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ブラック企業とは? ブラック企業アナリストが語る「ブラック企業の定義」とは?

企業の労働環境改善やコンサルティングを行い、ブラック企業アナリストの肩書きを持つ新田 龍氏が語る「ブラック企業の定義」や、「ブラック企業であるかの判断基準」とは?

目次

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    「いい会社」と「ブラック企業」の定義は人によって違う

    本来の意味でのブラック企業とは、労働法規を守ろうとせず、従業員を大量採用し、低賃金のままで長時間労働を強い、結果的に彼らを使いつぶしてしまうような企業や組織を総称したものである。

    まじめに働いていこうとする人の意欲を打ち砕くような、悪意あるブラック企業は実際に存在し、その脱法的な行為や、管理職による部下へのパワハラ的な言動はしばしばニュースをにぎわせる。もちろん法律違反は許されないが、たとえ同じ会社や仕事でも、それを「ブラック」と感じるかどうかの基準は、個々人の価値観によって異なるものだ。

    莫大な赤字を垂れ流し、平然と大量リストラをやっていても、「大手有名企業」というブランドだけで応募者が殺到する会社がある。一方で、高収益で成長していても、「ハードワークでプレッシャーが厳しそう」というイメージから、「ブラック企業」と呼ばれる会社もある。

    これらはどちらが良い/悪いという話ではなく、あくまで働く個々人が何を重視するのかという価値観の問題であり、当事者ではない周囲の意見に振り回される必要はないのだ。

    「いい会社」と「ブラック企業」は表裏一体なところがあり、こちらを重視すればあちらが立たない、といったことが起こり得る。そこで今回は、「何をもって『いい会社』とするか」「どんな要素があれば『ブラック企業』と感じるか」について考えてみよう。

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    それは「 “誰”にとっていい会社」なのか?

    「顧客にとっていい会社」は、ユーザーとして利用する分にはありがたい存在だ。例えば、いくつかの大手飲食チェーンでは1食を500円未満で食することができる。全国均一のクオリティで、迅速に提供もしてくれ、24時間365日営業しているところもある。

    しかし、従業員目線で考えれば、少ない人数で大量のオーダーをさばかねばならず、深夜は強盗に襲われる危険もある。更に、店長レベルの仕事をこなせても契約社員止まりで、正社員への登用も狭き門ということになれば、なかなか大変な環境かもしれない。

    一方、「株主にとっていい会社」は、投資家や、税金を納めてもらえる国や自治体、そこに我が子を入社させたい親にとってはいい会社だ。強みを持った商材で業績は好調であり、もうかっている。借金も少なくて当面はつぶれる心配もなく、世間からも「いい会社」と呼ばれることだろう。

    しかし、これも従業員目線で考えると、厳しい面があるかもしれない。同業他社に比べてもうかっている会社は、それだけ目標値や納期、クオリティなどの面で従業員への要求水準が厳しいことが多く、同じ時間働くにしても、その時間中の仕事の密度は明らかに濃いはずだ。1日の勤務を終えるとヘトヘトな毎日…… ということも考えられる。

    では、「社員にとっていい会社」はどうだろう。給与は高く、やりたい仕事ができ、ブランドがある大企業……。「人気企業ランキング」などの上位にランクインしている会社などが当てはまるかもしれないが、これもリスクがないわけではない。実際筆者は、そのような会社で働く人から「仕事はラクでプレッシャーもほぼないため居心地は良いが、ルーティンの社内業務中心で成長している実感がまったくない」「上の世代が詰まっているため出世が遅い。かつその世代はギリギリ逃げきれると考えているのか、やる気は見られないのに会社にはしがみつこうと必死」といった声を聴いてきた。今の労働環境や待遇が良ければ良いほど、会社倒産やリストラなどに陥った時に、「ほかに行き所がない」といったネガティブな状況へと一気に変わってしまうだろう。

    【図1】見る人の立場によって「いい会社」の定義は異なる

    【図1】見る人の立場によって「いい会社」の定義は異なる

    1日20時間労働、厳しいノルマ、強烈なプレッシャーという一見「ブラック」な環境でも不満を持たなかった理由

    ちなみに、私がかつて在籍していた2社の企業はどちらもブラック企業の話題では必ずと言っていいほど名前が挙がる企業で、労働環境が劣悪だった。月100時間超の残業は日常だが残業代は一切出ず、上司からは常に叱責される日々…… これは明らかに「ブラック」認定レベルなのだが、私個人としては、過去在籍した会社に対する不満はまったく持っていないのだ。

    なぜならその2社では、「私が社会人生活で得たいと願っていたものが得られた」からだ。当時私が欲していたのは「給与」や「居心地の良さ」とか「ワーク・ライフバランス」といったものではなく、責任ある立場でプレッシャーのある仕事をこなしていくという「経験値」であり、将来的な独立に資するような「知見」、「人脈」などであった。その点、在籍企業の仕事はハードで居心地も決して良くはなかったが、「自分自身の価値観には合っていた」ということになる。

    この構図は逆のパターンも当てはまる。いくら高給で知名度がある優良企業に在籍していても、日々ハードな労働環境であれば、「自分の生活を犠牲にしてまで働きたくない……」「プレッシャーが厳しい環境はイヤだ……」と感じる人にとっては職場が苦痛でしかないだろう。
    このように、何を「いい会社」とするか、何を「ブラック」とするかという判断基準はかなり相対的、かつ個人的なものなのである。結局は「その人の価値観ととらえ方次第」だと言えよう。

