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第一線で活躍するヒーローたちの「仕事」「挑戦」への思いをつづる

Vol.130落語家 柳家花緑
自分らしさへと向かう

Heroes File Vol.130
掲載日:2015/4/2

柳家花緑さんの写真1

祖父は落語界で初めて人間国宝となった五代目柳家小さん師匠。叔父は六代目柳家小さん師匠。自身も9歳から高座に上がり、最年少22歳で真打ちに昇進。まさに落語界のサラブレッド、柳家花緑さん。古典落語はもちろん創作落語にも精力的に取り組み、テレビや舞台など各方面でも活躍している。しかし、実は決して華やかな表舞台にばかりいたわけではないという。長くもがき苦しんだ時期もあったそうだ。

Profile

やなぎや・かろく 1971年東京都生まれ。87年五代目柳家小さんに入門、89年二ツ目昇進、94年戦後最年少の22歳にして真打ち昇進。著書『落語家はなぜ噺を忘れないのか』など。2015年5月24日(日)にティアラこうとうにて、クラシックバレエと落語をコラボさせた舞台「柳家花緑の落語バレエ『おさよ』 ~バレエ・ジゼルより~」を公演予定。

偉大な祖父がプレッシャーだった

スピード感あふれるキレのいい語り口で人気の落語家、柳家花緑さん。人間国宝の五代目柳家小さん師匠の孫として生まれ、戦後最年少の22歳で真打ちに昇進。まさに落語界のサラブレッドである。

「母の勧めで9歳から祖父に稽古をつけてもらいました。落語というのは師匠から口伝えで教わって覚え、ダメ出しをもらいながら身に付けていきます。私は子供ながら高座にも上がりました。当時は祖父の落語をまねるだけで良かったし、子供だから高座でもウケが良く、『こりゃ楽しい』と中学卒業と同時に正式に入門しました」

小さん師匠の座右の銘は「万事素直」。何でも素直が一番、素直なものは芸も伸びるという教えどおり、花緑さんも稽古に没頭した。ところが18歳で二ツ目に昇進した頃から自我が芽生え、置かれた状況に疑問を抱くようになる。果たして祖父の型をコピーするだけでいいのか、自分がやりたい落語は何か、自分らしい落語って何なのか、と。

そして追い打ちをかけたのが、22歳で真打ちになったこと。うれしさよりも、偉大な小さん師匠の孫だというプレッシャーが覆いかぶさり、押しつぶされそうだったという。

「高座に上がった途端、お客さんの期待感が分かる。でも噺(はなし)が終わると落胆している。それを目の当たりにして、また自分のふがいなさに落ち込んで。毎日、窮地に立たされているようで、精神的にも不安定でした」

葛藤は、自分らしいやり方で乗り越える

柳家花緑さんの写真2

では、その長いトンネルからどうやって抜け出したのか。

「真打ちになった時、周りの反対を押し切って一人暮らしを始め、人生初の彼女もできたんです。初めて他人に認められた気がしてようやく小さな自信が芽生えました(笑)。そして何より大きな突破口となったのは、同世代の先輩たちの自由でユニークな高座です。自分の言葉で自分らしい落語を演じている姿を見て、ああ、これでいいんだと気づかされた。気持ちが楽になり、そこから自分を変えていけました」

花緑さんは、師匠から教わったものをいったん壊し、自分が純粋に面白いと思えるものを実践してみることにした。

古典落語にギャグをふんだんに盛り込み、完全に花緑流のネタに再構築。案の定、正統派を好む昔からのお客さんは離れていった。でも一方で同世代にはウケ始め、「魅力的だった」と褒めてくれる人もいた。

誰に何と言われようとも自分がやりたい高座を積み重ねていき、そのうち「花緑の落語が聞きたい」「君らしく一生懸命やればいい」と応援してくれるお客さんも増えていった。その手応えのお陰で、花緑さんにあった劣等感や迷いはいつしか消えていた。

