、ヒットした

#エンジニアあるある 実録IT用語辞典 【注目のキーワード】

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注意!!

この連載記事には必ずしも正しいとは限らない内容が含まれています。この記事を信じたことによって発生した障害に対して、筆者及び株式会社マイナビは一切の責任を負いません。ご容赦ください。

※この記事は2007/11/23~2009/08/28に連載された内容を再構成しています

著者プロフィール:MW(えむだぶりゅー)

Java、PHP、C、C++、Perl、Python、Ruby、Oracle、MySQL、PostgreSQL関連の業務経験がある、典型的な広く浅い役に立たない系のウェブ(時々クライアント)アプリのエンジニア。 週に1日休みがあれば、ほか6日間は終電帰りでも全然へーきな体力と、バグが出ても笑って誤魔化す責任感の無さを武器に、今日も修羅場った開発現場の風景を横目で見ながら、適当に仕事をこなす日々を送る。
著書「それほど間違ってないプログラマ用語辞典」(発行:毎日コミュニケーションズ)

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