転職に迷う人必見! 「転職すべきではない人」をアドバイザーが語る
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転職に悩みや不安は付きもの。「どんな企業を選べば良いのか分からない……」と悩んでいる方もいれば、「そもそも転職したほうが良いのか判断できない……」と迷っている方も多いと思います。
そうした転職志望者からの相談を受けているアドバイザーによると、中には「その状況だったら転職しないほうが良いのでは?」と思わず止めたくなるような方もいるそうです。
今回は、アドバイザーが「転職すべきではない」と感じた相談者の実例を基に、転職前にするべき準備や心構え、知っておくべき転職のリスクやデメリットをご紹介します。

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マイナビ転職 転職アドバイザー
転職相談者の中には、さまざまなキャリア、いろいろな志向の方がいます。同じようなキャリアでも、志向によって転職活動の方向性は大きく変わってきます。中には、「転職はおすすめできない」と感じる方もいます。ここでは、そうした事例を幾つかご紹介していきたいと思います。
<INDEX>
- 第二新卒層に多い「転職の目的が定まっていない人」
- 自分がやりたいことを優先してしまう「現実を理解できていない夢見がちな人」
- 転職を繰り返す可能性がある「他責感の強い人」
- 「転職すべきではない人」の共通点とは?
- 転職する前に知っておくべきリスクやデメリット
- 「良い転職ができる人」になるために必要なこと
<実例:転職すべきではない人>
<良い転職には、準備が必要>
第二新卒層に多い「転職の目的が定まっていない人」

【パターン1】転職の目的が定まっていない人
- もっともよく見かけるパターン
- 第二新卒(社会人経験が3年未満)層に多い
- 明確な不満や不安があるわけではない
- 友達や同僚の転職など、周りに影響されて転職活動を始めるタイプ
実例:Aさん
有名私大卒の20代後半、営業職の男性。同僚が大手メーカーに転職したことをきっかけに、自分も同じような大手メーカーに転職できるのではないかと考え、「自分の市場価値が知りたい」と感じ、転職を検討。
課題・問題点
Aさんと話していて一番の課題だと思ったのは、自身が考える「大手」のイメージがあいまいだったこと。
漠然とステータスを求めているだけで、そもそも「なぜ大手に入りたいのか」という理由がなく、「大手でどんな仕事をしたいのか」というビジョンもまったくありませんでした。
転職すべきでないと感じた理由
Aさんの場合、「転職すべきではない」というよりは、「このままの状態で転職活動を続けるべきではない」と感じました。
転職で実現したいことが明確になく、企業探しの軸が定まっていないままでは、本人が志望する大手企業に転職できる可能性はほとんどありません。
そんな状態で転職活動を続けてしまうと、どこからも内定を取れず、その結果、「自分の市場価値は低い」と思い込んでしまう恐れがあります。必要以上に本人のプライドが傷付いてしまうのも心配でした。
本来、第二新卒層は、企業にとって常に人材不足の状態であり市場価値が高いわけですから、きちんと準備して転職活動に臨むべきなのです。
Aさんへの転職アドバイス
まずは、転職活動の軸を定めるために「自身の棚卸し」をすべきだと伝えました。
「転職して何をやりたいのか」、「なぜ転職活動をしたいと思ったのか」、自分の気持ちを整理し、同時に自身のスキルについても「何ができて、何が足りないのか」を洗い出すこと。
そして、自分が考える大手企業だけでなく、さまざまな企業を見ることをおすすめしました。
大手だからといって業績が安定しているわけではありませんし、小さな会社でも今後の成長が見込まれる会社がたくさんあります。また、業績が良くても、取り扱っている商材自体に興味を持てなければ、仕事にやりがいを見いだせません。
多角的な視点から企業を見て、幅広い選択肢の中から自分の考えを整理していきましょうとアドバイスしました。
ちなみに、冷静に自身の棚卸しをした結果、「やっぱり、転職を見合わせる」という結論に至るのは、このパターンが一番多いかもしれません。
自分がやりたいことを優先してしまう「現実を理解できていない夢見がちな人」

