巻ノ七一部上場企業から、小さな会社を選んだワタシ
投稿ネタ第三弾。今回は女性エンジニアさんからお話をうかがうことができました。
将来のキャリアに対して、受け身でいるか前に出るか。そんな選択をしたA沢さんのお話です。
技術をよりどころに、と思うが故に
女性であること、そして自身の性格的なものも含めて、「いつまでも会社に所属しているのは難しいと思う」とA沢さんはいいます。いずれは独立して働けるようになりたい。そう考えた時、この会社で雑用に忙殺される毎日は、危機感を覚えるのにじゅうぶんなものでした。
そもそも、不正行為の片棒担ぐ毎日なんて、そりゃアンタ鬱々たる気持ちにもなりますってばさ。
そんなわけで転職活動です。こんにちは転職情報サイトさん。さぁワタクシめにあらゆる求人情報を与えたまえ~…とあいなったわけですね。
幸い現職はシフト制になっていたため、夜の出社時には昼の時間帯が空いています。ならばと、彼女はここを転職活動の時間に充てて、各社への面接回りを行ったのでした。
将来独立を果たすためには、技術が身につく仕事を選ばなきゃいかん。それが彼女が転職時にもっとも重視した点なのだそうです。そのためにとった彼女の選択は、「自社開発を行う小規模な会社を探す」というものでした。
開発であれば、目に見えるカタチで技術が身につくだろう。小規模であれば、仕事の流れを見渡して、全体像を把握することができるだろう。そう考えたのです。
ほどなくして条件に合致する会社が見つかり、彼女はめでたく自社に辞表を提出することができました。
めでたしめでたし…。はてさて、そうなりますかどうか。
誤算、そして未来のために
新しい会社に入って数日、「?」と思うことがいくつかありました。とはいえ、その具体的な正体は見えません。でもなんか違う、思ってたのとズレがある。そんな気分です。
「なんだろう、この違和感」
A沢さんがその正体を「これだ」といえるようになったのは、入社から半年ほどが過ぎたあたりでした。
この会社に入るまで、彼女が小さな会社に抱いていたイメージは、「社員数が少ないため、オープンで風通しがよい」というものでした。ところがどうもそれは勘違いだったようなのです。
大企業では、意識して情報共有を行わねば、図体がでかいだけに意志の疎通が図れません。そして、それを自覚しているがために、これまで彼女の在籍していた会社では、情報の共有に力を注ぐのは当たり前のことでした。
ところがこの会社ときたら…。
ガラが小さいせいか、放っておいても「伝わるだろう」といった意識が強く、なかなか情報がオープンになりません。「技術を身につけるために」と移ってきた会社ではありましたが、実のところそのために必要な情報を得る段階で、四苦八苦する毎日だというのが実情です。
う~ん、実にストレスフル。
「でも…」と彼女はいいます。
「変えようと思って変えられるのが小さな会社のメリットだろうから、そうした部分の改善も含めてがんばっていこうと思います」
待遇や社員の方に不満はない。そう言い切る彼女は、そんな風に前向きに締めくくるのでした。
なんというか前向きでありつつも、適度に見切りの早そうなちゃっかりさん的側面を併せ持ってたり、常に歩を進めようとする姿勢であったりするところが実にスバラシイ。
確かに独立する素養アリアリですよね。
是非とも技術をモノにして、将来の目標である独立を果たして欲しいなぁと、そう思わずにはいられません。
■著者プロフィール
きたみりゅうじ
もとは企業用システムの設計・開発、おまけに営業をなりわいとするなんでもありなプログラマ。あまりになんでもありでほとほと疲れ果てたので、他社に転職。その会社も半年であっさりつぶれ、移籍先でウィンドウズのパッケージソフト開発に従事するという流浪生活を送る。本業のかたわらウェブ上で連載していた4コマまんがをきっかけとして書籍のイラストや執筆を手がけることとなり、現在はフリーのライター&イラストレーターとして活動中。
遅筆ながらも自身のサイト上にて、4コマまんがは現在も連載中。
http://www.kitajirushi.jp/
■著書紹介
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