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2万円超のトースターが大ヒット。支えたのはデザイナーの5千枚のパンを焼き続けた情熱 松藤恭平さん
ものづくりはこだわりと情熱で進展する イメージ画像

トースターの中では、パンが1枚の時と2枚の時で焼け具合が変わる。それを実験で知った際の写真付きメモ

「最高においしいトーストが食べられる」と評判の「バルミューダ ザ・トースター」。2015年6月の発売以来、2万2,900円(税別)という高めの価格設定にもかかわらず常に入荷待ちの状態が続いている。最初はその価格に驚いても、スチームと温度センサーの働きによる絶妙な焼き上がりのトーストを食べると納得! となる人が多いようだ。

そんな同製品をまさに血のにじむような努力の末に作り上げたのが、同社のデザイナー、松藤さんである。前職ではコンピュータの周辺機器を作るメーカーで、プロダクトデザインの仕事に携わっていた。

「ユニークなバルミューダの製品には前から興味があり、ものづくりに対して尋常ではないこだわりのある社長と一度話してみたくて、人材募集に応募しました。前社でデザインした製品を面接に持ち込むと、社長と深い話ができ、ものづくりにこれだけの造詣(ぞうけい)を持つ経営者の下で働いてみたい、と思いが募ったのです」

その熱意を買われ14年5月に入社。当時、社内では次の製品を模索していたところで、それが具体的にトースターとなったのは、程なくして行われたバーベキュー大会がきっかけだった。炭火で焼いたトーストがものすごくおいしくて、「この味を再現するトースターを作ろう」と社長が言ったのが始まりである。

同社ではデザイナーも企画段階から参加するため、まずは松藤さんらデザインチームと開発メンバーが味の再現と、炭火でパンを焼く実験を行った。しかし、焼き時間や炭の量など2週間かけてさまざまに調整しても再現できない。

「悩んでいると『そう言えば、あの日はどしゃぶりの雨だった』と誰かが声を上げ、もしかしたら水分が影響するのではないかと仮説を立てました。それと、バーベキュー時のトーストの味を皆に聞き、『中はフワフワ、外はサクサク』と焼き上がりの目標を統一。おいしいトーストとは何かを調べたり、パンの食べ歩きをしたりして追求しました。デザインと直接関係しなくても、製品の開発に絡むことなら何でもしていいという環境がありがたかったですね」

そして、人気のパン屋で作業工程を見せてもらい、細かい温度制御とスチームの組み合わせの妙が大切だと確信を持つ。そこから、松藤さんの理想のトーストを求める日々が始まった。それはまた、5千枚を超える食パンを食べ続ける長い道のりのスタートでもあった。

機械を作るのではなく、「体験」を提供する イメージ画像

パンを焼く前に、トースター上部の穴へ水を注ぎ入れ、庫内にスチームを満たす。それがおいしさの鍵

「感動のトーストが食べられる」と話題の「バルミューダ ザ・トースター」。その開発を松藤さんは2014年5月から約1年にわたって手掛けた。開発中の松藤さんの一日は、スーパーで10斤以上の食パンを買ってリュックに詰めるところから始まる。会社に着くと早速実験を開始。しかしそれは困難を極めた。

試作機のトースターで微妙に温度調節をしながら、水分量やパンの焼き色を注視して10秒ごとにチェックし、記録を取って試食。それを何度も何日も続けた。「温度、天候、湿度、そして時間で焼け具合と味が瞬時に大きく変わるし、自分の体調も関係する。実験をすればするほど、おいしいトーストとはどういうものなのかということが分からなくなりました」

会社としては新生活が始まる翌年4月からの販売が理想だったが、納得のいく製品の完成が大前提。10月になっても完成時期は見えなかった。やがて小麦粉には科学的に変化する3つの温度帯があると分かり、60、160、220度の温度帯を駆使して絶妙なトーストができるという法則をつかむ。そして11月のある夜、「これだ!」と思えるトーストが焼けた。

「ものすごく興奮しましたね。千枚ほど食べたころです。次の日、意気揚々と焼き立てのトーストを社長に出したら『大したことない』と。まだ焼き具合や味が不安定だったんです」 味が安定するよう更に細かく調整を重ねているうち、発売日が決まる。松藤さんは重圧で押しつぶされそうになりながらも黙々とパンを焼き続けた。食べたトーストが5千枚を超えたころ、5月のマスコミ向け発表会のぎりぎりでようやく理想のトースターが完成。試食でも好評で、2万2,900円(税別)という価格も決定した。「苦労のかいあって、この価格に見合うだけの製品は作れたと自信は持っていましたが、正直、不安もかなりありましたね」

製品の販売は「試食体験」を通して売れる店に絞った。すると予約段階から注文が殺到。最初の生産分2万台があっという間に売り切れた。こうして松藤さんの努力は報われる。

「今回は、ものづくりにどっぷりとつかる幸せとつらさの両方を経験しました。社長からは『パンを焼く機械ではなく、おいしく食べる体験を作るんだ』と言われ、仕事に対する気持ちが百八十度変わった。その言葉は常に頭にあり、心からいいものを作りたいと思え、それがモチベーションを保つ支えになったと感じています」

私の情熱を支えてくれるモノ

お気に入りのマグカップ

デザインがとても気に入っているマグカップたち。自宅から会社に持ってきたものです。仕事に煮詰まった時など、このカップでコーヒーやお茶を飲んで気分転換しています。仕事中は何度も飲むので、カップがどんどんデスクにたまっちゃって(笑)。でも、好きなデザインのカップでお茶を飲むって、とても気分がいいですね。

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5月9日(金)更新

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