2代目のZOZOSUIT。約300〜400個のドットマーカーがプリントされ、そのドットを360度撮影して体形を詳細に計測する

ネット通販でも、試着したかのように自分の体にフィットした服を選びたい。そんなニーズに応え、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する（株）ZOZOは、ユーザーの体形を詳細に計測する採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT」を開発。その画期的な発想と近未来的な仕様は大きな話題を呼んだ。

「2017年11月の予約受付開始後、10時間で約23万件の注文をいただき、すごく注目されました。ただ、ZOZOSUITはあくまでも計測手段であり、私たちが目指すのはお客さまにぴったり合う服を提供することです」。そう語るのは同社取締役の伊藤正裕さん。プライベートブランド「ZOZO」を担当し、ZOZOSUITの開発では構想段階から指揮を執っている。

子供のころはプラモデル作りが好きだったという伊藤さんは、17歳でITベンチャーを起業。3D画像事業で躍進したが、14年に（株）スタートトゥデイ（現ZOZO）の子会社となる。「経営者として、倒産の危機や海外企業との技術提携などさまざまな経験をしました。前澤友作の会社に合流したのは、常に新しいことに挑戦し、成功のためにはどんな選択肢も捨てないという彼のビジョンに共感したことが大きい。更に、優れた経営者の前澤に教わりたい、また少しでも自分のやってきた事業や経験で役立ちたいという思いがありました」

そして今から数年前、「身体を測る手段が欲しい」と前澤氏から伊藤さんに宿題が出る。一般的なサイズのS、M、Lといったものではなく、人それぞれの身体によりフィットした服を提供したいということだった。「でも、人体を測るってすごく難しいんです。仮にメジャーを配ったとして、自分や家族に細かく測ってもらうのは大変。それなら人体を撮影してもらう方法もあるけれど、裸を撮るわけにはいかない。そこで、ぴったりしたものを着て計測したらどうかという発想になったのです」

国内外のさまざまな研究や素材に糸口を求め、多くの候補の中からニュージーランドの企業との共同開発へと進む。困難な壁は幾つもあったが、一つずつ問題を解決し、ついに伸縮センサー内蔵のZOZOSUITが完成する。

世に出ると大反響を呼んだ。しかし納品段階になって思わぬトラブルが発生。窮地に立たされるが、それはやがて2代目ZOZOSUITの誕生へとつながっていく。