ITエンジニアコラム:きたみりゅうじのエンジニア転職百景

巻ノ四ハートブレイク、のち転職

ようやくポツリポツリと投稿も集まってまいりました。ありがとうございます!
そんなわけで、今回のネタで私の知人シリーズはひとまず終了。トリをつとめるのは京都府在住K次さんの、愛憎劇からはじまる転職話です。

馬鹿らしい、その脱力感がはじまりだ

自分の嫁さんが職場の先パイとくっついちゃった……などという、実にシャレにならん事態。すったもんだで協議離婚のうえ、「もう関わり合いになりたくないや」とK次さんは退職の道を選びます。
どうせ会社自体ヤバめだったし、もう馬鹿らしくなっちゃったんですよとにかくねぇ。
「ちょうど知人のツテで二社ほど候補もありましたし」……とはK次さん。
時は2000年問題対応が迫られて、業界内がバブルだった頃。仕事だけはあった頃。やたらと忙しかった頃の話です。
そうして彼は知人のツテ……一足お先に転職していたかつての同僚を頼って、「ガラは小さくとも自由な社風を持つ会社」へと就職を決めたのでした。
「転職活動? ボクもそっちに行きたいですーってアピールしたら採用されたんですよ」 ……さすがは自由な社風の会社さんですね。
こうしてK次さんは、客先に常駐して忙しさで傷心をまぎらわしたりなどしつつ、でもそれなりに充実感を抱いたりして、毎日を過ごすことになります。
今の会社に誘ってくれた同僚に病気が見つかるあの日までは。
「なんかな、心臓の何やらっていう病気らしくて、しんどい仕事できんくなってもた
「え?」
ドロドロドロと暗雲の立ちこめてきた瞬間でした。

激務の果てに得たものは……

2000年問題対応のため、仕事はかなりの忙しさでした。それでも前職に比べて年収は50万円ほどアップしたし、裁量権がかなりあるので、忙しいとはいえ理不尽さからくるストレスもありません。
それなりにやりがいのある職場……なはずでした。
ところが突然やってきた同僚のリタイアで様相は一変します。ただでさえ複数プロジェクト兼任でヘロヘロだったK次さん。さらに同僚の残務整理までがのっかってきてしまいまさに激務。もう「やりがい」とかそんな感覚ではいられないのです。
血尿の日々って奴ですか?
そんな日々を支えたのは、自分自身の仕事への責任感と、なによりお客さんとの間で培ってきた互いに対する信頼感でありました。
さて、それからしばらくが過ぎ、2000年が幕を開けます。そしたらまぁあの忙しさはどこへやら。色々あった2000年問題対応のお仕事はすべて消え去って、K次さんのまわりは一気に落ち着きを取り戻したのです。
見事に地獄を乗り切ってみせたK次さん。後に残るは信頼を得たお客さんとの、やりがいに満ちた仕事のみ……のはずでした。
そんなところへ届いたのは、「だったら自社へ戻って、もっと金になる仕事で奔走しろ!」……という上層部の声。ねぎらいの言葉? んなもん微塵もありません。
なんだか理不尽な香りがプンプン漂ってきますね。
K次さん、どうやら二回目の転職活動も近そうです。

オチの一コマ
本日の一句

なんというかK次さん、途中でやはり精神的にヤバい時期もあったようです。要通院というんですかね。これはツラい。
それを乗り越えたことには、素直に拍手の心です。それだけに、あっさり「そこは捨てろ」とされたのは納得いかなかったでしょうねぇとも思います。
二回目の転職活動がうまくいって、そろそろひと休みできることをお祈りしています。きたみアイコン

著者プロフィール

自画像きたみりゅうじ
もとは企業用システムの設計・開発、おまけに営業をなりわいとするなんでもありなプログラマ。あまりになんでもありでほとほと疲れ果てたので、他社に転職。その会社も半年であっさりつぶれ、移籍先でウィンドウズのパッケージソフト開発に従事するという流浪生活を送る。本業のかたわらウェブ上で連載していた4コマまんがをきっかけとして書籍のイラストや執筆を手がけることとなり、現在はフリーのライター&イラストレーターとして活動中。
遅筆ながらも自身のサイト上にて、4コマまんがは現在も連載中。
http://www.kitajirushi.jp/

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