

【2020新入社員の意識調査】半数以上が「10年以内に退職予定」、会社のコロナ対策が勤続予定年数にも影響!?
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4月7日に公示された新型コロナウイルス感染症(以降、新型コロナ)感染拡大防止のための緊急事態宣言に伴い、外出自粛やソーシャルディスタンス徹底が喚起されたのは記憶に新しいところです。以降、日本中の多くの企業で、テレワークや在宅勤務の導入、対面接触による感染リスクを減らす取り組みなどさまざまな対策が実施されました。
そんななか、入社式や研修の中止などこれまでとは違った状況下で社会人としての第一歩を踏み出すことになった2020年度の新卒新入社員は、自らが入社した会社にどのような意識を持っているのでしょうか。
今回、マイナビ転職では、2020年度新卒新入社員を対象に、独自の調査を実施しました。会社に対する印象の入社後の変化や新型コロナ対策への満足度、勤続予定年数、上司や先輩社員との距離感の悩みなどが明らかになりましたので、ご紹介します。
※調査対象は、2020年4月に新卒で入社した新社会人、22歳~23歳の男女800人。WEB調査で2020年7月31日(金)~8月3日(月)までに行ったアンケート調査を基にしています。
緊急事態宣言下で、新入社員はどんな働き方をしていたのか?
まず初めに、今年の新入社員が入社してから現在に至るまでの勤務スタイルについて聞きました。
緊急事態宣言解除前までの勤務は、「在宅・テレワーク(週1回以上)」だったと答えた人が56.5%。うち、「すべて在宅勤務」は33.8%でした。これに対し、「すべて出社勤務」だったと答えた人は38.9%。半数以上の人が、緊急事態宣言下で、週1回以上の在宅・テレワーク勤務をしていたようです。
しかし、緊急事態宣言解除後となる2020年7月になると、勤務スタイルは一転。週1回以上在宅・テレワークを行っている人は22.1%に低下し、「すべて出社勤務」と答えた人が75.9%に上昇しました。多くの企業では、緊急事態宣言解除に伴い、会社への出勤を前提とする従来の勤務スタイルへと戻りつつあるようです。
[ 緊急事態宣言下の働き方 ]

入社後の会社へのイメージが「悪い方向に変わった」人は、昨年より7.9ポイント増加
会社に対するイメージは入社前と比べて、どう変化していったのでしょうか? 「良い方向に変わった」と答えた人は25.9%。「悪い方向に変わった」と答えた人は、20.3%でした。
昨年の新入社員に実施した同調査と比較すると、良い印象に変わった人の割合は、3.0ポイント減少し、悪い印象に変わった人が7.9ポイント上昇するという結果に。今年の新入社員は、前年の新入社員よりも入社後に会社に対してネガティブな印象を持つ傾向が見られました。
[ 入社後の会社の印象変化 ]

半数以上の新入社員が「10年以内に退職予定」と回答、「定年まで」は2割を切る
併せて今年の新入社員の勤続予定年数を見ると、今の会社で働くのは「3年以内」と答えた人の割合は、28.0%と約3割。昨年の22.1%よりも、5.9ポイント増加しました。一方、「定年まで」働くと回答した人の割合も2割を切り、減少しています。
[ 勤続予定年数 ]

では、なぜ入社した会社に定年までいると思わないのでしょうか。今の会社で働き続けると思わない理由を聞いたところ、「ライフステージに合わせて働き方を変えたいから」(38.1%)、「転職でキャリアアップしていきたいから」(35.8%)などが上位に。
昨年と比べると、理由ごとに5ポイント程度の差は見られるものの、主な理由として挙げられた上位5位は同じ結果となりました。自らのライフステージや求める仕事に合わせて会社を変えていくというキャリア観は、若者の間では定着しつつあるのかもしれません。
[ 今の会社で長く働き続けたいと思わない理由 ]

コロナへの対応で明暗? 会社の新型コロナ対応に不満がある新入社員の半数が3年以内に転職を予定
ところで、新型コロナは新入社員の意識に影響を与えているのでしょうか?
まず、会社が行った新型コロナ対応への満足度を見てみると、「とても満足している」「やや満足している」と答えた人は計51.9%。反対に「あまり満足していない」「まったく満足していない」など、不満を感じている人は計22.6%でした。
[ 会社のコロナ対応への満足度 ]