緊張するのは自分を良く見せたいから

9歳で高座に上がって以来、35年が経つ花緑さん。「30代に入ったら、20代の頃のプレッシャーなどが消え、本番直前も緊張することがなくなりました」と語る。

人に良く見られたい、うまくやりたいと思うから緊張するのだと花緑さんは考える。

「私にとって高座は恥をかきに上がる場所。ありのままの自分をさらけ出す気持ちで臨んでいますから、ネタを間違えても想定内。リラックスしているので、むしろ間違えた方がいつも以上にさえ渡ったりもします(笑)。何より落語は生ライブ。お客さんは楽しみたくて来てくださっているので、こちらも真剣でありながら肩ひじ張らず、遊び心を持って楽しまないと。そのためにも過度な緊張は無用なんです」

粋は腹八分、手の内を十割見せるのはやぼと江戸っ子は考えたそうだ。だが花緑さんはあえて「やぼに生きる」という。「私の場合、正直に自分を見せた方が楽に生きられるし、高座も楽しめるので。それは落語家としての経験を重ねる中で分かったこと。先祖に笑われそうですが、やぼを通すことが私なりの粋になれば」

芸を守るために攻めの姿勢で挑む

柳家花緑さんの写真3

古典落語をベースにしながらも、ここ数年は新作落語や、洋服を着て椅子に座り口演する「同時代落語」、バレエ作品を落語にアレンジしたものなど、新ジャンルの開拓にも果敢に挑んでいる。加えて舞台への出演、そしてテレビ番組の司会、ナビゲーターなどでも精力的に活動。

「噺家(はなしか)の『噺』という字は口に新しいと書きます。つまり落語には元々、新しいことをやるというスピリットが備わっているということ。ならばそれを実践していこうと思って」

落語を面白くするために努力するのは落語家としては当たり前のこと。大切なのはそれ以外のことにどれだけチャレンジできるかだと考える。

「芸を守るためには攻めの姿勢が大事。四代目柳家小さんも『このくらいでいいやと思ったら噺は死ぬ』と語っていたそうです。そのとおりだと思う。限界を突き抜けるような、新たな挑戦を仕掛けていきたい」

芸は人なり。五代目柳家小さん師匠から学んだ大切な教えだ。「高座では普段の自分が出てしまいますから、芸の成長のためには人間性を磨かないとダメ。だからこそ普段の生活を大切にし、心の姿勢を正して生きることが大事です」

実際、小さん師匠は自宅の居間でも高座でも態度が変わらない人だったという。「そんな師匠の心意気、人格に少しでも近付きたい」と花緑さん。姿勢を正して臨む仕事は、きっと自分も楽しめる。

ヒーローへの3つの質問

柳家花緑さんの写真4

現在の仕事についていなければ、どんな仕事についていたでしょうか?

9歳から落語を始めていたので、しゃべること以外で何をしたら人様に喜んでいただけていたのかなんて、想像できません。

人生に影響を与えた本は何ですか?

18歳の頃から20代後半にかけて自分の内面を掘り下げるため、スピリチュアルなものも含め興味のある本を片っ端から読み漁っていました。中でも印象に残っているのが小林正観さんの本。人生を幸せに生きるために必要な心の持ち方を教えてもらいました。

あなたの「勝負●●」は何ですか?

質問を壊すようで申し訳ないですが、私は「勝負だ!」と思わないんです。よく、達人は「敵を斬りまくる」、名人は「敵を味方につけて刀を抜かない」と言ったりしますが、いずれそんな名人の境地に行けたらと思うくらいで。強いて言うなら噺家なので「しゃべる」とか「言葉」とかという武器は持っています。自分の気持ちを言葉で表現するのが得意なので、例えば夫婦げんかでもそのままにせず、必ず言葉を尽くして解決します。

Infomation

柳家花緑の落語バレエ『おさよ』 ~バレエ・ジゼルより~

クラシックバレエの名作「ジゼル」の舞台を江戸時代に置き換えた、柳家花緑さんの創作作品「おさよ」を、東京シティ・バレエ団の華麗なバレエと共に花緑さん自らが熱演。美しくも切ない恋物語に笑いを散りばめた落語をぜひ! 
出演:柳家花緑
バレエ:東京シティ・バレエ団
バレエ解説:安達悦子(東京シティ・バレエ団/芸術監督)
日時:2015年5月24日(日)
会場:ティアラこうとう 大ホール
問い合わせ先:ティアラこうとう 電話03-3635-5500

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