転職ノウハウ

応募企業の探し方や履歴書の書き方、面接のポイントから円満退職の秘けつまで。あなたの転職を成功に導くためのノウハウを紹介!

朝日新聞×マイナビ転職 Heroes File

vol.72 作家 平野啓一郎 人生懸けて書いた手紙


1998年に小説「日蝕」でデビューし、第120回芥川賞を史上最年少で受賞。
以来、重厚な長編小説や実験的な短編小説など、
多彩な作品を発表し続ける作家・平野啓一郎さん。
近年、作風に一段と広がりを見せる平野さんの
創作の原点、また30代に入り小説を書くうえで変化してきたことなどについて伺った。

純粋ゆえの残酷さをあぶり出す新訳「サロメ」

平野啓一郎さんは2012年初めて戯曲の翻訳に挑戦した。5月に上演されるオスカー・ワイルドの『サロメ』だ。これまでの官能的なサロメのイメージを払拭(ふっしょく)し、彼女の無邪気さと残酷さに焦点を当て、それゆえのサロメの悲劇性をくっきりと浮かび上がらせた。
「純粋な人間に潜む恐ろしい心、あるいは社会そのものの残酷さ。これらは現代社会の鬱屈(うっくつ)に大いに通じるところ。そこを意識しつつ、ワイルドが表現したかったものをできるだけ壊さないように翻訳の作業を進めました」

周囲との違和感が創作の原点

デビューして13年になる。
文学に目覚めたのは中学生の時。きっかけは三島由紀夫の『金閣寺』だった。
「当時、自分は周りと何かが強烈に違う、そんな違和感がありました。友達とは仲は良かったけれど、常に満たされないものを感じていた。彼らが楽しんでいることを全然楽しめない自分がいる。そんな中、唯一共感できたのが文学の世界。自分の考えと同じ人たちが歴史上にはこんなに存在するんだという発見もあり、どんどんのめり込んでいきました」
だが、その頃は周りとのギャップを何とか埋めようとしていたという。「みんなが面白いと思うものに同調できた方が楽しいしラクそうな気がして。法学部を選んだのも社会に順応して生きていけるような自分になるためでした」
しかし大学2年生の頃から、やはり文学への愛情が捨てきれず、「作家になりたい」と強く思うようになる。当時は芸術至上主義にかなり傾倒しており、生活と創作は全然別ものとして捉えていた。「だからアルバイトでもしながら、小説を書き続けていければいいかなと思っていましたね」
とはいえ、自称作家はどうも恥ずかしい。誰かに認めてもらいたいという一心で、文芸誌『新潮』の編集長に小説「日蝕」を送った。新人の登竜門と言われる文学賞にあえて応募しなかったのは、「今思えば青臭い考え方ですが、賞などとは一切無関係の作家に憧れていたから」だった。
「いきなり送っても読んでもらえないと思い、事前に自身の文学観や思いをつづった手紙を出しました。手紙にも文才は出る。たった一人を魅了できなかったら、何万人もの心を打つような小説家になどなれないと思い、自分の人生全てを懸けて書きました」
その思いが通じ、「日蝕」は『新潮』の巻頭を飾る。無名の新人としては極めて異例なこと。しかも翌年には芥川賞受賞という快挙を成し遂げるのだった。


PROFILE

ひらの・けいいちろう 京都大学法学部卒業。大学在学中の1998年に発表した『日蝕』で第120回芥川賞を受賞。主な著書に『葬送』『決壊』『ドーン』『かたちだけの愛』など。2012年5月31日(木)から新国立劇場で上演予定の「サロメ」(オスカー・ワイルド作、宮本亜門演出)で翻訳を担当。この戯曲は4月12日(木)に光文社古典新訳文庫から刊行予定となっている。


Heroes File 人気記事ランキング
賛成! あたらしい生き方。マイナビ転職

豊富な転職・求人情報と転職ノウハウであなたの転職活動を支援する【マイナビ転職】。マイナビ転職は正社員の求人を中心に“日本最大級”常時 約8,000件以上の全国各地の豊富な求人情報をご紹介する転職・求人サイトです。毎週火・金更新であなたの希望の職種や勤務地、業種などの条件から検索することができます。職務経歴書や転職希望条件を匿名で登録するとあなたに興味を持った企業からスカウトされるサービスや、転職活動に役立つ職務経歴書サンプルや転職Q&A、会員登録をすると専門アドバイザーによる履歴書の添削、面接攻略など充実した転職支援サービスを利用できる転職サイトです。

キーワードから記事を探す

検索フォーム

人気コンテンツランキング
転職成功ガイド