給料とは?意外と知らない給与や所得との違いを解説
掲載日:2024年07月29日
記事まとめ(要約)
- 給料とは、勤務時間に対して支払われる報酬であり、基本給と呼ばれる
- 給料は、状況によって変動せず、企業側から一方的に減額されることはない
- 給与との違いを理解することで、入社後の収入面のミスマッチを防ぎやすくなる
普段何気なく使っている「給料」という言葉。「給与」や「手取り」など似ている言葉との違いやそれぞれの定義を正しく理解していますか?
転職活動をするにあたって、これらの言葉を理解していないと、入社後に「思っていたより給料が少なかった……」と後悔してしまう可能性があります。
そうならないためにも、「給料」をはじめとした似ている言葉の意味を理解しておきましょう。給料に関するよくある質問もまとめているので、参考にしてください。
給料とは
給料とは、企業から実際に支払われる金額の中で、残業代(時間外手当)や各種手当を差し引いた金銭のことです。年齢や勤続年数、個人の能力などで決定され、基本給と同じ意味をもちます。
「給与」や「手取り」などの言葉と含まれる項目や金額が変わるため、定義や違いを理解することが大切です。
給料と同義の「基本給」について、以下の記事で詳しく解説しています。基本給の意味を理解したい方は、あわせてチェックしてみましょう。
給料について押さえておきたい基礎知識
給料という言葉を理解するうえで、知っておきたい基礎知識は以下の2つです。
- 状況によって変動しない
- 一方的な減額は認められていない
上記2点をチェックし、給料の取り扱いについて正しく理解していきましょう。
状況によって変動しない
給料、つまり基本給は、一般的に年齢、勤続年数、個人の能力に応じて決定されます。月ごとに変動する残業代や各種手当を含まないため、毎月固定の金額が支払われます。
一方で、ボーナスや残業代などは状況によって変動します。ボーナスは企業の業績や個人の実績、残業代は残業時間に応じて決められているため、金額が上下する点を理解しておきましょう。
一方的な減額は認められていない
給料は、企業側の都合で一方的に減額することはできません。企業側が説明なく、従業員の不利益に労働条件を変更することは労働契約法により禁止されているためです。
企業側が給料の減額を行う場合は、従業員への説明や条件のすり合わせなどを実施する必要があります。
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給料と給与の違い
給料と混同しやすい言葉として「給与」があります。似ている言葉ですが、両者の意味合いは大きく異なるため、意味を正しく理解しましょう。
給料と給与の主な違いは、以下のとおりです。
給料 | 給与 | |
---|---|---|
定義・意味 | 給与から残業代や各種手当を差し引いた報酬部分 | 労働者に支払うすべての金銭 |
内訳 | 基本給 |
|
変動の有無 | 変動しない | 変動する |
減額の有無 | 一方的に減額されない | 減額される場合がある |
給料との違いを詳しく理解するためには、給与の特徴を知ることも重要です。給与の主な特徴には、以下2つが挙げられます。
- 残業代や各種手当も含まれる
- 現物支給も含まれる
それぞれの特徴を理解していきましょう。
給与には残業代や各種手当も含まれる
給与は「賃金」と同じ意味をもち、労働基準法第11条において以下のように定義されています。
この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。
引用:労働基準法第11条|厚生労働省
労働基準法によると、給与には給料や手当、賞与などが含まれており、労働の対価として支払われる金銭すべてを指します。残業代や休日出勤手当、役職手当など、あらゆる報酬を含めたものが給与である、と理解しましょう。
現物支給も含まれる
給与は原則、現金で支払われますが、現物支給が認められるケースもあります。その場合、現物支給の評価額が給与に含まれます。
例えば、会社から住居を提供されたり、食事が支給されたりした場合には、現物支給となり給与に反映されます。
現物支給が給与に含まれるのは、現物支給を金銭に換算した金額に対して所得税がかかるためです。会社から物品が支給された際は、その金額が給与明細に記載されているかを必ず確認しましょう。
給料と給与の違いを理解するメリット
以下の理由から、給料と給与の違いを理解することは重要です。
- 求人票から基本給を把握できる
- 入社後に起きる待遇面のミスマッチを防げる
給料と給与では含まれる項目が異なるため、違いを理解したうえで労働条件を確認しなくてはいけません。
求人票から基本給を把握できる
給与ではなく給料に注目すると基本給が分かるため、毎月必ず得られる最低限の金額を把握できます。給与額が高かったとしても、毎月変動する手当の割合が高い場合は、収入が不安定になるかもしれません。
