第一線で活躍するヒーローたちの「仕事」「挑戦」への思いをつづる
Vol.195 クロスフィットトレーナー AYA
運動が「運」を動かし、新たな道へと導いた
Heroes File Vol.195
掲載日:2019/3/8
「筋トレ女子」「腹筋女子」を目指す女性が増えて久しいが、その火付け役となったクロスフィットトレーナーがAYAさんだ。
アメリカ発祥のトレーニング「クロスフィット」によって、美しいボディーだけでなく、自らの迷いを吹き飛ばして強い心も得たという。
そんなAYAさんに、クロスフィットトレーナーという仕事への思いや、「運動」から得られたものなどについて話を伺った。
Profile
あや/1984年兵庫県生まれ。体育大学を卒業後、フィットネスインストラクターとなり、同時にモデルとしても活躍。現在、東京・西麻布のジム「リーボック クロスフィット ハート&ビューティー」でトレーナーを務めている。著書『AYAボディメソッドBASIC』ほか。
六つに割れた見事な腹筋で、贅肉(ぜいにく)などない美しくしなやかな肉体美のAYAさん。女優やモデルたちからも絶大な信頼を得ているカリスマトレーナーである。
「運動って『運』を『動かす』と書きますよね。思えば私の人生が正にそうでした。運動によって運を動かし、そして今に至ったという感じがしています」
父親の影響で幼いころから体を動かすことが大好きだった。夢は体育の先生。それをかなえるため体育大学へと進学する。「でもそこで、フィットネスインストラクターという職業があることを初めて知ったんです。幅広い年齢層を対象に指導できるというところに魅力を感じ、その道へ進もうと考えました」
こうしてスポーツジムのフィットネスインストラクターになったAYAさん。最初は無我夢中で会員の指導にあたっていた。しかしキャリアを重ねていくうちに、会員にやめられないようにするためには、楽しませなければならないという気持ちにとらわれるようになり、純粋に運動の素晴らしさを伝えることができなくなっていったという。
「それに、私はモデルの活動もしているのですが、当時所属していた事務所から、筋肉があり過ぎるとオーディションに落ちるから痩せるようにと言われ、ジムでも一切体を動かさず、言葉だけの指導に徹せざるを得なくなっていました。それによって会員さんからの信頼も失ってしまった」
何より、大好きな運動ができないということでAYAさん自身が自分の半分を失ったような感覚に陥り、モデルのオーディションでも自分らしさを発揮することができずに落ちてばかりいたという。
そんな、どっちつかずの日々が続いて悩んでいた時期に出会ったのが「クロスフィット」だった。アメリカ発祥の、まだほとんどの人が知らないトレーニング方法。まずはどういうものかを知らなければならないと、AYAさんは約1年、フィットネスインストラクターも続けながら自分の体でクロスフィットを試してみた。
実は懸垂も腕立て伏せも苦手だったというAYAさん。しかし、クロスフィットのプログラムを繰り返すうちにできるようになり、体はどんどん変化していった。
「達成感が自信に変わることを体で実感した1年でした。何よりも運動は素晴らしいと再確認できたことがうれしくて」。クロスフィットなら自分らしく生きられる! 新たな人生を始めようと心が大きく動いた。
負けん気に火を付けて本当の強さを引き出す
AYAさんがトレーナーを務める東京・西麻布のジム「リーボック クロスフィット ハート&ビューティー」には、朝6時から多くの利用者が集まり、トレーニングに取り組んでいる。
「『クロスフィット』というトレーニングには、人間が持っている本来の身体能力をすべて引き出すという目的があります。続けるに従って体が引き締まり、それに伴って食事内容も変わっていく。そして睡眠の大切さも分かってきます。私自身、ライフスタイルそのものがクロスフィットによって劇的に変わりました」
AYAさんは、運動には性格すら変えるパワーがあると語る。運動が大の苦手であいさつもしない生徒さんがいたが、クロスフィットのプログラムでできなかったことができるようになっていくうちに、笑顔が増え、あいさつも積極的にしてくれるようになった。今ではトライアスロンに挑戦するまでになったという。
「体と共に内面も鍛えられたんでしょうね。そんなふうに生徒さんがどんどん輝いていくのが何よりうれしい。努力しないトレーナーに教えてもらいたくないでしょうから、私も頑張る。正に生徒さんたちの成長こそが私の原動力。トレーナーとしての責任感に突き動かされ、私も自分を追い込んでいます」
厳しいトレーナーと思われがちだが、基本的には相手の性格に合わせた指導を心掛けている。「例えば少しできるようになると、自分の力を過信する人と、これ以上は無理だと壁を作る人に分かれます。過信タイプはキャパシティー以上のメニューに挑戦しようとするので、まずはそれをやってもらう。できなかったら悔しがりながらも自分の弱点に気づけます。一方、壁を作るタイプには『本当に無理だったら途中でやめてもいいよ』と逃げ道を作り、ちょっとハードな運動メニューを設定します」
タイプは違っても、キツいと言われるAYAさんのクラスに参加している時点で負けず嫌いの面がある人たちだから、何とか頑張る。そうやって、その人の負けん気に火を付ける。「それが私のやり方。悔しい気持ちが本当の強さを引き出してくれるのです」
AYAさんの夢は、人生を豊かにするために一人でも多くの人に運動を習慣化してもらうことだ。できれば衣食住と並ぶほど「運動」を日常生活に定着させてもらいたいと願っている。「私自身、自信をなくした時も嫌なことがあった時も全部運動で乗り越えてきました。汗をかくと嫌なことも流れ出ていき、心のデトックスになっている。今後も、運動の魅力を私なりのやり方で発信していくつもりです」
ヒーローへの3つの質問
現在の仕事についていなければ、どんな仕事についていたでしょうか?
漫画家です。運動だけでなく、実は絵を描くことも好きでした。晴れた日は父と外でキャッチボールをし、雨の日はベランダで父と絵を描いていました。父は絵もすごく上手。運動の喜びと同時に絵心もまた父に教えてもらいました。
人生に影響を与えた本は何ですか?
『女性の品格』(坂東眞理子著)です。いつ読んだか覚えていないのですが、人として品格を持つことはとても大事なんだと気づかされました。自分の行動や言動に品格を持つこと、そして思いやりの大切さを学んだ一冊です。
あなたの「勝負●●」は何ですか?
ワークアウト(トレーニング)ですね。撮影やインタビュー、イベントなどの前も、どんなに時間がなくても必ずワークアウトをします。30分でも、やっていった自分とやらずにいった自分とでは全然顔つきが違うし、自分から出てくるものも違うんです。そんなワークアウトが、たぶん自信を与えてくれているんだと思います。
Infomation
AYAさんの指導が受けられるジム
「クロスフィット」とは、日常生活で繰り返し行う動作をベースにしたトレーニング方法。毎回異なったトレーニングメニューで、10に分けた運動要素をまんべんなく行う。AYAさんが直接指導するジム「リーボック クロスフィット ハート&ビューティー」は西麻布にある。AYAさんは「よく超人のように言われますが、私もクロスフィットを始める前までは懸垂も腕立て伏せもうまくできませんでした。できなかったことができるようになっていく喜びを自分でも体験しています。ぜひ多くの人にクロスフィットを通して、運動も取り入れたライフスタイルを実践してほしいです」と語る。
リーボック クロスフィット ハート&ビューティー
場所:東京都港区西麻布3-13-3 カスタリア広尾B1F
電話:03-5785-2365
http://www.reebokcrossfit-heartandbeauty.com/
そのほかの「リーボック クロスフィット」ジム一覧
https://fitness.reebok.jp/training/crossfitgym_list/