マイナビ転職×@IT自分戦略研究所「キャリアアップ 転職体験談」新春Special 2016:辞め美女×きのこる先生 目指すはカウボーイ? それともボール拾い?――全エンジニアに問う「良いマネジャー」って何だろう? ロボット部下に、すぐ「退職したい」と口にする部下。開発プロジェクトのマネジャーは1人で大忙し!――とイキりたつリナさんのところに、今年もアノ男(菌類)がやってきた。

アタシ、戸張リナ(とばる りな)。好きな言葉は「気合いと根性」、座右の銘は「無理は通すわ、道理は引っ込め」、好きな乗り物は「ジェットコースター」です。

仕事は7次請けIT企業で、かわい過ぎる後輩小布施椎子(おぶせ しいこ)」と、アンドロイド(物理)3体と、「辞めたい」が口癖のエンジニア梧籐 剛(ごとう ごう)を率いて、AI制御のIoT開発プロジェクトの統括マネジャーをしています。詳しいことはこちらを見てくださいね

相次ぐ仕様変更や先行き不透明な会社の状態。スリルたっぷりで、もーゾクゾクしちゃう!……でも、アタシ以外のメンバーは、どうやらそうでもないみたい。

リナ ちょっと、アンタたち、何やってるの!

アンドロイドA アンドロイドアターック!

アンドロイドB さんみいったーい!

アンドロイドC (null)

アンドロイドA&B&C わーい!!!!(バランスを崩して、梧籐の上に崩れ落ちる)

梧籐 いたい! いたいよ! こんな会社、もう辞めたいよ。

リナ もう、何なの! アンドロイドは自分勝手だし、梧籐くんはすぐに「辞めたい」って言うし、椎子ちゃんは変な昔話ばかりするし。みんな本当にやる気あるの? アタシ1人で頑張っていて、大変過ぎるわ!

きのこる先生 やあ、リナさん。どうしたんだい?

リナ あ、あなたは! もしや、プログラマーで、エンジニアの採用や生産性向上にも携わっていて、@ITの人気連載「また昭和な転職で失敗してるの? きのこる先生の『かろやかな転職』」の筆者でもある、「きのこる先生」(自称:菌類)じゃないですか!

きのこる先生 完璧な説明ありがとう。悩みごとがあるのなら、菌類が相談にのろうじゃないか。

リナ (かくかくしかじか、うんぬんかんぬん)……というわけなんです。

きのこる先生 なるほど。リナさんは、みんなのやる気や気合いが足りないから、プロジェクトがうまく回っていないと考えているんだね。でも、足りないのはリナさんのマネジメント力の方かもしれないよ。

リナ えっ!

できるマネジャーは責任を「取る」? それとも「取らせる」?

きのこる先生 では、@ITに登場したエンジニアたちをお手本に、「良いマネジャーとは何か」を一緒に考えてみようか。まずは、どうして梧籐くんが年中「会社を辞めたい」と言うのか、からだ。

きのこる先生 田中さんは「達成」することにモチベーションを感じるエンジニアだ。コーディングの実績がある上で、プログラムを書くことにこだわらず、もう一段上の「ものを作ること」に楽しさを見いだしている。

そしてこれは、田中さんが自分に自信を持っていて、責任感も強いからこそ成り立つ話だ。「責任を持たせてくれない」職場や、「責任を持たせてくれない」マネジャーの下にいたとしたら、もの足りなくなってしまうよね。

リナさんはマネジャーとして、梧籐くんにちゃんと責任を持たせてあげているかい? マネジメントの役割は幅が広いんだ。自分ばかりが責任を背負って、部下に心配させまいとすることは、逆に部下のやる気を削いでしまうんだよ。

椎子 リナさん、こんなところで何やってるんですか?

