給料が上がらないのはなぜ?平均年収と収入を上げる方法を解説
掲載日:2024年06月13日
記事まとめ(要約)
- 令和4年の調査によると、日本人の平均年収は458万円
- 給料が上がらない理由は、社員側と企業側の双方にある
- 給料を上げるには、昇格・昇進を目指す、転職するなどの方法がある
在籍年数が長くなってきても給料が思うように上がらないと悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
給料が上がらないのは個人の能力以外にも会社側の原因による場合もあります。
給料に不満を感じている人は、この記事を参考に、スキルアップや交渉に臨んでみてください。
【令和4年版】日本人の平均年収と給料を引き上げた企業の割合
給料を上げる方法を検討する前に、平均年収や給与の引き上げ事情について把握しておくのも重要です。以下4つの項目について解説します。
- 全体の平均年収
- 年齢別の平均年収
- 業界別の平均年収
- 給料を引き上げた企業の割合
どのような業界や企業でも、業績が悪化していれば給料は上がりません。自社の業績も考慮したうえで、給料を上げる方法を考えていきましょう。
全体の平均年収:458万円
全体と男女別の給与、給料・手当、賞与の平均は以下のとおりです。
全体 | 男性 | 女性 | |
---|---|---|---|
平均給与 | 458万円 | 563万円 | 314万円 |
平均給料・手当 | 386万円 | 472万円 | 270万円 |
平均賞与 | 72万円 | 92万円 | 44万円 |
参考 国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査結果について」
給与と給料には、以下のような違いがあります。
- 給与:企業から支払われる賃金
- 給料:給与から手当や残業代などを引いたもの
全体の平均年収は前年から2.7%増加しており、特に女性は増加率が高く、前年よりも3.9%アップしています。
年齢別の平均年収
年齢別の平均年収は、以下のとおりです。
年齢 | 平均年収 |
---|---|
19歳以下 | 124万円 |
20〜24歳 | 273万円 |
25〜29歳 | 389万円 |
30〜34歳 | 425万円 |
35〜39歳 | 462万円 |
40〜44歳 | 491万円 |
45〜49歳 | 521万円 |
50〜54歳 | 537万円 |
55〜59歳 | 546万円 |
60〜64歳 | 441万円 |
65〜69歳 | 342万円 |
70歳以上 | 298万円 |
参考 国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」
令和4年の日本人の平均年収は458万円で、35~39歳に平均を超え、55~59歳にピークを迎える推移になっています。60代に入ると徐々に年収が減少していくのが年齢別の平均年収の傾向です。
業界別の平均年収
業界別の平均年収は、以下のとおりです。
業界 | 平均年収 |
---|---|
電気・ガス・熱供給・水道業 | 747万円 |
金融業、保険業 | 656万円 |
情報通信業 | 632万円 |
学術研究、専門・技術サービス業、教育、学習支援業 | 544万円 |
製造業 | 533万円 |
建設業 | 529万円 |
複合サービス事業 | 506万円 |
運輸業、郵便業 | 477万円 |
不動産業、物品賃貸業 | 457万円 |
医療、福祉 | 409万円 |
卸売業、小売業 | 384万円 |
サービス業 | 377万円 |
農林水産・鉱業 | 337万円 |
宿泊業、飲食サービス業 | 268万円 |
参考 国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査結果について」
最も平均年収の高い業界である「電気・ガス・熱供給・水道業」と、最も低い業界「宿泊業、飲食サービス業」の平均年収には、約2.8倍の差があります。
給料を上げる方法を検討する際は、平均年収の高い業界への転職を考えるのも方法の一つです。
給料を引き上げた企業の割合
厚生労働省の調査によると、令和4年中に「平均賃金を引き上げた・引き上げる」とした企業は85.7%でした。前年の80.7%よりも増えています。
