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第一線で活躍するヒーローたちの「仕事」「挑戦」への思いをつづる

Vol.106バレリーナ 加治屋百合子
自分に負けたくなかった

Heroes File Vol.106
掲載日:2013/9/6

加治屋百合子さんの写真1

米ニューヨーク拠点のバレエ団、アメリカン・バレエ・シアターで日本人唯一のソリストとして活躍する加治屋百合子さん。華奢で可憐な容姿と、やわらかな口調が印象的。だが、その内側には想像を絶するほどの強さがみなぎっていた。

Profile

かじや・ゆりこ 1984年名古屋市生まれ。10歳で上海市舞踊学校に留学、ローザンヌ国際バレエコンクールでスカラシップ賞を受賞し、カナダ国立バレエ学校に入学。2002年アメリカン・バレエ・シアター入団。14年2月に行われる同団の来日公演では22日の「くるみ割り人形」に主演予定(会場:Bunkamuraオーチャードホール)。

10歳から上海でバレエ修業

愛らしい雰囲気。でもひとたびステージに立つと、ダイナミックなジャンプと華麗な踊りで観客を釘づけにする。世界のスターダンサーがそろう名門アメリカン・バレエ・シアター(ABT)に所属し、日本人でただ一人のソリストとして活躍する加治屋さん。

習い事の一つに過ぎなかったバレエに、本格的に取り組み始めたのは10歳の時。父親が上海に赴任したのを機に、全寮制の国立上海市舞踊学校へ入学したのがきっかけだ。

「周りは、中国全土の何千人もの中から選ばれた超エリートたち。学費を払って留学生として入った私とは全然レベルが違いました。最初はついていくだけで精いっぱい。ただ、つらくても涙は見せたくないので、そんな時はベッドの中で泣いていました」

父は1年で帰国。加治屋さんはバレエを続けたいというより、日本に帰ったら自分に負けるような気がして、一人上海に残った。「卒業までの6年間、そこでバレエ漬けの日々を送りました。先生は中国人から優秀なバレリーナを出そうと必死で、留学生の私は二の次。でも、そこを何とか認めてもらうには上達するしかないと子ども心に考え、人の何倍も練習しました」。同級生には「スタジオに行くと必ず百合子がいる」とよく言われたそうだ。

「13歳ごろから少しずつ進歩や上達度を実感できるようになって。それからです、バレエは楽しい、ずっと続けたいと思えるようになったのは」

地道な努力で憧れのバレエ団へ

加治屋百合子さんの写真2

そして15歳の時、若手ダンサーの登竜門「ローザンヌ国際バレエコンクール」に出場し、見事入賞。「本来は学校から中国の生徒4人を出すところなのですが、特別に選抜会を行ってもらい、日本人の私にも一枠分を与えてもらえました。でも、学校を代表するからには賞を取らなければいけない。プレッシャーはありましたが、私たちは高い意識でコンクールに臨みました」

上海の学校を卒業後は、賞の奨学金でカナダの国立バレエ学校へ留学。そこでABTのことを知り、「プロになるならここだ!」と、翌年オーディションを受けてABTの下部組織、若手のためのスタジオカンパニーの研修生になる。そしてその3カ月後にはメーンカンパニーに入団。通常1年かかると言われていた中での異例のスピード昇格だっただけに、自身にとっても大きな自信につながった。

「努力は必ず報われる。これでようやくプロとしてやっていけるんだと安心したのを覚えています」。その時17歳。プロのバレリーナとしての、まさにスタートだった。

常に準備をしてチャンスをつかむ

アメリカン・バレエ・シアター(ABT)には世界中から才能あふれるダンサーが集まっている。それだけにコール・ド・バレエ(群舞)からソリスト、最高位のプリンシパルへとステップアップしていくのは、並大抵の努力でできることではない。そんな中、加治屋さんは入団5年目でソリストに昇格している。

「上海やカナダの学校に通っていた頃からなのですが、バレエの公演を見ていて気づいたのです。群舞は踊りがそろっているからこそ美しいのであって、一人だけ高くジャンプしたり、人より長い時間足を上げたりといったことで目立ってはいけない。でもそんな中でも必ず光って見える人がいる。そういう人が成長していける、私もそんな人を目指そう、と。バレエ団に入ってからも、群舞の中で輝くダンサーになろうと思い、もっと上達したいと努力を重ねました」

また、誰かがケガや病気で公演を休むことになり、急きょ「明日、この役を踊ってほしい」と指名されることも多い。「その時にすぐ踊れるだけの技術と集中力を持ち合わせていれば、大役がつかめる。それが信頼となり、次のチャンスへとつながっていきます。チャンスを見逃さないためにも休まず練習し、準備しておくよう心がけていましたね」

バレリーナとして常に意識しているのは、「今日の自分が昨日と同じではいけない」ということ。「同じ役でも前と一緒ではむしろ悪くなっているという証拠です。常に良くなっていかなければいけない。そう思うと自然にスタジオへ足が向き、練習してしまう」。それと自己管理も大切だという。「生活の乱れは如実に踊りに出てしまいますから」

舞台マジックこそバレリーナのだいご味

加治屋百合子さんの写真3

そんな加治屋さんにとって一番の喜び、それはやはり舞台に立つことだ。「客席は見えないのですが、私が踊りを通して表現している思いがお客さまに伝わっている、楽しんでもらっていると感じ取れる瞬間があるんです。それを私は舞台マジックと呼んでいるのですが、その時の感覚がたまらない。この仕事を選んで良かったと思うし、もっと練習して人に感動を与えられるバレリーナになりたいって新たに気持ちも引き締まる瞬間でもあります」

強靭(きょうじん)な意志の強さ、そしてストイックさを持つ。にもかかわらず、やわらかく澄んだ笑顔からは苦労や努力の跡を少しも感じさせない。

2014年2月には3年ぶりとなるABT来日公演を控えている。今回は「くるみ割り人形」と「オール・スター・ガラ」の演目に出演する予定。磨き上げられた彼女の姿が輝く時だ。

ヒーローへの3つの質問

加治屋百合子さんの写真4

現在の仕事についていなければ、どんな仕事についていたでしょうか?

バレリーナの前は、お医者さんになりたいと思っていました。

人生に影響を与えた本は何ですか?

「お母さん、僕は大丈夫! 寺田宜弘キエフ・バレエ学校8年間の留学記録」。11歳で日本人初の国費留学生として、ロシアのキエフ・バレエ団へ入った少年の留学記録。上海の舞踊学校へ入った当初読んだのですが、自分と同じような境遇で苦労している少年の姿にずいぶんと励まされました。

あなたの「勝負●●」は何ですか?

舞台に立つ時は必ずトウシューズにキスをし、今までの練習がちゃんと実りますようにと祈ります。

Infomation

アメリカン・バレエ・シアター来日公演
加治屋さん、「くるみ割り人形」「オール・スター・ガラ」に出演!

世界5大バレエ団の一つ、アメリカン・バレエ・シアター(ABT)が3年ぶりに来日。演目は世界中で愛され続けているファンタジー「くるみ割り人形」、スターダンサーが壮絶なドラマを踊る「マノン」、そしてABTの魅力満載「オール・スター・ガラ」を上演する。加治屋さんは「くるみ割り人形」「オール・スター・ガラ」に出演。彼女の華やかな舞台姿が日本で堪能できる。

公演日程:2014年2月20日(木)~3月1日(土)
場所:Bunkamuraオーチャードホール、東京文化会館
芸術監督:ケヴィン・マッケンジー
管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
問い合わせ先:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040(10時~18時)
公式サイト:http://www.japanarts.co.jp/abt2014

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