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第一線で活躍するヒーローたちの「仕事」「挑戦」への思いをつづる

Vol.201 映画監督 白石和彌
つまずき転んでも、人はきっと再生できる

掲載日:2019/6/21

白石和彌さんの写真1

映画『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』『彼女がその名を知らない鳥たち』と手掛けた作品が次々に高い評価を受け、これからの日本映画を担う気鋭の監督と評される白石和彌さん。
助監督時代が10年以上で長編デビューが34歳と遅咲きだが、白石さんが今撮る監督作はどれも衝撃的で、見る人を圧倒し、しっかりと爪痕を残すものばかりだ。
「暴力ものが得意な人と思われがちですが、僕は至って常識人」とこぼれんばかりの笑顔。作品の印象とのギャップにホッとしながら、白石さんの今に至るまでの軌跡を伺った。

Profile

しらいし・かずや/1974年北海道生まれ。2013年公開の映画『凶悪』で注目を集める。17年度と18年度の2年連続でブルーリボン賞の監督賞に輝く。19年6月28日(金)から香取慎吾主演『凪待ち』がTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開。秋には『ひとよ』が公開予定。

香取慎吾さんがどん底まで落ちきった男を演じて注目を集める、話題の映画『凪待ち』が2019年6月28日(金)から全国公開となる。メガホンを取ったのは白石さんだ。

「東日本大震災をバックボーンに、喪失と再生をテーマに描いた物語です。地元の漁師さんが『三陸は養殖業が盛んだけど、震災前の海は栄養がなくなり魚が捕れなくなっていた。それが津波で海が生き返り、魚が戻ってきた』と教えてくれ、また、主演の香取さんが新しいスタートを切るタイミングでもありました。それらが相まって、人は誰しもつまずき転んでも、何かに支えられて生きていけるということがちゃんと伝わる映画になったと思います」

子供のころから映画好きだった白石さんは、札幌の映像学校で学び上京。雑誌で見つけた映像塾に参加したのをきっかけに、講師だった若松孝二監督のプロダクションに入り助監督となる。「とはいえ毎日仕事があるわけではなく、深夜にアルバイトをして昼前に若松プロへ行き、電話番で終わる日も多かったですね。ただ、撮影現場は楽しかった。映画を作る一員になれたことと、撮影の段取りなど任される作業がどんどん増えていくのがうれしかったです」

白石和彌さんの写真2

若松監督にはよく怒鳴られたが、その背中からはたくさんのことを学んだという。「映画の作り方といった技術よりも、ものの考え方や視座などですね。口癖のように『権力側から物事を見るな』と言っていましたが、それは今も僕の心にしっかりと刻まれています」

その後、行定勲さん、犬童一心さんら他の監督の現場にも参加するようになる。「助監督としての仕事は自分に合っていて好きだったので、監督になる気は毛頭なかった。でも中には失礼ながら、この人よりも僕のほうが絶対面白い映画を撮れると思ってしまう監督もいて、それで自分で撮ってやろうと思い、30歳ごろからその準備を始めました」

そして4年後、ようやく長編映画『ロストパラダイス・イン・トーキョー』で監督デビューする。「実はその前に準備していた作品が頓挫していて、子供が生まれたタイミングでもあったので、さすがに監督はもうあきらめて転職しようかと考えていました。でも、10年以上この業界でやってきたわけだし、準備してきたことを無駄にはしたくなかったので、1本だけ好きな映画を撮ってそれであきらめようと思って、このデビュー作を制作しました」

そして奇跡が起きる。これを見て一緒に映画を作ろうという人が現れたのだ。そうして新たに作ったのがヒット作となる『凶悪』だった。

若い頃への悔いが今の自分を駆り立てる

白石和彌さんの写真3

「20代も、40代半ばの今も何も変わらない。映画好きの青年が映画好きのおっさんになっただけですね」と笑う白石さん。人生のターニングポイントとなったのは13年に公開された監督作『凶悪』のヒットだった。実際の犯罪を題材にその実像をリアルに描いたこの作品は数々の映画賞を受賞し、白石さんは映画監督として一気に注目の存在となる。

