転職ノウハウ

応募企業の探し方や履歴書の書き方、面接のポイントから円満退職の秘けつまで。あなたの転職を成功に導くためのノウハウを紹介!

朝日新聞×マイナビ転職 Heroes File
Heroes Fileロゴ

第一線で活躍するヒーローたちの「仕事」「挑戦」への思いをつづる

Vol.223 映画監督 中野量太
仲間の期待に応えたいからあきらめなかった

掲載日:2020/9/18

中野量太さんの写真1

人をホッとさせてくれるような笑顔が印象的な、映画監督の中野量太さん。
さまざまな家族の形やつながりをテーマにした映画を多く撮っているが、どんなに過酷な状況を描いていても、必ずどこかおかしみがあって思わずクスッと笑ってしまうのも中野作品の魅力。
でも中野さんにとって、映画監督は子供のころからあこがれていた職業というわけではなく、目指したのは大学生になってからだという。その辺りのことについて、また監督になるまでの道のりについて、時にユーモアを交えながら明るく話してくれた。

Profile

なかの・りょうた/1973年生まれ、京都府育ち。大学卒業後、日本映画学校(現・日本映画大学)へ。2012年『チチを撮りに』が国内外で高い評価を受け、16年『湯を沸かすほどの熱い愛』で商業映画デビュー。二宮和也主演『浅田家!』が20年10月2日(金)から全国公開予定。

これまでにさまざまな家族の形を温かいまなざしで描いてきた映画監督の中野さん。2020年10月2日(金)公開予定の新作『浅田家!』でもその本領を発揮。写真家・浅田政志さんの、ユーモアあふれる家族の実話に基づき、独自の目線でオリジナルストーリーを紡いでいる。

「主人公の政志を通して、浅田家の愛だけでなく後半では東日本大震災のことをリアルに描いています。色々な出来事の中で成長していく政志の姿も楽しんでいただけたらと思います」

今でこそ映画一筋の中野さんだが、監督を目指したのは大学3年次だ。「就職活動をする気になれず、何がしたいんだろうと考えた時に『表現すること』だなって。それで表現の最高峰は映画だと思い、卒業後は映画学校へ。正直、半分は就職から逃げる気持ちもありました」

ところがこれが運命を変えることになる。すっかり映画に目覚めてしまったのだ。「卒業制作で長編を撮ったのですが本当に楽しくて。あんなに興奮した日々を過ごしたことはなかった。学内で最高賞をいただいたというのもあり、すっかり有頂天になって『ああ、これだな』と。その時体験した高揚感が今の僕の土台です」

中野量太さんの写真2

卒業後はフリーの助監督として働き始めるが、気が利かず現場ではしかられることも多かった。「助監督の仕事が全然向いていなかったようです。結局2年弱で映画業界からドロップアウトしました」。そこからテレビ業界へ移り、料理や子育ての番組、東京の産業紹介番組などの制作に携わるようになる。しかし、どうしても映画作りの楽しさが忘れられなかった。

「ずっともどかしくて焦っていました。そんな僕の背中を押してくれたのが映画学校時代の仲間。たまに連絡をくれ、さりげない会話で僕に期待していると伝えてくれました」

仲間の思いに応えたいと、05年に意を決して短編の自主映画を制作。作品は賞を取り高い評価を得るも、プロデビューとまではいかなかった。それでもあきらめきれず、その後も数年に一度の割合で短編を撮り続ける。「どれも高い評価はしてもらえました。でもプロの監督になるまでには至らない。気づいたら40歳手前になっていました」

このままではまずいと思い、いよいよ最後の勝負に出る。貯金100万円と友人たちから借金をして長編に挑戦。それが『チチを撮りに』だった。同作は海外で高く評価され、日本での劇場公開が実現。そして映画プロデューサーから新たな作品のオファーも。「ようやくチャンスが巡ってきました。そうして撮ったのが『湯を沸かすほどの熱い愛』です」

人に喜んでもらう方向にあらためたら好転した

中野量太さんの写真3

映画学校を卒業して16年経った2016年、『湯を沸かすほどの熱い愛』で商業映画デビューを果たした中野さん。「絶対に失敗できない、このチャンスを生かせなかったら後はないと必死の思いで脚本を書いたのを覚えています」

同作は公開後、徐々に観客動員数が伸び、第40回日本アカデミー賞主要6部門受賞など数々の映画賞で30を超える賞に輝くという快挙も成し遂げる。「この作品で僕はやっと映画監督になれた気がしました。仕事のオファーがたくさん入ってきましたし、何より映画で食べていけるようになりましたから」

この時、43歳。映画監督としてはかなり遅いデビューだった。「あと4、5年早くプロになりたかった」と笑うが、20〜30代の間、映画監督を目指して色々と考え、模索し、もがいたことは決して無駄ではなかったと振り返る。

