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AIで私たちの仕事はどう変わる? AI時代に通用するのは「人間ならではの強み」が生かせる人

AI(人工知能)を搭載したロボットと人間

今や、AI(人工知能・Artificial Intelligence)が搭載された製品が世の中に増え、「働き方改革」の文脈でRPA(ロボットによる業務自動化・Robotic Process Automation)という言葉を耳にすることも増えてきました。AIやロボットが身近な存在になるなか、私たちの仕事や働き方は、どのように変わっていくのでしょうか。これからの時代、必要とされるスキルとはどんなものなのでしょうか。

「ある日突然AIがあなたの会社に」の著者である細川義洋さんにお話を伺い、AI時代のキャリアを考えるヒントをいただきました。

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AIには「できること」と「できないこと」がある?

――AIやRPAは「よく分からないけどすごいもの」と思いがちですが、実際にはどういうものなのでしょうか?

細川 義洋のサムネイル

細川

AIと聞くと、あたかもコンピューターが自分で判断して動いたり、いろいろなことを発想するようなものだと思うかもしれませんが、実際にはそうではありません。

AIと人間の関係性を示す表現として、「ケンタウロス」という言葉を聞くことがあります。人間が上半身で、AIが下半身。別々のものが一体となって動くイメージです。AIに限らず、RPAもそうですが、人間が教えたロジックや、人間が示した判断基準がなければ動きません。

最近では、AIが人間の脳に近い仕組みで学習できるようになり、人間が教えなくても画像を見分けて分類できるようになりましたが、見分けるロジック自体は人間が設定しています。まだ完全な上半身にはなり得ていないというのが、AIの現状ですね。

――では、そこまで不安に感じる必要はないのでしょうか?

細川 義洋のサムネイル

AIを漠然と捉えてしまうと、なんとなく不安な気持ちになってしまうかもしれませんが、少なくとも現時点でAIが「できること」と「できないこと」を整理する必要があると思います。

第一に、これまでにないものは、AIにはつくれません。AIは、まったくの白紙からアイデアを生み出すことができないのです。AIに「高齢社会に向けて、役に立つものをつくってほしい」と言っても不可能ですし、身近な例でいうと、「携帯電話にカメラをつける」といった革新的な発想もAIにはできません。

――ほかに、AIができないこと、苦手なことはありますか?

細川 義洋のサムネイル

「不合理な判断」への対応が苦手です。例えば、老後の資金について、AIのファイナンシャルプランナーに相談したとしましょう。市場の流れやリスクなどを合理的に判断して投資先を提案してくれるはずです。でも、世の中には「投資」というだけで、漠然と不安に思う人もいますよね。人間のファイナンシャルプランナーであれば、そういう不安を掘り下げて、取り除いてあげることもできるでしょうが、AIはそういう理屈に合わない判断や行動に対して柔軟に対応することができません。

それから、会話の中で相手の心のひだに触れること。人間同士であれば、相手の反応を見ながら言葉遣いに気を付けたり、相手の機嫌が悪そうだったら、いきなり本題に入らず別の話題から始めてみたり、そういう心のひだを読んだ行動ができますが、そうした判断はAIには難しいですね。

――AIにも弱点はあるということですね。

細川 義洋のサムネイル

そうです。もちろん、「記憶すること」や「データをロジカルに分析すること」、「単純なルーティンワークをやり続けること」など、AIが人間よりも長けているところもあります。ただ、今のAIに「できること」と「できないこと」はしっかりと判断しなくてはいけません。そこを冷静に見極めることが重要だと思います。

身近なビジネスシーンでの活用が進むAIとRPA

――では、次にAIやRPAがビジネスシーンで活用されている事例を教えてください。

細川 義洋のサムネイル

デスクワークを自動化できるRPAは、金融機関を中心に広まっていますね。例えば、住宅ローン関連の申込書類を点検する業務は、今まで人間が1枚ずつ確認していましたが、こうした業務をRPAで行う銀行も出てきました。

また、一般企業でも人事や総務の業務にRPAが使われることが増えているようです。社員の給与振込口座の登録や変更、交通費の精算業務など、人間がやれば数分かかるような作業もRPAを使えば数十秒でできてしまうので、企業にとっては相当なコスト削減になります。

AIの事例で言えば、生命保険会社のコールセンターで顧客対応をサポートするAIの導入が進んでいたり、とある本屋さんではAI店員がおすすめの本を教えてくれたりと、顧客対応の事例もいろいろと出てきています。また、営業の現場では、インターネット上での問合せに対し、AIが最適なサービスを判断して案内し、興味を示した顧客には見積もりまで出してくれるものもあります。

――そうしたAIによる顧客対応や接客の質は、どんなレベルなのでしょうか?

