ITエンジニアコラム:きたみりゅうじのエンジニア転職百景

巻ノ五十二専門学校でIT講師をやってるんだけども、 臨時雇用なもんで……と行き詰まり

「僕はIT講師」。
響き的には立派ながらも、臨時雇用なので安定しない日々。年を重ねるにしたがい不安が大きくなってきたF岡さん。
そんな彼が、ある日図書館で見たものは……。
いつ、どこに転機があるかわからない。そんな今回の体験談です。

ひとつの紹介記事が、はじまりだったのです

登録派遣という形で、IT系の講師をしていたF岡さん。主に専門学校などで教鞭を執っていた彼ですが、気がつけばその暮らしも6年目となりました。
「これで将来どうなるんだろう」
休職された先生の代理要員を務めることが多かったため、契約はいつも臨時雇用。契約と契約の間にぽっかり空きができて、無職状態になるのも珍しくありません。時給制の給料も決して高額とはいえず、そろそろなにか考えねば……と、30歳を過ぎて以降、彼の焦りはつのるばかりなのでした。
そんなF岡さんが、図書館で調べ物をしていたある日のこと。ふと職業訓練校の紹介記事が、彼の目にとまりました。
「職業訓練校だと、授業料が無料なだけじゃなくて、失業保険をもらいながら通うことができるんだ……」
年齢的に行き詰まりを感じ、かといってなにか資格をと思っても原資がない。そう悩んでいた彼にとっては、まさしく願ってもない話。「これは!」と強く感じるところのあった彼は、さっそく入校を決めたのでした。
そんなこんなで、職業訓練校に入って電気関係の勉強をはじめたF岡さん。やがて電気工事士という国家資格を取得して、「いざ就職を!」と無事卒業を迎えることになったのでした。

資格を生かしたい!

さて、就職活動をするにあたり、F岡さんがまず確認したのは、職業訓練校の卒業生実績でした。どんな会社に、何件くらい就職できているものなのか。そんなことを確認してみたわけですが、これが年度によってあまりにバラつきがありすぎて、今ひとつ参考にはなりません。
それでも、取得した資格が生かせる業種をと電気設備工事会社や、サーバー保守のある情報系企業をあたり、ハローワークや転職サイト、企業ホームページなどを片っ端からあたって50社ほどを受けました。
結果、ハローワークの求人にはすべてはねられてしまうという悲しい目に遭いながらも、なんとかF岡さんはLAN工事の設計・施工業務を主とする会社から内定をもらいます。
「おそらくは、先方の必要とする国家資格を有していたのが決め手になったんではないかと」……とはF岡さん談。
こうしてネットワークエンジニアとして働くことになったF岡さん。まだ仕事に慣れていないこともあって、会社が請け負った仕事の範囲もなかなか見えづらく、戸惑うことが多いのだとか。
「異業種への転職には、それなりの覚悟がいると思います。新たな明るい未来があるか、前の業種に戻るかは自分次第です」
そう締めくくるF岡さん。彼の未来に、明るい光のあらんことを。

オチの一コマ
本日の一句

「手に職を」と考えた時に、コンピュータ業界というのは結構魅力的に映るらしくて、プログラマ時代には「どんな資格を取ればそっちの業界に~うんぬん」みたいなことを幾度か聞かれたもんでした。現場だと結構「資格? だから?」みたいなところがあるので、いや何を取っても関係ないだろうと思っちゃったりしたんですけど、そうじゃないんだなと。
準備運動なんですよね、きっと。
異業種に飛び込むための準備運動として、資格を取るための勉強が効果的なんだなと、今回の体験談を読んで思ったのでした。きたみアイコン

著者プロフィール

自画像きたみりゅうじ
もとは企業用システムの設計・開発、おまけに営業をなりわいとするなんでもありなプログラマ。あまりになんでもありでほとほと疲れ果てたので、他社に転職。その会社も半年であっさりつぶれ、移籍先でウィンドウズのパッケージソフト開発に従事するという流浪生活を送る。本業のかたわらウェブ上で連載していた4コマまんがをきっかけとして書籍のイラストや執筆を手がけることとなり、現在はフリーのライター&イラストレーターとして活動中。
遅筆ながらも自身のサイト上にて、4コマまんがは現在も連載中。
http://www.kitajirushi.jp/

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