決算賞与とは? 転職前に知りたい決算賞与の概要を解説
更新日:2024年12月18日
監修者岡 和恵
税理士、CFP、認定経営革新等支援機関
記事まとめ(要約)
- 決算賞与は、会社の業績によってもらえる「臨時ボーナス」のようなもの
- 通常のボーナスとは別の時期に支払われる
- あくまで業績が良かった場合に支給される
- 支給されるかどうかは、会社によっても異なる
決算賞与は、多かったり少なかったり、もらえなかったりと、毎年安定して出るものではありません。また、会社によっては、決算賞与自体が支給されない場合もあるでしょう。決算賞与がもらえる会社に転職するためには、決算賞与について詳しく知っておくと役立ちます。
この記事では、「決算賞与がどのようなものか」「どのくらいもらえるものなのか」「どんな会社がもらえないのか」について解説します。
決算賞与とは? 通常のボーナスとどう違うの?
決算賞与は、通常のボーナスとどう違うのでしょうか。
賞与とは?
まず、賞与とは、企業が支給額や支給時期を自由に定めることができる報酬のことです。毎月支払われる給料とは別に支給されます。
支給額も決まっておらず、企業の業績や個人の成果に応じて決定されます。
賞与の中には、夏季・冬季の年2回支給されることが多い通常のボーナスのほか、決算後に支給される「決算賞与」があります。
決算賞与と通常のボーナスの違いとは?
決算賞与は通常のボーナスとは別の時期に支払われます。
また、通常のボーナスは企業の業績が極端に悪化しない限り、毎年支給されることが一般的です。一方、決算賞与はあくまで業績が良かった場合に支給されるという違いがあります。
更に、金額も通常のボーナスとは異なっている場合が多いとされています。
決算賞与は会社の業績によってもらえる「臨時ボーナス」のようなものだと理解しましょう。
ここからは、決算賞与の支給時期と金額、支給対象、支給理由について解説します。
決算賞与の支給時期は?
決算賞与の支給時期は、一般的には3月や年末になります。これは、多くの会社がこれらの時期を「決算月」としているからです。会社によって事業年度末は異なるため、勤務している会社や、これから転職する会社の決算月は把握しておくといいでしょう。
決算賞与の支給時期は、法人税法施行令によって「事業年度終了の日の翌日から一月以内」に支給したものが法人税法上の「損金」になるため、決算後1カ月以内の支給が多くなります。支給される場合、文書で通知されますが、口頭通知される場合もあるので注意しましょう。
支給金額は通常のボーナスより高い? 低い?
決算賞与の金額は、会社の業績により変動するものなので、どのくらいもらえるかを予想するのは困難でしょう。
基本的には、その年度内の余剰利益を従業員で分配する形になるので、通常のボーナスよりも金額が少なくなることも多いでしょう。業績に大きく貢献した人や勤続年数が長い人などに多く分配される場合もあります。
また、あくまで余剰利益である点にも注意が必要です。大きく利益を上げたとしても、設備投資や新事業の立ち上げなどに使われた場合、「余剰な利益」が減るため、決算賞与の支給額が減るケースも考えられます。
決算賞与の支給対象は?
一般的に、決算賞与の支給対象とされるのは全正社員です。ただし、これは法令などで決まっているわけではなく、会社が決めることなので、パートやアルバイトとして働いている従業員にも支給される場合があります。
「労働条件通知書」「就業規則」「雇用契約書」などに賞与を支給する旨の記載があるため、気になる人は確認してみてください。
転職する場合、決算賞与ありと記載がある会社は余剰利益によって支給されますが、記載がない場合は面接などで質問しておくと良いかもしれません。
会社が決算賞与を支給する理由は?
会社が従業員に決算賞与を支給する大きな理由として挙げられるのは、従業員のモチベーションアップのためでしょう。
年度内で大きな利益を出すと、その分税金も増額されてしまうため、全額を手に入れることはできません。それなら、できるだけ従業員に還元することで、モチベーションを上げ、次年度にもっと利益を上げてもらえるようにしたほうが、会社としても得をするでしょう。
また、特にがんばった従業員には多めに決算賞与を支給することで、がんばれば、がんばっただけ決算賞与が増えるという意識を従業員に定着させることができます。そのため、決算賞与を一律にしない会社もあります。
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決算賞与はいくらもらえるの?
