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vol.128 アートディレクター/アーティスト 増田セバスチャン 人生はオリジナルでいい


今、“原宿Kawaii文化”が日本のポップカルチャーとして世界で注目されている。
その火付け役であり、歌手・きゃりーぱみゅぱみゅさんのライブの
演出・美術を手掛けるアートディレクターとしても知られる増田セバスチャンさん。
華々しく活躍を続けているが、実は20代のころは挫折の連続。引きこもりの時期もあった。
そこを抜け出せたのは1冊の本のお陰だったと言う。

寺山修司の本に出会い引きこもりから脱出

2014年末、東京・原宿に新名所が誕生した。観光案内所が併設された施設「もしもしにっぽん『MOSHI MOSHI BOX』」だ。シンボルとなるモニュメント「世界時計」はポップでカラフル。制作したのは増田さんである。

「原宿Kawaii文化」の第一人者で、歌手・きゃりーぱみゅぱみゅさんの音楽ビデオや舞台美術を始め、さまざまな分野で独創的な世界観を作り出し、海外でも評価が高い。昨年は初の個展をニューヨークなどで開催し、映画監督にも初挑戦した。まさに八面六臂(はちめんろっぴ)の活躍だが、「注目され始めたのはここ数年のこと。遅咲きです」と笑う。

そんな増田さんだが、高校時代は学校になじめず、不登校の日々だったと言う。「唯一の居場所はよく遊びに行く原宿でした」。そして人生を心機一転したくて大阪の専門学校へ進学。でも今度は関西文化に溶け込めず、約2年間引きこもる。

「家庭環境が複雑だったこともあり、学校を出て就職、結婚という普通の人生に魅力を感じられなかった。それに、人と同じことが嫌いなくせに、世の中からはみ出していることがコンプレックスだったりして。一体、自分は何をすればいいのか、この先どうなってしまうのかと将来がものすごく不安で、葛藤に満ちた時期でした」

そんな中、図書館で1冊の本と出会う。劇作家・寺山修司さんが著した『書を捨てよ、町へ出よう』だった。

既成概念を捨て自分らしく生きる決意

タイトルが心に突き刺さった。読み進むうちに、既成概念や一般的な生き方に縛られることなく、自分が表現したいことを自由にすればいいんだと気づかされた。クリエーティブに生きていこう、自分だけのオリジナルの人生を歩もうと、本に背中を押された増田さんは東京へ戻り、行動を起こす。寺山氏に関係のある劇団や現代美術の現場でスタッフやアーティストの手伝いを始めた。

「とは言え現場で足手まといになることが多く、少しでも役立つスキルを身に付けたいとテレビ局の大道具のアルバイトもしました。何でも吸収したくてどんな仕事も一生懸命にやっていたら、数年後には舞台設計など大事な仕事も任せてもらえるようになり、その経験は今すごく役立っています」

やがて、演劇やアートの形で作品を発表するようになる。当時からカラフルな作風だったが、モノトーンがカッコいい時代で、評論家からは「これは表現とは言えない」「アートではない」と酷評された。一方、友人たちからは褒められた。

「でも、やはりプロとして世間の評価をきちんと受けたい。そう思い、24歳の時に原宿で始めたのがショップ『6%DOKIDOKI』でした」


PROFILE

ますだ・せばすちゃん 1970年千葉県生まれ。演劇や現代美術の世界で活動後、95年に原宿でショップ「6%DOKIDOKI」をオープン。2011年から歌手・きゃりーぱみゅぱみゅの舞台演出などを手掛け、世界的に注目される。14年には初の個展をニューヨーク、マイアミで開催し、初監督映画『くるみ割り人形』も公開された。


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