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    「給料がもらえない」と「給料が上がらない」の大きな違い

    例えば、ある人が「サービス残業を強要されているのでブラックだ!」と言い、ある人は「給料が全然上がらなくてブラックだ!」と訴える。どちらも大変な状況に変わりはないのだが、これら2つのケースは、法的にはまったく別の扱いになってしまうのだ。

    前者(サービス残業)は、労働基準法第37条で定められた「時間外労働分の割増賃金を支払う」という条項に違反しており、明らかに「違法」である。しかし後者(給料が上がらない)は、「その会社にそもそも定期昇給制度がない」もしくは「昇給するだけの働きができていない」という話であり、それだけでは特段法律に反しているわけではなく、すなわち「合法」※となる。
    (※ただし、厚生労働省によって都道府県ごとに「最低賃金」が設定されており、1時間当たりの給与が当該金額より低い賃金で人を働かせると違法になる。これはアルバイトやパートのみならず、正社員の給与を時給換算した場合でも適用される。地域別最低賃金の全国一覧は、厚生労働省のウェブサイトで確認することができる。)

    【図2】企業の「違法」と「合法」を隔てる線

    【図2】企業の「違法」と「合法」を隔てる線

    この図2の真ん中に流れる「黒い川」のようなものが、「違法」と「合法」を隔てる線である。
    「違法」は明らかにNGで、絶対にやってはいけないこと。「合法」については「だからやっていい」わけではないが、その会社が独自に設定した基準に即して運用されていて、労働者との間で合意できているのであれば問題はないのである。

    多くの場合、このような形で違法なものも合法なものも全部一緒くたにして、怪しいことは全部「ブラックだ!」と言うから訳が分からなくなるのだ。

    なお、以前は「合法」エリアにあったものが、時の流れを経て今は「違法」になった、という要素もある。代表的なものが「パワハラ」だ。これまではパワハラに関する法律の規定がなく、防止についてもあくまで「努力義務」だった。しかし2020年6月1日(大企業は2020年6月1日。中小企業は2022年4月1日)、いわゆる「パワハラ防止法」が施行。パワハラの定義が法律で明確化され、職場でのパワハラ防止と解決が「事業主の義務」となった。このようなハラスメントに限らず、労働環境に対する世の中の考えは厳しくなっているので、この「違法」「合法」の境界線は今後も変わっていくことになるだろう。

    ※図2注
    ・給料が安い⇒「最低賃金」以上であれば合法
    ・残業が常態化⇒「36協定」に違反するともちろん違法だが、残業続きでも協定範囲内で、労働時間に見合った残業代がきちんと支払われていれば合法

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    「ブラック企業」の判断基準も、相対的・個人的なもの

    世間一般的には「ハードワーク」「低賃金」「プレッシャー」=「ブラック企業」ととらえられているが、これらはいずれも相対的な判断基準である。例えば、「毎日21時過ぎまでの残業」という条件は、ある人にとって「すごく慢性的なハードワーク……」と映り、別の人にとっては「今の会社よりだいぶマシ……」「残業代がキッチリ出るなら、むしろ稼げてラッキー」と認識されるかもしれない。世間一般で言われているブラックな状況は、もしかしたら「自分にとってはどうってことない」と感じられることもあるだろう。

    一見、「ハードワーク」「ノルマがキツい」「高い要求水準やプレッシャーがある」と思われる企業であっても、「それでも成長したい」「スキルを身に付けたい」「稼ぎたい」という人には向いていることもある。

    「多少ハードワークでプレッシャーも厳しく、世間から『ブラック企業』とも呼ばれているが、自分はそんな環境で成長したいし稼ぎたい。だからその企業を選ぶ」という選択肢もあって良いわけだ。

    その会社があなたにフィットしていて、長く勤められるようならそれで良し。もし何かしらのミスマッチがあって転職することになったとしても、その人のブラック企業勤務という経歴は転職市場において立派に機能することもある。

    先日も、採用にまつわる打ち合わせの席で、某大手損害保険会社の採用責任者がこのように述べていた。
    「当社では法人損害保険代理店を起業することを前提とした研修制度を用意していますが、その制度を活用し、成功された方の中には、正に『ブラック企業』で営業スキルを磨かれた経験をお持ちの方が多数います。彼らに言わせれば、当社の仕事はブラック企業時代に比べてプレッシャーが少ないとか、社会的に意義のある商材を扱っているといった点で、皆やりがいを感じている様子です。採用責任者として、そのような人材を一人でも多く採用したいのです」と。

    個人の価値観やとらえ方によって「ブラック企業」の判断基準は異なる。更に、実現したいキャリアによって、「ブラック」と呼ばれる企業で働くことはメリットになるかもしれないことも覚えておきたい。

    新田 龍さんのプロフィール写真

    ライティング/新田 龍(にった りょう)

    働き方改革総合研究所株式会社代表取締役、ブラック企業アナリスト。
    「労働環境改善支援」と「ブラック企業相手のこじれたトラブル解決」が専門。各種メディアで労働問題・ブラック企業問題を語り、優良企業は顕彰する。ブラック企業ランキングワースト企業出身、厚生労働省ハラスメント対策企画委員。「ワタミの失敗」「人生を無駄にしない会社の選び方」他著書多数。

    編集/株式会社スペースシップ 当記事は2020年6月時点の情報です

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