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先どりストーリー

大手ECサイトですら攻めあぐねた中国市場を軽々と攻略。
「越境EC」で注目を集める――Inagora株式会社

日本企業の中国市場進出を支援するECサイト「豌豆公主(ワンドウ)」を運営しているInagora(インアゴーラ)株式会社は、中国人社長の翁 永飆(おう・えいひょう)氏によって2014年に設立されたベンチャー企業。翁氏は日本でのビジネス経験が豊富な人物で、中国人留学生として横浜国立大学を卒業後、新卒で伊藤忠商事に入社。その後、29歳で検索サービス「JWord」を立ち上げ、GMOインターネットによる同事業の買収を経て、2008年からはキングソフトの代表取締役として、同社の成長をリードしてきました。

そんな翁氏が新たに目をつけたのは「越境EC」というビジネスモデル。2017年3月時点で、「豌豆公主」の取り扱いブランドは約1,900、アイテム数は27,000点を超え、中国ユーザー向けショッピングアプリ「豌豆公主」は、リリースからわずか1年で約150万インストールを達成するなど、著しい躍進を続けています。そうは言っても、中国はこれまで国内ECサイト大手が進出を試みながら、大きな成功を納めることができなかった市場。

なぜ、Inagoraは、他のECサイトがぶち当たった壁を乗り越え、多くの日本企業の注目を集めることができたのか。CEOの翁氏にお話を伺いました。

――まずは御社が提供されているサービスの概要について教えてください。

Inagoraは、中国進出を目指す日本企業のため、ワンストップのEコマースサービスを提供している企業です。

ECのプラットフォームとなる「豌豆(ワンドウ)プラットフォーム」やショッピングアプリ「豌豆公主」を運営するだけでなく、現地での配送、プロモーション、マーケティングまでを一貫して請け負っているため、お客さま企業は豌豆公主に店舗を開き、商品を当社の倉庫に届けていただくだけで、簡単に中国に向けたネット通販をスタートさせることができるのです。私たちはこれを「越境EC」と位置付けています。

――グローバルな展開を目指す大手ECサイトや、越境ECを標榜する日本企業はこれまでにも存在しましたが、成功を納めてきたとは言えません。豌豆公主が大きな注目を集めているのはなぜなのでしょうか。

いくつか要因があるとは思いますが、一番、大きいのは「売り方の違い」だと思います。日本の大手ECサイトと言われる企業は、国内でこそ圧倒的な優位性を持っていますが、海外に進出となるとそうはいきません。

それは、海外でECサイトを展開するためには、配送、プロモーション、マーケティングなど、あらゆる面において、日本国内と同じ機能を現地に持たせる必要があるからです。そうした機能を持たないまま海外に進出してしまうと、単に日本でのプロモーション手法やブランディングを翻訳しただけの「売り方」になってしまい、現地では受け入れてもらえなくなってしまいます。

また、これまでに越境ECを標榜していた企業は、ほとんどがTmall国際や京東ワールドワイドへの出店を代行してきただけの存在。それでは中国の事情に即したEコマースサービスは実現できません。

――「売り方の違い」とは、具体的に言うとどのようなことなのでしょうか。

例えば、日本では有名タレントをフィーチャーしたプロモーションがよく行われていますが、中国だとまったく受け入れられません。中国の消費者が信頼するのはKOL(Key Opinion Leader)と呼ばれる有名ブロガーたち。

企業とのしがらみがない一般人である彼らが「この商品を買ったら、とても良かった」という情報を発信することで、じゃあ、自分も買ってみよう、ということになるのです。

また、日本国内では当たり前に使うものだけれど、中国ではまったく知られていないという商品もたくさんあります。例えば、お茶漬けの素を売ろうとしても、中国にはお茶漬けを食べる習慣がありませんから、誰も興味を持ちません。しかし「こうやって食べるものですよ」とプロモーションしてあげれば、興味を持ってくれるかもしれません。

――なるほど。市場性がまったく違うということなんですね。

そうです。ECの展開にはこうした中国ならではの市場環境を考慮することが必要不可欠。たとえば、当社ではショッピングアプリ「豌豆公主」に、SNS的な機能や動画配信の機能が盛り込むことで、中国市場にマッチしたプロモーションを行いやすい仕組みをつくりました。

