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1984年に一世を風靡した文具セット「チームデミ」その復刻版に現代の技術を注ぐ/久保田 創さん
なぜ今なのか、その疑問が新たな展開を生む イメージ画像

写真左が深澤直人さんによるデザインイメージ。右はそれを基にした試作品。できるだけ忠実に再現した

1984年に発売され、累計約650万個を売ったという伝説の文具セット、プラスの「チームデミ」。手のひらサイズのケースに、はさみやのり、ホチキスなどの文具を収納したもので、2020年そのリニューアル版が発売されて話題を呼んだ。「プロダクトデザイナー・深澤直人さんのセンスに、進化したプラスの技術を注いでデジタル時代の今にふさわしい製品になりました」

そう語るのは、チームデミ復刻版のプロジェクトチームで企画を担った久保田さんだ。大学でデザインを学び、プラス入社後は文具開発を担当。「僕は1983年生まれなので84年の製品をほとんど知りません。だから復刻版の話が来ても正直ぴんとこなかった。そもそも現代に必要とされるのかとモヤモヤする気持ちもありました」。ほかのメンバーも同世代が多く、なぜ今チームデミなのかという、デジタル時代の文具の存在意義にまで立ち返って徹底的に話し合った。

そしてさまざまな雑誌で取り上げられた84年版の資料も読み重ね、プロジェクトの意義を理解していく。現代も「文具女子」のように文具を愛好する人が少なくなく、その市場は確かにある。「持つことでワクワクしたり、生活の質を高めていると思えたりするチームデミって、今でもありだと初めて腹に落ちました」

収納する文具のラインアップは84年版とほぼ同じ。「今はテープのりや針を使わないホチキスもあって、そんな新たな仕様にする案もありました。でも、シンプルなことや、文具のアイコンを示す形状であること、コンパクトに収まることなど幾つか我々が決めた条件で考えた時、前回と同様のものが採用されました」

ただ、そこには新たな技術も盛り込まれている。例えばカッターの刃はフッ素加工し、メンディングテープを切ってもベタつかないようにした。また、現代らしく「SIMカード交換用ピン」も追加し、アイテムは8個に。そして進化の象徴として、ケースや文具のデザインを世界的プロダクトデザイナーの深澤さんに依頼した。

「深澤さんは84年版をよくご存じで、当時いた会社では『ウォークマン』と『チームデミ』はデザインのお手本と言われていたとか。当初『このデザインは変える所がない』というお話でしたが、『同じものを復刻しても懐かしいだけで終わってしまう、現代にふさわしい新たなデザインを』とお願いすると快諾していただけました」

半年後、上がってきたデザインを見て久保田さんたちは息をのむ。狙い通りのスタイリッシュでシンプルな美しいデザイン。しかし「これは無理!」と思わず声が出る難題もあった。

難しさを越えなければ
こだわりは実現しない イメージ画像

写真左が1984版、右が進化した今回の製品。「さくら」「しろ」「こん」「ねず」の4色、価格は6600円(税込み)

一世を風靡(ふうび)した文具セット、プラスの「チームデミ」が、36年の時を経てリニューアルされた。その復刻版開発の過程で、プロダクトデザイナー・深澤直人さんから上がってきた試作のデザイン画は、精緻(せいち)でスタイリッシュな狙い通りのものだった。ただ、そこにはケースの開閉に必要なヒンジ(ちょうつがい)がなかった。

ヒンジを使うとケースのつなぎ目に突起ができ、美しい形状にならない。復刻版プロジェクトチームの企画担当だった久保田さんは「せっかく深澤さんにお願いしたのだから、できるだけそのままのデザインを実現させるのが僕たちの務め」だと、難題に挑んでいく覚悟だった。

深澤さんから来た提案は、ヒンジの代わりに磁石を使うというもの。開発チームは取りあえず磁石をたくさん買ってきて試行錯誤を繰り返した。やがて手がかりが見えてきて、「難しくともその線で、図面設計の担当者に考えてもらうことにしました」。また、美しい形状という点ではケースの表面の滑らかさにもこだわった。

同社では通常、ベトナムの自社工場で製品を作ることが多いが、チームデミは日本で一部部品を成型するほか、台湾と中国を加えた4地域での合作となった。国をまたいだ製造には思いがけない対応も必要だった。「つるっとした形状の光沢、そして統一感を出したくて、僕もベトナムの工場に2週間ほど行きました。現地スタッフには製品の『鏡面フラット仕上げ』の美しさが命と力説し、納得できるまで粘りました」

そして色についての問題もあった。工場が別々だと色合いなどが微妙にズレてくる。「色の統一は絶対条件なので、ベトナムから原料となる樹脂の粉を各地に送るなど、普段なら行わないような手間もかけました」

更に色は、各国の太陽光の波長の違いや感じ方などで見え方が変わることもある。そこで海外の工場とのリモートによる打ち合わせでは、意見の食い違いを避けるため、同じ製造場所で作られたものを各自手元に用意して臨んだ。こうして、やれることは何でもやろうというチームの思いを結集し、美しいフォルムと技術の粋を尽くした、現代にふさわしい新しいチームデミが完成した。

久保田さんが大事にしたのは、国内外のスタッフに依頼する時のコミュニケーションの取り方だ。「先方にお任せではなく、相手を尊重し、説明を明確にして伝えるようにしました。こだわりを実現するには、理解や思いを一つにすることが必要ですから。そして、互いに気持ちよく仕事ができることも大切なのだと思います」

私の情熱を支えてくれるモノ

自作のレゴ

「子どもの頃からレゴブロックが大好きだったのですが、今も自分の子どもと一緒に遊びながらレゴで作品を作っています。仕事ではもの作りに責任が伴うし、色々な制約もあってちょっと大変(笑)。だから、たまにこうして思いのまま自由にもの作りをすることで、また新たな創作意欲が湧いてくる気がするんです」

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5月9日(金)更新

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