細川 義洋のサムネイル

まだ「お試しレベル」という印象です。今の時点では、決まりきった質問に対して簡単な受け答えができる程度で、業務の中で「当然に聞かれること」を「当然に回答する」というレベルに過ぎません。

ただ、これも来年にはどうなっているか分かりません。というのも、2、3年前にRPAという技術を知っている人はほとんどいませんでしたが、今では一般的な用語になり、導入を検討する企業も少なくない状態です。最近は、新しい技術が生まれてから、企業や個人が活用するようになるまでの期間が圧倒的に短くなっているように感じます。もしかしたら、これから出てくる新しい技術が、半年、1年で加速度的に広まることもあるかもしれません。

単純な業務はAIに任せて、人間は面白い仕事をできるようになる

――AIやRPAの導入が進み社会に浸透することによって、私たちの仕事はどう変わっていくのでしょうか?

細川 義洋のサムネイル

マクロの視点で見れば、社会全体としてAIやRPAによって人間の仕事が奪われ、多くの人が失職するようなことはないと思います。

AIにできることは、データをかき集めて、単純な分析やアウトプットをすること。少し気の利いた分析くらいはできるかもしれませんが、集めたデータから「これとこれは相関関係がありそうだ」といった新しい仮説を生み出すことはできません。仮説を立ててデータを検証する。そういった「頭を使う作業」は人間に残されていくでしょう。

――販売や接客、営業など、身近な仕事ではいかがですか?

細川 義洋のサムネイル

販売や接客の現場では、答えが明確な質問への受け答えはAIでもできますから、人間が対応しなくてはいけない業務は絞られてくると思います。銀行を例にして言えば、預金の入出金や税金の支払い受付といった単純な窓口業務は、AIを搭載したロボットで済むようになるかもしれません。

一方、新規口座の開設や相続手続き、運用相談など、丁寧なコミュニケーションや込み入った説明が必要な業務に関しては、やっぱり人間が対応することになるでしょう。それから、理屈で割り切れないような世間話の聞き役や、クレームへの対応。こういった業務も、人間が対応しなければ相手の気が済まないでしょうね。

営業の現場では、例えばコピー機にセンサーをつけて、インクが足りなくなったらAIが自動発注するような仕組みは増えてくると思います。ただ、そういう単純な業務はAIに任せて、人間はもっと面白い仕事をすれば良いんです。顧客の課題を捉えて、どういうプランなら解決できるか、提案するならどういう方向から攻めるかを考える。そうした頭を使う営業職は、今後も残っていくでしょう。

――AIと人間が役割を分担するようなイメージですね。

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そうですね。AIやRPAに「面倒な雑事を押し付ける」という感覚で良いと思います。基本的にマニュアルになるようなことはAIやロボットに任せて、マニュアルから外れるようなことや、個別の対応が必要なことは、人間が担当するようになるでしょう。

一方、製造などの現場に関しては、多くの人が仕事をシフトせざるを得ないかもしれません。すでに理屈としてはAIやロボットを活用して無人で工場を動かすことが可能です。近い将来、工場でつくったものを自動的に梱包して、ドローンで運び出すような時代がくるかもしれません。歴史を振り返れば、製造の世界では作業工程の機械化や、生産拠点の海外移転など、過去にも大きな転換点がありました。それと同じように、AIやロボットが浸透することで、これから大きな変化が起きてくるだろうと思います。

伸ばすべきは、誰もが持つ人間ならではの強み

――今後、AIやRPA、ロボットといったものが世の中に広がるなかで、どういった人材が必要とされるのでしょうか?

細川 義洋のサムネイル

先ほどもお伝えした通り、これからは新しいことを発想したり、考えたりするような頭を使う作業や、人間らしい心のひだに触れるコミュニケーション、理屈では割り切れないことへの対応など、人間ならではの仕事が残っていくと思います。こういう話をすると、AI時代には一部の独創的なクリエイターや、人間関係に長けた非常に優秀な人だけが生き残って、あとはAIに取って代わられてしまうと誤解されがちですが、決してそういうわけではありません。

――確かに、「発想」や「頭を使う作業」といった言葉を聞くと、クリエイティブな能力が必要だと思ってしまいがちです。「そういうわけではない」というのは、具体的にどういうことでしょうか?

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誰しも、これまで生きてきた経験やそのなかで培った感覚があるので、クリエイティブな部分は持っているんです。例えば、仕事の中でちょっとした工夫をすることがあると思います。効率良く仕事を進めるために、先にこの作業を片付けておこうと自分で段取りを考えてみたり、自分のタスクを管理する時に分かりやすく色分けをしてみたり、そうした工夫を凝らすことは、AIにはない人間ならではのクリエイティブな能力だと言えます。

また、人間は曖昧なことや理屈に合わないことも、イメージとして認識することができます。言葉では伝えられない「快適さ」や「うれしさ」といったイメージを感じ取って、周りと共有できるのは人間だけです。どんな人でも、その人の中だけにあるイメージというものを持っていると思います。

――対人コミュニケーションに関してはいかがでしょうか? 特別な能力を磨く必要はないのでしょうか?

