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先どりストーリー

新規事業は「水産業」!? 業界を超えたビジネスへの挑戦――日建リース工業株式会社

建設用足場のレンタルで国内トップクラスのシェアを誇る日建リース工業株式会社は、1967年の設立以来、建設仮設資材やイベント施設、オフィス備品、物流機器、介護機器などを中心とした総合リース・レンタル業を展開しています。

また、そうした既存の業態にとらわれないまったく異なるジャンルでの新たなビジネスを展開し続けていることも、同社の大きな特徴の一つ。今回は、そんな新規事業をリードする営業本部 事業開発部 主任の吉田氏にお話を伺いました。現在、事業開発部が注力しているのはなんと水産業。物流機器のレンタル製品や高濃度酸素ナノバブル水の要素技術を生かして開発した「魚活(ぎょかつ)ボックス」は、生きた魚(活魚)の長時間・過密輸送を低コストで実現し、日本の水産流通を大きく変える可能性を秘めています。同社の主力事業とは大きく異なる「水産」に関する事業を立ち上げられた経緯や開発秘話などについて語っていただきました。

――まずは吉田さんの御社内でのキャリアについて教えてください。

2008年に新卒で当社へ入社しました。その当時から営業本部に所属しており、売上管理や営業車の管理といった営業支援的な仕事を担当していました。その後、東京支店の法人営業部へ異動し、当社が新しい商材として扱い始めたLED照明のレンタルをさまざまな業界・業種のお客さまに提案する仕事を2年ほど経験し、2013年に現在の事業開発部に異動してきました。それからはさまざまな新規事業の立ち上げに携わっています。

――これまでには、どのような事業の立ち上げを経験されたのでしょうか。

異動当初は、当社主催のフードイベントの運営を担当し、その後は大学や高専と一緒に高濃度酸素ナノバブル水(大量の極小気泡に酸素を封じ込めた酸素濃度が極めて高い水)の研究開発・製品化に携わりました。2016年の秋から水産事業に軸足を移しています。
今現在はたまたま水産事業ですが、あくまでこれは目先のミッションであり、1年後にはまったく別の仕事をしている可能性も大いにありますね(笑)。

――建設仮設資材のレンタルで有名な御社が、「水産業」という異業界の事業に挑戦されていますが、どのような経緯があったのでしょうか。

私が飲料用のナノバブル水に関する研究開発をしていたころ、経営陣から、「活魚に麻酔をかけて輸送する実験に成功したという記事を見た」と連絡を受けました。その実験にはナノバブル水が使われていたので、ナノバブル水に関する技術・ノウハウを持っている当社でも同じことができるのではないかという話になり、ナノバブル水の研究開発・製品化にかかわっていた私と私の直属の上司の二人で、活魚の麻酔や輸送に関する研究を進めることになったのです。二人とも水産業や魚についてはまったくの素人だったのですが、ナノバブル水についてだけは知見があったので。

――最初は何から始めたのでしょうか。

特許の文献なども読んではみましたが、とりあえず自分たちでも試してみようという感じでしたね。ナノバブル水を満たしたバケツの中に魚を入れて、二酸化炭素で麻酔状態にしてみました。最初のうちはすぐに魚が死んでしまい、なかなかうまくいかなかったことを覚えています。今考えると二酸化炭素を入れ過ぎていたことが原因だったと思います。

――そもそも「二酸化炭素で魚に麻酔をかける」というのはどういうことなのでしょうか。

水槽などに一定の二酸化炭素を入れることで、魚が低活性化することを麻酔状態と呼んでいます。低活性化状態の魚であれば、生きたまま長時間輸送することが可能になります。また、魚を生かしておくためには普通の海水ではなく、酸素を高濃度にする必要があるのです。輸送後、魚を通常の水槽に戻してあげることで麻酔状態から覚醒し、元気に泳ぎ出します。

――二酸化炭素で麻酔状態にすると言っても、生かしておくためには酸素も必要なのですね。それらの量を調整していくことで成功につなげていったのでしょうか。

そうですね。実験では常に酸素、二酸化炭素、アンモニアなどの数値を管理しており、明らかにおかしな数値が出たものに関してはその度に調整していくということを繰り返しつつ、バケツを水槽に変えるなど、魚の量も増やしていきました。同時に現在の「魚活ボックス」のプロトタイプも作り始めており、実験の規模も次第に大きくなっていきましたね。

