転職ノウハウ

応募企業の探し方や履歴書の書き方、面接のポイントから円満退職の秘けつまで。あなたの転職を成功に導くためのノウハウを紹介!

Heroes Fileロゴ

第一線で活躍するヒーローたちの「仕事」「挑戦」への思いをつづる

Vol.90映画監督 行定 勲
綱渡りのように映画の道へ

Heroes File Vol.90
掲載日:2013/1/11

行定 勲さんの写真1

映画『GO』で日本アカデミー賞最優秀監督賞など映画賞を総なめにし『パレード』ではベルリン国際映画祭の国際批評家連盟賞を受賞するなど国内外で高い評価を受けている映画監督、行定勲さん。数年前から舞台演出も手掛けるようになり、現在は4作目に挑んでいる。だが自身の本分は映画。舞台演出はあくまで修業だと語る。

Profile

ゆきさだ・いさお 1968年熊本県生まれ。97年に長編映画監督デビュー。『GO』『北の零年』など話題作を多く手掛け、待機作は2013年1月26日公開予定の『つやのよる ~ある愛に関わった、女たちの物語~』。また、舞台演出作「テイキング サイド ~ヒトラーに翻弄された指揮者が裁かれる日~」が13年2月1日から天王洲 銀河劇場(TEL 03-5769-0011)にて上演予定。

舞台は、役者との肉迫した応酬が楽しい

映画監督として数々のヒット作を生み出してきた行定勲さんが、2013年2月の舞台「テイキング サイド ~ヒトラーに翻弄された指揮者が裁かれる日~」の演出を手掛ける。ヒトラーの寵愛(ちょうあい)を受け、政治に翻弄(ほんろう)されたドイツの世界的指揮者ヴィルヘルム・フルトヴェングラーの悲運を描いた戯曲だ。

舞台の演出は4作目。「映画では役者と一定の距離を持ちますが、舞台はむしろ逆。役者がセリフに納得していないと、稽古でこちらが何度も演技を抑えてと言っても、本番で『すみません、気持ちでいっちゃいました』なんていうテロを起こされてしまう(笑)。だから役者とは肉迫したやりとりを徹底して繰り返します。そこが、舞台ならではの緊張感があって面白いところです」。

ジーパン姿のおっさんに憧れて

行定 勲さんの写真2

小学生の時、地元の熊本城で黒澤明監督の『影武者』の撮影現場を偶然見た。甲冑(かっちゅう)を身にまとった人たちより、スタッフであるジーパン姿のおっさんたちに憧れた。「出来上がった作品を観(み)たら、紛れもなく戦国時代が描かれていて自分の知っている熊本城とは違うわけです。それで、あのおっさんたちすげえなと。僕もあの中に入りたい。そう思ったのが映画を志したきっかけです」

上京し、専門学校在学中にドラマの制作会社へ入り、その後、人づてに映画監督の林海象さんを紹介してもらう。「ギャラはないけど、飯は食わせてやると言うので助監督になりました。貧乏だったけれど、楽しかったことしか覚えていないですね」。そして、何人かの監督に付いた後、岩井俊二さんの助監督を務めるようになる。

「綱渡りのように映画の世界に入り、足掛け11年助監督をしていました。そう言うと下積みが長かったですねと言われるけれど、正直、その感覚はなかった。参加している作品に対し、最大限、自分に何が出来るのかだけを考え、取り組んでいました。もし、修業とか働かされているという意識だったら、経験を確実にものにしていくことは出来なかったと思う」

よく岩井監督の右腕的存在とか知恵袋と言われたそうだ。「自分なりの解釈を話すと監督が新たな発想を思い付き、次の撮影に生かしてくれたり。それがすごく楽しく、そこに自分の存在意義みたいなものを見いだしていた気がします」

そして29歳で監督デビュー。『GO』で数々の映画賞を受賞して一気に注目を浴び、邦画ブームの火付け役と言われるほど話題作を生み出す。だが、全然納得していないという。それどころか、今なお自分が手にしたいものを目指し、四苦八苦しているという。

初期衝動が映画製作の起動力

映画の撮影中は思い通りにならないことも多く、精神的に追い詰められるという。途中で投げ出したくなることもあり、そんな時は初期衝動に立ち返る。「なぜこの作品をやりたかったのか。最初の衝動が強ければ強いほど、気持ちを奮起させ頑張ることができるから」

しかし、そんなに苦しみや、長い年月をかけて製作しても人々の評価は様々。「時にはボロクソに言われることもあります。一時的に落ち込みますが、実はそんなに気にしていません。たくさん賞をもらった『GO』なんて全然自信がなかったけれど、いまだに海外で高く評価されていますし」