アンドイロドA リナさんがきのこさんに相談してまーす。

アンドイロドB きのこが男装でリナックスでーす。

アンドイロドC (null)

きのこる先生 こらこら、チャかすんじゃない。リナさんはキミたちのことで悩んでいるんだ。

梧籐 悩みなら、ぼくだってあります。この会社に入って3年たったので、そろそろ次のステージに登りたいんです。

きのこる先生 「3年たった」って何? 実は3年なんていう期間にはあんまり意味はない。むしろ3年我慢するってのはけっこうな強さだね。菌類も経験上、同じ仕事を2年やったら飽きたからね。

でも、だからといってすぐに転職に結び付けるのはおかしいよね。「何か1つやり抜いた」という経験もなく、「周りが3年で転職というから転職を希望します」だと、「転職」がゴールになるかもしれないよ。

転職は目的じゃない。仕事に飽きてきたのなら、仕事のロールを変えたり、社内で移動したり、そういうことでまずはリフレッシュしたらどうかな?

“繰り返し”を感じたら、決断のとき

梧籐 でも、きのこる先生。ぼく、3年間ずーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっと、トラブルシューティングの繰り返しなんです。リナさんには何度もこれじゃイヤだと言ってるんだけど、聞く耳を持ってくれなくて。

リナ だって、トラブルシューティングは楽しいじゃない。

きのこる先生 リナさん、キミはマネジャー失格だな。

きのこる先生 高浦さんは、「繰り返し」に危機感を感じて転職したエンジニアだ。マネジャーがこの危機感を共有できなければ、メンバーもチームとマネジャー自身も成長はない!

そもそも、ソフトウェア開発が繰り返しであるはずがないんだ。この世界は日進月歩、たとえ同じようなプロジェクトでも、同じ考え、同じソリューションでいいわけがない。それなのに梧籐くんが「繰り返している」と感じるのなら、環境が悪いか、ビジネスのやり方が悪いか、梧籐くんのキャリアパスが悪いか、その全部に問題があるかだ。

繰り返していたらそこに疑問を持つのがエンジニアというものだし、それに気付けないリナさんは、マネジャーとしてまだまだだ。

行きたいところに行ける自分を作れ!

アンドロイドA せんせー。アンドロイドも相談したいでーす。

アンドロイドB ぼくたちも転職したいでーす。

アンドロイドC (null)

きのこる先生 うーん。きみたちはまだ、転職できる状態じゃないよね。

ITスキルは、「それを持っていれば、人生をリカバーできる」こともあるぐらい重要なものだ。野上さんも紆余曲折(うよきょくせつ)あったけれど、ITの知識と経験があったからこそ、理想の会社で働けるようになったんだ。

そして野上さんの場合は、「行きたいところに行けるためのお土産作り」がとてもうまかった。関西ではまだ技術者が少ない「CACHATTO(カチャット)」というプロダクトに深く関わりコミットしていたからこそ、その大本の会社に転職できたんだ。

エンジニアを採用する会社だって、自社の製品に詳しい即戦力が来てくれれば、助かるよね。そういうスキルの「お土産」がある人は、転職しやすいんだ。

「ボクはこのようなことができます。そしてこんなことをしてきました」といえる自分になれることは重要だ。アンドロイドくんたちは、まだそんな「お土産」を持っていないだろう?

アンドロイドA ボク、お土産いっぱい持ってます。○○資格に××3級!

きのこる先生 うーん、資格はお土産としては弱いなあ。菌類はそういうIT系の資格は「足の裏に着いた飯粒」だと思ってるよ。取らなければ落ち着かないけれど、取っても食えない。業務知識にマッチした資格ならいいけれど、不必要な努力は意味がないからなあ。

アンドロイドA ぐぬぬ。

アンドロイドB ぐぬぬ。

きのこる先生 ぐひひ。

自分の腕をみがき、自分の腕で未来をつかめ

きのこる先生 自分の「腕」でキャリアをドライブしているエンジニアをもう1人、アンドロイドくんたちに紹介しよう。

きのこる先生 伊藤さんは、行動力があって、基本的な能力が高くて、そのことを自覚している人。だからこそ、ジェネラリストとして「全科目満遍なく平均点以上を取る」ことができるんだろう。究極の器用貧乏ともいえるかもしれない。

本人は「先が読めない」と言っているが、伊藤さんはリサーチ力もある。慎重にリサーチを重ねたからこそ、いざという瞬間はエイヤと身軽に動けるし、「偶然に乗ってみよう」と言えるんだ。「対応できない自分が許せない」という考え方は菌類も親近感を覚えるなあ。結果うまくいってるから「賭に負けたことはない」と言い切れる。なるほどね。

