Vol.4　正社員を目指すなら、自分を語れるテクニックを磨け！

今回の挑戦者は、元銀行員。現在は上場企業で派遣社員として働く28歳の男性。職務経歴書を見ても、これまで業務をそつなくこなし、TOEICスコア730点、日商簿記2級など能力の高さを感じる内容だ。だからこそ、最初の転職後、派遣社員となった経歴は、どうしても理由が知りたいところ。これまでの経歴をプラスに置き換え、面接官を納得させる受け答えができるかがポイントとなる。

あなたならどう答える？他人の面接を体感してみる！

前編の見どころ

挑戦者は、新卒で大手都市銀行に入行しながら、3年に満たずに退職している。その後現在まで派遣社員として働いている経歴が、面接官なら気になる部分。自身のキャリアプランを披露し、退職から派遣社員としての経歴について説明できるところは、準備の良さをうかがわせる。行員としての経験や、現職の経理部門での業務内容についても、分かりやすく、かつ自分の成長を含めて、ある程度しっかりと筋道立てて論理的に説明している。

後編の見どころ

志望動機として、上場企業である点と、フィットネスクラブに興味がある点を挙げた。しかしほかのフィットネスクラブとの違いをたずねられると、言葉に詰まってしまう。本当に自社を希望しているのかと面接官が疑いたくなってしまう場面もいくつかあった。 今後の目指すべきキャリアプランをたずねると、経理を経験しながら、将来的には経営にも携わりたいと前向きな回答。しかし企業研究が浅く、将来のビジョンが明確に見えてこない。説得力のある内容で、面接官を納得させたいところだが……。

挑戦者はどう答えたか？緊迫のシーンを振り返る！

【POINT1】第一志望であることが伝わらない！

フィットネスクラブに興味があると語りながら、面接官に他社との比較など具体的な内容を求められると、言葉に詰まってしまう。求人情報サイトの企業概要程度しか理解していないのではないかと思われる場面だ。当然、この会社で正社員として働きたい、という熱意は感じられず、第一志望ではないのではないかと疑われても仕方がない。学生の就活でも、もう少しは企業研究をしてから面接に挑むだろう。すでに社会経験があるからこそできる企業比較や、経理・財務職ならではの経営に踏み込んだ提案ができても良いはず。「私が入社したら、ここをこう変えていく」くらいのアイデアは事前に準備して、強くアピールしたい。

【POINT2】採用するメリットが感じられない！

中途採用であるからには、28歳という年齢からも、企業側は即戦力を期待するのは当然のこと。だからこそ、現在に至るまでの職歴や具体的な仕事内容を伝えるだけでなく、その経験やスキルを応募企業でどのように生かしていけるかを、説得力のある言葉で語る必要がある。
吉村さんは派遣社員として経理の仕事をこなしてきた実績を語ったが、正社員に求められる業務のハードルはさらに高い。自分だからこそできることや強くアピールできる部分を、具体性を持って語れるように、これまでの経験をもう一度振り返り、面接官をひきつける言葉で訴えてほしい。

【POINT3】書類とのギャップはマイナス評価！

吉村さんの場合、職務経歴書の内容と、実際に会った本人の印象がかなりかけ離れていた。職務経歴書の内容から期待が大きかっただけに、面接でのマイナスの印象が大きく残ってしまった。職務経歴書の内容を誇張して書いてしまう例もあるが、むしろ吉村さんは経歴にある内容を十分に伝えられるだけの、説得力のあるプレゼンテーションができていないことが問題。これは面接のテクニックを磨くことで解決できる。質問をされた際には、まず結論からきちんと言うこと。そのうえで具体例を提示して説明する会話のクセをつけるだけで、印象はずっと変わるだろう。

回答のコツを伝授！面接官からのアドバイス

まじめで誠実な人柄は伝わってきましたが、採用担当者はそれだけでは採用してくれません。もっと強いアピールが必要だと感じました。吉村さんの場合、企業研究が不足していて、「この会社に入りたい」という熱意が感じられず、自己PRも弱い。「この人を選びたい」「この人を採用しよう」と、相手に思わせる強さに欠けるのです。自分が用意している回答はスラスラと話しますが、想定外の質問には黙ってしまう。このギャップも印象に残りました。そのため、言われたことはきちんとやるけれど、自分から何かに取り組む積極性に欠けるのではないかと思われてしまいます。自分自身を印象付ける、押しの強さを身に付けてほしいですね。

今回の面接官 Profile

• 一覧へ戻る