転職ノウハウ

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実録!面接徹底攻略法 今回の面接者
【第49回】
30代後半で、正社員経験はほぼなし
マイナス印象を覆すPRはできるのか?


今回の面接設定 応募業種:情報通信関連
応募職種:社内SE
年代:37歳・女性


約15年間続けた派遣社員としての生活に終止符を打ち、昨年ようやく正社員としてIT関連企業に就職した挑戦者。IT関連の仕事のキャリアは4年間と短いが、社内SEを希望して応募してきている。自己PRには「マネジメントに携わり、キャリアアップしたい」と書いている挑戦者だが、面接官を納得させるアピールができるのだろうか?


今回の挑戦者

名前:橋本 美由紀(仮名)
経験年数:4年
年齢:37歳
職務経歴:短大卒業後に就職した、健康推進事業を行う財団を4カ月間で退社。事務職の派遣社員として働きながら情報技術関連の資格を取得し、派遣でヘルプデスクや社内SEなどに携わってきた。昨年15年ぶりに正社員として就職し、現在はネットワークの運用・保守を担当している。
年収実績:450万円
希望年収:500万円以上


面接官は、派遣社員が長かった挑戦者の経歴、SEのキャリアの短さ、そして30代後半という年齢に不安を感じていた。技術面では20代の応募者と差がないと考えられるため、採用の判断基準は、年齢なりの人間的な幅や経験知を生かしてリーダーシップを執る能力があるかどうかだ。まずは、今までの経緯について質問することにした。

面接官  
職務経歴書を拝見すると、派遣社員としての経歴がかなり長く、職種もいろいろ変えられてきたようですね。その経緯を簡単に説明してください。
   
挑戦者  
短大が家政学部だったので栄養士の資格を取得しまして、それを生かせる仕事をしたいと思い、卒業後は健康推進事業を行う財団に就職いたしました。ですが、配属された部署の業務が各企業に伺って健康診断を行うというもので、入社前に自分がイメージしていた仕事とは違ったんです。その時は若さもあって「やりたい仕事ではない」と簡単に辞めてしまいました。そこで初めて、「自分が短大の家政学部に入ったのはなんのためだったのだろう」と考えたんです。それまでは親の言う通りに歩んできましたが、「自分は本当に栄養士の仕事がしたいのか」というところまで深く考えました。それで、「派遣社員としていろいろな会社を見て、自分のやりたい仕事を探していこう」と決意したんです。派遣社員として事務職を行いながら、システムエンジニアやネットワーク関係の資格を取ったあとは、IT関係のサポートの仕事をしてきました。 ポイント1
   
面接官  
ヘルプデスクの仕事は、ご自分で選ばれたのですか?
   
挑戦者   はい、選びました。
     
面接官  
どうしてこの方向へ行こうと決めたのですか?
     
挑戦者   一番の理由はMCSE(マイクロソフト認定システムエンジニア)の資格を取ったあと、知人の質問に答えたり、WordやExcelの使い方などを教えたりしているうちに、人をサポートしたいと思うようになりまして。
     
面接官  
情報技術関係の仕事を選んでから、最も自分が成長したと感じたのはいつですか?
     
挑戦者   一番成長したのは……。そうですね、サポート業務としては、パソコンメーカーでサポートデスクを務めていた時です。サーバ運用・管理では、自分にとって初めてのIT系の勤務先だった労働関係の財団法人で多くを学び、成長できたと思っています。
     
面接官  
そうすると情報技術関係の仕事は4年ほどのキャリアということですね。では今後、ご自分のキャリアをどのような方向に進めたいとお考えですか?
     
挑戦者   テクニカルサポートの場合でしたら、まずはスーパーバイザーを経験し、ゆくゆくはマネジメント職で会社に貢献していけたらと思っています。
     
面接官  
今までにスーパーバイザー、あるいはマネジメント職の経験はありますか?
     
挑戦者   ありません。リーダー的なポジションとしては、パソコンメーカーでサブリーダーを務めたくらいです。しかし、他社でOJTなどの新人教育を行ったことがあります。
     
面接官  
それでは、まとめ役の経験期間はどれくらいなのですか?
     
挑戦者   3年ぐらいですね。
     
面接官  
その時は、具体的にどんなことをされていたのですか?
     
挑戦者   主に新人の教育、あとは仕事上の問題点を改善することです。例えば現職ではお客様先に常駐して仕事をしており、数多く電話を取るのですが、担当者が席を外していることが多いので、外出先をホワイトボードにきちんと明記してもらうように改善しました。ポイント2
     
面接官  
ところで、現在の勤務先はどうやって探したのですか?
     
挑戦者   人材紹介会社の紹介です。
     
面接官  
タイミングよく入社できましたね。採用された理由はなんだと思いますか?
     
挑戦者   会社がサーバ系に弱く、サーバ系の運用・管理に少しでも強い人材がほしいということで、採用されたのだと思います。
     
面接官  
現在の勤務先自体はそれほど大きな規模ではないようですが、派遣先は大手企業が多いのですか?
     
