今回の「キボウノアシタ」は映画『少女』の監督と女優2人が登場。前編は三島有紀子監督と本田翼さん、後編は三島監督と山本美月さんが対談。高校時代から今に至るまでの、仕事への思いを語り合っていただいた。
「流される」という選択肢もある
三島:映画『少女』では女子高生を演じてもらいましたが、本田さんの高校時代は?
本田:普通にアルバイトをしていましたよ。すし屋とカフェで。
三島:すし屋!? お茶とか運んでたの?
本田:茶碗(ちゃわん)蒸しなどを作ってました(笑)。当時は、13歳からやっていたモデルを辞めて大学へ行き、就職しようかなと迷っていましたね。結局、受験に失敗し、マネジャーから「1年だけ頑張ってみよう」と言われ、気づいたら今ここにいる。監督は? 監督にも「17歳」はあったんですよね。
三島:失礼な、ありましたよ(笑)。バスケットボール部で体育会系だったんだけど、小説や脚本も書いたりして暗い子でしたね。今回の『少女』で言えば、本田さんの演じた由紀が近いかも。非常に自分勝手な一方で、もろい面もある。ただ、「映画を作りたい」という思いだけは強く、狭い世界の中でもがいていました。
本田:もう映画監督を目指していた?
三島:中学のころ、文集に小さな文字で「映画監督になりたい」と書いていました。
本田:すごーい。私はとにかく心配性で、安定志向が人一倍強いんです。モデルや女優の仕事って一か八か。お金を稼げる人なんて一握りで、どんなに努力しても芽が出ないこともある。それが怖くて不安だったので、19歳の時、もう一度勉強して普通の道に戻ろうかと思い悩みました。
三島:それでも女優を選んだ理由は?
本田:事務所に仕事を詰められすぎて勉強できなかったんです。何も考えられないくらい忙しくて疲れてた。もう元には戻れない、どうしようって焦っていましたね。
三島:でも、それは幸せなことだよね。
本田:そうなんです。自分から「勉強したい」と強く主張をしなかったっていうことも、そういうことだったんだと思います。流されていたけれど、それは自分が選択していたことで、流されながらも覚悟していたのかなって後で気がつきました。
もがき続けた先に必ず幸せがある
本田:三島監督はどのような道を歩んで今に至っているのですか?
三島:大学を出てNHKへ入局し、ドキュメンタリーを撮っていました。でもどうしても映画が撮りたくて、辞めて助監督をしながら、企画書と脚本を書いては配給会社などへ営業しに行っていた。ようやく受け取ってもらった企画書が、ゴミ箱に捨てられているのを見たことも何回もあります。それでもとにかくどこかで映画を撮れないかと、もがきまくって何とかやってきた感じ。でも、撮れるようになった今ももがいているし、死ぬまでもがくんだろうな。
本田:私は監督みたいに、自分からやりたいと言って始めた仕事ではないのに、気づいたら夢中になっていた。たぶん女優ってこうすればいいという答えがないし、誰か代わりが利く仕事とも利かない仕事とも言えない。何か、この不思議な感覚に取りつかれている。続いてるってことはそれだけ魅力を感じているからだと思います。
三島:映画『少女』では、心の闇を抱える役だったでしょ。非常に繊細な芝居を厳しく要求しましたが、どうでしたか?
本田:毎日、監督から挑戦状をもらっているようでした。
三島:毎日、濃すぎるって叫んでたね。
本田:でも、監督の映画作りに対する姿勢には感動しました。現場でもすごいと思ったけど、完成試写を見てそれは確信になった。映像が本当に美しくてきれい。監督の思いがスクリーンから伝わってきました。
三島:映画監督って基本、大変なんです。荒波をひたすらもがき突き進むしかない。ただ、自分が思い描いていた以上のお芝居を役者さんが見せてくれたりすると、このうえなく幸せ。今回は本田さんも翼スマイルを完全封印し、熱演してくれました。
本田:負の感情を持ち続けるってこんなに大変なんだと、役を通して知りましたね。
三島:今後のことはどう考えているの?
本田:将来? 結婚したい(笑)。仕事はオファーがあればどんな役でもやりたいです。役について考えるのは全然苦ではなく、むしろ楽しいので。将来こんな女優になりたいとは変に決めず、ただ目の前の役にきちんと向き合い、やるからには全力でやれる自分でありたいと思っています。
<次回予告>次回は山本美月さんと三島監督の対談をお届けします。2016年10月14日(金)公開予定! お楽しみに。
リーダーが語る、アシタを開く言葉
本田翼さん
「生涯現役」
私はずっと自分らしく生きていきたい。周りに流されやすかったり、逆に頑固なところもあるけれど、どれも私。そんな「自分らしさ」を現役でずっと貫きたい。座右の銘を聞かれるたびに「生涯現役」と答えています。
山本美月さん
「幸せであること」
いろいろつらいことやキツくて嫌だなと思うことも、乗り越えることで幸せになれるんだったら、その苦労は必要なこと。死ぬ時に幸せだったと思えるような人生にしたい。だから、将来の夢は「幸せであること」なんです。
三島有紀子さん
「誠心誠意で努力する」
誰でも「こうなりたい」「こんなことがしたい」というものがあると思うのですが、自分の目指すことに対して誠心誠意の努力をするという気持ちで生きています。本当は吉田松陰の「生死は度外して自分のやるべきことをやるのみ」という言葉が私の座右の銘。それを平たい表現にしたらこうなりました。
キボウノアシタ読者プレゼント
下記のボタンよりキボウノアシタ読者プレゼントへ応募できます。アンケートにお答えいただいた方の中から、抽選で1名さまに本田翼さん、山本美月さん、三島有紀子さんの限定サイン色紙をプレゼントいたします。
応募締め切り:
2016年10月27日(木)23:59
※当選者の方には、当選のお知らせと景品送付先の確認のため、入力いただいたメールアドレス宛に締切後1週間以内にご連絡させていただきます。当選の発表はこのご連絡をもってかえさせていただきます。
※ご入力いただいた個人情報は、当選者への連絡、景品(賞品)の抽選・発送の目的以外で使用することはありません。
※ご応募はお一人さま1回限りとなります。
三島有紀子
大阪府出身。神戸女学院大学卒業。NHKを経て2003年に独立。09年『刺青〜匂ひ月のごとく〜』で映画監督デビュー。代表作に『しあわせのパン』『ぶどうのなみだ』『繕い裁つ人』など。来年の待機作は『幼な子われらに生まれ』。本田翼・山本美月主演の映画『少女』は10月8日(土)から全国ロードショー。
本田翼
1992年東京都生まれ。中学時代にモデルとしてデビュー。ドラマ「GTO」「ショムニ2013」などで注目を集め、2015年には「恋仲」で初の“月9ヒロイン”に。主な映画出演作は『アオハライド』『起終点駅 ターミナル』など。待機作に『鋼の錬金術師』(2017年公開予定)がある。