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第11回 ネガティブな退職理由。履歴書にどう書くべき?
今回の相談者:
氏名 高橋 裕二(仮名)
年齢 34歳
転職回数 4回
現職 研究開発・特許・品質管理・その他関連職
志望業種・職種 ITインフラ運用管理
転職の理由 学生時代に培った知識を生かしてバイオ系専門職に就くが、体調面での理由からキャリアチェンジを余儀なくされる。退職後、技術専門学校に通い、SE系の仕事で幅広くキャリアを積む。現在、運用管理SEとして活躍する場を求め、転職活動中。
相談者が作成したWEB履歴書
お悩みポイント
  • ネガティブな退職理由を、どう書くべきか悩んでいる
  • 自分の履歴書の問題点がわからない!
尾方さん 高橋さんはこれまでに転職を3回されて、現在の会社は4社目ですね。転職活動の状況はどうですか?
高橋さん 書類選考もなかなか通らず、通ったとしても面接で落ちてしまう場合がほとんどです。ですので、今日は自分の履歴書の問題点はどこなかのか、をお聞きしたくて来ました。
尾方さん そうですか。高橋さんの履歴書の第一印象は、一言で言うと「職務内容欄が薄すぎる!」です。これでは高橋さんがこれまでに「どんな業務をどのように取り組んできたのか」がまったくわからない。ここが大きな問題点のひとつです。ココがポイント!
職務内容欄を詳しく書くことは、履歴書の基本中の基本! これまでどのような業務をどのように取り組んできたのか、を具体的に書こう。

たとえば、1社目ではどんな仕事をしていたのですか?
高橋さん 飲料メーカーで、自治体や企業などから依頼された排水・土壌などの環境分析と、食品・飲料水の成分分析を行っていました。
尾方さん 食品・飲料水の成分分析といっても、多岐に渡るはずですよね。具体的にどんな成分の分析を行っていたのか、また使用した機械は何だったのかなど、職務内容欄にはより細かく書き込みましょう。それでなくても今は、環境系の業務はどの業界でもニーズがあり、非常にポイントが高いんです。具体的に書かないのは損ですよ。
高橋さん 私が次の転職先で希望している仕事は、社内システムの運用管理なのです。ですから1社目の仕事内容は、次の希望とあまりにかけ離れているので敢えて細かく書かなかったのですが……。
尾方さん 環境系の事業を行っている会社が、社内システムの運用管理を求めることもあります。その場合、環境系の業務経験はプラスポイントになります。「この経験は次の仕事の役に立たない」と自分勝手に判断し、履歴書で省略してしまう人は多いのですが、採用側にどんなニーズがあるかはわかりません。どの部分で採用官が「おっ!」と思ってくれるかはわからないので、基本的にこれまで経験してきた業務は具体的に記入しましょう。ココが落とし穴!
「次の仕事に関係ないから」と勝手に判断し、これまでの業務経験を省略しないように。採用官は、職務内容欄で「仕事への姿勢」もチェックしているのだ。
高橋さん わかりました。
尾方さん ところで、この会社を辞めた理由は?
高橋さん 業務上、薬品を使うことが多く、手の肌荒れがひどくなってしまったのです。医者に「このまま仕事を続けていたら治らないから、職を変えたほうがいい」と言われたので辞めることにしました。実は、この退職理由についても悩んでいるんです。2社目の退職理由も健康上の理由で、大学中退も体調不良が理由でした。このあたりを履歴書にどのように書くべきか迷っています。
尾方さん 結論から言うと、履歴書にはネガティブな要素を書かないのが基本です。この点については、後ほど詳しく説明します。

ところで、現在の会社は丸6年間勤務されていますが、どうして辞めたいと思っているんですか?
高橋さん 2社目と3社目で社内システムの運用管理をしていて、とてもやりがいを感じていました。今の会社で社内システムの運用管理への異動を希望したのですが、かなわなかったので、転職を考えたのです。
尾方さん そうですか。わかりました。
尾方が斬る!
  • 履歴書は“自分の商品カタログ”!
  • “自分らしさ”を明確に打ち出すべし!
「商品カタログ」にネガティブな要素は書かない!
尾方さん 先程、高橋さんは過去の体調不良による退職理由を正直に書くべきかどうか悩んでいる、とおっしゃっていましたね。
高橋さん はい。これまで転職を3回しましたが、うち2回は健康上の理由です。自分としてはやむを得ず転職回数が増えてしまった、という感じなのです。退職理由を書かないと「やたらと転職回数が多い人」と思われそうな気がする。でも正直に書くと「不健康な人」と思われるかもしれない。かといって正直に書かずにいて、あとでバレたらそれはもっと困るな、と。
尾方さん なるほど。結論から言うと、高橋さんの場合は、健康上の理由で辞めたことを履歴書には書かないほうがよいでしょう。というのは、現在の会社では丸6年間勤務していますよね。問題なく働けるという証拠があるのですから、敢えてネガティブな要素を書く必要はありません。
高橋さん そうですか。
尾方さん そもそも履歴書というのは、自分の「商品カタログ」ですよ。自分を企業に売り込むためのツールです。たとえばパソコンのソフトやゲームソフトでは、発売後に不具合が発見されることは珍しくありません。製品は不具合が修正されてヴァージョンアップされていきますよね。

では、新たにヴァージョンアップされた製品の商品カタログに、「かつてこんな不具合がありました!」と大々的に書かれているかというと、そんなことはまずありません。それと同じですよ。現在、健康上の問題を克服しているのなら、敢えて過去のネガティブな要素を書く必要はないのです。
高橋さん 退職理由は面接でも必ず聞かれますが、面接でも言わなくてもいいんですか?
尾方さん そうですね、包みかくさず伝える必要はありません。健康上の問題だけでなくセクハラやパワハラなども同様ですが、ネガティブな要素は書かない、言わないのが基本です。