挑戦者   そうですね。弊社は技術者を100人ほど抱えていますが、主に社内でネットワークを構築しており、私を含めて3人くらいしかお客様先に常駐していません。派遣先は大手企業です。
     
面接官  
お話を伺っていると、今の会社はそれなりの技術レベルがあると感じるのですが、そこをまた、どうして退職されるのですか?
     
挑戦者   派遣先のプロジェクトの終了に伴って来年5月に自社に戻るのですが、自分が望んでいる方向と違う部署に配属されることが決まったので。自分としてはもう少し技術職に就いていたいんです。
     
面接官  
配属先ではどのような仕事をすることになるのですか?
     
挑戦者   詳しい内容までは分からないのですが、今度辞められる女性の仕事を引き継ぐのだと聞いており、一般事務をすることになりそうです。それなので……。ポイント3
     
面接官  
事務ですか。そうすると、SEとしてやっていきたいという橋本さんのキャリアプランが狂ってしまうということですね。希望は通らないのですか?
     
挑戦者   希望は……ちょっと、難しいでしょうね……。
     
     
     
面接官のワンポイント
「正直に話す」だけでは通用しない。マイナスな要素をプラスに変えて発言するのが、アピールの基本
面接は自己PRの場です。橋本さんが正直に話されていることは分かりましたが、積極的に自分を売り込む姿勢が伝わってきませんでした。37歳という年齢、派遣期間の長さ、1年という短期間での今回の転職など、職務経歴書では企業にマイナスの印象を与えてしまう要素を、プラスに変えてアピールできる機会が面接の場なのだ、と認識してください。「自分をPRする」という視点で再度、経歴の説明の仕方や応募理由、スキル・経験についての話し方を考えてみるべきでしょう。
 
面接官は橋本さんの返答に頼りなさを感じながらも、リーダーの役割を担っていくヒューマンスキルがあるかどうかを、探っていくことにした。年齢相応の経験知を生かし、人を取りまとめていく意識・能力があるか? マイナスの印象をここで挽回できないと、面接突破は困難だ。
 
     
スペーサー スペーサー スペーサー
面接官  
当社は基本的に若い人材が欲しいと考えています。スキル的に若い方と大差のない橋本さんを採用する場合、年齢に見合ったプラスアルファの能力を期待します。ご自身で、何か強みと思えるものはありますか?
    スペーサー
挑戦者   そうですね……。一番の強みは、いろいろな会社で働いてきたことですね。
    スペーサー
面接官   どういう意味でしょう?
     
挑戦者   新しい環境に慣れやすいという点と、それぞれの会社で社員の方たちと上手くコミュニケーションを取ってきた経験が強みだと思っています。 ポイント4
     
面接官  
当社に入社された場合は、年齢的にもまとめ役を担っていただきます。まとめ役にとって一番大事なことはなんだと思いますか?
     
挑戦者   今までの経験で言えば、業務面では作業時間が必要以上に掛かってしまったり、同じ失敗を繰り返したりすることがありましたので、それを改善するようにタスク分けをするとか。あとは新人の教育面で、何度説明しても理解できない方にどこまで分かっているかを確認するとか……。
     
面接官  
それでは、例えば橋本さんがリーダーを任された場合、リーダーが取り組むべき一番大事な点はなんだと思いますか?
     
挑戦者   一番大事なのは「チームをまとめる」ことと、「目的に向かって」……(言葉につまる)。ポイント5
     
面接官  
分かりました。技術面では最近よく「ネットワーク系はエラーが起こる」と言われていますが、配線を間違えるなどのヒューマンエラー、情報管理やセキュリティー問題への対処の経験はありますか?
     
挑戦者   ヒューマンエラーについては、やはり確認するしかないと……。
     
面接官  
どうやって、確認しますか?
     
挑戦者   それは……(言葉につまる)。
     
面接官  
対処の経験がないということですか?
     
挑戦者   はい、経験はないですが、構築の担当者は指差し確認をしていますし、私も作業後は必ず「どこか抜けていないか」という確認はします。
     
面接官  
そういった工事現場に立ち合った経験は多いですか?
     
挑戦者   少ないですね。これまでの1年半で2回くらいです。
     
面接官  
セキュリティーについての知識はありますか?
     
挑戦者   特に……。
     
面接官  
分かりました。性格的にはご自分をどういう人間だと思いますか?
     
挑戦者   目的を決めたら、それに向かって達成するまで努力を惜しまない性格です。例えば、資格を取ると決めた時には、貪欲(どんよく)にネットワークやサーバの勉強をしました。
     
面接官  
なるほどね。今37歳で、3年後には40歳になられますが、今後どんなライフスタイルで生きていきたいと思っていますか?
     
