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第一線で活躍するヒーローたちの「仕事」「挑戦」への思いをつづる

Vol.154漫画家 ヤマザキマリ
「稼ぐ」ための仕事でも人生の無駄にならない

Heroes File Vol.154
掲載日:2016/8/18

ヤマザキマリさんの写真1

油絵の勉強のために17歳で単身イタリアへ渡り30歳で漫画家デビューをしたヤマザキマリさん。しかし、漫画だけで食べていけるまでには相当の年月を費やしている。その間の波乱に満ちた人生と、イタリア生活で学んだ生き方、イタリア人的なユニークな考え方についてお話を伺った。

Profile

やまざき・まり 1967年東京都生まれ。17歳でイタリアに渡り、国立フィレンツェ・アカデミア美術学院で学ぶ。97年漫画家デビュー。『テルマエ・ロマエ』で注目される。月刊誌『新潮45』に『プリニウス』(とり・みき氏との共著)を連載中で、2016年6月に単行本第4巻が発売された。

古代ローマから現代日本へタイムスリップした男をコミカルに描いた漫画『テルマエ・ロマエ』で一世を風靡(ふうび)したヤマザキマリさん。同作の執筆中から「次はギャグなしでガチの古代ローマを描きたい」と熱望し、挑んだのが『プリニウス』だ。2016年8月現在、月刊誌『新潮45』に連載中で、単行本は4巻まで刊行されている。

プリニウスは博物学者にして艦隊の司令長官。ローマで一番の教養人でありながら、怪物の目撃談に興味を示したり、風呂好きだったり。何ものにも縛られず、好奇心のままダイナミックに自らの生き方、考え方を貫き通す。「まさに愛すべき変人。そこに引かれました」

そんな、誰とも重ならないような生き方をしたという点ではヤマザキさんも同じだ。

17歳で油絵を勉強するためにイタリアへ留学。そこで生活能力のない詩人の男性と恋に落ちて同棲(どうせい)。ヤマザキさんが働かざるを得ず、チリ紙交換から始まってチラシ配り、店員、通訳までさまざまなアルバイトを経験した。

ところが10年目にまさかの妊娠。「2人も養えない」と判断し、出産を機に彼と別れた。「その時、相談した現地の知人が『漫画を描けばお金になるよ』と助言してくれた。油絵しか描いたことがなかったので、日本人留学生からもらった、つげ義春さんや丸尾末広さんの作品を教科書にして漫画の描き方を独学しました」

ヤマザキマリさんの写真2

賞金目当てで、とある新人賞に応募したところ努力賞に選ばれる。それを機に専属の編集者がついた。とは言え、すぐに漫画家で食べていけるわけもなく、子供が2歳の時、いったん母の暮らす北海道へ戻る。漫画は描き続けていたが、マニアックすぎて売れず、仕方がないのでいろんな仕事を掛け持ちした。「イタリア関連の事務局で事務職に就き、語学学校の立ち上げにかかわったり、大学講師をしたり、テレビ番組に出たりしたこともありました」

これまで、やりたいわけではない仕事も、とにかく稼ぐためにやってきた。「でもその経験は、将来に役立つ力をくれた。例えばイタリアでの通訳のバイトでは値段交渉術が身に着いたし、北海道でのいろいろな経験は、日本社会に合わないと思っていた私に、案外やればできるもんだという自信を与えてくれました」

その後イタリア人と結婚、再び日本を離れることに。そこでヤマザキさんは決意する。「今こそ一番好きな漫画だけに絞ろう」と。幾つかの仕事に分散していた蛇口を一つに集約すれば、きっとすごく濃いエネルギーが自分から流れ出すはずだと、そう直感したからだ。

常識の概念を振り払い、フットワークを軽く

ヤマザキマリさんの写真3

2002年に結婚し、同時に漫画に専念し始めたヤマザキさんは08年に『テルマエ・ロマエ』を発表。これが単行本発行部数900万部を超える大ベストセラーとなり、大きな漫画賞にも輝いた。そんなヤマザキさんは今、『スティーブ・ジョブズ』『プリニウス』といった作品の連載に追われる日々を過ごしている。

