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第一線で活躍するヒーローたちの「仕事」「挑戦」への思いをつづる

Vol.197 劇作家/演出家 蓬莱竜太
思い通りでなくても、夢に少しずつ近づいた

掲載日:2019/4/19

蓬莱竜太さんの写真1

自らが所属する劇団「モダンスイマーズ」の作・演出のほか、さまざまな演劇の作・演出、さらにはドラマや映画の脚本なども手掛け、幅広く活躍している劇作家・演出家の蓬莱竜太さん。
ジャンルはこだわらず、依頼のあったものはほとんど受けていると語る。そうやって色々な仕事に応じ、色んな人に出会うことが自身を成長させてくれているという。
そんな今の仕事に、蓬莱さんはどうやってたどり着いたのだろうか。

Profile

ほうらい・りゅうた/1976年兵庫県生まれ、石川県育ち。99年に創設した劇団「モダンスイマーズ」の作・演出ほか様々な映画、舞台の脚本なども手掛ける。2019年5月11日(土)から紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京)にて舞台「木の上の軍隊」が再々演される。

骨太、重厚にして繊細な作風で各方面から高い評価を得ている劇作家の蓬莱さん。2019年5月11日(土)から東京で上演される、戦争と沖縄をテーマにした舞台「木の上の軍隊」も、その実力を買われたもので、劇作家の故・井上ひさしさんの原案を基に執筆してほしい、と依頼されて書き下ろした作品だ。13年に初演され、今回が再々演となる。

「そもそも戦争を知らない僕が書いていいのかと戸惑いもあったのですが、遺(のこ)された膨大な資料を目の前にした瞬間、井上さんが全身全霊で取り組んでいたことを実感し、僕なりに戦争に全力で向き合って書こうと挑みました」

蓬莱さんが演劇に初めて触れたのは高校時代だ。「担任が演劇部の顧問で、半ば強制的に入部させられて(笑)」。しかし、活動を続けるうちにどんどん夢中になっていく。

「初めて台本を書かせてもらった時、0から1の物語を作るのがすごく楽しかった。それを芝居という形に作り上げていくわけですが、いざ僕以外の部員に演じてもらうと、自分のイメージとは違ってなかなか思いどおりにならない。でも一方、思いも寄らないものもできる。そこがたまらなく面白かったんです」

蓬莱竜太さんの写真2

こんな楽しいことを一生の仕事にできたら何て幸せだろうなと思い、迷わず演劇の専門学校へ進学。そして卒業と同時に劇団を同級生と一緒に立ち上げた。ただ、2回の公演を行った後、色々あって挫折し、舞台関係の会社に就職することとなる。「いったん夢を諦めて、舞台の裏方として働くことにしたんです」

しかし2年後、再び演劇を始めるチャンスが訪れる。かつての劇団の創設メンバーから「公演を打ちたいから作・演出をやってほしい」と頼まれたのだ。「このまま一生、本来の希望ではない仕事を続けるのかなと、何ともやりきれない思いで生活していた時だったので、ぜひやりたい! と快諾したのを覚えています」

実際、やってみるとこれがまた実に楽しい。何より本来の自分を取り戻せたという感覚があった。「その時、一生やれなくてもいい、年1回、自分へのご褒美だと思って、自分がやりたい公演をやれればそれで僕は十分生きていける。よし来年もやるぞ、と心に決めました」

蓬莱さんは夢の大きさを、この時の自分の身の丈に合わせて設定した。決してすべてが思いどおりでなくても、焦らず自分のしたいことを少しずつかなえていく。「そうして毎年公演を重ねていくうちに、芝居を見てくれた方から声が掛かりはじめ、作・演出の仕事が増えていったんです。そして、両立が難しくなったのを機に舞台の裏方の仕事は辞めました」

来た球全て打った30代。それが40代を決めた

蓬莱竜太さんの写真3

仲間と一緒に劇団「モダンスイマーズ」を立ち上げ、本格的に作・演出の仕事を始めたころ、蓬莱さんは先輩演出家にこう言われた。

「30代は来た球をすべて打て。そうすれば40代になった時、自分が何に一番適しているかを人が決めてくれるから」と。それを信じ、あえて自分の作家としてのカラーを決めず、依頼された仕事はほとんど受けてきた。「年に5、6本は書いていました。振り返ると30代はずっと締め切りに追われていたような感じ(笑)」

