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第一線で活躍するヒーローたちの「仕事」「挑戦」への思いをつづる

Vol.228 俳優 吉原光夫
挑んだのは、夢を語れないことに気づいたから

掲載日:2021/2/5

吉原光夫さんの写真1

緊張すると顔がこわばり、周りの共演者やスタッフから「何を怒ってるの?」「態度が悪い」と言われたりするという俳優の吉原光夫さん。
でも話してみると分かる、強面(こわもて)の向こうに潜んでいる真面目で実直な性格と、ほほ笑んだ時の優しさが。
劇団四季を経て、大きな舞台で実績を残し、テレビドラマにも活躍の場を広げた吉原さんに、紆余(うよ)曲折があったという役者への道を伺った。

Profile

よしはら・みつお/1978年東京都生まれ。劇団四季にて数々の作品で主要キャストを務め、2007年退団。その後「レ・ミゼラブル」など舞台を中心に活躍。21年3月5日(金)から東京・Bunkamuraシアターコクーンで上演予定の舞台「ほんとうのハウンド警部」に出演。

2020年、NHK連続テレビ小説「エール」の馬具職人・岩城役で注目を集めた吉原さん。これがドラマ初出演だったが、その演技や圧倒的な歌唱力でお茶の間を驚かせた。元々は劇団四季出身のミュージカル俳優で、現在も多くの舞台で活躍している。そんな吉原さんの俳優になるまでの経緯はユニークだ。

子どもの頃からバスケットボール一筋だった。大学もバスケ推薦を狙うがまさかの落選。荒れて遊びまくっていたら父親に激怒され、仕方なく「ラクそう」に見えた専門学校の演劇科へ進学。しかしあまり面白いと思えず、退学を決意したその日、授業で観(み)たロックミュージカル映画に大きな衝撃を受けて運命が変わった。

それからは気持ちを切り替えて修学に励み、卒業後は劇団四季に研究生を経て入団。その初年に公演に出演するなど頭角を現していく。「当時代表だった故・浅利慶太さんに演技の基礎をとことん教えていただきました。それが原点です」。四季では「ライオンキング」「美女と野獣」など数々の作品にメインキャストとして出演。だが、07年に退団を決意する。「夢を与える仕事のはずが、ある時、公演を観た子どもたちに夢を聞かれて答えられず、そんな自分にがくぜんとしたんです」

吉原光夫さんの写真2

新しい演劇をやってみたい。その思いを胸に仲間と小劇団を立ち上げた。演出を依頼したのは小川絵梨子さん。「演劇の世界はまだまだ広く深いことを教えてもらいました。小川さんの演出も実に刺激的だった。せりふを自分の体に落とし、自ら湧き出る言葉として発することの大切さをたたき込んでくれました。僕がやりたかった演劇はまさにこれでした」

アルバイトをしつつも小劇場で公演を打つ日々に喜びを感じていた吉原さんに、次なる転機が訪れたのは11年のこと。「大きな舞台では勝負しないの?」と言う友人の一言にカチンときて、その時偶然見つけた「レ・ミゼラブル」のオーディションを受験。それが見事合格となり、当時、日本公演歴代最年少でジャン・バルジャン役を演じることになった。

ミュージカル出演は四季退団後初。「小川さんから学んだことを存分に発揮できたせいか楽しかったし、自分の内側からより大きなエネルギーが湧くのを感じました。僕らは同い年ですが、自分にとっては浅利さん同様、演技の師匠的な存在ですね」

そんな小川さんが演出する舞台「ほんとうのハウンド警部」が21年3月5日(金)から上演される予定で、吉原さんも出演する。「マニアックな世界観を持つ戯曲なので、不安もあるけれど楽しみたいです」

苦手な人も嫌な仕事も、自分の栄養とする

吉原光夫さんの写真3

現在42歳。俳優になって20年だが、「いまだにこの仕事が向いているのかなと思うことがあります」と吉原さん。ただ、どの作品においても自分の心が捉えた感情、感覚を大事にして役を演じることはずっと貫いている。「うそをつきたくない。演劇は虚構の世界ではありますが、絶対うそっぽくやりたくないんです」

