巻ノ三十七女だから、女だけど 普通に働こうとするほど、それが一番難しいと気づかされる
女性軽視の会社・風潮。頻繁に聞く話ではありますが、仮に身近で起きていたとしても、男性の側はなかなか気づきづらいものです。
C田さんも、そういう会社で「どうしてよ!?」と不平等さに我慢を強いられた女性の1人。
その現実にガツンとぶち当たってしまった時、果たして彼女はどうしたか。
そんな今回の体験談です。
女……で何が悪いのよ!?
そこそこの給与とのんびりした社風。グループ会社を含めた連結で、1,800億もの赤字が出ても危機感ゼロ。C田さんが勤めていたのは、そんな会社でした。
ある時彼女は、産休明けの女性社員が、復帰してもロクに仕事を与えてもらえない光景を目にします。考えてみればどこを見回しても女性管理職などいない。ひょっとしてこの会社って……。
これにC田さんは、漠然とした不安を抱えることとなります。
決定打は思わぬところから降って湧きました。同期入社だった男性社員たちが、揃いも揃って彼女よりはるかに昇進・昇給していたことが発覚したのです。給与は額面にして月に5万程度の格差。しかし彼らときたら会社も休みがちだし、遅刻もし放題。なにより担当するプロジェクトの規模や質も、C田さんには到底及ばないような低レベルのものばかりだったはずなのに……。
「女だってやればできるんやぁ!!」
そう思って、鼻息荒く意気込んでいたC田さん。ぷしゅるるる……と鼻息がおさまると同時に、やる気も失せてしまいました。
三十路の女性。自身で「ハンデ」と言う、そんな条件をひっさげて、彼女の転職活動は幕を開けることになったのです。
“普通に働けること”が、実は一番難しい
複数の転職サイトを活用して臨んだ転職活動で、C田さんは「社内の評価システムは妥当か、正当に運営されているか」「女性社員の割合とそのポジションはどうか」「社員の表情や行動はどうか」という3点を重視したと言います。中には「青白い顔をして喫煙室でパンをかじってる社員がいた」会社もあったとか。それって私ですかと言いたくなるほど見覚えのある光景ですが、もちろんそれを見た瞬間にC田さんが「ここには行かない」と決めたのは言うまでもありません。
一方、女性アレルギーのない会社を探してはいましたが、「ウチは女性上位だからね!!」と鼻息荒い女性社長さんに会った時は、それはそれで居心地が悪かったのだとか。女性軽視はイヤだけど、女性重視もイヤ。みんなが楽しく、普通に働ける職場がいい……。それがC田さんの望みでした。
そうした転職活動のさなか、会社としてまったく興味を持ってなかったところから、スカウトメールが届きます。当然無視して他の会社と選考を進めていたところ、またまたスカウトメールがピコリンと。
「これだけ熱心に声をかけてくれるということは……」
なんだか運命めいたものを感じたC田さんは、その直感にしたがってスカウトに応じることにしました。すると勤務条件も良いし、面接結果も上々で……。約2カ月続いた彼女の転職活動は、こうして幕を閉じたのです。
それから半年が過ぎた今。「周囲には女性マネージャーも多く、目標ができてハリのある毎日です」とC田さんは言います。プロジェクトの規模は前職よりも落ちましたが、小さいが故に全体を見渡すことができる。そうしたところに、喜びを感じているそうです。
「つらい思いをしながら働くなんてナンセンス。ジタバタしてみて今の環境が変わらないなら、自分が思う環境に行くのもアリ」
これは、C田さんに「転職を考えてる人へ何かひと言」とお願いして、いただいた言葉です。
そこに一貫しているのは能動的な姿勢。転職活動中の話もそうでしたが、自らが求める環境を自らの手で探す……という意志が、はっきり見て取れます。
大成功だったと言って良いC田さんの転職体験談。その秘訣はここにあり! そんな気がいたします。
■著者プロフィール
きたみりゅうじ
もとは企業用システムの設計・開発、おまけに営業をなりわいとするなんでもありなプログラマ。あまりになんでもありでほとほと疲れ果てたので、他社に転職。その会社も半年であっさりつぶれ、移籍先でウィンドウズのパッケージソフト開発に従事するという流浪生活を送る。本業のかたわらウェブ上で連載していた4コマまんがをきっかけとして書籍のイラストや執筆を手がけることとなり、現在はフリーのライター&イラストレーターとして活動中。
遅筆ながらも自身のサイト上にて、4コマまんがは現在も連載中。
http://www.kitajirushi.jp/
■著書紹介
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