かなり忙殺されたものの、劇団以外の仕事をさせてもらえるのはありがたかった。さまざまな才能を持った人たちと出会えたからだ。「人から刺激を受けることで、それまでの自分の価値観が覆ったり、やはりそうだったんだと確信したり。思えば、出会った人たちや依頼された仕事によって僕はそのつど変化し、成長することができたんだと思います」

5月に上演される舞台「木の上の軍隊」も正にそう。蓬莱さんは劇作家人生の中で、最も時間を掛けて書いたのがこの作品だという。「戦争と沖縄がテーマの本作を書き上げた時、結局、その執筆者がどんな祈りを込めて書くかでオリジナル性というものが決まるんだなと気づかされたんです。それ以降、ほかの作品を書く際も、これにはどういう祈りを込めようかと意識して考えるようになりました」

現在42歳。30代からの勢いは更に加速し、19年の今年も作・演出を手掛ける舞台公演が相次いで予定されている。そんな蓬莱さんをそこまで仕事に駆り立てるものは何なのか。

「20代のころ、一度夢を手放して就職したことが大きいです。裏方の仕事は大好きな舞台の近くで働けたのはうれしかったけれど、自分が本当に望んだものではなかったので、いつも心のどこかで違う生き方がしたいと思っていました。今の劇作家・演出家という仕事は前よりはるかにプレッシャーが大きく、作った作品が何の価値もないと評価されるかも知れないという恐怖と常に格闘もしていますが、それでも会社勤めのころの自分には戻りたくない。その気持ちが原動力になっていると思います」

とはいえ、20代で就職したことを後悔はしていない。むしろ良かったと思っている。「挫折して悩み苦しんだ日々の経験が、現在の作家としての僕の個性につながっているのは間違いないですから」

近道ではないところに色々と人生のヒントは転がっていて、場合によってはそこから行き先をさらに変えて前へ進むこともできると蓬莱さんは考える。「失敗しても、その先に案外幸せなことってあるものなんです」

ヒーローへの3つの質問

蓬莱竜太さんの写真4

現在の仕事についていなければ、どんな仕事についていたでしょうか?

報道記者にあこがれていた時期がありました。その前は刑事になりたかったです(笑)。

人生に影響を与えた本は何ですか?

『まんが道』です。漫画家・藤子不二雄さんの自伝的作品です。小学生か中学生の時に読み、モノをゼロから創る人にあこがれました。“漫画の神様”手塚治虫さんのことや、藤子さんが挫折したことなどもそのまま描かれていて、クリエーターのかっこ良さと大変さを感じた一冊でした。

あなたの「勝負●●」は何ですか?

お風呂。執筆前には必ず禊(みそ)ぎと称してお風呂に入ります。脱稿した時も同じ、お風呂に入ります。

Infomation

舞台「木の上の軍隊」が上演!

第2次世界大戦後の沖縄で、終戦を知らないまま2年もガジュマルの木の上で暮らした2人の日本兵がいた——。その実話を基にした舞台「井上ひさしメモリアル10 こまつ座 第127回公演『木の上の軍隊』」は、故・井上ひさしさんの未完の作品を、井上さんの遺(のこ)した膨大な資料本とメモ1枚を基に蓬莱竜太さんが書き上げた渾身(こんしん)作だ。栗山民也さんの演出により、戦場での極限状態にある兵士たちの繊細な心情の変化が見事に表現され、2013年の初演時から好評を博した。16年に再演され、更に19年、5月11日(土)から再々演される。「戦争や沖縄の問題などを扱っていますが、僕は子供が見ても面白いと感じられる、エンターテインメントとして書き上げました。どんでん返しなどもあり、気軽に楽しんでもらえる作品です。ぜひ劇場へお越しください」と蓬莱さん。

日程:2019年5月11日(土)~19日(日)
会場:紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京・新宿)
出演:山西惇、松下洸平、普天間かおり、ヴィオラ・有働皆美
公式サイト:http://www.komatsuza.co.jp/program/

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