稼げる人になるには?市場価値を高めて給料アップを目指そう
掲載日:2024年07月25日
記事まとめ(要約)
- 稼げる人は「市場価値」が高い人。転職市場で高い値段がつけば、市場価値は高い
- 市場価値はあくまで転職市場という外部の評価。社内の評価や待遇は関係ない
- 「もうかること」「好きなこと・やりたいこと」「得意なこと」の3つを押さえる
「大学の時は目立たない地味なやつだったのに、あんなに稼いでいるとはビックリ! 実家が金持ちや起業して社長になったわけではないのに……」
就職した後、数年すると人によって年収にどんどん差がついていく現実は、大学時代は想像すらしないものです。同じような学力や能力レベルだったはずなのに、なぜ、こんなに差がつくのか。
仕事ややりがいが同じくらいなら、当然、稼げたほうが良いに決まっています。今回は、ラクに速く自分らしく活躍し、認められ、稼げる人になるコツを解説します。
稼げる人は「市場価値」が高い人
最初に誤解があってはいけないですが、本記事で解説する「稼げる人」とは、悪い事やズルをしている人ではありません。株式やビットコインなどの投資のリターンで稼いでいる人でもありません。
一言で言うと、稼げる人は「市場価値が高い」人になります。
市場価値とは
ここで言う市場価値とは「自分を商品として社外(市場)に売りに出した時に、市場ではどんな評価を受けるか。要は、いくらという値段がつき、どんな役割や役職が得られるか(価値)」を指します。
今の報酬額より、転職市場で低い値段しかつかなければ「市場価値は低い」。転職市場で高い値段がつけば「市場価値は高い」ということです。
市場価値はあくまで転職市場という外部の評価で、社内の評価や待遇は関係ありません。
例を出しましょう。「ベテラン課長で年収1,000万円もらっているので、市場価値は1,000万円以上ある」と本人が思うのは自由ですが、転職市場で600万円の値段しかつかなければ、市場価値は600万円です。
このベテラン課長はリストラされたら年収大幅ダウンは必至なので、今の会社にかじりついていたほうが報酬的にはお得と言えます。
逆に、特殊領域を担当する年収650万円のエンジニアが転職市場に出て、1,200万円の値札が付けば市場価値は年収1,200万円と現在の年収より大幅アップの評価となります。
当然ですが、市場価値が高いということは、人材の需要より、供給が少ないため、他社から見て魅力的な存在になります。
故に、仕事やスカウトなどオファーを選べる立場になるため、現在の会社にしがみつく必要はなくなり、「いつでも、どこででも、誰とでも働ける」キャリアの選択肢を多数持つことになります。
市場価値は変化する
市場価値が「高い」「安い」と一喜一憂するのは良いですが、市場価値は未来永劫同じではありません。市場価値は言わばスナップショットです。
市場価値は転職市場の人材の需要と供給のバランスで変化します。
元外資系コンサルタントの数は2010年ごろまでは需要に対する供給が少なかったため、市場価値が高く、在籍数年程度でも外資系や日系大企業の幹部登用が多かったです。
しかし、今は元外資系コンサルの数が増えたこともあり、ちゃんとした実績や出世をしていなければ幹部登用は難しくなるなど、需要側と供給側の関係は変化するものです。
今はVUCA(「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」)の時代で、変化が激しく未来予測も困難です。
現在、市場価値が高い専門性を有していても、その専門性自体がテクノロジーで置き換わったり、入れ替わったりすれば強みがゼロになり、キャリアも詰んでしまいます。ガラケーの最先端技術を持っていても、スマホの時代ではその技術は役に立たないことと一緒です。
故に、市場価値は常にアップデートが求められる反面、ビジネスのゲームが変わるタイミングで簡単に下剋上が起きるため、戦略的にキャリアを仕込むことで自分の市場価値を上げ続けることが可能な「良い時代」とも言えます。
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稼ぐために自分の市場価値を高める方法
市場価値を上げ、稼げるようになると言っても、「好きなこと・やりたいこと」でなければ人生が空しくなります。「得意なこと」でなければ、思うように結果が出せず、苦労する割に報われないかもしれません。
市場価値を上げるとともに、自分らしく活躍し、認められるようになるには「もうかる業界や会社に身を置くこと」「好きなこと・やりたいこと」「得意なこと」の3つの円の中心を目指すようにするのが正解です。
