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vol.169 俳優 向井理 人生の決断はいつも「人」で決める


数々のドラマや映画、舞台の主演を務めている俳優・向井理さん。
涼しげで甘い顔立ちだが、発する言葉にはどこか覚悟のようなものがあり
その奥に潜む芯の強さをにじませる。
2017年は自身が企画した映画の公開、更には念願だったドラマへの出演などが続く。
そんな向井さんに、仕事に対する思いを伺った。

「原作が池井戸潤さんで、同い年の斎藤工とダブル主演。2年前に始まった企画でようやく実現できるというのもあって、渇望しているような感覚というか、いつも以上にギラギラしている自分がいます」

向井さんが静かに、しかし熱くそう語るのは、2017年7月9日(日)から放送開始予定の「連続ドラマW アキラとあきら」だ。バブル期の銀行を舞台に、生い立ちの異なる2人の男の宿命を描いたヒューマンドラマである。

クランクイン前、この時代に銀行員だった叔父に話を聞いた。「銀行は経済の最先端の仕事だと認識を深めました。また、銀行員はいろんな業種の人たちとかかわり、そこをつなげることができる面白い仕事だなとも思いました」

向井さんの経歴はちょっと異色だ。大学時代、人見知りを直したくて選んだアルバイトが飲食店での接客だった。やがてカクテルに興味を持ち、バーへ転職してバーテンダーとなる。大学卒業後、誘いを受けた別のバーに正社員として就職。後に1年間店長も務めた。

「バーテンダーは先ほど話した銀行員と同じで、いろんな職業のお客さんから話が聞ける。そこが純粋に楽しかった」

また、カウンターは舞台なのだとも教えられた。シェーカーの振り方だけでなく、話術も含めてどういうパフォーマンスをすればお客さんを魅了できるか。そして、お客さんの仕事、好きな酒、どんなタイミングでタバコを吸うかなどを感じ取れないと理想の接客はできないと。

「100点はないけれど、100点を目指さなくてはいけない。そういうことをすごく勉強させてもらいました」

芸能界入りを決めたのはスカウトに来た前マネジャーの人柄だった。「今もそうだけど、僕は何でも『人』で決めます。すでに23歳だったし、俳優業に興味があったわけではなかったのですが、とにかく熱意を感じ、この人なら信じられる、いや、むしろこの人と絶対仕事がしたいと思えたのが決め手でした」

足を突っ込むからには成功するまで頑張ろうと覚悟した矢先、初めて受けたオーディションに合格し、いきなりデビュー。だが、それ以降は幾らオーディションへ行っても受からず、仕事がまったくない状態がしばらく続いた。

「プロフィールを記した紙を目の前で捨てられたり、悔しい思いは何度もしました。でも、その悔しさは常に原動力になったし、すごく早い段階で天国と地獄を経験したお陰で、浮かれずに、地に足をつけて前に進めた気がします」


PROFILE

むかい・おさむ/1982年神奈川県生まれ。2006年に俳優デビュー。池井戸潤さん原作の「連続ドラマW アキラとあきら」(WOWOW)に斎藤工さんとダブル主演、17年7月9日(日)から放送開始予定(毎週日曜・全9話)。自ら企画した映画『いつまた、君と ~何日君再来~』が公開中。


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