次に、会社の新型コロナ対応への満足度と入社後の会社へのイメージの変化の関連性を見ていきましょう。 会社のコロナ対応に満足していない社員の約5割が「会社のイメージが悪い方向に変わった」と回答。この割合はコロナ対応に満足している社員(8.4%)の約6倍にも当たります。
反対に、会社のコロナ対応に満足している社員は「会社のイメージが良い方向に変わった」が4割近くに上り、不満がある層の9.4%を大きく上回る結果となりました。会社のコロナ対応が新入社員の会社への評価に大きな影響を与えている様子が見てとれます。
[ コロナ対応への満足度×会社の印象変化 ]

更に、会社の新型コロナ対応への満足度と勤続予定年数の関連性を見てみると、会社の新型コロナ対応に不満がある社員のほうが勤続予定年数は短くなる傾向にあり、逆に満足している社員では長くなる傾向が見られます。
新型コロナ対応に不満がある社員の約半数が新卒で入社した会社を3年以内に退職する予定で考えているという結果となりました。「企業がいかに社員に納得してもらえる形で新型コロナ対応をできるか」が、今後新入社員の定着率に影響してくるかもしれません。
[ コロナ対応への満足度×勤続予定年数 ]

「非テレワーク利用者」と「テレワーク利用者」で異なる、評価された企業のコロナ対応とは
では、新入社員は、会社の新型コロナ対応でどのような点を評価しているのでしょうか? 「満足している」と答えた人たちに満足の理由を自由回答で聞いたところ、接客業など現地で仕事をしなければならなかった非テレワーク利用者と、在宅で仕事ができたテレワーク利用者とでは、評価のポイントが異なる結果になりました。
【会社の対応に満足している非テレワーク利用者】
- 医療機関なのである程度のリスクはありつつも、そのなかで対策を頑張っていると感じるから(女性)
- 現場職なので対面接触は不可欠だが、それを軽減するための措置は早かった(男性)
- 接客業としてお客さま向けの対策がしっかりとマニュアルとして組まれている(女性)
- レジや受付に、垂れ幕を設置してくれるところ(女性)
- マスク配布や換気などを徹底している(女性)
- 現場がなくやむを得ず休む場合、休業手当てが出るため(男性)
【会社の対応に満足しているテレワーク利用者】
- 基本的に在宅勤務で、出社の場合は時差出勤も認められている(男性)
- ずっと自宅で研修でも、給料が入ってきているから(女性)
- 研修期間中、在宅勤務(オンライン研修)が快適にできる環境であった(男性)
- ゾーニングや、職種による在宅勤務導入、そのまま新しい働き方として在宅を認めるなど、コロナに対応して変化を実現したところ(男性)
このように、テレワークを利用できない環境の新入社員も、会社が迅速に、できうる限りの感染対策を行っていると感じとれる部分があれば、プラスの評価になっていたようです。また、休業の場合に手当や補償があったことも評価につながっている様子でした。
テレワーク利用者の場合は、在宅勤務ができること自体への評価のほか、オンラインでスムーズに研修や勤務ができたこと、在宅での研修に対してもきちんと対価が支払われたことなどに評価が集まっていました。
在宅・テレワーク期間中に悩み・不安はあったのか? どんなことなのか?
新型コロナの影響で導入が進んだ在宅勤務やテレワーク。しかし、会社になじめないうちに在宅勤務やテレワークをすることになった新入社員のなかには、不安を感じる人も少なくなかったようです。
在宅・テレワークに対する不安や悩みのトップ2は、「質問や相談がしにくい」(38.7%)、「オン・オフの切り替えが難しい」(37.2%)でした。上位10位までの傾向を見ると、相談しにくい、距離が縮まらない、温度感が分からないなど、リアルな接点が少ないがゆえに生じる不安や悩みを感じる人が多い結果に。
また、「していること・進め方が分からない場面が多々ある」(28.3%)、「業務知識・スキルが身に付かない」(26.3%)、「何をしていいのか分からない場面が多々ある」(25.3%)など、業務の遂行に不安を抱える人も多かったようです。
[ 在宅・テレワーク期間中の不安 ]