業界別の引き上げ状況は以下のとおりです。
業界 | 賃金を引き上げた・ 引き上げる企業の割合 |
賃金を引き下げた・ 引き下げる企業の割合 |
---|---|---|
学術研究、専門・技術サービス業 | 95.7% | 2.7% |
建設業 | 95.4% | - |
医療、福祉 | 95.2% | - |
製造業 | 94.8% | 0.8% |
不動産業、物品賃貸業 | 93.3% | - |
金融業、保険業 | 92.9% | 0.3% |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 92.4% | - |
情報通信業 | 89.3% | - |
鉱業、採石業、砂利採取業 | 86.6% | - |
卸売業、小売業 | 83.3% | 1.1% |
教育、学習支援業 | 80.9% | 1.0% |
サービス業(他に分類されないもの) | 79.4% | 1.2% |
運輸業、郵便業 | 75.6% | - |
宿泊業、飲食サービス業 | 71.1% | 1.6% |
生活関連サービス業、娯楽業 | 67.8% | 2.0% |
参考 厚生労働省「令和4年賃金引上げ等の実態に関する調査」
専門的なスキルや資格が必要な業界や、人材不足の業界では、給料が上がりやすい傾向にあります。
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【社員原因】給料が上がらない3つの理由
給料が上がらない原因が、会社にあるとは限りません。社員側にも以下のような理由があると、昇給が難しくなるでしょう。
- 成果を上げていない
- スキルが足りない
- 評価基準を理解していない
自分に当てはまる特徴がないか、十分に見直しましょう。
1.成果を上げていない
成果主義の会社では、単に与えられた業務をこなすだけでは給料が上がりにくいでしょう。
そのため、給料を上げたいなら、業績向上に寄与するような実績を上げる必要があります。
成果が見えにくいバックオフィスを担当する職種でも、業務効率化やマニュアル作成などの組織運営を円滑にする取り組みができれば、高い評価を得られるでしょう。
ただし、十分な成果を上げていても上司へのアピールが不足していると、正当に評価されない恐れがあります。成果を上げるだけではなく、適切な方法で上司に実績をアピールしましょう。
2.スキルが足りない
基本的に、給料はポジションや業務内容、保有するスキルなどによって決まります。取り組める業務の幅を広げ、会社に対して貢献できることを増やしたり、専門職としてのスキルを高めれば、給料が上がりやすくなるでしょう。
一方で、必要なスキルが足りていない場合、対応できる業務が限定されるため、会社への貢献度が低くなり、給料が上がりません。
給料を上げるには、新しい業務に積極的にチャレンジしたり、スキルを高めたりすることが必要です。
3.評価基準を理解していない
多くの会社では、独自の評価基準を設けており、成果を上げたとしても基準を満たしていなければ給料は上がりません。評価基準を理解して意識的な行動を取ることで、給料を上げられる可能性が高くなります。
成果以外に以下のような評価項目が設定されていることもあるので、確認しましょう。自分に求められていることを把握して努力することで評価されれば、給与アップにつながります。
- スキル
- リーダーシップ
- 勤務態度
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【会社原因】給料が上がらない3つの理由
会社側にある原因で、給料が上がらない理由は以下のとおりです。
- 業績が悪化した
- 給与水準が低い
- 利益がすぐには社員に還元されない
給料が上がらない原因が会社にある場合は、転職も視野に入れて対策をすると良いでしょう。
1.業績が悪化した
会社の業績が悪化すると、社員に給料として還元できる余裕がなくなります。特に、想定よりも売り上げが伸びていない場合は、人件費をカットせざるを得ないため、個人やチームで成果を上げていても給料アップは期待できないでしょう。
以下のような会社は、給与の増額が危うくなる恐れがあります。
- 業績が前年を下回っている
- 売り上げ・利益が減少傾向にある