また、商品を説明するための写真や文章、動画などを制作しているのも、中国と日本にいる当社のスタッフです。非常に手間のかかることを、商品一つひとつについてやっていかないと越境ECは成功しないのです。

――しかし、中国市場において、日本の商品は割高感があるのではないかと思うのですが、それでも売れるものなのでしょうか。

ここ数年で、中国の一般消費者の賃金が非常に伸びています。北京、上海など、大都市圏のホワイトカラーの平均月収は16万円以上。夫婦共働きがほとんどですから、世帯の収入は30万円以上になります。中国にはそうした中流層が約2億人いますし、2020年には5億人を超すという予測もあります。

一方、日本で平均年収の約400万円を得ている家庭は5000万人ほど。市場全体の購買力としては比べものにならないほど大きいのです。中流層には食べるもの、肌に付けるものは、できることなら日本製品を使いたいと考えている人が数多くいますので、日本の商品が高額すぎるということはありません。

そんな中、豌豆公主は取り扱い商品を日本のものに限定することで、言わば日本に特化したセレクトショップのようなポジションを確立、Made in Japanに魅力を感じる多くのユーザーから支持を集めています。

――越境ECを成功させるためには、現地の市場環境にマッチしたマーケティングやプロモーションが不可欠であるというお話でした。御社では、それをどうやって実現しているのでしょうか。

日本と中国には価値観の大きなギャップがあります。Inagoraはそのギャップを自分たちで受け止め、解消している会社です。ECを越境させるためには、情報も越境させなければならないのです。

ですから、日本側のスタッフと中国側のスタッフの間でのケンカの小競り合いは日常茶飯事。日本側が用意したプロモーション用の素材を、中国のスタッフが勝手に内容を変えて翻訳してしまい、「なんでそんなことをするんだ」「こうしなければ売れないことをなぜ理解できないのか」などとケンカしています(笑)。

しかし、それで良いのです。そうやってお互いの価値観の違いを乗り越えないことには、情報の越境は実現しません。お客さま企業に対しても、ブランドイメージが傷つくからと、日本国内では許されないようなプロモーション手法を受け入れてもらわなければならない部分も出てきます。

「中国の人は日本製品が大好き。だから売り方も日本と同じで良い」という考えは通用しません。そういった意味では、私たちはECコンサルタントのような役割も果たしていかなければなりません。

――これまで日本の大手ECサイトが中国で勝てなかったのは、こうした部分への配慮が欠けていたからなのかもしれませんね。では、この先の展望については、どのようにお考えですか。

まず、中国のユーザーは、ある時期までは一定の規模で増加していくと考えています。一方で、取り扱いアイテム数という面では、現在の当社の主要商材である食品・消費材に限定して考えると、もうそれほど増やすことはできないと思います。

現在、当社が倉庫にお預かりしている商品は約3万種類ほど。日本国内の消費材ECサイト大手が自社倉庫に在庫しているのは6~7万種類と言われていますから、当社もそれほど遠くないところまで来てしまっているのです。

ですから、この先の展開として考えているのは、インド・ベトナム・マレーシアなどのアジア圏に、このビジネスモデルを横展開していくことです。配送やマーケティング、プロモーションなどは、国ごとに現地で立ち上げなければなりませんが、中国市場にゼロから参入したことを考えれば、活用できるノウハウは数多くあると思います。

――クライアント企業に対しては、どのように働きかけていくおつもりですか。

実際のところ、つい先日までは「豌豆公主なんて聞いたことがない」というお客さま企業がほとんどでした。意思決定の早いオーナー企業を中心に「出店コストはゼロですから、試してもらえませんか」と頼み込んで、少しずつ出店を増やしてきたのです。

しかし、ここにきて当社に注目してくださる企業が急増しています。国内市場が縮小していくことは目に見えているわけですから、日本企業は海外に進出せざるを得ません。逆に言うと、私たちがお手伝いさせていただくことで、アジア全域に商圏を拡大できれば、日本の経済規模を縮小させずに済むかもしれない。

そういった意味では、日本という国への社会貢献にもつながっていくのではないかと考えています。

――なるほど。スケールの大きな話ですが、中国での成功体験がある御社であれば、それすらも不可能なこととは思えませんね。本日はありがとうございました。

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