現状に不満はない! でも、もっと新しいことをやりたい!――こんな転職理由じゃダメですか?
転職者プロフィール
Origami
エンジニアリングチーム フロントエンドエンジニア
矢野雄也さん
(2018年10月入社/30歳)
【転職前】
2011年4月、従業員数50人規模のソフトウェア開発会社に新卒で入社。CやC++で数値演算ライブラリの開発を7年近く続け、社内のレガシー環境を改善し、新しい開発サポートツールの導入などにも奔走。しかし、趣味で始めたWebアプリケーション開発にのめり込み、外の世界をもっと知りたくなり、転職を決意する。
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【転職後】
2018年10月、Origamiに入社。Go言語やNode.jsを駆使してフロントエンドエンジニアとして活躍する一方、サーバサイドの開発にも力を発揮。チーム体制の開発、アジャイル型開発など、新たな開発環境に触れ、充実のエンジニアライフを送ると同時に、新たなキャリアプランも見えてきた。
現状に不満がなければ転職する必要はない――誰しも、そう考えてしまうだろう。しかし、現状に不満がなくても、将来には不安があるという人も多いのではないだろうか。
今回お話を伺った矢野雄也さん(30歳)も、前職時代について「仕事に特に不満はなかった。今でも良い会社だと思う」と語る。しかし、そんな矢野さんが、なぜ転職を決意したのか。そして、転職先である「Origami」に、どのような魅力を感じたのだろうか。
プログラミングの道に踏み込んだのはFORTRANから!
矢野さんのコンピュータとの出会いは中学時代。学校の授業の一環としてパソコン室に置かれたPCに触れたのが初めての経験だったという。
「触ったといっても、中学校の授業なので、本当に基本的な操作を学んだ程度でしたが」
高校に進学後もPCに触れる機会はそれほど多くなく、自宅のPCで興味ある分野についての調べものやWikipediaに投稿するなどの使い方が中心。プログラミングとは、全く無縁だった。矢野さんが自分専用のPCを手にしたのは、大学に進学してから。レポート作成などに必要だろうということで、大学生協でノートPCを購入した。
「大学は理学部で、理論物理学を専攻しました。そのためレポートを書くのに、物理現象のシミュレーションが必要で、PCを使ってちょっとしたプログラミングをするようになりました」
シミュレーションで使ったのは主にFORTRANやC言語だった。科学技術計算の分野では、高度な計算を行うためのライブラリが豊富にそろっているFORTRANが使われているケースが多い。矢野さんの研究室でも、FORTRANで書かれたシミュレーションソフトウェアを利用していた。
そこから次第にプログラミングの楽しさに目覚めていったという。しかし、この段階ではJavaやRubyといったモダンなプログラミング言語や、Webアプリケーション、スマートフォンアプリといった“いまどき”のソフトウェア開発ではなく、あくまでも複雑で高度な計算処理をコンピュータにやらせるというものだった。
プログラミングの楽しさを覚えた矢野さんは、就職活動で数社のソフトウェア開発会社にエントリーした。
「私の世代はいわゆる就職氷河期の最後の方で、就職は今とは違い、採用企業側の買い手市場。とても厳しいものでした。その中で、大好きなプログラミングを仕事にできる会社を探し、4~5社ほどエントリーしました」
矢野さんが就職したのは従業員数50人ほどのソフトウェア開発会社だった。規模はさほど大きくないものの、客先常駐型の開発だけでなく、大手メーカーから開発を受注し、自社内で開発する案件も手掛けていたところが決め手となった。
「社長がとても気さくで社員一人一人ときちんと向き合ってくださる方だと感じ、入社を決めました」
「会社も仕事も不満はなし」なのになぜ転職?