――「魚活ボックス」はどのように開発を進めていたのでしょうか。

企画・構成は社内で行い、実際の図面作成や製作は漁業用の水槽などを作っている企業にお願いしました。漁業の現場に詳しい方々だったので、例えば酸素のセンサーなどについても「ただ垂らしておくだけでは壊れてしまうので別の仕組みに変えたほうが良い」といった助言もいただきましたね。実際には漁港などの過酷な状況下で使われるわけですから、それなりに頑丈に作っておく必要があったのです。

――実験の最終段階はどのようなものだったのでしょうか。

「魚活ボックス」のプロトタイプでは真鯛200匹を使って実験しました。20~30匹で実験して90%の魚が生きていた段階で、魚の数をボックスの許容最大量まで引き上げてみることになったのです。ただ、その段階になっても、24時間後に蓋を開けてみたら200匹の魚が全滅していたこともありました。

――それは衝撃的ですよね。どのように立て直したのでしょうか。

最終的には酸素濃度の問題でした。酸素濃度が高過ぎても魚は死んだり、弱ったりしてしまうのです。失敗するたびに結果を分析し、調整・実験を繰り返し続けました。最初に200匹、すべての魚を生きた状態で見た時は本当に嬉しかったですね。

――そのほかに苦労したことなどはありましたか?

「魚活ボックス」の性能をもっと良くしようとすると、ボックスのサイズを大きくする必要があるのですが、そうすると今度はトラックへの積載効率が悪くなるなど、物流や輸送面との兼ね合いで苦労しました。また、当社は仮設資材を扱っている関係上、2トン以上のフォークリフトがたくさんあるのですが、漁港や養殖場で使われるフォークリフトの大半は1.5トンのタイプです。荷台を引っ掛ける爪の部分も1メートル程しかないので、そのサイズのフォークリフトで運べる設計、重量にしなければならないといった制約もありました。

――そうしたさまざまな苦労の末、実用化に至った「魚活ボックス」ですが、現在の状況はいかがでしょうか。

全国の漁協(漁業協同組合)や市場内の卸売業者さんを中心に多数の問い合わせをいただいており、すでに導入されているお客さまもいます。基本的には当社の物流事業部が取り扱う商材なのですが、輸送する魚の種類や量、輸送時間などによって運用方法が変わるため、私自身も現地に行って導入のサポートをしています。最近では石巻や、福山、宇和島近辺での導入が多いですね。

――リース・レンタルに強みを持つ御社が水産業を手掛ける強みはどこにあるとお考えですか。

やはりリース・レンタルというビジネスに関するノウハウを持っている点にあると思います。「魚活ボックス」自体もお客さまにレンタルする製品ですので、お客さまが必要な時に、必要な分だけをご利用いただけることはもちろん、これまでの活魚車を使った輸送に比べて大幅にコストを下げることができます。また、全国に拠点があることも大きな強みでしょうね。

――「魚活ボックス」を中心とした事業に関して、今後の展望をお聞かせください。

まずは国内での実績を上げていくことですが、将来的には海外への展開も考えています。現時点で中国やタイで運用したいといった問い合わせが来ていますので、そうしたニーズにも応えていきたいですね。また、「魚活ボックス」の事業と並行して、地下海水を使ったサーモンの陸上養殖に関する研究を、当社・静岡市・東海大学の産学官連携で進めています。生産・養殖、輸送、更には小売店、飲食店も含む新たな活魚の流れを、コールドチェーンに対して当社では「ライブチェーン」と呼んでいるのですが、この「ライブチェーン」を通して、日本全国の皆さんに新鮮で美味しい魚をリーズナブルな価格でお届けしたいですね。

ただ、現在手掛けているこの水産事業もいずれは自分の手を離れ、また別の仕事に携わる可能性も大いにあります。自分の予想だにしない分野で、またイチからスタートしていくのは大変でもありますが、仕事を通じた自己成長意欲やチャレンジ精神、固定観念にとらわれない柔軟性を持った人が、この「事業開発部」において求められる資質かもしれません。

――御社が次々に新規事業を生み出せる理由はどこにあるのでしょうか。

会社として「社員の生活をもっと良くしよう」と考えていることが一番でしょうね。また、当社は年商1000億円を目指すことを掲げているため、新規事業にも積極的にチャレンジしているのです。さまざまな制約を受けることなく、新規事業に取り組みやすい環境が整っていることも大きいでしょう。当社は挑戦したうえでの失敗については寛大なので、新しいことにチャレンジしやすい風土が形成されていると感じています。組織的なしがらみや資金確保が新規事業の大きな障害になることはありません。

――会社として新規事業にしっかり投資されていることに加え、新規事業の担当者にとって新しいことにチャレンジしやすい環境・風土が整っていることが大きいようですね。本日はありがとうございました。

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