そんな吉原さんを悩ませたのが昨年暮れに出演した翻訳劇コメディー「23階の笑い」だ。三谷幸喜さんが演出するカンパニー(座組)への参加が初めてだったうえ、共演者も全員初対面。その緊張感もあり、オファーされた際は恐怖でしかなかったという。「劇団四季という真面目な劇団出身のせいか、僕の中にコメディーを消化する能力がないんです。そもそもどうやって『笑い』を追求すればいいのか。それこそ上っ面で笑わせようとすると、うそをついているようでいたたまれなくなってしまって」

とはいえ役を演じることが仕事、やらなければならない。そこで吉原さんは、自分ではなく三谷さんのセンスを徹底的に信じることにした。「えっ、これで本当にウケるの? と思ったことでも言われるままやってみると見事にドカンと笑いが起きた。さすが百戦錬磨の巨匠だなと感服しました」

40代に入ってから、心のどこかで新しいことに挑戦することを怖がり、凝り固まっていく自分を感じていた。しかしコメディーに挑戦したことで少し意識が変わった。「舞台を神聖な場と捉えすぎていました。もっとラフに楽しむような気持ちが強くてもいいのかなと。21年3月に出演する『ほんとうのハウンド警部』はちょっと滑稽でシニカルな作品。それだけに『23階の笑い』で培ったコメディーセンスも少し生きてくるといいなと思っています」

最近気づいたのは、自分のいる環境の居心地を決めるのは結局自身の「物の見方」だということ。「あの人は好きなことができていいなと良い面だけを見てうらやみ、自分もあんな幸せを手に入れたいと願う人がいる。でもそれは錯覚。たとえ素敵な生き方をしているように見える人でも、苦手な人を相手にしなきゃいけないこともあるし、やりたくない仕事を我慢してやっていることもあるんです」

そんな苦手な人も嫌な仕事も、吉原さんは自身の栄養にすることにしている。「基本的に人が好きなので苦手な人にも希望を感じたい。だから積極的に話し掛けます(笑)」。仕事も、嫌だからといって避けたりはしない。むしろやった方がプラスになると考えて挑戦する。ネガティブに捉えがちなことに希望を見いだす。その姿勢が吉原さんの人生を形作っている。

ヒーローへの3つの質問

吉原光夫さんの写真4

現在の仕事についていなければ、どんな仕事についていたでしょうか?

若い頃、チラシをただひたすら新聞に折り込んだり、和菓子工場で規格外の団子を取り除き続けたりといったアルバイトをしたことがあったのですが、結構好きだったので、そういう単純作業を繰り返すような仕事に就いていた気がします。今でも工場や倉庫に憧れを感じますね。

人生に影響を与えた本は何ですか?

ダニエル・キイスの『アルジャーノンに花束を』という小説がありますが、その戯曲を学生時代に読みました。これが本当に面白かった。本は読まないのですが、それ以来戯曲が好きになり、戯曲だけは読むようになりました。

あなたの「勝負●●」は何ですか?

大先輩の故・中嶋しゅうさんと舞台をご一緒させていただいた時のこと。しゅうさんは毎回、塗香(ずこう)という、塗るお香を必ず体にバンバンと塗り込んでから舞台へ出ていらしたんです。緊張しやすい僕にも勧めてくれ、それ以後、必ず体に塗香を塗り込んでから舞台に上がるようになりました。しゅうさんの影響でもあり、しゅうさんを身にまといたいという思いもあってのことです。

ヘアメイク:和田しづか

Infomation

舞台「ほんとうのハウンド警部」に出演!

2021年3月5日(金)~31日(水)にBunkamuraシアターコクーン(東京・渋谷)で上演予定のシス・カンパニー公演「ほんとうのハウンド警部」は、1968年にロンドンの劇場で初演されたトム・ストッパードの戯曲。劇中劇のからくりが複雑にからみ合いながら展開していく推理劇仕立ての作品だ。観客はまさに現実と虚構のはざまを往来しているような錯覚に陥りそう。本作に出演する吉原光夫さんは「すごく深いところで客席と舞台が対峙(たいじ)する、そんな面白さのある作品です。舞台上の人物に自分をどう投影するかでさらに楽しめるはず」と語る。演出は、吉原さんと何度もタッグを組んできた盟友・小川絵梨子さん。翻訳は徐賀世子さん。そして主演は生田斗真さん、そのほかの共演は趣里さん、池谷のぶえさん、鈴木浩介さん、峯村リエさん、山崎一さん。

公式サイト:http://www.siscompany.com/hound/

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5月9日(金)更新

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