【パターン2】現実を理解できていない夢見がちな人
- 「企業が求めていること」を理解しようとしない
- 「語学力を生かしたい」など、漠然としたイメージしか持っていないタイプ
- 未経験の業種&職種への転職を希望する人もこのパターンに含まれる
実例:Bさん
20代後半の女性。学生時代に留学経験を持ち、前職では語学を生かせる接客系の仕事に就いていたが、仕事内容が合わないという理由で退職。「海外」「語学」というキーワードを軸に求人を探している。
課題・問題点
Bさんは、「海外」「語学」という軸は明確でしたが、「自分に合う求人」がなかなか見つけられずにいました。
というのも、企業が中途採用で求めているのは、単に「語学力がある人材」ではなく、「語学を生かして事業に貢献できる人材」です。転職では、語学力以上にこれまでの実務経験や知見が優先されます。
そのため、留学経験があるからという理由だけで採用されるケースは多くはありません。現実を理解せずに、選り好みしてしまっている点がBさんの課題だと感じました。
また、パターン1のAさんと同様に、「語学を生かしてどんな仕事をしたいのか」というビジョンもハッキリしていませんでした。
転職すべきではないと感じた理由
Bさんの場合、やりたい仕事が明確にイメージできていなかったため、仮に語学を生かせる転職先が見つかったとしても、前職と同様にすぐに辞めてしまう可能性が高いと感じました。
また、このままの状態で転職活動を続けてしまうと、応募できる求人が見つからず時間だけが過ぎてしまう懸念もありました。
Bさんはすでに離職中の状況でしたから、転職活動が長引くほどブランク期間が長くなってしまいます。中途採用市場では、1~3カ月程度のブランクがあるのは一般的ですが、それ以上長い期間になるのは特別な理由がない限り、採用担当者にあまり好ましく思われません。
Bさんへの転職アドバイス
まず、Bさんに伝えたのは、「海外」「語学」という漠然としたイメージで求人を探すのではなく、どんな仕事をしたいのか、意思をハッキリと持つべきだということ。
そのうえで、「自分の市場価値を理解しましょう」と提案しました。
先ほどもお伝えしたように、多くの場合、中途採用市場では語学力よりも実務経験が必要とされます。その現実を理解し、経験が足りないのであれば、いきなり理想のポジションを目指すのではなく、順にステップアップしていく方法も検討すべきです。
例えば海外に販路がある会社に、接客経験を生かせるポジションで入社し、そこから異動のチャンスをうかがうのも一つの方法です。
決して妥協するというわけではなく、理想とする仕事に就きたいのであれば、ゴールへの順序を柔軟に変えることも大切だとアドバイスしました。
未経験の業種&職種への転職も要注意!
Bさんの事例とは異なりますが、「未経験の業種&職種への転職を希望する人」にも、同じことが言えます。中途採用市場において、まったく未経験の業種&職種へのキャリアチェンジは、経験がある分野への転職に比べれば難しいもの。
第二新卒層であればポテンシャル重視の育成枠として採用されるケースも少なくありませんが、基本的に中途採用は“即戦力”を期待した採用です。
そのため、未経験の業種&職種に挑戦したい場合は、いきなりキャリアチェンジを目指すのではなく、まずは経験を生かせる仕事へ転職してから、社内異動でのスライドを狙うという手段も検討してみてください。
もしくは、今の会社でキャリアチェンジできる可能性があるなら、そのチャンスを探ることが、リスクが少なく有効な方法と言えます。
転職を繰り返す可能性がある「他責感の強い人」