『プリニウス』はベテラン漫画家とり・みきさんとのコラボレーション。その共同作業は実に刺激的だという。基本的に構成と人物はヤマザキさん、背景と仕上げをとりさんが担当しているが、「とりさんも今までにないくらいの画力を発揮していて、私がうまく描けたと思っても彼の仕上げを見て落ち込み、書き直すことも。毎回ガチンコ勝負です。自分より上手な人がいると張り合いがあるし、おのずと上達もする。そのことを改めて実感しています」。

16年8月現在、イタリア在住。イタリア人はごく身近な存在であり、学ぶことも多いそうだ。

「私が感心するのは、失敗しても落ち込んだりしないところ。彼らは自分で自分を慰められる力を持っている。例えばナポリの男性が女性に振られた瞬間を目撃した時のことですが、しばらくテーブルにうつぶした後、ワイングラスにワインを注ぎ、グラスを持つ自分を鏡に映していたんです。ドラマチックに振る舞うことで傷ついた心を自分で治癒してしまう。見事だなと思いました」

またイタリア人は、人が大好きな割には人を信用していない一面もあるという。「信用しない」が根底にあるから、「あなたが言ったからこうしたのに」と他人を責めたりもしない。

「ある意味、とても健全な心の在り方だと思います。要は、自分の感覚で判断するということを大切にしているんです」。人の話は聞かないし、場の空気を読んだりもしない。そんなイタリア人にいら立つこともある半面、日本人にそういうイタリア人的要素があってもいいのではと思うこともあるとヤマザキさんは語る。

「日本では『普通こうじゃない?』ってよく言うけれど、その『普通』の概念がもう少し減れば、誰もがもっとフットワークを軽くして生きやすい社会になる気がします」

ヤマザキさん自身はおよそ平穏や計画性などとは無縁の、どちらかと言えば波乱続きの人生を送ってきた。失敗も数知れず。でも数々の失敗が分厚いかさぶたとなり、多少のことではへこたれない自分にしてくれた。だから若い人には恐れずじゃんじゃん失敗してほしいと話す。「失敗をしたら、『何て自分は可哀そうなんだ』と酔いしれたらいいんです(笑)」

ヒーローへの3つの質問

ヤマザキマリさんの写真4

現在の仕事についていなければ、どんな仕事についていたでしょうか?

冒険家か、ずっと旅をしている人でありたい。子どものころに見たテレビ番組「兼高かおる世界の旅」では、ジャーナリストの兼高さんが世界中を旅していました。あの番組の兼高さんのようになりたいですね。

人生に影響を与えた本は何ですか?

安部公房の『砂の女』です。19歳の時に初めてイタリア語で読みました。留学先のフィレンツェにいて、「何もあてになるものなどない」「ここにいれば自由なんだという場所なんて果たしてあるんだろうか」といった、当時の自分の気持ちととてもシンクロした本です。

あなたの「勝負●●」は何ですか?

私はかなりアクの強い人が好きなのですが、すでに亡くなられている方が多いので、そういう人たちを想像し、目に見えない会話をすることです。あとは日本の昔の映画を見たり、各国のドキュメンタリー番組を見たりして大いに刺激をもらっています。

Infomation

新刊『プリニウス Ⅳ』と『プリニウス完全ガイド』が発売中

漫画家のとり・みき氏との共作ということで話題になっているコミック『プリニウス』。舞台は古代ローマ。危険を顧みず、火山の噴火や雷などの自然現象を眺めたり、謎の怪物の目撃情報に耳を傾けたりする変人の博物学者、プリニウスを主人公にした歴史伝奇ロマンだ。新潮社の月刊誌『新潮45』に連載中で、2016年6月に単行本第4巻『プリニウス Ⅳ』が発売されたほか、『プリニウス』の世界がより深く楽しめる『プリニウス完全ガイド』も発売中。

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