本人にしてみれば「自分の怠慢で会社を辞めたのではない。やむを得なかったのだ」というメッセージを伝えたい気持ちもあるかもしれません。しかし正直に言ったところで、同情してくれる採用官はまずいない、と思ったほうがいい。

採用官は、「前の会社を健康上の理由で辞めた」と言われれば、「うちの会社も健康上の理由で辞めてしまうかもしれない」と思うし、セクハラやパワハラが理由と聞けば「何かしら問題があったのでは?」と勘繰ることもありえます。これは採用官が穿った見方をしているというわけではなく、採用という先行投資をする企業としては仕方のないスタンスなのです。
高橋さん 確かにそうですね。
尾方さん 実は採用官も、すべての人が前向きな理由で会社を辞めるのではない、ということはわかっています。でもそこを敢えて聞くのは、「今はどうなのか?」を知りたいからです。たとえ本当はネガティブな理由で会社を辞めていたとしても、今は気持ちの整理をつけ、前向きな姿勢でいるかどうかを知りたいのです。人事はココを見る!
採用官が本当の退職理由を知りたいと考えるのは当然。だが、同時に「前向きな姿勢で入社を希望しているか?」を確認したいという思いもあるのだ。

つまり、大事なのは「今、どうか?」です。ですから、逆に言えば、現在「体がしんどい」と感じている場合は、そこをクリアしてから転職活動を再開させても遅くはないと思いますよ。そうではなくて、既に体調的に何の問題もないのであれば、前向きな姿勢で転職活動に取り組みましょう。
高橋さん はい、わかりました。
「自分らしさ」が出ていない履歴書は、落ちる可能性大!
尾方さん 高橋さんの履歴書のもうひとつの大きな問題点は、高橋さんらしさがまったく出ていない点です。履歴書では、自分らしさを明確に打ち出す必要があります。ココがポイント!
採用官が「会って話を聞いてみたい」と思う履歴書は、文面からその人らしさが出ているものだ。マニュアル的に職務内容などを書き連ねるのではなく、自分らしい具体的なエピソードを盛り込もう。

高橋さんがもっとも得意とする仕事は何ですか?
高橋さん そうですね……、社内システムの問題点を発見し、解決策を探り、解決へのアプローチをしていくのが得意です。
尾方さん なるほど。「どのような問題を発見し、どのように解決したのか」という具体例をあげてアピールできると、高橋さんらしさが出ると思いますよ。こうやってお話していると、「もし高橋さんがSEとして社内にいたら、きっと頼りになるだろうな」と感じるのですが、その印象が履歴書からはまったく伝わってこないのです。これはとってももったいないですよ。「社内SEとして重宝された」というような具体的なエピソードはないですか?
高橋さん テクニカルサポートをやっていたとき、担当を替わったあともクライアントから連絡を受け、「高橋さんじゃないとわからないから」と言われたことは何度もあります。
尾方さん それは良いアピールポイントですね。そう言われるための努力・工夫をしてきたのですか?
高橋さん 常に社内をまわってユーザーとの会話を心掛け、システム上の問題点がないかをチェックしました。これによって運用室だけにいたのでは聞こえてこない声が聞けたし、信用された部分もあると思います。
尾方さん そういうエピソードですよ! 履歴書にはそういう高橋さんらしい具体的なエピソードを盛り込みましょう。
高橋さん わかりました。今日はどうもありがとうございました。
尾方のズバリ!ポイント
高橋さんの履歴書の大きな問題点は、職務内容の記載が薄すぎることでした。採用側がもっとも知りたいのは、「この応募者はこれまで何をやってきたのか、どんな仕事ができるのか」という点です。職務内容欄がきちんと書かれていないと採用側は判断のしようがないのです。つまり、書類選考で落とさざるを得ない。高橋さんは実際にお話を聞くと、希望職種である社内システムの運用管理のキャリアを積んできているし、人柄も「社内SE向き」です。それだけに履歴書の内容が薄いのはとてももったいないのです。まずは職務内容欄の記載を厚くすること。それにプラスして「高橋さんらしいエピソード」を加えて、どんどんアピールしてください。
尾方が作る応募者のWEB履歴書を見る
相談者の感想
過去に健康上の理由で会社を辞めたことを、履歴書にどのように書くべきなのか、また面接で聞かれた時にどう答えたらいいのかと、ずっと悩んでいました。しかし尾方先生の面談を受けて、実際には健康上の理由で辞めた場合でも前向きの理由を見つけることができるとわかり、解決できました。また、職務内容欄はもっと細かく業務を書き込まなければいけないということも気付かされました。
相談者の感想
尾方 僚(おがた りょう) 尾方 僚(おがた りょう)
リクルーティングコンサルタント  日本女子大学非常勤講師
大手就職情報会社に9年間勤務後、コンサルタントとして独立。大学、企業人事向け講演や、企業の採用コンサルテーション・研修に従事する。各メディアへの採用、人事系コメント多数。日本女子大学ではキャリア副専攻科目「社会にでるための自己表現」を担当。最新刊は「100人の前でもキチッと話せる本」(インデックスコミュニュケーションズ)。その他編著書として「就活(勝)道2007」(新星出版)、「こんな人こそ外資へいけ」(廣済堂出版)、「AERAMOOK 就職のことがわかる本」(朝日新聞社)など多数。
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