また、残業代は基本給を元に算出され、賞与や退職金についても基本給を基準とする傾向があります。後々受け取れる額にも差が出る可能性があるため、基本給を把握しておくことが大切です。
注意点として、基本給と固定給は一致しない可能性が挙げられます。固定給は「基本給 + 毎月定額で支払われる手当」です。「毎月定額で支払われる手当」には役職手当や住宅手当などが該当します。
入社後に起きる待遇面のミスマッチを防げる
給料と給与の違いを正しく理解できていないと、入社後に収入面でミスマッチが起きてしまう恐れがあります。
例えば、手当などを含めた「給与」を、誤って「基本給」と認識してしまうと、実際の収入が想定よりも少なかった、ということにもなりかねません。
収入の差は生活にも関わるため、給料が基本給、給与が賞与や手当などを含む総支給額であるということを正しく理解しましょう。
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給与と似ている4つの用語とそれぞれの違い
給料と似ている用語として、給与以外にも以下4つが存在します。
- 所得
- 手取り
- 月給
- 報酬
給料との違いやそれぞれの違いを正しく理解することが大切です。
所得との違い
所得とは、労働やサービスの対価として受け取る報酬を指す「収入」から必要経費を差し引いた金額です。
収入とは、一般的に給与を指します。給料をはじめ手当や賞与、食事や住宅などの現物支給も含まれています。必要経費は、会社員の場合「給与所得控除」が該当します。
所得については、以下の記事で解説しています。定義や計算方法などを詳しく知りたい方は、あわせて確認してみましょう。
手取りとの違い
手取りとは、従業員が実際に受け取る金額です。給与から所得税や保険料などを差し引いた金額を指します。
具体的には、給与から以下の控除を差し引いた金額です。
- 健康保険料
- 介護保険料(※40歳以上の方)
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
- 所得税
- 住民税
手取りについて詳しく知りたい方は、特徴や計算方法などを解説した以下の記事を参考にしてください。
月給との違い
月給とは、基本給に役職手当や住宅手当など毎月固定で支払われる手当をプラスした賃金を指します。給料との違いは、基本給のみではなく、固定の手当を含める点です。
月給と関連する言葉として、月収があります。月収は、固定の手当に加えて残業代など毎月変動する手当を含みます。
月給は基本給に固定手当を合算した金額です。一方、月収は変動手当や賞与が含まれていることから、毎月決められた額ではないことを押さえておきましょう。
月給や月収については以下の記事で解説しているため、あわせて参考にしてください。
報酬との違い
報酬は、労働に対する対価として支払われるすべての金銭を指します。
労働基準法において労働の対償は賃金、健康保険法では報酬と呼ばれており、それぞれ定義は以下のとおりです。
【労働基準法】
この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。
引用:労働基準法(昭和22年法律第49号)|e-GOV 法令検索
【健康保険法】
「報酬」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。ただし、臨時に受けるもの及び三月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。
引用:健康保険法(大正11年法律第70号)|e-GOV 法令検索
どちらの定義においても、報酬には給料や手当などが含まれると定められています。
【意外と知らない】給与明細の見方
給与明細とは、給与の支払額や控除額などが記載された書類です。主に以下4つの項目に分けて内容が記載されており、金額や根拠となる勤怠情報などが記されています。
項目 | 内容 |
---|---|
差引支給額 |
総支給額から控除額を差し引いた金額が記載される |
支給 |
会社から支払われる給与が項目別に記載される 【主な項目】
|
控除 |
総支給額から控除されるものが項目別に記載される 【主な項目】
|
勤怠 |
賃金が発生した時間や日数などの勤怠情報が記載される 【主な項目】
|
差引支給額は、実際に支払われる金額を確認できる項目です。給与明細全体を確認したうえで、総支給額に問題がないかをチェックしましょう。
支給の項目では、勤務先から支払われる給与を項目別に確認できます。支給されている手当の種類や金額を把握できる部分です。
控除の項目では、給与から差し引かれている保険料や税金の内訳を把握できます。控除の種類やそれぞれの額について確認しておきましょう。
勤怠については、締め日を確認し、いつからいつまでの勤怠情報かを正しく把握することが大切です。
給与明細を受け取ったら、勤怠実績に間違いがないかチェックしたうえで、支給額や控除額を一つひとつ確認しましょう。
転職後は給与明細のここをチェック!