入社後は、大手メーカーから受託する数値計算ソフトの開発プロジェクトを担当。
「製品開発のシミュレーションに利用するための数値計算アルゴリズムを考え、実装していくという仕事です。お客さまからは難しい数式が届くので、それをどのように実装していくかが腕の見せ所で、とても楽しい仕事でした。転職した今でもそう思っています」
矢野さんにとって、大学時代にやっていたことが、そのまま生かせる仕事だったこともあり、結局、7年間ずっとそのプロジェクトを担当していたそうだ。
では、なぜ転職に至ったのだろうか。
「趣味でいろいろなプログラミングを始めたら、そちらも面白くなって、どんどんのめり込んでいったのがきっかけです」
レンタルサーバを借り、Python、jQuery、Node.jsなどを使い、いろいろなWebアプリケーションを作成。GitHubにも登録し、ソースコードも公開してみた。その後も、jQueryの代わりにReactを使ってみたり、Rust、Goといった新たなプログラミング言語に手を広げてみたりしていた。また、Twitterで技術的なトピックについてつぶやくと、フォロワーも増えていった。
こうした趣味の世界の広がりは、矢野さんの仕事にもフィードバックされていった。
「社内で新しい技術の勉強会を開いたり、社内の開発環境がレガシーなものだったので、バージョン管理ツールとしてGitを導入し、受託開発なのでGitLabを使ったりしました。社長もとても話の分かる方で、こうしてみたいと言えば、すぐにOKを出してくれました」
「今でもとても良い会社だと思っています」と振り返る矢野さんだが、一方で「外の世界を知りたくなった」と当時の心の内を明かしてくれた。
最新技術を求め、いろいろなセミナーやカンファレンスに足を運ぶようになると「自分が進んでいる方向は本当に間違っていないのか? 他社では、どのように技術を取り込み、業務に生かしているのか?」が気になり始め、転職すべきか、新しい環境に進むべきか次第に悩むようになっていく。
そして2018年1月ごろ、社内の尊敬する先輩が転職したタイミングで、矢野さんも本格的に転職活動を始める。そしてSNS上で「転職を考えている」旨を書き込んだところ、フォロワーだったエンジニア3人から「それならウチの会社にこないか?」と声が掛かったという。
「(Twitter転職で一躍有名になった)ひよこ大佐のようにはいきませんでしたね(苦笑)。でも、声を掛けてくれた一人が古くからのフォロワーで、Origami創業時から在籍するエンジニアでした」
声を掛けてくれた中から、外資系ITコンサルとOrigamiの2社に応募してみた。外資系ITコンサルでは、コーディング面接の他、オンラインの英語面接もあった。英語面接は、矢野さんにとって、とてもツラかったそうだ。
一方のOrigamiは、3回の面接を通じて、現場で活躍するエンジニアたちに、いろいろな話を聞くことができ、矢野さんが憧れた新しい技術も現場に積極的に導入されていることがよく分かった。もともとWebの表現力に魅力を感じていた矢野さんの心は決まった。
既に結婚していた矢野さんだが、奥さんも「新しいことをやりたい」と毎日のように悩んでいる矢野さんの様子を見ていたからか、Origamiへの転職に全面的に賛成してくれたそうだ。
関わる領域をどんどん広げていけるOrigamiは理想の転職先
Origamiは2012年に設立された、「お金、決済、商いの未来を創造する」というミッションのもと、キャッシュレスを実現するプラットフォームを提供している企業だ。
スマートフォンによるQRコード、バーコード決済サービスをいち早く提供した先駆け的存在で、中小企業でも導入しやすいサービスを提供することで加盟店を着実に増やしている。
Origamiに入社後の矢野さんは、同社サービスのフロントエンドを開発するエンジニアとして活躍する一方で、サーバサイドの開発にも参画しているという。
「Origamiは、私が入社してから今に至る9カ月の間にも、社員数が増えており、社内体制もそれに応じてどんどん変化しています。私も、配属はフロントエンドエンジニアですが、興味のあるサーバサイドで人が足りないと聞き、積極的に手伝わせてもらっています」
開発もGo言語とNode.jsと、矢野さんの使い慣れた技術だったため、スムーズにプロジェクトに加わることができた。矢野さんにとって新鮮だったのは、意外にも「チームでの開発」だったという。
「前職時代は、7年間私1人で設計から開発までを行っていたので、チームでの開発はとても新鮮でした。UIのデザインに、専任のデザイナーが加わることも初めての経験でした」
Origamiには優秀な人が多く、ハイレベルなエンジニアに直接質問できるので勉強になる、とうれしそうに話す矢野さん。前職時代に抱いていた「自分が進んでいる方向は、本当に間違っていないのか?」といった不安も、先輩からコードレビューを受けたり、アジャイル開発の過程でチームメンバーと打ち合わせを繰り返したりすることで解消されていったという。今までは「趣味」でやってきたものが「仕事」で通用したことで、自信もついた。
Origamiへの転職で、自身が求めていた新しい技術やモダンな開発環境に身を置くことができた矢野さん。今後は、サービス作りに、さまざまな角度からアプローチしていきたいと考えている。
「エンジニアにはいろいろな領域があります。現在はフロントエンドを手掛けていますが、サーバサイドや、インフラの各レイヤー、さらにはUI/UXのデザインなどにも貪欲に手を広げていきたいです」
こうしたキャリアプランも、組織そのものが成長期の真っただ中にあるOrigamiという会社だからこそ描けるのだろう。Origamiへの転職は、矢野さんにとって理想に限りなく近いものだったに違いない。
もっと成長したい、もっと可能性を広げたい――技術が好きで好きでたまらない矢野さんに行動を起こさせたのは、「不満」ではなくエンジニアとしての「欲」だった。こんな退職理由があってもいいじゃないか、と思わせてくれるお話だった。
Twitterで矢野さんに声を掛けたTechnology部門のエンジニアに聞く、矢野さんの評価ポイント
矢野さんの技術的な部分は、GitHubを見てバックエンドとフロントエンドの両方の開発ができるように見受けられました。
魅力を感じたのは、特にフロントエンドのReactやVue.jsのような新しいものに対しての研究をしていて、その辺に詳しいなと感じたところです。
また、Twitterでつぶやいている内容が最新技術の情報だったので、「この人だったら新しいフロントエンドの技術で仕事できそうだな」と思い誘いました。
※企画・制作:@IT自分戦略研究所編集部
※JOB@ITの記事(2019年7月)に再編集を加えて掲載しています。
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