従業員個人の力だけでは業績を改善しにくいため、会社全体で売り上げ・利益を上げられるような取り組みが求められます。
2.給与水準が低い
業界によっては給与水準が全体の平均よりも低い場合があり、給料が上がりにくいことがあります。
また、以下のような会社も給料が上がりにくい傾向にあります。
- 基本給が低水準に設定されている
- 評価制度が厳しく設定されている
- 年功序列型賃金制度を採用している
年功序列型賃金制度を採用している会社は、年齢や勤続年数に応じて給料が上がっていくので、成果や実績が即座に反映されません。大幅な昇給は期待できない一方で、終身雇用を前提とした制度であるため、長く勤続できる点がメリットです。
3.利益がすぐには社員に還元されない
利益が出ても、社員の給料に還元されるまでには時間がかかります。
人手不足が続いていたり、勤続年数が長くなっても給料が上がらなかったりする会社の場合は、人件費を減らそうとしている可能性があります。また、利益を先行投資に充てるために内部留保している場合も、すぐには還元されないでしょう。
内部留保とは、万が一の事態に備え、一定の利益を留保しておく仕組みです。ただし、過度の内部留保には、利益を社員に還元できなくなるリスクもあります。
内部留保を社員が把握するのは難しいですが、業績が上向きにもかかわらず、給料に反映されない期間が長い場合には、内部留保が理由になっているかもしれません。
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給料を上げる4つの方法
給料を上げるための方法は、以下の4つです。
- 昇格・昇進・昇給を目指す
- 給与交渉する
- 副業する
- 転職する
自分の状況に合った方法を検討し、給料アップを目指してみましょう。
1.昇格・昇進・昇給を目指す
昇格・昇進・昇給することで、給料アップを目指します。昇格、昇進、昇給とは、以下のとおりです。
昇格 | 職能資格制度といわれる等級制度において、能力や役割に応じて等級が上がること |
---|---|
昇進 | 一般社員から主任・係長・課長のように企業が定めた役職に上がること |
昇給 | 基本給が上がること |
昇格と昇進は必ずしも同義ではないので、昇格して仕事の難易度や責任が高くなっても給料が上がらない可能性があります。一方で、成果を上げて昇進すれば、給料が上がるでしょう。
また、基本給は昇進や昇格だけでなく、ベースアップや定期昇給によっても上がります。
成果主義の企業の場合、スピード昇進も期待できますが、業績向上に大きく貢献するような成果を求められるでしょう。また、業種によっては、資格取得が昇進に有利に働くケースもあります。
スキルや業務実績・勤務状況など、企業が定めた基準で社員を評価する人事考課の結果が、昇給につながる企業もあるため、高い評価を受けられるように実績や成果は意識しておきましょう。
2.給与交渉する
給与設定は同じ部署や同じ役職の社員同士で、相対的に評価される傾向にあります。ほかの社員よりも優れた実績や成果を上げていれば、給与交渉がしやすくなるでしょう。
しかし、直接的に給与交渉すると心証が悪くなる恐れがあるので注意が必要です。
人事考課の際に面談が設けられている企業であれば、その場で実績や成果をアピールできます。面談の際には、成果をイメージしやすくするために、具体的な数値を交えて実績を伝えましょう。
また、一般的に企業は、昇給や昇格の具体的な条件を定めているので、事前に人事部へ確認したり、就業規則をチェックしたりしましょう。
3.副業する
収入を増やすなら、副業も有効な手段の一つです。会社の就業時間外や休日を利用して、本業に支障が出ない範囲の副業に挑戦してみましょう。
厚生労働省が副業を推奨していることから、副業を解禁している企業も増えています。ただし、副業を禁止している会社もあるので、事前に就業規則の確認が必要です。
副業を通して新しいスキルやノウハウを身に付けられれば、幅広い知見も得られ、本業の給料アップにつながる可能性もあります。
4.転職する
昇給が見込めない場合、転職を検討するのも選択肢の一つです。
これまでのキャリアや実績を生かせる企業であれば、給料アップを期待できるでしょう。ただし、企業が求める人材像とマッチしている必要があります。
業界によって給与水準が異なるので、水準の高い業界で自分のスキルを生かせる仕事を見つけることも重要です。