評価はあくまで他人が決めるもの。だから振り回されることなく、同時に自己評価も必要ないという。そう思うようになったのは20代前半、ドラマの制作会社で働いていた時だ。

他人のことより自分の将来を考える

行定 勲さんの写真3

失敗が続き、「もう無理、辞めたい」と思って上司に相談したら、「お前は勝手に自分の価値を決めている。誰もクビと言っていないんだから辞めなくていい。お前がダメなやつでもダメなりに居る意味はある。辞めろと言われるまではやり続けろ」と。

「この言葉は僕の原点です。自分で『もう無理』『向いてない』と決めなくていいんだと思ったら、気持ちがラクになったのを今でも覚えています」

それでも、かつては他人の活躍を見て嫉妬したり悩んだりしたこともあった。しかし、40歳を過ぎた頃からそんな感情も消えたという。

「それよりも気になるのは、あと何本映画が撮れるのかということ。今40代半ばで残された活動時間が30年だとすると、せいぜい15本でしょう。自分のファイルには25本以上撮りたいものがあるのに。しかも、まだ一本も後世に残る作品がない。僕は映画人として成功したかのようにいわれるけれど、決してそんなことはない。かつての巨匠たちのように歴史に残る作品を撮りたい。でも、それを実現するにはまだまだ未熟なんだと思っています」

本当は一本でも前倒しして映画を撮りたい。でも、あえて舞台演出に寄り道するのは、これから撮る映画をより良いものにするため。表現者として少しでもクオリティーを上げるためだと語る。

「だから、助監督時代よりも今の方がむしろ修業の時なんです、僕にとっては」。撮影現場のおっさんたちに出会ってから映画の道を志したというが、映画への情熱は年を重ねるほどに深まり、色あせることはない。何があっても映画のためならと、もがき続ける。そこがカッコいい。

ヒーローへの3つの質問

行定 勲さんの写真4

現在の仕事についていなければ、どんな仕事についていたでしょうか?

思いつかないな。映画のスタッフになること以外、考えたことがないです。

人生に影響を与えた本は何ですか?

『タルコフスキー日記 ~殉教録~』。アンドレイ・タルコフスキーというロシアの映画監督の日記です。内容は、作りたい映画の構想から日々の行動や出来事の記録まで多岐にわたっています。天才と呼ばれ、数々の傑作を遺した人ですが、日常ではこんなに苦労しているんだとか、何度も何度も同じ作品を書き直している様子が手に取るように伝わってきて、すごく共感しました。20代後半に読み、影響を受けました。

あなたの「勝負●●」は何ですか?

洋服かな。いざという時は、気に入った洋服を意識して選び、着ていきます。

Infomation

行定勲 海外戯曲作品演出 第3弾
「テイキング サイド ~ヒトラーに翻弄された指揮者が裁かれる日~」

テイキングサイドとは、どちら側に付くか、どちらに味方するかという意味。ナチスの寵愛を受けてきた世界的指揮者ヴィルヘルム・フルトヴェングラーは、戦後、ナチス党員として裁判にかけられ、米軍少佐アーノルドの厳しい追及を受けることになる。果たして何が正しいのか? 舞台は芸術と政治という重いテーマに向かって導かれていく。平幹二朗さん、筧利夫さんという実力派俳優の世紀の対決にも期待したい。

日程:2013年2月1日(金)~11日(月・祝)
会場:東京・天王洲 銀河劇場
原作:ロナルド・ハーウッド
演出:行定勲
出演:筧利夫、福田沙紀、小島聖、小林隆、鈴木亮平、平幹二朗
問い合わせ先:銀河劇場チケットセンター(TEL 03-5769-0011)
公式サイト:http://www.taking-side.com

朝日新聞とマイナビ転職が厳選した求人を掲載中!
朝日新聞xマイナビ転職ロゴ
  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena
自分を向いて歩こう。マイナビ転職

豊富な転職・求人情報と転職ノウハウであなたの転職活動を支援する【マイナビ転職】。マイナビ転職は正社員の求人を中心に“日本最大級”常時 約8,000件以上の全国各地の豊富な求人情報をご紹介する転職・求人サイトです。毎週火・金更新であなたの希望の職種や勤務地、業種などの条件から検索することができます。職務経歴書や転職希望条件を匿名で登録するとあなたに興味を持った企業からスカウトされるサービスや、転職活動に役立つ職務経歴書サンプルや転職Q&A、会員登録をすると専門アドバイザーによる履歴書の添削、面接攻略など充実した転職支援サービスを利用できる転職サイトです。