決算賞与は利益によって変わるため、平均額を出すことは困難です。では、もらえる額の幅などは想定できるのでしょうか。また、手取りの金額を算出することは可能でしょうか。
決算賞与の目安とは
結論から言うと、決算賞与の額は不明です。数万円から数カ月分までかなりの幅があると考えていいでしょう。
というのも、決算賞与の支給額を求めるためには、その期の余剰利益を想定しなくてはいけないからです。たとえ利益が想定できたとしても、その利益を新事業や設備投資に使った場合、余剰利益にはなりません。社員に分配せずに、会社で保持しておく可能性もあります。
また、会社によっては業務成績や勤続年数によって支給額が変わる場合もあります。これらの理由から、決算賞与がどのくらいもらえるかを考えるのは難しいと言えます。
決算賞与の手取り概算額を求めるには
決算賞与の金額が分かれば、手取りがどの程度なのかは想定することができます。決算賞与の手取り額は、賞与総額から社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料)と所得税を引いたものになります。労災保険料や住民税は引かれません。
計算が面倒だと感じる人に、簡単に概算を求める方法を紹介します。それは、賞与総額を0.7~0.8倍するという方法です。
社会保険料と所得税の合計が大体賞与総額の2割~3割程度になるため、単純に総額を0.7~0.8倍するだけで、概算できるというわけです。すぐに手取り額が知りたい人は試してみましょう。
決算賞与がもらえない会社って、どんな会社?
決算賞与は、会社に勤めていたら絶対にもらえるというわけではありません。赤字決算ならその年度はもらえないでしょうし、会社によっては、そもそも決算賞与がもらえないところもあります。ここでは、決算賞与がもらえない場合について解説します。
待遇は会社によって異なるのであらかじめ確認が必要
決算賞与が支給されるかどうかは、会社によって異なります。年度ごとに方針も変わってくるため、利益を出せば毎年もらえると考えるのもやめたほうがいいでしょう。設備や新事業への投資だけでなく、黒字倒産を避けるために支給しないケースも考えられます。
売掛金回収のタイミングがずれたり、在庫管理が不十分なケースでは、利益を出していても急な支払いができずに倒産してしまう場合もあります。これが黒字倒産と呼ばれるものです。これを避けるために、決算賞与をあえて支給していない会社もあるでしょう。
業績悪化で賞与がカットされることもある
決算賞与は余剰利益から支給されるため、基本的には業績が良い時にもらえるもの。つまり業績が悪化した会社では支給を見送ることもあります。これは従業員にとっては残念なことですが、求職者にとっては会社の財務状況を判断する一つの材料になるでしょう。
しかし、会社の方針として決算賞与を払っていないだけの可能性もあるので、その点は注意しましょう。
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まとめ
決算賞与は、会社が従業員のモチベーションを上げるために、その期の余剰利益から支給する臨時ボーナスです。
そのため、もらえるかどうかは業績次第になります。当然、いくらもらえるかは想定できませんが、支給額が分かれば、手取りの金額の計算は可能です。手取り金額は支給額から所得税と社会保険料を引いたものになります。概算でいいなら、支給額に0.7~0.8を掛ければ、計算できます。
会社の方針で、決算賞与を支給しない場合もあるので注意が必要です。例えば、黒字倒産を避けるために決算賞与を支給しないケースもあります。決算賞与の実績は、ある程度、その会社の財務状況を判断する材料にもなり得るので、転職を考えている人は過去の支給実績を確認しておくといいでしょう。
監修者
岡 和恵
税理士、CFP、認定経営革新等支援機関
2019年より税理士事務所を開業し、個人事業主を中心に支援。所得税を中心とした執筆および監修を手掛ける。
マイナビ転職 編集部
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