もうかる業界や会社に身を置くこと【身を置く環境】
報酬は、仕事の難易度や個人の成果・能力・頑張りだけで決まるものではありません。
それらで決まるのは「人事評価」だけです。根本的な報酬水準は、業界や職種に応じて決まります。
見方を変えると、同じ仕事をするなら、高い年収を狙える場所に身を置いたほうが良いでしょう。
人事課長であれば、TV業界なら年収1,200万円以上は狙えますが、ガソリンスタンドであれば年収400万円に届かない可能性もあります。同じ“人事”の課長でも年収で3倍の差が生まれます。
まずは、前提として、高い報酬水準の業界、職種、会社を目利きできるようになれば、後々、キャリアの方向性が変わっても、稼げる場所を見つけられるようになります。具体的には以下の5つの視点で見ます。
1.もうかるビジネスモデルであること
そもそもですが、「もうかりやすい」ビジネスのほうが、社員に高い報酬を支払いやすくなります。もうからなければ、社員に高い報酬を払いたくても元手がないので払えないからです。
大企業でも、介護職や飲食業は利益が出にくい構造なので、報酬水準は低めです。逆に金融やコンサルティング業界は報酬額に対して、経費が人件費+事務所家賃+αと低く抑えられることもあり、規模が小さくても高い報酬を払うことが可能になります。
2.そのビジネスモデルが安定的であること
大きくもうかるビジネスモデルができていても、それだけで人件費予算を高く取れるとは言いきれません。忘れてはいけないのは、ビジネスモデルが安定的であるかどうかという側面です。
安定してもうかるビジネスモデルになっていない限り、先行きは不透明。利益がいきなり激減したり、急な投資でコストアップしたりするなどの状況では、月々の報酬を抑え、利益が出た分を賞与やインセンティブに反映することで総額人件費管理を行うようになります。
なぜなら、一度固定部分の報酬を上げてしまうと、大きく下げることは難しくなるからです。
なので、確実に稼ぐことを考えるのであれば、安定的にもうかるビジネスモデルを持つ業界、企業、職種に身を置くようにしましょう。
3.ビジネスがどんどん成長していること
どんなに安定的にもうかるビジネスモデルでも、所属する組織が成長していない限り、企業は「効率」重視になるため、報酬が上がりにくくなります。なぜなら、企業は現状維持ではなく、売上・利益を伸ばす事業計画を立てるからです。
故に、売上・利益の伸びが緩やかになると、コストを下げることで、収益を出すようになるため、働き手は稼ぎにくくなるのです。
また、組織の成長が鈍化すると、昇進を含め、新たなチャンスを任されることも少なくなり、個人の成長機会が減ることで、同じポジションに停滞することになり、市場価値も目減りしていきます。
したがって、ビジネスがどんどん成長している組織に所属することで、抜てきのチャンスが舞い込みやすくなるうえ、昇進やチャレンジが仮に失敗しても、それを乗り越えた経験はプラスに働くため、市場価値を押し上げることにつながります。
4.人材の需要>供給であること
人材の需給バランスです。ビジネスがもうかっている、もうかっていないにかかわらず、求人より、働きたい人のほうが多ければ報酬が安くても採用できる可能性が高まります。
飲食業や介護職は離職者が多くても、報酬水準が比較的低いことから採用数を多く出せるので成立しています。逆もまたしかり、外資系コンサルタントは優秀なできる人材を確保する必要があり、その人数も限られているので報酬を高くしないと採用できません。
AIなどのエンジニアは需要>供給なので新卒社員でも年収1,000万円前後を出す企業が出てきていることは記憶に新しいですよね。稼ぐなら、需要>供給の場所を探すことです。
5.より業界の大手であること(可能であれば業界No.1を狙う)
もうかるビジネスモデルが業界共通であれば、より大手のほうが高収入を得られる確度が高まります。同じビジネスモデルでも一番もうかるからNo.1であることが多く、故に社員の平均年収を高く払うことが可能になるからです。
加えて、No.1企業のほうが、より優秀な人材が集まっていることも多く、その方々から学べることでスキルアップの確度も高まります。業界を代表し、牽引する視点でビジネスを学べることも、大きなメリットになります。
また、より大手であればあるほど、その企業を卒業した後に、他業界や他職種で活躍している方も多く、その卒業生ネットワークが手に入ることも魅力です。後々の転職を考えた時に、No.1企業の職歴は書類選考上、有利に働くこともあります。
No.1企業を選ぶ基準は、売上や社員数等の規模だけでありません。世界や日本初、業界初のような「初」の企業を狙えば、スタートアップ企業まで選択肢の幅は広がります。