以後、『日本で一番悪い奴ら』『彼女がその名を知らない鳥たち』『孤狼の血』など次々に話題作を世に送り出す。年を重ねるほどに勢いは増し、18年は3本、19年も『凪待ち』のほか2本という多忙ぶりだ。

「撮れば撮るほどやりたかったことがこぼれ落ちていき、新たなアイデアがたまっていく。それが次の作品の創作意欲につながっているように思います。それともう一つ、監督デビューが34歳と遅く、20代で映画を撮れなかったことへの悔いみたいなものが自分の中にあるんです。青春を取り戻したくて、数多くの作品を撮ろうとしているのかも知れませんね」

特に最近は早くに才能を開花させ、面白い作品を撮る20代の監督が増えており、彼らに触発されている部分もある。「監督になりたいという野心が20代の僕にはなかったから仕方ないのですが、彼らの映画を見ると、ああもう自分には撮れない映画だなって感じます。だから余計に今頑張ろうとしてしまう(笑)」

時代劇をはじめ、まだチャレンジしていないジャンルも多い。それらに一つひとつ挑戦していくつもりだが、どのジャンルにおいても「人間って何だ?」ということを突き詰める表現だけは貫きたいと考えている。「僕は不完全な人ほど愛(いと)おしい。今作の『凪待ち』でも、愚かにしか生きられない人間を切々と描いたつもりです」

バイオレンスが炸裂(さくれつ)する作風から怖い人と思われがちだが、白石さん自身は超がつくほどの常識人。現場で人を怒鳴ったり大声を上げたりすることはない。「例えば『働き方改革』を法律が決まるずっと前から実践し、できる限り遅くまでは撮影しないようにしています」

そこで役立っているのが若いころから意識して鍛えてきた直感力だ。「選択に際しては、根拠がなくても絶対にこっちだと自分で決めることを意識してやってきました。結果を踏まえ、毎回自分の中で反省会もしています」。そのかいあって今、監督として現場でとっさに判断しなければいけないことにも素早く対応し、ほとんどミスだと思うことはないという。

毎回、この一本で人生終わってもいいと思って撮影に臨んでいると話す白石さん。その覚悟が、新たな傑作を生み出していく。

ヒーローへの3つの質問

白石和彌さんの写真4

現在の仕事についていなければ、どんな仕事についていたでしょうか?

何か物を作る仕事をしていると思います。料理を作るのが好きなので料理人かも知れないですね。

人生に影響を与えた本は何ですか?

井上靖さんの『孔子』。高校生の時に読みました。孔子の言葉と共に物語が掲載されていて、初めて触れた哲学だったように思います。

あなたの「勝負●●」は何ですか?

クランクインの前に、これから撮る映画とはまったく関係のない、ジャンルが真逆な映画を見ます。青春ものやほっこりする作品を撮る時はホラーを見たりとか。『凪待ち』の前は確か“マーベル作品”でした!

Infomation

監督作『凪待ち』が全国公開!

「誰が殺したのか? なぜ殺したのか? その狂気に、真実が歪(ゆが)んでいく――」。毎日を無為に過ごしていた男が、恋人とその娘と共に彼女の故郷・石巻で再出発を始める。暮らしは平穏を取り戻しつつあるかのように見えたが、小さなほころびが積み重なり、やがて取り返しのつかない事件が起きてしまう――。人生につまずきどん底まで落ちきった男のバイオレンスと狂気、怒りと裏切り、不条理と悲劇…… それでも一握りの純粋さを失わない男の姿をさらすことで、見る者を圧倒し打ちのめす映画『凪待ち』。香取慎吾さんを主演に迎えた衝撃のヒューマンサスペンスだ。「どんな生き方をしても何かにつまずくことは誰にでもあります。そこからなかなか抜けられなくても、周りの人間の愛情などによって生き方を変えることはできる。そんなことを考えるきっかけにしていただけたら」と白石さん。

2019年6月28日(金)からTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
監督:白石和彌
脚本:加藤正人
出演:香取慎吾、恒松祐里、西田尚美、吉澤健、音尾琢真、リリー・フランキーほか
公式サイト:http://nagimachi.com/

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