【パターン3】他責感の強い人
- 自分の希望とは異なる部署に配属されている人に多い
- キャリアップできない理由が「会社」にあると思い込んでいるタイプ
実例:Cさん
理系出身、20代半ばの男性。新卒で入社した会社では技術系の部署で働いていたが、営業に興味があったことと、キャリアアップできる環境ではないと感じて1年半で退職。営業系の求人を探している。
課題・問題点
Cさんの課題は、転職理由として「キャリアアップできる環境ではなかったから」と言いながら、「どんな環境ならキャリアアップできると思いますか?」と聞いても明確に答えられなかったこと。
これまでキャリアアップのために自らスキルや知見を広げる努力をしていた様子もなく、キャリアアップできないと感じた理由も不明瞭。仕事になじめないことを、なんとなく「会社のせい」にしている印象でした。
転職すべきでないと感じた理由
第一の理由は、見切りをつけるのが早過ぎるということ。そして、会社に対する認識の甘さも気になりました。
会社は組織ですから、100%自分自身の思いどおりにはなりません。このまま転職したとしても、また同じように会社のせいにして転職を繰り返すように思えたので「まだ転職すべきではない」と感じました。
Cさんへの転職アドバイス
Cさんは自分では営業に向いていると考えていたようで、すでに人材紹介会社経由で複数の営業系の求人に応募していましたが、うまくいっていませんでした。
自分では適性があると思っているものの、営業の経験があるわけでもなく、営業としてどんなキャリアを築きたいかというイメージも具体的ではなかったので、ある意味では当然の結果でした。
詳しく聞いてみると、なぜ不採用になったのか、その理由すら人材紹介会社に確認していないとのこと。本気で営業の仕事に就きたいのであれば、人材紹介会社からきちんとフィードバックを受けて、自分の課題を把握し、対策を練るべきだとアドバイスしました。
「転職すべきではない人」の共通点とは?
「甘さ」があると、転職を繰り返すことになる
ここまで、私が対応した相談者の実例を基に、「転職すべきではない」と感じた3つのパターンを紹介してきました。共通しているのは、いずれも目的意識や現状認識が「甘い」ということ。
言い換えると、「転職して何を実現したいのか」という意思が感じられませんでした。その状態では、転職活動自体がうまくいきませんし、仮に転職先が決まったとしても、また何かしらの不満が起点となって転職を繰り返すことになりかねません。
当たり前のことですが、転職すればすべてがうまくいくわけではありません。「前の会社のほうが良かった……」と転職後に後悔することも十分にあり得ます。
ここで紹介した3パターンのように、認識が甘いまま転職すれば、尚更その可能性は高まります。
もし、「自分も同じようなタイプかも……」と感じた方は、そのまま転職活動を続けずに、ちょっと立ち止まることが必要かもしれません。
転職する前に知っておくべきリスクやデメリット
転職で「得るもの」もあれば、「失うもの」もある
相談者の中には、「転職すればすべてが解決する」と思っている方がいますが、現実はそう甘くはありません。
大前提として「何かを得たら、何かを失う」という認識を持っておく必要があります。少なくとも、一般的な転職のリスクやデメリットについては知っておくべきでしょう。
転職するべきか迷っている方は、ここで紹介するリスクやデメリットを判断基準の一つにしても良いと思います。
ローン審査が不利になる
転職することのデメリットとして、代表的なのが「ローン審査が不利になる」ということ。転職したばかりの時期は、勤続年数が短いという理由で住宅ローンなどのローン審査が通らないこともあります。
よほどの大手企業であれば話は別ですし、それまでのキャリアによって転職しても影響がないこともありますが、一般的な知識として念頭に入れておいたほうが良いでしょう。
収入が低くなる可能性がある
事前に確認しておけば大きなデメリットにならないことですが、収入が以前より低くなる可能性もゼロではありません。
特に気を付けたいのが、残業代です。残業代の支給については各社で規定があります。入社後に「話が違う」とならないように、内定通知時に詳細が記載された書面を提示してもらい、事前にしっかりとチェックするようにしましょう。
また、現職が「年俸制」で転職先が「月給制」の場合、月間の収入は減る可能性があります。年間の支給額は事前に確認した金額と変わらないはずなので、大きな問題にはならないと思いますが、月々の収入額が変わるため、生活に影響が出ないように注意しましょう。
上司が年下になる可能性がある
当然のことながら、転職先では人間関係が大きく変わります。気にならない方であれば良いですが、自分の上司が年下になる可能性もあります。転職するからには、人間関係をゼロから築く覚悟が必要です。
制度を100%利用できるか分からない
近い将来、結婚や出産を予定している方は、基本的に転職には慎重になったほうが良いと思います。
育児の支援制度が整っている会社であっても、転職してすぐに100%利用できるかどうかは分かりません。制度を利用するためには、周りの協力や理解も不可欠です。
そういった意味では、転職先の新しい環境よりも、人間関係ができている今の職場のほうが柔軟な対応をしてくれるかもしれません。仮に、融通が利かない環境にいる場合も、まずは社内の人事異動で環境を変える可能性を探るべきでしょう。
どうしても今の会社を辞めたいという場合は、転職しても良いと思いますが、制度を目的とした転職はおすすめできません。制度は、あくまでもプラスアルファ。その会社の事業内容や仕事自体に興味がないのであれば、転職しないほうが良いでしょう。
「良い転職ができる人」になるために必要なこと
転職活動をしながら「優先順位」と「市場価値」を見極める
普段、多くの相談者に対応している中で、「この人は、良い転職ができる」と感じる方の共通点は、自分の軸が決まっていながら、許容範囲が広いこと。
絶対に譲れない「転職して実現したいこと」が明確にあって、それを基準に「これは許せない」「これは許せる」という優先順位が決まっている方は、転職を成功させる可能性が高いと思います。あれもこれもと欲張らずに、選択肢を狭め過ぎないことがポイントです。
最初から優先順位が決まっている必要はありません。転職活動をする中で、自分の考えやスキルの棚卸しをして、市場価値を見極めながら優先順位を付けていけば良いのです。
大切なのは、幅を持っていろいろな求人に触れること。そして、自分の思い込みで可能性を狭めずに、時には第三者の声も聞き冷静に判断すること。キャリアアドバイザーなどの力も借りながら、自分の中の優先順位を整理していきましょう。
パートナーから転職への理解を得る
ご結婚されている方は、転職活動を始めるタイミングで必ずパートナーに話してください。
転職は家庭の問題です。パートナーの理解が得られなければ、転職すべきではありません。内定承諾後に、パートナーの反対が原因で辞退しなくてはいけないケースもあります。
そうなってしまったら、本人にとっても企業にとってもそれまで費やした時間が無駄になりますし、何よりも本人に心残りができてしまうのは良くありません。良い転職をするためには、パートナーの同意は必須だと考えてください。
良い転職がしたければ、簡単に会社を辞めてはダメ!
最後に、強く言っておきたいのは、「簡単に会社を辞めてはダメ」ということです。
通常、転職の優先順位が固まるまでは、ある程度の時間が必要です。しかも、優先順位が決まったからといって、すぐに内定が取れるとも限りません。
在職中であれば、転職活動が長引いても大きなリスクはありませんが、会社を辞めてしまうと、余裕を持って転職活動に取り組むことができなくなります。良い転職をしたいのであれば、まずは「辞めない」ことを心掛けてください。
マイナビ転職 編集部

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