転職後は特に給与明細をしっかりチェックしましょう。
注意したいのは、控除額です。例えば健康保険や厚生年金保険などの社会保険料は、入社月から発生し翌月から納付するため、基本的に入社月の翌月から控除されます。一方、雇用保険料は1回目の給与から控除されます。
住民税は所定の手続きをおこなえば、転職先でも特別徴収を継続できますし、普通徴収で支払っている場合は、入社の翌年6月から特別徴収がおこなわれて差引支給額が変わります。
雇用契約書の内容と相違がないか確認し、前職と異なる部分を把握するためにも、一つひとつの項目をしっかりとチェックすることが大切です。
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給料に関するよくある質問と回答
最後に、給料に関するよくある質問を4つ紹介します。
- 給料の平均はどのくらい?
- 給料から手取りを計算する方法は?
- 給与はいつ振り込まれる?
- 給料が上がらない理由やアップする方法は?
給料の平均や手取りの計算方法など、疑問に感じやすいポイントを解消し、給料についての理解を深めましょう。
給料の平均はどのくらい?
国税庁が発表した「令和4年分民間給与実態統計調査結果について」によると、令和4年の平均給料と平均給与(賞与含む)は以下のとおりでした。
給料 | 給与 | |
---|---|---|
男性 | 472万円 | 563万円 |
女性 | 270万円 | 314万円 |
全体 | 386万円 | 458万円 |
引用:令和4年分民間給与実態統計調査結果について|国税庁
全体の平均給料と平均給与を比較すると、平均給与のほうが72万円高くなっています。
以下の記事では、職種・業種・年齢別にモデル年収の平均値をランキング形式で紹介しています。年収の目安を知りたい方は、あわせて確認してみましょう。
月収から手取りを計算する方法は?
手取りを計算するためには、月収だけでなく、所得税、社会保険料など控除額の数値も必要になります。
手取りの計算式は、以下のとおりです。
手取り = 月収 - (税金 + 社会保険料)
税金や社会保険料は、収入の額や扶養家族の有無などにより異なるため一概にはいえませんが、一般的に手取りは月収の75%~85%とされています。
税金などの額がすぐに分からず、おおよその金額を知りたい方は、この数字を目安にしてみても良いでしょう。
給与はいつ振り込まれる?
給料日は、法律によって明確に定められているわけではありません。そのため、企業によって給料日は異なりますが、毎月25日に設定しているところが多いようです。
給料日が土日祝日だった場合は、直近の平日に振り込まれるケースが多く見受けられます。
振り込まれる時間についても法的な決まりはありませんが、給料日の午前10時が一つの目安となります。厚生労働省労働基準局が、所定支払日の午前10時頃までに引き出せる状態であるよう指導しているためです。
銀行システムを利用して振込手続きを行っている企業であれば、午前0時や午前9時に振り込まれることが多いです。支給日に振込手続きを行う企業であれば、午前10時を過ぎることもある点を理解しておきましょう。
給与が給料日に振り込まれていない場合は、担当者に確認しましょう。支払い漏れだけでなく、金融機関でのシステム障害なども考えられます。遅延が常態化している場合には、経営者や労働基準監督署などへの相談を検討しましょう。
給料が上がらない理由やアップする方法は?
給料が思うように上がらない原因として、本人の問題もしくは会社の状況が考えられます。
主な理由 | |
---|---|
本人に原因が ある場合 |
|
会社に原因が ある場合 |
|
給料を上げる主な方法としては、昇格・昇進・昇給を目指すことや、給与水準の高い企業への転職を検討するといったことが挙げられます。
給料が上がらない理由や上げる方法は以下の記事で解説しています。
給料と給与の違いを理解して、求人情報を正しく読み取ろう
給料とは、年齢、勤続年数、個人の能力などにより固定して支払われる基本給のことです。手当や賞与、現物支給などを含む給与とは意味合いが異なるため、違いを正しく理解する必要があります。
給料と給与の違いを理解すると、入社後に待遇面のミスマッチが起こるリスクも減らせるでしょう。
給与以外にも、所得や手取りなどの似ている言葉との違いを知ることも大切です。収入に関する用語を理解し、それぞれ何が含まれる金額なのかを正しく読み取りましょう。
監修者
谷所 健一郎(ヤドケン)
キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)
有限会社キャリアドメイン 代表取締役
有限会社キャリアドメイン 代表取締役 キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)。1万人以上の面接と人事に携わった経験から、執筆、講演活動にて就職・転職支援を行う。ヤドケン転職塾 、キャリアドメインマリッジを経営。主な著書「はじめての転職ガイド 必ず成功する転職」(マイナビ出版)、「転職者のための職務経歴書・履歴書・添え状の書き方」(マイナビ出版)、「転職者のための面接回答例」(マイナビ出版)、「転職者のための自己分析」(マイナビ出版) ほか多数。
マイナビ転職 編集部
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