挑戦者   御社で仕事に慣れた3年後くらいから、自分の趣味である健康維持の一環として、いろいろなスポーツをしたいと思っています。ポイント6
     
面接官  
分かりました。これで面接を終了いたします。本日はお疲れ様でした。
     
     

技術力不足を補うだけの意欲と、人間的な幅を見せるべし!
少し厳しく、橋本さんの経験知が浅そうな事柄について質問をしたのですが、残念ながら答えが返ってきませんでした。これでは転職のための準備不足が見えてしまい、熱意も伝わってきません。また、年齢的にアピールポイントにすべきヒューマンスキルの面でも、未熟さが表れていました。想定できる技術的な質問やリーダーシップに関する質問などについて勉強しておくことはもちろんですが、万が一知らないことを聞かれても、「それは勉強中です」くらいのことを言って切り抜けるのが、年齢相応の人間的な幅です。そして、不足している能力を補うだけの意欲を見せてほしかったですね。
面接官のワンポイント
面接心得
転職は人生の大事な仕事。しっかり準備をして挑んでください!
橋本さんと話をして、与えられた仕事を一生懸命にきちんとこなす人だ、という印象を受けました。しかしそれだけでは、年齢の高さやキャリア不足を補うセールスポイントとしては弱すぎます。橋本さんの場合には、ヒューマンスキルの高さをアピールすることが可能性を開くカギだったのですが、そのことに気づいていませんでした。大切なのは、「転職は人生の大事な仕事」だという意識を持って、入念に準備をすることです。まずは「自分の職歴の棚卸し」をして、キャリア・能力・人間性の長所短所を整理してみましょう。そうすれば、経験不足を補うために勉強すべきこと、マイナス面をカバーするプラス要素などが明確になり、万全の準備をして自分をアピールできるはずです。

挑戦者の感想

アピールすべきポイントが分かり勉強になりました。
自分自身の長所や短所の棚卸しがまったくできていなかったということが分かったので、もう一度考えを整理して、面接に挑もうと思っています。

面接官プロフィール
名前:髭 彰さん

株式会社CAP総研 代表取締役、産業カウンセラー 1948年生まれ。伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)にて、技術教育課長、QC推進事務局長、採用研修グループリーダーを歴任。 2001年にCAP総研を設立。自ら開発した行動変革プロセス・メソッドに基づく管理職研修の企画及び講師、学生へのキャリア・デザイン研修講師などを多数担当しながら、キャリア・カウンセリング、人材採用コンサルティング等も手がけている。
ポイント1
ネガティブなことを長々話すのはNG!
10年以上も前の新卒就職時の迷いを長々と説明しても、ネガティブな印象を与えるだけ。その後どのように考えが変わり、現在の道を選んだのかを簡潔にポジティブに語るべき。
ポイント2
話の流れから外れた回答
ここまでの話題がまとめ役の経験についてだったにもかかわらず、挑戦者が挙げた具体例は的外れ。まとめ役の働きをアピールしやすい新人教育に話を絞って、さらに成果までを具体的に述べるのがベスト。
ポイント3
退職理由に関連づけて、キャリアプランがあることをアピールすべき
この説明では、一般事務が嫌だから転職する、というネガティブな印象を与えてしまう。退職理由を述べる際も、仕事への意欲を見せることが大切。SEのマネジメント職に就きたいというキャリアプランがあり、それをかなえられる職場で働きたいのだ、と積極的にアピールすべき。
ポイント4
もっと強くヒューマンスキルのアピールを!
決して技術力が高いとは言えない橋本さんの場合、ここでの回答はヒューマンスキルを訴える絶好のチャンス。職場への順応性にとどまらず、多数の職種を経験したことで身に着けた「応用力」、多様な人々と付き合うなかで培った「対人能力」を具体的にアピールしたい。
模範解答例
さまざまな企業・職種を経験してきたので、どんな場面でも臨機応変に対処する自信があります。例えばヘルプデスク業務であれば、お客様の顔が見えず、質問内容も多岐にわたりますので、マニュアル通りでは対応できない場面も数多くありました。しかし、そうした経験を積み重ねるなかで自分なりの対処法を作りあげ、応対時間の短縮やお客様の満足度アップといった業務課題をクリアしてきました。御社でも対応力や対人能力を生かし、業務効率のアップなどに貢献できると思います。
ポイント5
リーダーを担っていく意識・事前準備が欠けている
橋本さんは年齢的にも、リーダーの役割を求められる可能性が高い。また、本人もマネジメント職を希望しているなら、リーダーとして求められることは事前に勉強し、話せるように準備しておくのは最低限のこと。多くの会社を経るなかで培ってきた対人能力、適応能力ともつなげてアピールし、面接官に、「経験がなくてもリーダーを担う資質はある」と印象づけることが重要だ。
模範解答例
チームワーク、生産性、採算性、ワークフローの改善など、リーダーには多くの課題がありますが、なかでもコミュニケーションを円滑にすることが一番重要な役割だと考えています。スタッフ間のコミュニケーション不足は、ヒューマンエラーの発生や業務効率の低下につながりかねません。私は、今までさまざまな企業・職種を経るなかで、社員教育にも携わってきました。この経験を生かし、御社でもリーダーとして、社員のコミュニケーションの潤滑油となり、部下のモチベーションを向上させ、業務効率アップを図ることで会社に貢献していきます。
ポイント6
生き方・人生設計が問われている
この質問には、派遣社員を長く続けてきた橋本さんへの、人生設計に対する疑問も含まれている。ここでは、趣味などの話で終わるべきではなく、今後の人生設計を明確に提示するべきだ。
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