賃上げとは?2024年急増している背景や理由・賃上げ交渉のための準備
掲載日:2024年07月03日
記事まとめ(要約)
- 賃上げとは、企業が労働者の給料を増やすこと
- 物価上昇、人材確保、賃上げ促進税制の導入などにより、賃上げを行う企業が急増している
- 2024年は特に賃上げが急増し、今後も多くの企業で持続的な賃上げが実施される見込み
賃上げとは労働者の給与水準を上げることであり、これには物価上昇や生活コスト増加への対応、労働者のモチベーション向上、人材の確保といった多様な背景が関係しています。
近年は物価高騰や経済環境の変化に伴い、2024年の春闘では33年ぶりに賃上げ率が5%を超えるなど、賃上げへの期待が高まっています。
今回は、賃上げとは何か、「ベースアップ」と「定期昇給」の2パターンから見ていくとともに、賃上げを実施する企業が増えている背景や、今後の動向、給与アップのポイントについても解説します。
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賃上げとは
賃上げとは、企業が労働者の給料を増やすことです。主にベースアップ(基本給の底上げ)もしくは定期昇給(毎年の定期的な昇給)によって行われます。
ベースアップ(基本給の底上げ)
ベースアップとは、労働者の基本給を上げることです。個人の業績や成果に関係なく、企業全体の業績向上や、経済状況の変化などを理由に行われます。その企業に勤めるすべての労働者に適用されるのが特徴です。
ベースアップの主な目的は、労働者の生活の安定です。物価が上昇した際に給与がそのままだと、購買力が低下し、労働者の生活が厳しくなる可能性があります。このような状況に対処し、労働者が経済的な安定を維持できるようにベースアップが実施されます。
また、ベースアップが可能であることは、企業が安定して成長していることを表すため、労働者のモチベーションの向上も期待できます。
定期昇給(毎年定期的に行われる昇給)
定期昇給は、勤務年数や年齢などに応じて、労働者の給料を毎年定期的に上げていく方法です。
定期昇給の額や割合は、企業の規模や給与規定によっても異なりますが、年齢や勤続年数が増すごとに徐々に上がっていくことが一般的です。ただし、あくまでも昇給の機会であるため、企業の業績が悪い場合や、経済状況が不安定な場合は昇給が見送られることもあります。
また、なかには定期昇給に個人の人事評価や成果を取り入れた昇給制度を実施する企業や、実績重視型の賃金体系で、定期昇給を実施しない企業もあります。
2024年、賃上げが急増している背景
日本労働組合総連合会は、2024年3月21日時点で、春闘において平均5.25%の賃上げ率、16,379円の賃上げ額を発表しました。賃上げ率が5%を超えるのは33年ぶりとなりました。
また、株式会社マイナビの「企業の雇用施策に関するレポート(2024年版)」では、2023年に賃上げを行った企業は78.2%、2024年に賃上げを予定している企業は73.9%となりました。この結果から、継続的に賃上げが実施されていくことがうかがえます。
出典:株式会社マイナビ:企業の雇用施策に関するレポート(2024年版)
賃上げが急増している主な背景としては、以下のような理由が考えられます。
物価の上昇へ配慮するため
円安傾向や不安定な世界的情勢により、エネルギーや原材料コストが高騰し、日本国内の物価上昇が進んでいます。2024年2月の消費者物価指数(CPI)は107.2で、前年同月比より2.7%上昇していることからも、物価が継続的に上昇していることが分かります。
継続的な物価上昇が続くなか、企業は労働者の生活を維持できるような配慮が必要です。労働者の生活を守り、企業活動を維持するためにも、企業にとって賃上げは欠かせない取り組みと言えるでしょう。
出典:総務省統計局|2020年基準 消費者物価指数 全国 2024年(令和6年)3月分(2024年4月19日公表)
人材確保のため
少子高齢化の影響により、業種問わず人手不足が起きているなかで、優秀な人材を確保し、業績や生産性を向上させる目的で賃上げを実施する企業も増えています。
給与水準を上げることで、働くモチベーションの向上につながり、生産性の向上や人材流出の防止にも効果があります。実際に、人手が充足している企業は賃上げを行っている割合が高いという傾向も見られます。
賃上げ促進税制が導入されたため
2022年4月1日より、賃上げに取り組む企業向けに「賃上げ促進税制」が施行されています。
賃上げ促進税制は、企業が一定の要件を満たしたうえで、給与等の支給額を前年度よりも増加させた場合、その増加額の一部を法人税などから税額控除できる制度です。企業だけでなく労働者にとっても、給与の実質的な増加という直接的なメリットがあり、財政的な負担軽減につながります。
また、企業が賃上げを行うことで労働市場全体の給与水準が上昇し、労働者の就業条件の改善にもつながります。
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賃上げに関する今後の動向
長引く物価上昇や、少子高齢化による人材不足により、近年の賃上げの動向は、労働者からも企業からも大きく注目されています。
2024年の春闘では33年ぶりに賃上げ率が5%を超えました。大手企業をはじめ、優秀な人材の確保やインフレに負けない給与体制を構築するために、今後も賃上げの動きが継続すると予測できるでしょう。
しかし、中小企業の場合、賃上げを実施したいと思っても、資金不足により難しいケースもあります。賃上げの動きが中小企業へ広がるかどうかが、今後の景気回復のポイントとなるでしょう。
今の給与をアップさせるには?