在宅・テレワークを利用した新入社員は、人間関係の希薄さに悩む傾向あり
在宅勤務やテレワークの導入は、新入社員の人間関係構築にも影響を及ぼしていたようです。まず、新入社員全体の人間関係に関する悩みを見ると、「苦手な人がいる」(22.1%)、「同年代が少ない」(21.5%)、「会話・話が難しい」(17.1%)、「付き合い・交流が少ない」(16.4%)などが上位となっています。
そのなかで、在宅勤務やテレワークを利用した社員は、すべて出社で勤務していた社員に比べ、「会う機会が少なく、人となりが分からないためコミュニケーションがしにくい」、「付き合い・交流が少ない」の割合が高い結果に。直接対面で上司や同僚と顔を合わせる機会がないからこそ、人間関係の希薄さに不安や悩みを持っている様子がうかがえました。
これに対し、すべて出社で勤務をしていた社員は、「苦手な人がいる」(31.2%)と感じている人の割合が、在宅勤務やテレワークで働いていた社員より高い結果になりました。業務でほかの社員とかかわりが増えるにつれ生じる悩みは、昨年同様あるようです。
[ 会社の人間関係の悩み ]

新入社員が、会社や上司・先輩に期待することとは?
今後も、社員同士のリアルなコミュニケーションが取りづらい状況は続くことが予想されます。そんななかでも、新入社員が会社や上司、先輩に期待しているのはどんなことなのでしょうか?
「入社後、会社や上司・先輩にやってもらって良かったこと、または、これからやってほしいことは?」という問いに対して、トップに挙がったのは、「話し掛けてもらえる・雑談してくれる」(62.5%)でした。続いて、「OJT(実務を通じての/実務をしながらの教育)」(45.3%)、「自分がやった業務についてアドバイスやコメントが定期的にくる」(38.9%)、「ランチ・食事に誘ってくれる」(30.6%)など。
業務外のかかわりを通してでも、距離感を縮めたいと望んでいる新入社員が多いようです。
[ 人間関係で上司や先輩に期待すること ]

ここまで、アンケートを通じて2020年度の新入社員の勤続予定年数、新型コロナ対応への満足度、人間関係の悩みについてご紹介してきました。昨年の調査と比べ、勤続予定年数は「3年以内」の割合が増え、「定年まで」の割合が減るなど、会社への帰属意識の減退ともとらえられる傾向となっています。
また、会社が行った新型コロナ対応が、勤続予定年数や会社に対する評価に大きな影響を与えていることも分かりました。Withコロナ時代において、貴重な若い人材を会社へ定着させていくためには、いかに社員の安全を考えた取り組みを行っていくかが人材を引きつける重要なカギになりそうです。
人間関係に関する意識にも、変化が見られました。一時期は、若い社員は「飲みニケーション」に代表される社員同士の交流を嫌がる風潮が取りざたされていましたが、特に人間関係が希薄化しがちな在宅勤務・テレワーク利用者では社員同士の交流を求める人が一定数見られました。
総じて、在宅勤務・テレワークにおけるコミュニケーションの難しさは、既存の社員間でも指摘されていたことです。ましてや、会社生活に慣れず人間関係も十分に築けないまま在宅勤務・テレワークを始めることになった新入社員は、特に不安に思う部分があったと推察できます。
しかし、それでも新入社員が上司や先輩に対してもっと交流したいとポジティブな感想を抱いているのは、新入社員を受け入れる側が対応を限られるなかでもでき得る限りのフォローをしようと腐心した成果と、捉えることもできるのではないでしょうか。困難な状況下での社員の対応力、会社の人材力が新入社員の意識に影響を持つと言えそうです。
マイナビ転職 編集部
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【調査概要】マイナビ転職『2020年新入社員の意識調査』
調査期間:2020年7月31日(金)~8月3日(月)
調査方法:2020年卒の新入社員を対象にWEB調査を実施
有効回答数:800名(内訳:22歳~23歳の男性400名、女性400名)
※調査結果は、端数四捨五入の関係で合計数値と合わない場合があります
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【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社マイナビ
転職情報事業本部 サイト戦略広報部 ブランド推進課
Email:mt-brand@mynavi.jp
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