「人って色んなことに気づかないと成長できないんですよね。昔の僕は自分の表現ばかりにこだわっていました」。でもある時、見てくれる人に伝わらなければどんなに面白い映画を作っても意味がないと気づいた。

「では、それと自分の表現とのバランスをいかに取るか。何より僕らは人と『対して』生きている。それゆえ決して媚(こ)びるということではなく、純粋に誰かのために喜んでもらうことをしようと考えました。そう思い始めてから自然と評価がついてきた。そういう大切な何かにまだ気づいていなかった20代の僕に、『湯を沸かす〜』は撮れなかったと思います」

今年は『浅田家!』が公開される。「こんなふうに映画を撮れていることが素直にうれしい。僕の根っこには学生時代に初めて撮った時の高揚感が強く刻まれていますが、あの感覚をまた味わいたくて頑張っている気がします」

撮影中に「良い映画が撮れている」と手応えを感じる瞬間がある。「スタッフ全員が集中してすごくいい顔をしている時です。『浅田家!』の現場でも何度かありました。常にそういう雰囲気に持っていくのが監督の仕事ですね。なかなか難しいのですが(笑)」

そんな中野さんが最近思うのは、社会の一員である以上、みんなが社会の歯車になることは必要なのではないかということ。「僕が言う歯車はあくまでみんなバラバラの形というのが前提。いびつでも何でもいい、それぞれが自分の歯車で社会を回していったら、相当面白い世の中になると思います」

ちなみに中野さんの歯車はかなりヘンテコな形なのだそう。「そんな僕の歯車を使って、これからも、今という時代を踏まえつつ社会を動かすような映画を作っていきたいですね」

ヒーローへの3つの質問

中野量太さんの写真4

現在の仕事についていなければ、どんな仕事についていたでしょうか?

自然が好きで家庭菜園が趣味なので、もし挫折して映画監督になっていなかったら農業を職にしていたかもしれません。

人生に影響を与えた本は何ですか?

2冊あります。一つは童話の『泣いた赤鬼』。幼いころ、母が読んでくれる度に「青くーん、青くーん」と泣いていたらしいのです。いつかこの童話をモチーフにした映画を作りたいですね。もう1冊は向田邦子さんの『思い出トランプ』。脚本などを書いていて表現に困ったら必ずこの本を読み直します。唯一これだけです。

あなたの「勝負●●」は何ですか?

勝負「多摩川散歩」。仕事などで行き詰まると多摩川沿いを散歩したりしています。川が大好きで、僕の映画にはたいてい川のシーンがあります。あとは汗かきなのでタオル(笑)。撮影現場でも必ずタオルを首に巻いています。

Infomation

監督最新作『浅田家!』公開!

中野量太さんが『湯を沸かすほどの熱い愛』『長いお別れ』に続いてメガホンを撮った『浅田家!』が2020年10月2日(金)から全国ロードショー予定となった。家族と一緒に色々なコスプレをして写真を撮影。その作品をまとめた写真集が注目を集めた写真家・浅田政志さんの実話を基に、中野さんが脚本・監督を務め、二宮和也さんと妻夫木聡さんが兄弟役で共演する話題の映画。「消防士やレーサーのコスプレをするなんて奇抜すぎ! 一見すると風変わりですが、実はごく普通の優しい家族です。そんな家族の物語を撮りました。そして後半では、東日本大震災の津波で泥だらけになった写真を洗浄し、元の持ち主に返すボランティア活動に参加した人々と政志のことをリアルに描いています。こういった事実があったことを人々に知ってもらうことも映画の大切な役割だと思うので、ぜひ多くの方に見てほしいですね」と中野さん。
監督:中野量太
脚本:中野量太、菅野友恵
出演:二宮和也、黒木華、菅田将暉、風吹ジュン、平田満、妻夫木聡ほか
公式サイト:https://asadake.jp/

Heroes File 人気記事ランキング

5月9日(金)更新

朝日新聞とマイナビ転職が厳選した全求人一覧を見る
あした転機になあれ。マイナビ転職

豊富な転職・求人情報と転職ノウハウであなたの転職活動を支援する【マイナビ転職】。マイナビ転職は正社員の求人を中心に“日本最大級”常時 約8,000件以上の全国各地の豊富な求人情報をご紹介する転職・求人サイトです。毎週火・金更新であなたの希望の職種や勤務地、業種などの条件から検索することができます。職務経歴書や転職希望条件を匿名で登録するとあなたに興味を持った企業からスカウトされるサービスや、転職活動に役立つ職務経歴書サンプルや転職Q&A、会員登録をすると専門アドバイザーによる履歴書の添削、面接攻略など充実した転職支援サービスを利用できる転職サイトです。

キーワードから記事を探す

検索フォーム

人気コンテンツランキング
転職成功ガイド