転職ノウハウ

応募企業の探し方や履歴書の書き方、面接のポイントから円満退職の秘けつまで。あなたの転職を成功に導くためのノウハウを紹介!

Vlog撮影専用のデジカメ「VLOGCAM」で新たな機能の開拓に挑む/齋藤 靖好さん
ピンとこないなら積極的に体験してみる イメージ画像

マイク上部にスライド式で取り付けるウィンドスクリーン、通称“モフモフ”。野外で風切り音などのノイズを低減する

スマホの撮影機能の進歩でデジカメの需要が減少している。そんななかにあってデジカメの新たな市場を切り開いたのが、Vlog(ブイログ)撮影に特化したソニーの「VLOGCAM(ブイログカム)」だ。

ブイログとは言わばブログの動画版。日々の記録や情報発信などを映像や音声をメインにウェブ上に投稿する。そしてその動画撮影の際に、VLOGCAMは数々の実用的な機能でアシストしてくれる。

自撮りしながら移動する時はピントを顔に合わせて追い続け、顔の明るさもキープし、肌は自然な色合いに調整。また、主役を引き立たせられるよう、ワンタッチで背景をボカしたり、顔に当たっているフォーカスを手元の物へと素早く切り替えたり。

このVLOGCAMが登場したのは2020年6月。さかのぼって開発時、商品設計のプロジェクトリーダーを担ったのが齋藤さんだ。大学院で画像処理を研究し、入社以来、エンジニアとしてビデオ機器やデジカメを担当してきた。「今回の製品に関しては、企画担当者と最初に話したのがまだ日本でインスタグラムもあまり流行していない頃で、ブイログについても何それ? とピンときませんでした」

そこで、設計担当のエンジニアみんなで実際にブイログを体験することからスタート。「積極的に触れてみたらさまざまな発見があり、理解が深まったことで、ブイログという新しい文化を支える役割に現場の士気は上がりました」

ただ、従来のデジカメとは異なる機能の開発には試行錯誤も多かった。中でも背景がボケるように切り替える仕組みや、顔から手元の物に素早く焦点を移す「商品レビュー機能」の技術に難航。「本来は制作する前に仕様を決めるのですが、これらの機能については手直ししながら作っていき、完成した後もギリギリまでチームの個人チェックや社内のユーザーテストを重ねました」

また、ブイログは屋外撮影も多いので、搭載したマイクには雑音よけが必要となる。そのための「モフモフ」と呼ばれるウィンドスクリーンの仕様にも苦心した。「モフモフを付けると視覚的なインパクトで従来とは一線を画したカメラの象徴的なデザインとなるのですが、一方でどのくらいマイクに密着させるかや形状など、オーディオ設計担当者には色々と試作してもらい検討しました」

こうして開発は進んでいった。しかしこの後、新型コロナの影響という予想もしない状況を迎えることになる。

チームをまとめるにはすべてを「自分事」に イメージ画像

左が「ZV-1」、右が「ZV-1F」

ブログの動画版として利用者が広がってきたVlog。その動画撮影を支援する専用デジカメとして登場し、発売当初から人気を呼んでいるのがソニーの「VLOGCAM」だ。

製品第1号となる「ZV-1」が発売されたのは20年6月。だが、その船出は多難だった。新型コロナが急拡大し、世の中が混乱し始めていたのである。開発時に商品設計のプロジェクトリーダーを務めていた齋藤さんも、仲間と共にその渦中にいた。

完成した製品は量産に入ろうとしていたが、工場のある中国では行動規制が厳しくなっていた。「工場に出勤できる人数も限られていたので、毎日、細かな話し合いをしながらギリギリの調整を行っていました。通常なら量産が始まる際は現地で立ち会いをするのですが、今回は慣れないテレワークとなり、自宅からオンラインで製品確認をするなど神経を使いましたね」

しかし、いざ販売されると好転。「コンパクトなこのカメラが1台あれば『映える』動画が撮れる」と好評で、若者を中心に売り上げを伸ばしていった。そして新たにレンズ交換式の「ZV-E10」が21年9月に、超広角レンズを搭載した「ZV-1F」が22年10月に発売され、製品シリーズは3台展開となる。

齋藤さんは、プロジェクトリーダーという役職にZV-1の開発で初めて就いた。「それまでは自分の担当分野に専念していればよかったのですが、今回は各エンジニアをまとめる立場となり、関わりの薄い部門や知識の乏しい領域の相談も受けるようになりました。ですからすべては『自分事』と捉え、分からないことは積極的に教えを請うようにしました」

そして「事実の共有」にも配慮した。「お互い思い込みで話を進めてしまうと後で食い違いが出てきます。各担当者の思いや事情を理解しつつ、みんなにも全体の進行状況を把握してもらうよう心掛けました」

大切にしたのはチームビルディング。チームとして目標の達成を最優先に考えること。それにはみんなのモチベーションをどう上げるかも課題だった。「技術者が挑んですばらしい機能が生まれ、社内やユーザーから評価された時はそれを本人にきちんと伝えました。僕も、ソニーに入ったのは常に新しいことにチャレンジしたかったからです。今回、ブイログという新しい文化の発展に役立てたのならうれしい。今後も挑戦し続けます」

私の情熱を支えてくれるモノ

プロジェクター内蔵のビデオカメラ

入社時に行われた“新人テーマ研修”で、自分が作りたいものを実際に制作してプレゼンするという課題がありました。僕はソニーのビデオカメラ「ハンディカム」にプロジェクター機能を付けたものを提案したんです。撮影した映像をその場で壁などに映してすぐに見たいと思っていたので。ただ、その時作ったのは投影する機器を買ってきてハンディカム本体にペタっと貼りつけただけの簡易版(笑)。でもそのアイデアは間もなく採用され製品となりました。それがこの「HDR-PJ40V」です。自分が一番最初に考え、実際に手を動かして作ったこの時の経験は、その後の僕に力を与えてくれる原点となりました。

イメージ画像
朝日新聞とマイナビ転職が厳選した求人を掲載中!
朝日新聞xマイナビ転職ロゴ
  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena
自分を向いて歩こう。マイナビ転職

豊富な転職・求人情報と転職ノウハウであなたの転職活動を支援する【マイナビ転職】。マイナビ転職は正社員の求人を中心に“日本最大級”常時 約8,000件以上の全国各地の豊富な求人情報をご紹介する転職・求人サイトです。毎週火・金更新であなたの希望の職種や勤務地、業種などの条件から検索することができます。職務経歴書や転職希望条件を匿名で登録するとあなたに興味を持った企業からスカウトされるサービスや、転職活動に役立つ職務経歴書サンプルや転職Q&A、会員登録をすると専門アドバイザーによる履歴書の添削、面接攻略など充実した転職支援サービスを利用できる転職サイトです。