エンジニアは「自分の腕」で仕事を選べる。自分のポリシーに仕事が沿わなくなってしまったら、居場所を作るために「腕」を使えばいいんだ。伊藤さんは「エンジニアになる」という夢をかなえるため、企業をうまく使ったともいえるね。次はたぶん、「自分でビジネスを作る!」という展開になるんじゃないかな。

アンドロイドくんたちも、自分の腕で仕事を選び、運命を切り開けるように、頑張るんだよ。

アンドロイドA ボクたち、ガンバりまーす

アンドロイドB きのこる先生、大好きでーす

アンドロイドC (null)

「カウボーイ」か「ボール拾い」か?

リナ ちょっと、何なの? この茶番。そもそも困っていたのは、アタシのはずよ。それなのに、ドイツもコイツも「転職」「転職」なんて言い出して。アタシを困らせたいの?

アタシだって本当は自分でもガリガリコーディングしたいのに、いいマネジャーにならなくちゃと思って、調整や管理の裏方仕事を1人で引き受けてずっとずっと頑張ってきたのに……。

決めた! 誰よりも先にアタシが転職してやるぅ!

椎子 リナさん、そんなこと言わないでください!

梧籐 ぼくよりも先に退職するなんてズルいですよ。

アンドロイドA ウピーーーッ!

アンドロイドB ウピーーーッ!

アンドロイドC (null)

きのこる先生 ちょっ、ちょっと待って。リナさん。ヤケになる前に「良いマネジャーとはどんな人か」、についてもう1度考えてみようよ。

きのこる先生 ベンチャー企業だと、「できる」エンジニア1人のコード力でガリガリこなしちゃうことがある。これを「カウボーイコーディング」なんていうんだけど、これは秩序に欠けるね。

そこで「マネジメント」が必要になる。ベンチャーが大きくなる過程では、マネジメントが欠かせない。上で紹介した細谷さんは、果敢にマネジメントに挑んでいるよね。

細谷さんは「お客さまの課題解決こそが自分の仕事」と設定しているので、「自分は主役じゃなくてもいい」「『ボール拾い』と見られてもいい」とまで言い切っている。

リナ アタシ、最近ボール拾いしかしてない気がする……。

きのこる先生 ああ、それは問題だ。菌類はね、「マネジメントがボール拾い専任でいいのか」と、常々思っているんだ。リナさんも、そこには気を付けてほしい。まさか「ボール拾いしている自分」に酔っていやしないだろうね。

そんなマネジャーに誰があこがれるかい?

マネジメントの入り口がボール拾いでも、ボール拾いじゃないステージに昇るときがきっと来るはずだ。細谷さんだって、ボール拾いと言いながら、スマホアプリの開発に携わって、マネジメントもして、ディレクションや企画もして、UXデザインもして、つまりサービスに関わることなら何でもやっている。

リナさんも、投げて、打って、走って、ボールも拾う、かっこいいマネジャーを目指してみたらいいんじゃないかな?

「根性」と「気合」で解決できない時代

梧籐 リナさんはいつも「根性、気合が足りない!」って言い過ぎですよね。

リナ コラー! そうやって言い訳している間は気合いが足りないんじゃー!

きのこる先生 こらこら、リナさん。エンジニアたるもの「気合と根性で解決する」だなんて思ってはいけないよ。根性にはサステナビリティ、つまり「継続性」がないからね。

リナ なるほど……。じゃあ、どうすればいいんですか?

きのこる先生 リナさんは、良いマネジャーになるんだよ! これまでの話のいいところをまねして、うまく取り込めばいいんじゃないかな。

リナ カイゼンだぜー!

椎子 イェーイ!

アンドロイドA イェーイ!

アンドロイドB イェーイ!

アンドロイドC (null)

梧籐 (なんか、ちょっと心配だけど)……イェーイ!

※制作:@IT自分戦略研究所 編集部
※@IT Special の記事(2017年1月)に再編集を加えて掲載しています。
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