未経験の業界や職種でも、生かせるスキルや実績がマッチしていれば転職しやすくなります。入職率が高い業界ほど人手を必要としているため、自分のスキルや経験と合っている企業を探してみると良いでしょう。
例えば、給与水準が高く、入職率が離職率を上回っている業界は以下のとおりです。
- 情報通信業
- 学術研究、専門・技術サービス業
参考 厚生労働省「産業別の入職と離職(令和4年)」
参考 国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査結果について」
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給料を上げるための転職を成功させる3つのポイント
給料を上げるための転職を成功させるポイントは、以下の3つです。
- キャリアやスキルを最大限に生かせる求人を探す
- 給与水準が高い企業を探す
- スキルアップする
ポイントを押さえて転職活動を進め、給料アップを目指しましょう。
1.キャリアやスキルを最大限に生かせる求人を探す
給料アップを目指すには、キャリアやスキルを最大限に生かせる求人を探すのが重要です。
実績があって経験が生かせる仕事であれば、入社当初から責任のある仕事を任される可能性がありますが、即戦力として高待遇での採用も期待できるでしょう。
ただし、成果を上げられなければ、入社後に給料が下がる場合もあるので注意が必要です。
未経験でも汎用性の高いスキルや経験を持つ人であれば、好待遇で迎えてくれる企業もあります。
適性やスキルとマッチした求人を選ぶことで、長期的なキャリアアップや収入向上を実現しましょう。
2.給与水準が高い企業を探す
企業によって給与が異なるため、給料を上げるためにはなるべく給与水準の高い企業を優先的に探すと良いでしょう。
給与水準の高い企業を探す際は、平均年収の高い業界に注目するのが方法の一つです。例えば、国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」によると「電気・ガス・熱供給・水道業」が最も平均年収が高いため、興味のある業界であれば、選択肢に入れてみましょう。
ただし、自分のキャリアやスキルと合わない企業だと、転職のハードルが高くなったり、入社後にミスマッチを感じたりする恐れがあります。経験や能力を最大限に生かせる企業をピックアップしたうえで、その中でも給与水準の高い企業を探すのがポイントです。
3.スキルアップする
応募する業界や職種で生かせる知識を習得しておくのも、おすすめです。
同職種でも上位の資格を取得したり、未経験なら応募職種に関連する資格を取得しておくことで、知識を第三者に客観的に評価されやすくなります。
給料を上げられるように、スキルアップや転職に挑戦しましょう
給料が上がらない原因には、まず個人のスキルや努力不足が考えられるため、会社の業績に貢献できるような成果を上げたり、資格をアピールしたりすることが給料アップに効果的です。
しかし、会社の業績悪化や低い給与水準など、個人の努力では昇給を望めないケースもあります。そのような場合は、副業に挑戦したり、転職を検討したりしましょう。
転職を検討する際は、給与水準の高い企業を選ぶことで、給料アップが期待できます。自分のキャリアやスキルを十分に生かせる企業への転職を検討してみてください。
監修者
谷所 健一郎(ヤドケン)
キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)
有限会社キャリアドメイン 代表取締役
有限会社キャリアドメイン 代表取締役 キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)。1万人以上の面接と人事に携わった経験から、執筆、講演活動にて就職・転職支援を行う。ヤドケン転職塾 、キャリアドメインマリッジを経営。主な著書「はじめての転職ガイド 必ず成功する転職」(マイナビ出版)、「転職者のための職務経歴書・履歴書・添え状の書き方」(マイナビ出版)、「転職者のための面接回答例」(マイナビ出版)、「転職者のための自己分析」(マイナビ出版) ほか多数。
マイナビ転職 編集部
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