ITエンジニアコラム:きたみりゅうじのエンジニア転職百景

著者プロフィール

きたみりゅうじ
もとは企業用システムの設計・開発、おまけに営業をなりわいとするなんでもありなプログラマ。あまりになんでもありでほとほと疲れ果てたので、他社に転職。その会社も半年であっさりつぶれ、移籍先でウィンドウズのパッケージソフト開発に従事するという流浪生活を送る。本業のかたわらウェブ上で連載していた4コマまんがをきっかけとして書籍のイラストや執筆を手がけることとなり、現在はフリーのライター&イラストレーターとして活動中。
遅筆ながらも自身のサイト上にて、4コマまんがは現在も連載中。
http://www.kitajirushi.jp/

著書紹介

キタミ式イラストIT塾
「ITパスポート試験」 平成22年度


出版社:技術評論社
定価:¥2,079(税込)
http://www.amazon.co.jp/dp/4774142026


★このコーナーが本になりました!
SE・エンジニアの
本当にあった怖い転職話


出版社: 毎日コミュニケーションズ
定価:1,470円(税込)
 

やってきました第百話。いよいよこれで、本連載も終了です。
というわけで、今回は最後の最後として、これまで体験談を見聞きしたなかで筆者が抱いた「転職観」について総括したいと思います。

アメリカはデトロイトで働いていたおバカな友人の転職例

自分の友人に、ちょっと前まで「世界的なバカでっかい自動車メーカー」で働いてた男がいます。そのためにアメリカのデトロイトへ家族そろって移住していました。
学生時代からの友人なんですけど、基本的におバカなやつなのです。だから大学卒業時もあんまりよくわからない選択をして、小さな小さな「街のモニュメント設計屋さん」に就職を決めました。あ、モニュメントというのはあれです。よく駅の前や公園なんかにそびえたってる得体の知れない形をした銅像とかのやつ。あれを設計しておったてるのが仕事だったわけです。
ところがこの会社、仕事は楽しいんだけど給料が安い。基本的に欲のない男なので、当初はあまり問題にしていなかったんですが、彼女との結婚を考え出したあたりで「これじゃ食わせられない」と壁にぶち当たりました。
壁にぶち当たって悩んだ挙げ句に退職して、外国へ自分探しの旅に出た……と思ったら即座に腹を壊して緊急帰国&緊急入院。実に香ばしい迷走を重ねた結果、考えて考えて、フリーで働くようになり、考えて考えてさらに数年。そしてデトロイトで働くようになりました。
世界的な不況の到来により、今ではデトロイトの会社から日本へと彼は舞い戻ってきてますが、その口から「後悔」の2文字を聞くことはありません。たぶんこの先もないことだろうと思います。
自分とその家族とを食べさせるために「自分になにができるか」「どんな仕事ならがんばれるか」と真っ正面から向き合って、考えて、「しょうがない」なんて思考停止せずにがんばる彼の姿。
すっかり自慢の友人です。

後悔を生む転職とそうじゃない転職と

彼の口から「後悔」の2文字が出ないのは、きっと「そこでしか得られないなにか」を考えた末の転職活動だったからだと思っています。
彼の場合は、「CAD設計の最新技術を勉強して我が身に取り込んでいける職場」を求めた結果が前述の流れを生みました。だから、景気が悪くなって給料が上下しようが、最終的に国内へ帰る結末に至ろうが、「転職は失敗だった!」なんてことにはならないんですよね。求める情報、環境を得るために、それに近い職場へ移った。それがなくなったのなら、また次を探せばいいだけ。
人に与えてもらうのではなく、自分で得ようと動く感覚でいるからこそ、周囲の動向にいちいち振り回されずに済む。だから後悔もない。そういうことなんじゃないでしょうか。
考えてみれば、自分の転職活動もそういうところがありました。システム開発会社勤務からの転職を考えた時、自分は「給料・待遇」という面よりも、「パッケージソフト開発が経験できる職場」探しに奔走しました。結果として見つけた会社は転職後半年を待たず消えてしまったので、世間的には「転職失敗例」になるのだと思います。でも、自分が知りたい現場、情報にタッチすることができたので、本人的には全然失敗でもなんでもないんですよね。
給料、待遇は景気次第でいくらでもブレます。じゃあ職選びに際して「自分にとってのブレないもの」はなにか。それをとことん考えることが、転職を後悔「する」か「しない」かの境目となるような気がするのです。

「未来の自分」マイナス「今の自分」は「なりたい自分」への課題なり

私は、講演などで転職について話をする時に、よく次のようなことを言います。
「60歳になった自分がどんな自分であればうれしいか考えて、今の自分の選択がそこにどんな影響を与えるか想像してみてください」
働くというのは、一部の恵まれた人を除いて、ほぼ一生涯続きます。その生涯を費やした結果として、自分はどうなっていたいのか。どんな家族を持ち、どんなところに住んで、どんな毎日を過ごすようになっていたいのか。
そして、そんな「なりたい自分」と今の自分とを比較して、何が足りてないのか。何を補強すればそこに近づいていくことができるのか……。
転職にあたっては、そんな意識を頭のどこかに置いておくことが必要じゃないかと考えるからです。
本連載を通して見聞きした体験談が99話。掲載に至らなかったものも加えればその倍では収まりません。そんな中で「転職に苦労する」「転職に失敗する」という人の多くは、「今の自分の感情にとらわれすぎている」「今の自分の問題にとらわれすぎている」場合が多いように思えました。
「今のこれをなんとかしたいから転職する」
でも、その問題が消えても、新しい問題とコンニチハするだけだったら意味がないんですよね。
転職というのは、今の自分と未来の自分とをつなぐ道程に、軌道修正を加えるものなんだと思います。だから見るべきは「今」じゃなくて「未来」ではないでしょうか。

転職百景と掲げたタイトル。そこにある転職模様は十人十色で百人百色で、映し出される景色はさまざまです。でも、その景色の主役は、景色を生み出したその人自身であるべきです。その人が意志を持って、どんな風景を見たいと思うのか……。
それは後ろを振り返って眺める景色ではなく、目の前に大きく広がる青空であってほしい。
そんな風に思うのでした。

オチの一コマ

本日の一句

転職は、目的地へ近づくための軌道修正を図るチャンスです。足元がぐずぐずの沼地だからといって、「足元がぐずぐずじゃないところ」を探しても、目的地には近づきません。新しい場所を探す時に、「今の足元がどうか」なんて関係ないんですよね。
今のぐずぐずに対して据えかねるものは、すべて「辞めてやる!」の言葉にのせて吐き出して、そしたら気持ちを切り替えて、あとはスッキリした気持ちで前を向きましょう!
本連載はこれで終了いたしますが、今後もみなさんの転職が良きものでありますように。そして、充実した仕事人生活が送れますように。
これまでのご愛読、本当にありがとうございました!きたみアイコン

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