賃上げは、労働組合と企業との間で交渉されるため、個人が関与することは基本的には難しいと言えます。ここでは、労働者個人が給与をアップさせるためのポイントを3つ紹介します。
人事評価の仕組みや評価基準を知っておく
給与アップを目指す際は、自社の人事制度や昇給の基準を理解することが重要です。給与アップのタイミングや条件は、企業の規則によって定められています。基準を知ることで、どのような成果やスキルが評価され、昇給につながるのかを理解できます。
また、自分の現在のスキルと基準を照らし合わせることで、向上させるべき点が見えてくるでしょう。
実績づくりや資格の取得を目指す
給与をアップさせるためには、自分の業務実績を積極的にアピールし、目標を上回る成果を示すことが大切です。資格取得を通じたスキルアップも有効で、資格手当などが支給されることもあります。また、キャリアアップやスキルアップによる昇格が、昇給につながることもあります。
また、スキルアップに取り組むことで、より条件の良い企業への転職もしやすくなる利点もあります。
転職も視野に入れる
給与水準が高く、自分のスキルと貢献を高く評価してくれる企業への転職も給与アップを実現するための一つの選択肢です。
現職での実績が給与に反映されない、業務の増加にもかかわらず給与が変わらないといった場合、業界の平均給与や動向を調査し、転職を検討するのも一案です。給与だけでなく、キャリアゴールの実現につながる転職であれば自分の成長のきっかけにもなります。
転職市場が売り手市場となっている現在、人材不足を補うために賃上げを行う企業も多く、より良い条件で転職できるチャンスがあります。現職で給与アップが難しいと思ったら、転職を検討してみましょう。
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まとめ:賃上げの目的や動向を理解しておこう
労働者の給料を上げる「賃上げ」は、ベースアップと定期昇給の2つに分けられます。物価上昇や、少子高齢化による人材不足、賃上げ促進税制の導入などにより、賃上げを実施する企業が近年増加しています。
2024年は特に賃上げが急増し、今後も多くの企業で持続的な賃上げが実施される見込みです。
賃上げ交渉に個人が介入することは難しいものの、実績作りや資格取得が給与アップにつながることもあります。現在の職場での給与アップの見込みが限られている場合は、転職を検討するのも一つの選択肢です。
監修者
谷所 健一郎(ヤドケン)
キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)
有限会社キャリアドメイン 代表取締役
有限会社キャリアドメイン 代表取締役 キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)。1万人以上の面接と人事に携わった経験から、執筆、講演活動にて就職・転職支援を行う。ヤドケン転職塾 、キャリアドメインマリッジを経営。主な著書「はじめての転職ガイド 必ず成功する転職」(マイナビ出版)、「転職者のための職務経歴書・履歴書・添え状の書き方」(マイナビ出版)、「転職者のための面接回答例」(マイナビ出版)、「転職者のための自己分析」(マイナビ出版) ほか多数。
マイナビ転職 編集部
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