上記1~5を満たす条件で業界、企業、職種を選択すれば、稼げる居場所はいつでも、どこでも見つけられます。ここをスタートラインと考え、次に自分らしく活躍できる視点からキャリアを選択していくのが得策です。
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好きな仕事の中に得意を見つけること【活躍できる環境】
どんなに稼げる企業でも「好きなこと・やりたいこと」でなければ、楽しくないし、やりがいは生まれず、人生がつまらなくなります。
「得意なこと」でことでなければ、ラクに速く成果を生み出しにくいので、評価は上がりにくいし、周りから認められず居場所が追い詰められていきます。出世も遠のき、最終的に稼げなくなりますが、その時にはすでにキャリアの賞味期限が切れてしまい、キャリアダウンしか道がなくなります。
したがって、稼げる人になるには「もうかる」環境の選択肢の中から、「好きなこと・やりたいこと」「得意なこと」の視点でキャリアを選択しましょう。
- 好きなこと・やりたいことができれば人生が楽しくなります。
- 得意なことであれば、ラクに速く結果を出せるため、評価や評判も上がり、もっとやりたい仕事を選べる、昇進する等、活躍できる場が広がっていきます。
このように、稼げる環境で「好きなこと・やりたいこと」を実現したいと考えるのが当たり前ですが、ここに落とし穴があります。
- 「好きなこと・やりたいこと」の大半は、実は「ただの情報」なのです。
保育園の頃なら「将来はヒーローになりたい」はかわいい願望ですが、大学卒業時になっても「進路はヒーローです」という人はいないことと一緒です。
子供の頃からどんどんキャリアや働き方の情報が入り、アップデートされ続けるので、「好きなこと・やりたいこと」は移ろいでいくのです。
仮にやりたいことが子供の頃から明確でも、夢見たとおりに活躍できるのはごく一部。9割以上の人は、それ以外のキャリアの選択肢を選ばざるを得ないのが実際です。あなたの周りを見渡せば、その実態に気づいているでしょう。
ご安心ください。悲観しないでください。朗報があります。
人事・戦略コンサルタントとして5万人をリストラし、7,000名以上のリーダーの選抜と育成に関わってきましたが、選ばれるリーダーは「当初希望したとおりの配属ではなかった」ケースが大半です。「希望どおりの配属でなかったけど、やってみたら楽しく、結果も出るし、周りが喜んでくれるし、気づいたら出世していた」というのが実際でした。
要は、自分の個性、得意なことを生かせる環境を選ぶことが重要です。
「稼げる環境」に身を置き平均報酬が高い中で働き、「活躍して評価が上がる」ことで、更に稼げるようになり、市場価値も爆上がりするという好循環になります。
「好きなこと・やりたいこと」を仕事にできても、もうからない環境なら「売れないアーティスト」状態で楽しいけど稼げないサイクルにはまってしまいます。「好きなこと・やりたいこと」でもうかる環境に入れても、得意でない=成果を出せない状態なら、そこそこ報酬はもらえるため、「ゆでガエル状態」になり、市場価値は下落します。
なので、今時点で構いませんので、もうかる環境で「好きなこと・やりたいこと」の中から、自分の個性を生かせる「得意なこと」を選ぶようにしましょう。
得意で結果が出て稼げても、「好きなこと・やりたいこと」が見つけられなければ、「人生これで良かったのか」と悩む「ガラスの成功者」にしかなれず、金だけの空しい人生になります。
「もうかること」「好きなこと・やりたいこと」「得意なこと」の3つを押さえることで、自分らしく活躍し、ほかには代わりがいない、高い市場価値を積み上げましょう。
執筆者
松本 利明
人事・戦略コンサルタント
HRストラテジー 代表
PwC、マーサージャパン、アクセンチュア等のプリンシパルを経て独立。世界を代表する外資系・日系の大企業からスタートアップまで、600社以上の人事改革を支援。
人事の「裏」を知り尽くす。5万人のリストラと7,000名以上のリーダーの選抜に関わった「人材の目利き」。
近年は、企業向けのコンサルティングに加え、誰でも自分らしく活躍できる世の中に近づけていくため、キャリアアドバイスを5,000名以上にライフワークとして実施。
ベストセラー多数。英国BBC、日本テレビ、TBS、日本経済新聞、週刊東洋経済、新R25を含めメディア実績多数。HR総研客員研究員。日本人材マネジメント協会(JSHRM)元執行役員。
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