細川 義洋のサムネイル

コミュニケーションにおいて大切な「心のひだに触れる能力」というのは、分かりやすく言えば「聞く力」で、もともと誰もが持っているものだと思います。相手の言っていることを正しく理解することができれば、あとは人間として素直な反応を返せば、基本的にコミュニケーションはうまくいきます。

ただ、聞いたことや感じたことに対して気の利いたことを言える人もいれば、言えない人もいます。また、相手に誤解を与えないためには、シーンに合わせて言葉を選ぶ必要もあります。もし、こうしたスキルが自分に足りないと感じるのであれば、意識的に鍛えたほうが良いと思いますね。

何かしらの工夫やイメージ、心のひだに触れる能力というものは、誰もが持っているものです。1人ひとりが心の中に持っている人間らしい部分というものを強化して生かしていくことが、これからの時代には必要になってくると思います。

まずはスキルを3つに分けて整理してみよう

――では、どうすれば自分の中にある強みを伸ばすことができるのでしょうか?

細川 義洋のサムネイル

自分の強みやスキルを整理しておく必要があります。残念ながら、パソコンの登場で日常生活においてそろばんの技術が必要とされなくなったように、AIやRPAが浸透することで単純な事務処理スキルは、「必要のないもの」として淘汰されていくでしょう。

まずは、自分の強みやスキルの中で、AI時代に通用するものは何なのか、しっかりと整理して認識することが重要です。更に、必要とされる能力も2種類に分けて考えると良いと思います。1つは、これまでお話ししてきた「人間の強みとして伸ばしていくべきもの」、そしてもう1つは、「AIに教えるべきもの」です。

膨大なデータを記憶して分析することがAIの得意技ですが、その能力を発揮するためにはデータやロジックを人間が教え込まなくてはいけません。製品情報や顧客情報はもちろん、例えば業務上のノウハウや効率的に進めるために工夫していること、気を付けるべきポイント、考え方など、さまざまな情報を覚えさせることで、AIの能力はどんどん高まっていきます。

これからの時代、AIにデータや情報を教える「AIティーチャー」は、どんな職種においても必要とされる役割です。自分が持つ知識やスキルのうち、何をAIに教えれば役に立つのか。今のうちから、そういったことを意識して整理しておくことは、非常に重要だと思います。

――強みやスキルを整理するために、今日からできることはありますか?

細川 義洋のサムネイル

大切なのは日々の振り返りです。自分が今日どんなことをして、どういう成果が出たのか、どういう失敗をしたのか。成果につながった理由、失敗した要因などを振り返る習慣をつけると、自分の強みや通用するもの、改善しなくてはいけないポイントなどが見えてくると思います。

例えば、営業であれば、「売った」という結果はもちろん、売れなかった場合もアポイントが取れたか、商談で見積もりを出すところまでできたか、結果に至るプロセスごとにうまくいった要因、うまくいかなかった理由を分析すると良いと思います。接客系の仕事の場合は、お客さまが帰る時に喜んでいたか、無表情だったか。その違いが生まれた理由を考えると良いかもしれません。管理職の人は、自分の言葉を受けて部下がどう動いたか、自分の接し方がどうだったかを振り返ると良いでしょう。

AIを含めた「他者」と、「自分」の違いが価値になる

――仕事の振り返りやスキルの棚卸しは、転職活動をする時に行う人が多い印象ですが、これからは日常的にやる必要があるんですね。

細川 義洋のサムネイル

面倒だとは思いますが、AIという「外圧」に対抗するためには、意識的にやったほうが良いと思います。毎日行うのは難しいと思うので、ときどき仕事帰りの家に着くまでの時間を使って考える程度でも構いません。

――これから転職をする際には、どういうことを意識すべきでしょうか? アドバイスがあれば教えてください。

細川 義洋のサムネイル

これはAI時代に限った話ではありませんが、「Difference is value」ということを意識してほしいと思います。普段、今の会社で当たり前にやっている業務のプロセスやちょっとした工夫、ルールや手順が、ほかの会社や異業種に移ると、特別なスキルや知識として重宝されることがあります。つまり、「差分が価値になる」のです。

必ずしもズバ抜けて優れていなくても、「そこにいる人」と自分の違いはなんだろうと考え、見定めることが大切だと思います。それと同じように、これからの時代はAIとの違いを意識して、人間ならではの強みを生かしていく必要があるということです。転職を考えるなら、AIも含めて「他者」と「自分」の違いを考えてみると良いでしょう。自分で分からなければ、家族や友人など第三者に相談して客観的な意見を聞いてみるのも1つの手段だと思います。

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<プロフィール>
細川 義洋(ほそかわ よしひろ)

ITコンサルタント、政府CIO補佐官。
システム開発・運用の品質向上や企業のIT戦略立案の支援を行いながら、著述、講演も行う。現在は、政府CIO補佐官としてデジタルガバメントの推進やIT化による行政改革などに取り組むほか、行政におけるAI活用の研究を行っている。近著に「ある日突然AIがあなたの会社に」(マイナビ出版)、連載コラム「転職バーのハルカさん」(@IT×マイナビ転職)がある。

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